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ショートレビュー「インヒアレント・ヴァイス・・・・・1550円」
2015年04月21日 (火) | 編集 |
グル―ヴィーだよ、迷探偵。

「ザ・マスター」のポール・トーマス・アンダーソンが、ホアキン・フェニックスとの再タッグで挑んだのは、1970年の混沌のLAを舞台に、懐メロが彩る白昼夢のようなコメディ。
フェニックス演じるヒッピー崩れの私立探偵ドクが、突然訪ねてきた元カノのシャスタの依頼を受けた事から、魑魅魍魎が蠢くLAの裏側をさまよう。
原作の「LAヴァイス」は未読だけど、様々な要素が次々と足されつつ混濁してゆくスタイルは、なるほどいかにもトマス・ピチョンっぽく、それなりに忠実なのではないかと思わされるが、実際はどうなのだろう?
全体の印象としては、タランティーノの題材+リンチの世界観を、アンダーソンが独自の語り口で纏めたという感じか。

ドクが事件を追い始めると、彼の周りには矢継ぎ早に怪しげな人物が登場しては消え、人物関係は異常に複雑かつ断片的。
消えた不動産王、国際麻薬組織、腐敗したLA市警にネオナチ組織、更には家出少女や淫行歯科医まで絡み合い、ちょっと油断していると、「あれ、この人誰だっけ?えーと、この人とあの人の関係は?」と狼狽するが、実はこの混乱は計算されたもの。
とりあえずフローズンチョコバナナが好きなジョシュ・ブローリンの刑事と、オーウェン・ウィルソン演じる、死んだことになっているミュージシャン、そして物語の発端となるシャスタの存在さえ押さえておけば、あとは何となくこんな人いたなあというボーっとした認識で十分である。

全編ほとんど夢うつつのムードで展開するのは、ドクが最初から最後まで、マリワナとコカインでラリっているから。
舞台となる1970年は、激動の60年代と停滞の70年代の節目の年。
公民権運動は一応実を結んだものの、白人至上主義者たちは結束し、ベトナム戦争は完全に泥沼化、反戦運動のなかから生まれたヒッピーコミューンはラブ&ピースで盛り上がり、カルト集団は反社会化して凶悪事件を起こす。
あらゆる人々が好き勝手に自己主張するカオスな時代の空気が、事件の断片に溶け合い、クサで霧のかかった探偵の頭を通し、シニカルかつユーモラスに浮かび上がるというワケ。
同じシーンの中に昼と夜の背景が混じっていたり、語り部役の女性が全く本筋に絡んでこない傍観者で、そもそも彼女が誰なのかもよく分からないままなのも、全てこの濃密に曖昧な世界を成立させるための演出と考えて良いだろう。

混迷のLAで、ドクは結局何を探していたのか。
ラリった状況のまま、彼はなりゆきで巨悪と対決し、最後に少しだけ良い事をする。
タイトルの「インヒアレント・ヴァイス」とは船舶保険の用語で、直訳すれば「内在する欠陥」だが、意味的には「避けようのない危機」の事だそう。
アメリカ社会そのものが抱える「内在する欠陥」が顕在化した70年、ドクはマリワナの力をかりて、無意識のうちにささやかな抵抗を試みたのかもしれない。
若き巨匠、ポール・トーマス・アンダーソンの作品としては、肩の力が抜けて小粒な印象の作品だが、これはこれで気だるく心地よい。

ちなみにこの時代は、海外渡航の自由化もあって、日本からの旅行者や新移民が急増した事もあり、あちこちに変な日本要素があるのがおかしい。
「チョット、ケンイチロー!!ドオゾ、モット、パンケーキ!!」は「二つで十分ですよ~」以来の日本語台詞のヒットだ(笑

探偵の白昼夢を感じさせる本作には、カクテル「ドリーム」をチョイス。
ブランデー40ml、オレンジ・キュラソー20ml、ペルノ1dashをシェイクしてグラスに注ぐ。
オレンジ・キュラソーがブランデーのコクに爽やかな風味を演出する。
以前はぺルノではなく、中毒性のあるアブサンが使われていたあたりも、この映画にピッタリだ。
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