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トラッシュ!−この街が輝く日まで− ・・・・・評価額1650円
2015年01月20日 (火) | 編集 |
天使が、舞い降りた街。

ブラジル、リオのスラムを舞台に、ある暗号を秘めた財布を拾った事から、三人の少年が街を牛耳る巨悪と対決する。
「ビリー・エリオット」「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」のスティーヴン・ダルドリー監督、「戦火の馬」「アバウト・タイム~愛おしい時間について~」のリチャード・カーティス脚本のコンビは、一見社会派の設定を用いて、一大エンターテイメントを作り上げた。
最下層の子どもたちという絶対的弱者が、悪の手先となった警察という絶対的強者をいかにして出し抜くのか。
宗教的暗喩を巧みに織り込みながら、ロジカルに構成されたプロットは先を読ませず、テンポよくスピーディーな演出は、観客を少年たちと共にスラムの冒険譚へと誘う。
※核心部分に触れています。

巨大都市リオのゴミ捨て場。
膨大なゴミの中から使えるものを探して暮らす、14歳の少年ラファエル(リックソン・テベス)は、ある日ひとつの財布を拾う。
中に入っていたのは、少しのお金、IDカード、少女の写真、数字の書かれたメモ、どこかのコインロッカーの鍵。
だがこの財布には、街の運命を左右する重大な秘密が隠されていた。
警察はスラムに乗り込み、住人達を動員して大捜索に乗り出す。
財布に、何か秘密があると考えたラファエルは、友達のガルド(エデュアルド・ルイス)とラット(ガブリエル・ウェインスタイン)と共に、隠された暗号の謎に挑む。
しかしそれは少年たちにとって、あまりにも危険すぎる冒険の始まりだった・・・・


ブラジルを舞台としたポルトガル語劇だが、原作者も脚本家も監督もイギリス人。
英国の映画人が、異郷で撮った社会派ルックの痛快エンタメという点では「スラムドッグ$ミリオネラ」、カオスのリオのスラムで暮らす少年たちの物語という点では、フェルナンド・メイレレスの傑作「シティ・オブ・ゴッド」を思わせる。
本作はこの2本に「グーニーズ」的少年たちの冒険と、「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」の謎解き要素をミックスして、割ったようなテイストだ。
主人公の少年たちと、彼らを見守るマーチン・シーンのジュリアード神父やルーニー・マーラー演じるオリビア先生との距離感なども、「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」と似た印象。

ブラジルでも屈指の大都市リオは、2016年のオリンピック開催を控え、急速な開発が進む。
しかし、華やかな経済発展の一方、繁栄から取り残されたスラムが広がり、本作の主人公の少年たちは、広大なゴミ捨て場からまだ使える物を拾って、僅かばかりの金に換える、格差社会の中でも最下層に属する。
働いても、働いても、貧困からは抜け出せず、権力を振るう警察には人間扱いされない。
そんな掃き溜めに暮らすラファエルが、ある日ゴミの中からひとつの財布を拾う。
実は財布の中には、心ある人々を弾圧し、私利私欲の為にリオ市長になろうとしている悪漢、サントスの犯罪の証拠のありかを示した暗号が隠されている。
サントスの腹心でありながら、彼の悪を暴こうとした男は捕まり、殺されてしまうが暗号を隠した財布だけはゴミ収集車に落ち、行方不明になったのだ。
当然サントスは慌てふためき、買収した警察を動員して財布を大捜索。
だが、財布にかけられた賞金にも、ラファエルは動じず、逆にボロボロの財布を必死で探す警察の動きに不信を抱き、暗号の正体を探り始めるのだ。
信仰心が厚く、権力に媚びない彼のファーストプライオリティは、「正しいことをする」なのである。

終盤ジュリアード神父が、事件の顛末を旧約聖書の出エジプト記になぞらえる描写があるが、本作の大きな特徴は現実へのアンチテーゼとしてのある種のファンタジー性、宗教的暗喩性と言えるだろう。
キーワードは物語に隠された、幾人もの天使たちだ。
まず事件の発端となる財布の持ち主の名は、ジョセ・アンジェロ。
アンジェロの語源は天使、あるいは神のメッセンジャーである。
そして最初に財布を拾う少年の名は、特にカソリックで深く信仰されている、癒しの大天使と同じラファエル。
つまり、神から使わされたメッセージを、人々を癒すべき天使が受け取り、行動を起こしたという事なのだ。
だとすると、行動的で武闘派のガルドはミカエル、ラファエルを事件の謎をとく鍵となる手紙へと導くラットは、ガブリエルなのかもしれない。
そういえば、なぜかジュリアード神父が、ラットの事を「ガブリエル」と呼ぶシーンがあったような気がするが、記憶違いか?

ラファエルと仲間たちは財布にあったコインロッカーの鍵から手紙を見つけ、オリビア先生の手を借りながら、今度は刑務所にいる手紙の宛先の人物の言葉を聞く。
そうして自分たちが追っている事の本当の意味を知ったラファエルたちは、警察の追っ手を掻い潜り、聖書の言葉に導かれ、スラムを駆け巡る大冒険の末に目的の場所を探り当てるのである。
途中では警察に捕まって拷問されたり、危うく殺されそうになったりもするのだが、それでも決して正しい事をするのを諦めない。
そんな少年たちのピュアで気高い行いは、ギブアップする事に慣れてしまった大人たちの心も、少しずつ変えてゆく。
サントスの秘密を暴いて失脚させるのは、搾取する者とされる者の関係を、当たり前の事として受け入れてしまっている社会に、変革の炎をつける第一歩。
天使の名を持つ少年たちは、幼いからこそ恐れを知らず、自分の信じる道を突き進む。

しかしクライマックスに至って、映画はさらに驚きの展開を迎えるのだ。
以下の記述は、劇中では狙って曖昧にされている部分なので、あくまでも私の解釈。
地上で奮闘する小さき天使たちの絶体絶命の危機に対して、神は遂に本物の天使を送り込んでくるのである。
やっとの事で暗号を解き、たどり着いた墓地で、ラファエルが見たものは、ジョセの愛娘ピアの墓。
ジョセは棺の中に、サントスから奪った金と犯罪の証拠である帳簿を隠していたのだ。
ところが、ラファエルが墓地に飾られていた天使像を見た直後、死んだはずのピアが姿を現す。
「お父さんが、ここは安全だからと私を隠した」と彼女は言うが、言葉通り信じるには、あまりにも不自然なシチュエーションで、そこに至るまでのリアリテイ重視のスタンスからは明らかに異質。
そもそもジョセがサントスを裏切って、このタイミングで行動を起こした理由はなにか。
彼の言動を見る限りでは、何よりも大切な娘の死によって、失うものが無くなったからだと考えるのが一番自然である。
それならば、墓場に現れラファエルたちの危機を救ったのは、単なる父に見捨てられた子どもではなく、神に使わされた天使ピアと解釈するのが一番しっくりくる。

そう考えると、ここからエピローグにかけてのファンタジー的な展開にも、象徴的な意味を見出せるだろう。
正しい行動をすることによって、悪魔に虐げられた人々を救った小さき天使たちは理想郷へと去り、彼らに導かれた人々は、遂に“エクソダス”を迎える。
これは、現在のリオを舞台とした聖書の再現であり、奇跡を描いた寓話なのだろう。
まあ、終盤の展開は捉え方によってはえらくご都合主義にも見えるかもしれず、ここをどう受け取るかによって本作の印象はだいぶ変わってくるのではないだろうか。
私的には厳しい現実に対する、映画という虚構によるカウンターとして十分にアリだと思うし、気持ちよく楽しませてもらった。

今回はブラジルの代表的カクテル、「カイピリーニャ」をチョイス。
グラスに、皮ごと1、2センチ角にぶつ切りにしたライムと砂糖1〜2tspを入れてつぶす。
適量のクラッシュドアイスとカシャッサ45mlを注ぎ入れ、軽く混ぜ合わせて完成。
元々やや重い口当たりのカシャッサを、ライムの清涼さがスッキリと引き立てている。
国内のブラジル料理店でもお馴染みのカクテルだ。

それにしても、リオデジャネイロって、「ワイルド・スピード」でも悪漢に支配された犯罪都市として描かれてたけど、普通に撮影協力しているのね。
現地の人たちは、これら外国製リオ映画をどう思っているんだろうか。ちょっと聞いてみたい。

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