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2015年03月03日 (火) | 編集 |
ウロボロスの宿命。
巨匠ロバート・A・ハインラインの傑作短編小説、「輪廻の蛇」の初の映像化。
異色のヴァンパイア映画「デイブレイカー」で注目された、ドイツ出身オーストラリア育ちの双子の監督スピエリッグ兄弟と、主演のイーサン・ホークが再タッグを組み、なかなかに味わい深いSF映画の佳作となった。
原作は邦訳文庫でわずか29ページ、30分もあれば読み終わってしまう短さだが、タイムパラドックスものの究極型といわれるのも納得の濃厚さ。
1970年代のニューヨークに始まる物語は、数奇な運命を辿ったある男の告白から、60年代、40年代、更には90年代まで時空を駆け巡る。
脚本も兼務するスピエリッグ兄弟は、ハインラインのプロットを極めて忠実に、しかし原作の小さなディテール部分から新たなアイデアとキャラクターを生み出し、既読者をも唸らせる。
もちろん未読者は、そのままハインラインの仕掛けた驚愕のロジックに驚嘆することになるのだが。
※以下は観てから読むことをおススメします。
映画の展開は、ほぼ原作通り。
前半は、ある使命を帯び未来から1970年代にやってきたバーテンダーが、“私生児の母”のペンネームでスキャンダラスな雑誌コラムを書いているライターのジョンから、彼自身の出生とこれまでの半生に関する信じがたい物語を聞き出す。
ある出来事が切っ掛けで、人生をめちゃくちゃにされたジョンは、自分を裏切った人間に対する憎しみと復讐心に囚われている。
やがてバーテンダーは、自らタイムトラベラーである事を明かし、自分の仕事を引き継ぐことと引き換えに、ジョンに復讐を遂げさせると持ちかけるのだ。
そして中盤以降、彼らが時間旅行へと旅立つと、物語は驚くべき方向へと動き出し、それまでにジョンが語ってきた話の裏側にあったもの、自己存在を巡るあまりにも奇妙な運命の悪戯が浮かび上がるのである。
まあ極めて良く出来た小説ゆえ、まんま映像化するだけでも、面白い映画は出来るだろう。
だが、スピエリッグ兄弟は、原作ではほんの数行触れられているだけで、物語の本筋には絡んでこない爆弾事件を大きく膨らませ、そこに原作の構造を更に包み込むようなもう一つのパラドックスを仕掛けている。
元のプロットを全く損なわずに、物語を深化させた脚色は見事だ。
ジェンダーやインディビジュアリズムといった、いかにもハインラインらしい原作のテーマもそのまま受け継がれているが、これは物語のロジックがテーマに直結しているので当然か。
映画のタイトルである「Predestination」は直訳すれば“運命”とか“宿命”の意味になるが、これはもちろんSFでは御馴染みの“Predestination paradox”に通じる。
日本では一般に“因果のループ”と訳される、原因と結果の因果、要するに「鶏が先か?卵が先か?」のパラドックスの事であり、映画の内容を端的に示唆している。
一方、ハインラインの原作の原題は「All you zombies」という奇妙なもの。
これは、作中のバーテンダーの心の声「I know where I came from—but where did all you zombies come from?(私は自分がどこから来たのか知っている、だが全てのお前たち死霊どもはどこから来たのだ?)」からとられている。
自らを、己が尾を噛んで輪となった蛇、ウロボロスに例えるバーテンダーは、この宇宙でただ一人自らの創造の秘密を知る存在だ。
自分以外の全ての者、この星で生まれ脈々と受け継がれてきた生命とは根本的に違った“異種”ゆえの絶望的な孤独。
原作が書かれた1950年代は、今よりもはるかに社会が異端者に対して不寛容だった時代。
ハインラインは、自分以外の存在を“死霊”と呼ぶタイムトラベラーに、当時のマイノリティの孤独とうずきを投影したのだろう。
家族も友人もおらず、時間の流れにすら縛られない彼が愛し、愛されるのは自分だけ。
「お前が恋しい」と思わず呟いたあの瞬間から、時の輪が永遠に閉じるまで、彼はどれだけの虚無感を味わったのだろうか。
今回はハインラインの生まれ故郷でもあるミズーリ州ウェストンで、160年の歴史を持つマコーミック社のコーンウィスキー「プラットヴァレー コーン」をチョイス。
バーボンウィスキーはトウモロコシとライ麦で作られるが、通常トウモロコシを51%~80%使用したものをバーボン、80%以上使用するとコーンウィスキーと呼ばれる。
コーンウィスキーの特徴はライトな味わいとコーン独特の甘い香りだが、プラットヴァレーは出荷するまでに3年間の樽熟成を経ているので、適度なコクも感じられる。
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巨匠ロバート・A・ハインラインの傑作短編小説、「輪廻の蛇」の初の映像化。
異色のヴァンパイア映画「デイブレイカー」で注目された、ドイツ出身オーストラリア育ちの双子の監督スピエリッグ兄弟と、主演のイーサン・ホークが再タッグを組み、なかなかに味わい深いSF映画の佳作となった。
原作は邦訳文庫でわずか29ページ、30分もあれば読み終わってしまう短さだが、タイムパラドックスものの究極型といわれるのも納得の濃厚さ。
1970年代のニューヨークに始まる物語は、数奇な運命を辿ったある男の告白から、60年代、40年代、更には90年代まで時空を駆け巡る。
脚本も兼務するスピエリッグ兄弟は、ハインラインのプロットを極めて忠実に、しかし原作の小さなディテール部分から新たなアイデアとキャラクターを生み出し、既読者をも唸らせる。
もちろん未読者は、そのままハインラインの仕掛けた驚愕のロジックに驚嘆することになるのだが。
※以下は観てから読むことをおススメします。
映画の展開は、ほぼ原作通り。
前半は、ある使命を帯び未来から1970年代にやってきたバーテンダーが、“私生児の母”のペンネームでスキャンダラスな雑誌コラムを書いているライターのジョンから、彼自身の出生とこれまでの半生に関する信じがたい物語を聞き出す。
ある出来事が切っ掛けで、人生をめちゃくちゃにされたジョンは、自分を裏切った人間に対する憎しみと復讐心に囚われている。
やがてバーテンダーは、自らタイムトラベラーである事を明かし、自分の仕事を引き継ぐことと引き換えに、ジョンに復讐を遂げさせると持ちかけるのだ。
そして中盤以降、彼らが時間旅行へと旅立つと、物語は驚くべき方向へと動き出し、それまでにジョンが語ってきた話の裏側にあったもの、自己存在を巡るあまりにも奇妙な運命の悪戯が浮かび上がるのである。
まあ極めて良く出来た小説ゆえ、まんま映像化するだけでも、面白い映画は出来るだろう。
だが、スピエリッグ兄弟は、原作ではほんの数行触れられているだけで、物語の本筋には絡んでこない爆弾事件を大きく膨らませ、そこに原作の構造を更に包み込むようなもう一つのパラドックスを仕掛けている。
元のプロットを全く損なわずに、物語を深化させた脚色は見事だ。
ジェンダーやインディビジュアリズムといった、いかにもハインラインらしい原作のテーマもそのまま受け継がれているが、これは物語のロジックがテーマに直結しているので当然か。
映画のタイトルである「Predestination」は直訳すれば“運命”とか“宿命”の意味になるが、これはもちろんSFでは御馴染みの“Predestination paradox”に通じる。
日本では一般に“因果のループ”と訳される、原因と結果の因果、要するに「鶏が先か?卵が先か?」のパラドックスの事であり、映画の内容を端的に示唆している。
一方、ハインラインの原作の原題は「All you zombies」という奇妙なもの。
これは、作中のバーテンダーの心の声「I know where I came from—but where did all you zombies come from?(私は自分がどこから来たのか知っている、だが全てのお前たち死霊どもはどこから来たのだ?)」からとられている。
自らを、己が尾を噛んで輪となった蛇、ウロボロスに例えるバーテンダーは、この宇宙でただ一人自らの創造の秘密を知る存在だ。
自分以外の全ての者、この星で生まれ脈々と受け継がれてきた生命とは根本的に違った“異種”ゆえの絶望的な孤独。
原作が書かれた1950年代は、今よりもはるかに社会が異端者に対して不寛容だった時代。
ハインラインは、自分以外の存在を“死霊”と呼ぶタイムトラベラーに、当時のマイノリティの孤独とうずきを投影したのだろう。
家族も友人もおらず、時間の流れにすら縛られない彼が愛し、愛されるのは自分だけ。
「お前が恋しい」と思わず呟いたあの瞬間から、時の輪が永遠に閉じるまで、彼はどれだけの虚無感を味わったのだろうか。
今回はハインラインの生まれ故郷でもあるミズーリ州ウェストンで、160年の歴史を持つマコーミック社のコーンウィスキー「プラットヴァレー コーン」をチョイス。
バーボンウィスキーはトウモロコシとライ麦で作られるが、通常トウモロコシを51%~80%使用したものをバーボン、80%以上使用するとコーンウィスキーと呼ばれる。
コーンウィスキーの特徴はライトな味わいとコーン独特の甘い香りだが、プラットヴァレーは出荷するまでに3年間の樽熟成を経ているので、適度なコクも感じられる。

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