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ショートレビュー「福福荘の福ちゃん・・・・・評価額1650円」
2014年11月18日 (火) | 編集 |
これは二十一世紀の「寅さん」だ!

森三中の大島美幸が“おっさん”を演じるのが話題だが、てっきり粗製乱造の吉本映画かと勘違いしてスルーするつもりだった。
しかし私が映画眼を信頼する何人かの人から、かなりの高評価を聞き方針転換。
ごめんなさい、やっぱ映画は観なければ分からない。
これは色物扱いしては全く失礼な、素晴らしい作品だった。

主人公は、今どき珍しい内廊下の昭和なアパート、というか下宿屋の福福荘に住む塗装工の福ちゃんこと福田辰男、32歳。
ぽっちゃり体型に丸刈り頭、面倒見が良く、男気もある人気者だが、恋愛には奥手で、同僚が世話を焼いて紹介してくれた女性ともまともに話ができず、上手くいかない。
一見天真爛漫だが、実は心に深い傷を抱える福ちゃんを大島美幸が好演。
女性が男性役を演じると聞くと、一瞬えっと思ってしまうが、俳優が自分とは別の性を演じる事は映画でも過去にもいくつも例があるし、そもそも日本には歌舞伎や宝塚の伝統があるのだから、それほど身構える必要もない。
福ちゃんも、30代のおっさんにしてはお肌がツルツル過ぎだけど、演技がキャラクターにぴったりはまっているので、女性であるという事はすぐに気にならなくなる。
むしろ良い意味で過去に演じた役柄などの“色”がついていない分、福ちゃんという究極の良い人キャラに説得力が生まれていると思う。

物語の前半は、福ちゃんと福福荘の愉快な仲間たちの日常と、水川あさみが演じる写真家志望の杉浦千穂の物語が平行に描かれる。
ぶっ飛んだキャラのカリスマ写真家に見出されて、会社を辞めて写真の世界に飛び込んだものの、師匠にセクハラされて仕事なし、つてなし、モチベーションなしの状況で後戻りできなくなってしまった千穂の状況はかなり悲惨。
一見関係なさそうな二つのストーリーラインがどう交わるのだろうと思っていたら、映画はかなりの力技を使って、後半一気に二人の抱える意外な過去との対決を描き出すのである。
実は千穂は福ちゃんの中学時代の同級生で、初恋の人。
千穂は、彼の気持ちを盛り上げるだけ盛り上げておいて、どん底に突き落とすという残酷なイジメを働いた事があるのだ。
福ちゃんが女性恐怖症なのも、初恋のトラウマがあるから。

とある理由から、当時のことを謝罪するために福ちゃんを訪ねた千穂は、大人になった彼の“顔”に魅せられ、彼の写真を撮ることを決意。
モデルになる事を頼まれた福ちゃんも、最初は戸惑うものの、やがて彼女への恋心を再び募らせてゆく。
贖罪と許しによって過去のトラウマが克服されると、新たに「美女と野獣」もとい「寅さん」的な葛藤が生まれるという訳だ。
ルックスも何もかもが全く対照的な二人の恋というメインプロットに、ユニークなサブキャラたちのエピソードも有機的に絡み合い、非常に上手い。
特に終盤の伏線にもなっているエキセントリックなカレー屋での一件は、大島美幸と古舘寛治のかけ合いが絶妙で、本編屈指の名シーンになっている。
このまま終われば大傑作だったのだけど、惜しむらくは映画のオチが現代の日本映画にありがちな描写過剰に陥ってしまった事だ。
あそこはもう観客は分かっているんだから、直接見せずに文字通りカレーのスパイスを匂わせる程度の方が余韻が残って良かったのになあ。
説明を尽くすより、観客の想像力を信じる勇気が欲しかった。

ところで本作の大島美幸や「小野寺の弟・小野寺の姉」の片桐はいりとか、超個性的なキャラクターの持ち主を、ダイレクトに生かす映画はもっとあって良いと思う。
バラエティ的にいじるだけの企画(本作もそんな映画かと観る前は思っていた)は多々あるが、真面目に映画に取り込んで生かした作品は少なすぎる。
まさに存在自体が言葉の要らない映像言語なのに!

今回は、東京23区内に唯一残る日本酒蔵、小川酒造「丸眞正宗  純米吟醸」をチョイス。
明治11年創業の蔵元は、都内の酒蔵が次々と閉鎖されてゆく時代の流れに抗い、今日まで赤羽岩淵の良質な水を用いて酒造りを続けてきた。
軽やかな吟醸香と柔らかな口当たりは、強い個性は無いものの、飽きの来ない味わいは季節や料理を選ばない。
福ちゃんの様に、日常の傍に存在を感じてホッとする、そんな酒だ。
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