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ショートレビュー「ウリビョル1号とまだら牛・・・・評価額1600円」
2015年07月15日 (水) | 編集 |
愛は流れ星にのってやって来る。

魔法で美少女ロボに変身した人工衛星“ウリビョル1号”ことイルホと、失恋してまだら牛に変身してしまった気弱で優柔不断なミュージシャン志望の大学生、キョンの恋と冒険を描く奇妙な異種ラブストーリー
韓国インディーズアニメーションの雄、天才チャン・ヒョンユン待望の初長編作品である。
この人の持ち味は、「いったい、この発想はどこからきたの?」という不思議な世界観と、デザインも中味も絶妙にとぼけたキャラクター。
なぜか街に普通に恐竜がいる風景の中で展開する切ない恋物語「レター」、偉大な作家を目指すオオカミの元に、次々と見知らぬ女性が現れて「お前のパパだよ」と人間の女の子やらカメの子やらを押し付ける「ウルフ・ダディ」、生まれ変わったら自販機になってしまった侍と、現代の女子大生との恋「わたしのコーヒー・サムライ~自販機的な彼氏~」など、普通の脳みそなら絶対思いつかないヘンテコなアイディアを連発してきた。

初長編となった本作も、それは変わらない。
何しろヒロインのイルホは、元人工衛星である。
韓国初の人工衛星として打ち上げられ、ながい間地上を眺めているうちに心を持ってしまった彼女は、ある日聞こえてきた歌声に惹かれて地上へと落下。
だがその歌声の主キョンは、失恋した結果まだら牛の姿に変えられてしまい、動物になった人間を捕まえて燃やしてしまう謎の黒い機械や、動物人間の肝臓を薬として売りさばいているオー社長に付け狙われている。
キョンが黒い機械に追い詰められて絶体絶命の時に、落下してきたウリビョル1号は少女ロボのイルホに変身しキョンを守り、ついでに押しかけ彼女になるのだ。
面白いのは、普通の映画であれば丁寧に描くであろう特殊な世界観に、一切説明がない事。
この世界ではどうやら失恋した人間は動物になってしまうようだが、それがなぜなのかは全く明かされないし、鏡やガラスを通じてワープする能力があるオー社長の素性や、動物人間を狙う黒い機械の正体などもスルー。
ぶっちゃけプロットの構成とかは全然上手くないし、説明不足も甚だしいのだけど、この人の作品の場合それが逆にヘタウマ的な味わいになってしまうのである。

この珍妙な世界観の登場人物(?)がまた変。
インパクト十分なデザインのまだら牛なんて、絵ヅラがおかしすぎて出てきた瞬間噴いた。
キャラがただ画面に映っているだけで、笑いが止まらない。
さらに彼の導き手となる魔法使いのマーリンは、なぜかトイレットペーパーをキャラ化。
終盤に出てくる“本当の姿”とのギャップでか過ぎだろう(笑
しかしなんと言っても本作の白眉は、ヒロインのイルホの可愛さだ。
空を飛び、ロケットパンチを放つ人工衛星少女は、日本のどんな美少女キャラより萌える
どこまでも優柔不断なキョンは人間から動物になり、逆に一途な恋に目覚めたイルホは、人工衛星から少女ロボになる。
彼らを別の存在に変化させたもの、作品世界の魔法のエネルギーは内面の葛藤であり、物語の帰結する先はそれぞれの葛藤とどう向き合い、いかに解消したかの結果なのだ。
オチはまたこの作家らしいなんともとぼけたものだが、詩的で気持ちの良い余韻が残る。

今までチャン・ヒョンユンの作品では強烈な独自性ゆえ目立たなかったが、本作では日本のアニメ、特に宮崎駿の大きな影響とオマージュが見て取れるのも意外だった。
キョンの肝臓を盗もうとするオー社長のコスチュームは、明らかに宮崎版ルパン三世だし、キャラクターの演技やアクション演出も宮崎アニメっぽいショットが多々ある。
ちなみに次回作は「ウルフ・ダディ」の長編版らしいのだけど、本人的には自分の脚本力の無さを痛感しているとか。
まあそれは確かだと思うけど、この人は宮崎駿と同じく典型的な演出の人であって、話をロジカルに洗練させちゃうと独特の味が薄まりそうでちょっと心配。

今回は、乳牛のまだら牛つながりで、ミルクを使った甘味なカクテル「カルーアミルク」をチョイス。
カルーアとミルクをお好みの分量でステアし、氷を入れたタンブラーに注ぐ。
濃厚なのが好みならカルーアを多めに、軽く飲みたければミルクを多くする。
甘くてビターなコーヒーリキュールのカルーアと、ミルクのコンビネーションはマイルドでとても飲みやすい。
ちなみに、オー社長の顔が名バイブレイヤーのオ・ダルスそっくりなのだけど、やっぱモデルは彼なのか?

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