FC2ブログ
酒を呑んで映画を観る時間が一番幸せ・・・と思うので、酒と映画をテーマに日記を書いていきます。 映画の評価額は幾らまでなら納得して出せるかで、レイトショー価格1200円から+-が基準で、1800円が満点です。
■ お知らせ
※基本的にネタバレありです。ご注意ください。
※当ブログはリンクフリーです。内容の無断転載はお断りいたします。
※ブログ環境の相性によっては、TB・コメントのお返事が出来ない事があります。ご了承ください
エロ・グロ・出会い系のTB及びコメントは、削除の上直ちにブログ管理会社に通報させていただきます。 また記事と無関係な物や当方が不適切と判断したTB・コメントも削除いたします。
■TITLE INDEX
タイトルインディックスを作りました。こちらからご利用ください。
■ ツイッターアカウント
noraneko285でつぶやいてます。ブログで書いてない映画の話なども。
■ FILMARKSアカウント
noraneko285ツイッターでつぶやいた全作品をアーカイブしています。
インターステラー・・・・・評価額1800円
2014年11月25日 (火) | 編集 |
愛は、時空を超える。

鬼才クリストファー・ノーラン初の宇宙SF、「インターステラー」はやはりとんでもない作品であった。
物語の背景となるのは、気候変動や天変地異により、人類の母星・地球の寿命が尽きようとする近未来。
種の生存を賭け、居住可能な新たな星を探す命がけのミッションに挑む一人の父親と、いつ帰るとも知れない彼を待ち続ける娘の姿を通して、人間存在の核としての“愛”を描こうとする壮大かつ野心的なヒューマンドラマである。
主人公の宇宙飛行士を、ここ数年絶好調でキャリアを重ねるマシュー・マコノヒー、娘役をマッケンジー・フォイとジェシカ・チャスティンが演じ、過去のノーラン組からアン・ハサウェイやマイケル・ケインが脇を固める。
今まで見たこともない、深宇宙の幽遠なビジュアルに度肝を抜かれ、未知の世界での冒険に手に汗握り、人間たちの深い情愛に泣かされる。
圧倒的な演出力と膨大な情報量に裏打ちされた、疾風怒濤の169分!
これぞエンターテイメントだ!
※ネタバレ。観る前に読まないで。

地球環境の激変によって、人類の生存圏は刻一刻と脅かされていた。
植物が枯れ果て、人類が滅亡するまで、残された猶予はわずか数十年。
嘗てNASAのパイロットだった農夫のクーパー・ハミルトン(マシュー・マコノヒー)は、ある日娘のマーフ(マッケンジー・フォイ/ジェシカ・チャスティン)の部屋で、本棚の本が勝手に動いて落下するという奇妙な現象に遭遇する。
落ちた本のパターンが荒野の中のある座標を示している事に気づいたクーパーが、マーフ共に車を走らせると、そこで待っていたのはクーパーの嘗ての上司、ブランド教授(マイケル・ケイン)だった。
既に解体されたはずのNASAは密かに存続しており、極秘の計画が進められていたのだ。
ブランドたちが“彼ら”と呼ぶ謎の知性によって、土星の近くに別の銀河に通じるワームホールが作られ、既に12機の宇宙船が探査の為に旅立ち、そのうち3機から生存可能な惑星にたどり着いたという信号が届いている。
ブランドはクーパーもまた“彼ら”に選ばれたと考え、3つの惑星のうち、人類の移住先を決める最後のミッションに参加するように要請する。
もしも旅立てば、二度と帰れないかも知れないが、このまま地球にいても、娘たちの世代を救う事は出来ない。
クーパーは悩んだ末に参加を決意し、ブランドの娘で生物学者のアメリア(アン・ハサウェイ)らと共に、人類を救うべく冒険へと旅立つ・・・・


いやはや毎度の事ながら、あまりの濃厚さに観終わってどっと疲れた。
環境破壊による地球滅亡の危機、ワームホールの旅、重力による時間のずれ、別次元に進化した未来の人類。
古今東西のSF小説から日本のアニメまで、本作に連なるアイディアやイメージを持つ作品は決して少なくないが、その中でも特に強い影響を感じる作品は二つ。
言わずと知れたスタンリー・キューブリック監督の金字塔、「2001年宇宙の旅」と、ロバート・ゼメキス監督がカール・セーガン博士の小説を映画化した「コンタクト」だ。
未知の空間に旅した人類の、次なる進化の可能性を見せる、という意味では前者であり、ワームホールを通じた父娘のドラマ、というストーリー的な部分では後者の影が強い。
実際、本作の企画者であり、プロデューサーの一人リンダ・オブストは「コンタクト」でもプロデュースを務めており、本作でエグゼクティブ・プロデューサーに名を連ね、科学考証を担当した理論物理学者のキップ・ソーンは、セーガンの友人だったという。

個別の要素に注目すると、未知の存在に導かれた宇宙船が先ず向かったのは、「2001年宇宙の旅」のディスカバリー号の場合木星、本作のエンデュランス号は土星。
どちらの船にも高度に発達した人工知能が搭載されており、本作に登場する自立型ロボット、TARSの姿はおそらく狙ってモノリスそっくりに造形されている。
私はブラックホールに落ちたアレが、五次元の“彼ら”に進化するのかと思った(笑
また「コンタクト」では、ヴェガの異星人から届いた通信の謎を解いて、ワームホールを作り出す巨大な装置を建設するが、本作では五次元に存在する“彼ら”に導かれ、“彼ら”の作り出したワームホールへと突入する。
更に本作の主演のマシュー・マコノヒーは、「コンタクト」でも物語のキーパーソンとなる重要な登場人物を演じていた。
今回彼の役どころは、幼い娘を地球に残し、宇宙の彼方へ旅立つ宇宙飛行士で、彼を待ち続ける娘との時空を隔てた愛と絆がドラマの核となるが、「コンタクト」では、ジョディ・フォスター演じる主人公が幼い頃に父を亡くした設定で、マコノヒーは実証主義者の彼女に「父への愛の証拠はあるか?」と問い掛けるのである。
本作のクライマックスでブラックホールに進入したマコノヒーは、五次元世界から娘へメッセージを伝えようとし、「コンタクト」ではワームホールを通り、ヴェガにたどり着いたフォスターが、父の姿をした異星人と出会うという裏返しの構造を持つ。
大きな違いは、「コンタクト」は科学的な実証と人間の主観の間にあるギャップを大きなテーマとしているが、ノーランの場合は、はじめから素直に主観に寄り添うという事だろう。

この様に、「インターステラー」はいわばキューブリックの孫で、ゼメキスの子供である。
特に「コンタクト」に対しては、ある種のアンサームービー的意味合いを持つと言っても間違いではないだろう。
スケールの大きさで考えれば、本作と「2001年宇宙の旅」は双璧。
しかしキューブリックが徹底的に現象だけを描くことで、登場後半世紀近くたっても全く色褪せない神話的な永久性を作品に与えたのに対して、やはりノーランの関心は特殊なシチュエーションの中での人間のエモーションなのだろう。
自分が誰かを救えるなら、大きな葛藤を抱えても行動しようとする主人公は、「ダークナイト」から一貫しており、その原動力は信念と愛だ。
その意味で本作はキューブリックよりは「コンタクト」により近いが、何よりも精神性に重きをおくノーランらしい作品であり、例えば手塚治虫の「火の鳥」に見られる様な科学的アプローチと精神的アプローチが同居している。
ノーランの考える人間の宇宙において、現象は常にエモーションによって変化するものなのである。
それはクーパーとマーフの関係もそうだし、科学者でありながら科学的な理論よりも愛の直観によって、恋人エドマンズの待つ星へ向かおうとするアメリアも同様だ。
たとえ宇宙という無限の空間で隔てられていても、精神という内なる無限によって人は繋がっている。
ここではマクロはミクロであり、ミクロはマクロなのである。
本作をゴリゴリのハードSFと捉えると、現象とエモーションで後者に重きを置くウェットさは評価の分かれ目になるかもしれないが、そもそも1億6000万ドルものバジェットを賭けた超大作が、限られたマニアのためのものである訳がない。
エンタメ色の濃い分りやすいヒューマンドラマというスタンスは、ハリウッド映画のあり方として誠に正しい。

とは言え、本作を観てホーキング博士の本を読んでいた事が、人生で初めて役に立った気がするのも事実。
そっち系の知識が全くないと、ワームホール?四次元?五次元?特異点?重力が時間を超える?と頭の中にいくつもの“?”を抱えながら観ることになるだろう。
もちろん全く知らなくても、全ての帰結する先は“愛”なので、ストーリー進行はちゃんと理解できるのだけど、感じられる物語の奥行きはかなり異なってきそうで、せめて相対性理論の概念くらいは頭に入れておいた方が楽しめると思う。
キップ・ソーンが、「史上初めて正確にワームホールやブラックホールを描いた映画」と豪語する様に、遥かなる宇宙の映像表現は、今まで観た事のあるSF映画とは一線を画するもので、IMAXなどの巨大スクリーンが相応しい。
まあ実際見たことがないから、これが本当にホンモノに近いのかは分からないし、あれ?なんでそうなるの?という一見嘘っぽい描写もあるのだけど、そもそも乏しい科学知識ではそれが正しいのか間違ってるのかも分からない(笑
何よりも大切なのは、たとえそれが映画的な嘘であろうが、作品の世界観の中で許容できる、芸術としての懐の深さである。
ストーリー、映像・音響、キャラクターが非常に高度なレベルで三位一体となっている「インターステラー」は、2014年のクライマックスに相応しいだけでなく、映画史に残るSFドラマの傑作だ。
それにしても、2014年は近年まれなSF映画の当たり年ではないか。
ラブストーリーにホラーにアメコミ、更には怪獣にドキュメンタリーまで数多くの秀作SFが生まれた年の終わりに、本作と「ベイマックス」という至高のエポックがやって来るとは、なんと贅沢、なんと幸せな冬だろうか。

今回は、ラストで再び旅立つクーパーに、たっぷり持たせてあげたいアメリカンビール「サミュエル・アダムス ボストン・ラガー」をチョイス。
第二代アメリカ大統領、ジョン・アダムズの兄として知られるサミュエルは、自身も政治家だが、元々実家の醸造所で働いていた経験を持つ。
彼の名を冠したボストンの地ビールは、ミラーやバドといったマスプロビールとは一線を画し、適度に濃厚でコクのある本格派のラガー。
ブラックホールを間近で眺めながら飲んだら最高だろうなあ。
ランキングバナー 
記事が気に入ったらクリックしてね




スポンサーサイト