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ショートレビュー「小野寺の弟・小野寺の姉・・・・・評価額1550円」
2014年11月13日 (木) | 編集 |
姉ちゃんは俺のために、俺は姉ちゃんのために。

早くに親を亡くしてから、一軒家にずっと二人で暮らしている小野寺家の姉、より子と弟の進。
恋に奥手な二人が、間違って配達された一通の手紙を巡り、人生を変える新たな出会いに翻弄されるユーモラスなヒューマンドラマ。
同名で同キャストの舞台があったから、てっきり舞台の映画化なのかと思ったら、原作は監督の西田征史の小説で、そのスピンオフとして舞台が作られたが、映画は小説を直接脚色したものなので舞台版とは全く違った話らしい。ややこしい。

とりあえず向井理と片桐はいりが同じ両親から生まれるとは思えないけど、このキャスティングが最強。
主役の二人は当て書きだと思うが、やっぱり片桐はいりは存在自体が劇的なのである。
設定年齢はよりこが41歳、進が33歳で共に独身。
本作が描くのは、「アナ雪」のアナとエルサもびっくりの強い絆で結ばれ、お互いを思う気持ちが強すぎるあまりに本当の優しさを見失い、前に進めなくなってしまった中年姉弟の葛藤だ。
進には過去に好美という恋人もいたのだが、彼女は家を出て二人で同棲する踏ん切りをつけられない進に愛想を尽かし、結局別れてしまった。
それ以来よけい奥手になってしまった進の将来を心配して、より子は常々世話を焼きたがるが、進は進で姉を差し置いて自分が幸せになる事に心苦しさを感じている。

歳の離れたより子は、進にとっては姉であると同時に親代り。
それだけではなく、進は嘗てより子の初恋相手に嫉妬するあまり、意地悪をして彼女を怪我させてしまったという負い目がある。
より子が恋をしなくなったのは、自分のせい。
もしも進が独立すれば、より子はこの家に一人ぼっちになってしまう。
だから彼女が幸せになれなければ、自分も幸せになってはいけないと、半分無意識のうちに自己を抑圧してしまっているのである。
ところが進は、間違って配達された手紙を届けた先で、駆け出しの絵本作家の薫に出会い、図らずも一目ぼれしてしまう。
時を同じくして、より子も勤務先の出入り業者の暁のとる思わせぶりな態度に、恋の予感を感じ取る。

二人にそれぞれ巡って来た新たな出会いは、姉弟の関係の変化の契機ともなる。
姉と弟のどちらも感情移入キャラだが、基本的に葛藤の軸となるのは、姉離れ出来ないシスコンの弟だ。
彼は“優しさとはなにか”をテーマにした、薫の新作絵本のストーリー作りに協力するうちに、自分自身が姉に向けている気持ちの正体を直視し始める。
優しさや思いやりだと考えているそれは、本当は同情だったり罪悪感であったり、自分の中の罪の意識が作り出した利己的な感情ではないのか?という事に、彼はようやく気づくのである。
だが人間、何十年も抱き続けた感情が突然180度変わることはないし、人生もそんなに都合よく劇的には展開しない。
前に踏み出す勇気を持てなかった者に、運命の女神は微笑まず、大いなる期待は往々にして残酷に裏切られる。
全体的にほんわかと柔らかな語り口だが、物語そのものはビターテイストで媚びない辺りに作り手の矜恃を見た。

結局、葛藤は完全に解消されないが、二人とも小さな一歩は歩み出す。
他人から見ると「え?」と思う様な小さな事が、しばしば人生を左右する大きな葛藤の始まりだったりするが、とりあえず進にとってのトラウマの大元は解消されたし、これから小野寺の姉弟は、もっと素直に、ありのままの自分で生きる事が出来るだろう。
愛すべき姉弟の、愛すべき小品である。

今回は小野寺の姉弟と飲みたい、東京の地酒「屋守 純米生詰 ひやおろし」をチョイス。
「金婚」で知られる東村山市久米川町の豊島屋酒造の四代目が、「東京の旨い酒を全国に発信したい」と15年ほど前に立ち上げた銘柄。
なるほど東京にこの酒あり!というクオリティに仕上がっており、今や酒好きの間で知らない者はいないだろう。
ひやおろしはひと夏寝かせることによって熟成が程よく進み、芳醇な果実香と旨くて甘い柔らかな米の味わいが楽しめる。
冷酒はもちろん、ぬる燗でも美味しくいただける。
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