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ショートレビュー「残穢【ざんえ】-住んではいけない部屋-・・・・・評価額1600円」
2016年01月28日 (木) | 編集 |
その穢れに、触れてはいけない。

誰もいない部屋に響く、奇妙な“音”から始まるミステリアスな怪奇譚。
ホラー作家の「私」に女子大生の久保さんから、一通の手紙が届く。
彼女の住むマンションの部屋で、誰もいないのに物音がすると言うのだ。
好奇心にかられた「私」は久保さんに協力して調査を始めるのだが、やがて現象は怪異の連鎖となって急速な広がりを見せる。
原作は小野不由美の同名小説。
久保さんの設定など、脚色されている部分もあるが、基本的に原作に忠実な作りだ。
音によって事件が始まる映画だけあって、凝った音響演出が見もの、いや聞きどころなので、どうせなら音響の良い映画館で観たい。
※核心部分に触れています。

本作がユニークなのは、竹内結子が好演する語り部のホラー作家が、心霊現象を全然信じていないこと
彼女の超ローテンションの語りが、逆に作品世界にリアリテイを与えていて不気味だ。
ただコワイことはコワイが、ストーリーを進めるエネルギーは心霊現象そのものより、時空を遡って現象が起こる根源の理由を探す謎解きへの興味。
「リング」などにも似た要素があったが、本作は竹内探偵と橋本愛演じる依頼人の久保さんの関係性も含め、ホラーというよりミステリ色が強いのが特徴だ。

お化けも呪いも信じないけど、火のないところに煙は立たず。
現象の元となる“事件”には興味をそそられる「私」は、久保さんとの調査で、同じ部屋の元住人が転出先で自殺しており、全く別の部屋の住人も過去に奇妙な音がすると訴えていた事実を知る。
なぜマンションに住んでいる時でなく、後から不幸に見舞われたのか。
彼らはいったい何に憑かれたのか。
もしもマンション全体が曰く付きだとすると、原因は部屋でなく土地自体のはず。
そこで過去の地権者を調べ、そこで起こった忌まわしい事件を知ると、さらにその原因を調べて時代を遡り、別の土地の事件へ。
同業者の作家や心霊マニアの青年など、途中から調査に加わる探偵役の数も増え、マンションの一室という小さな枝葉から始まった物語は、やがて複雑に枝分かれした巨木の姿を浮かび上がらせてゆく。

そして露わになるのは、日本人の心に深く根を張る“穢れ”の概念だ。
例えば「呪怨」の様に、ある家の怨霊に関わったら問答無用で死んじゃうのでは無く、ある種のウィルスの様に、一つの穢れが時間と共に人間を介して拡散して行くという展開は新しい。
いわゆる霊感がある人とない人がいるように、久保さんの様に自分が穢れに触れている事に気づく人と、気づかない人がいて、穢れがその人にどう作用するかも千差万別なのもリアリテイに繋がっている。
恐怖は、穢れを生み媒介する人間が作り出すのである。

本作を観ると、別に心霊現象は起こってないけど、自分の家の過去を知りたくなってしまう。
新たに埋め立てられた土地でもない限り、マンションでも戸建てでも、日本中ほとんどの家が悠久の歴史ある土地に建っている。
そこでは当然沢山の人が暮らして来たはずで、忘れられた穢れもあるだろう。
因みに私が今住んでいるところは、明治時代には煉瓦を焼く工場で、江戸まで遡ると小さな武家屋敷があったらしい。
いったいどんな人たちが暮らしていたのか、ちょっと気になる。

今回は全量純米で知られる、神亀酒造の「神亀 ひこ孫」をチョイス。
世界的に酒は信仰と密接な関係があるが、日本酒も神社の御神酒としても使われるように清めの力を持つ。
ひこ孫は熟成酒ならではの濃厚なまろやかさが魅力で、冷やでももちろん美味しいが、この季節には燗がおすすめ。
やわらかなお米の香りがふわりと広がり、鍋物と一緒にいただくと至福の時を味わえる。

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ショートレビュー「グッドナイト・マミー・・・・・評価額1650円」
2016年01月28日 (木) | 編集 |
僕たちのママはどこ?

オーストリア発の、ウェルメイドなサイコホラー
周囲を森と畑、小さな湖に囲まれた片田舎の別荘に、9歳の双子の男の子・エリアスとルーカスが暮らしている。
彼らは、顔にできた悪性のホクロを取って美容整形の手術を受けるために、病院へと行っているママの帰りを待っているのだ。
ところが帰ってきたママは、顔全体が包帯でぐるぐる巻きになっており、性格までも冷たく豹変していた。
双子は、何者がママと入れ替わっているのではと疑い、正体を探るべく行動をはじめる。
※核心部分に触れています。

ある日突然、家族が別人のようになってしまうという作品の枠組みは、映画や小説を問わず、数々のホラー・SFで描かれてきたありがちなモチーフ。
往々にして、どこかの星から来た侵略者に中身が入れ替わっているのだけど、本作はその手の作品への観客の思い込みを逆手にとり、意外な方向へと舵を切る。

映画のあちこちに仕掛けられた、違和感の演出
エリアスのコップにジュースを注ぐママは、なぜかルーカスにはコップを与えない。
ルーカスがエリアスに耳打ちすると、その言葉をエリアスが改めて人に伝える。
エリアスが人と接触していると、しばしばルーカスの姿が消える。
そう、実はルーカスは現実には存在していない。
なんらかの事故ですでに亡くなっており、彼の死を自分のせいだと思い込んだエリアスの心が作り出した虚像、あるいは幽霊的存在なのである。
以前のママは、エリアスの心の傷を気遣い、ルーカスがいるものとして振舞っていたのだが、手術で家を離れたのをきっかけに、このままではいけないと、エリアスにルーカスの死を受け入れさせようとしていたのだ。

しかしルーカスに負い目のあるエリアスは、彼の存在を否定するママが許せず、偽のママだと思い込むのである。
当初恐怖の対象と思わせたママは正常で、壊れているのは子どもの方。
まあこの仕掛け自体は集中して観ていれば簡単に分かるので、ネタばらし早すぎでは?と一瞬思うが、この映画がやりたいのは謎解きをウリにしたミステリではない。
薬で眠り込んだママの体の自由を奪ったエリアスと彼の心の中のルーカスは、ホンモノのママを取り戻すために、ニセモノに凄惨な拷問を加え始めるのである。
悲しいのは、ママもママを傷付けるエリアスの気持ちも、どちらも愛ゆえという事である。
子を想う母の愛という、この世で最も尊い感情が、母を慕う子の愛という、もう一つの尊い気持ちが作り出す誤解によって、無残にも拒絶されると言う悲劇。

セベリン・フィアラと共に監督・脚本を兼ねるベロニカ・フランツは、ウルリヒ・ザイドルの脚本家兼奥さんだとか(ザイドルは本作にも製作で参加している)。
なるほど、彼女が執筆した「パラダイス三部作」も、女性的なるものに対して全く容赦がなかった。
このエグさにも納得である。
作品の出来は素晴らしいが、ぶっちゃけ報われない感はミヒャエル・ハネケ並。
もしも小さい子を持つ親が観たら、トラウマ化は確実だ。
一応、最後にJ・A・バヨナの「永遠のこどもたち」やデル・トロの「パンズ・ラビリンス」を思わせるオチが付いているのだが、本作の場合は全然救われた気がしないのはどうしてか(笑
私もたぶん、二度観る勇気は無いかもしれない。

今回は天使の名を持つカクテル、「エンジェル・フェイス」をチョイス。
ドライ・ジン30ml、アプリコット・ブランデー15ml、カルバドス15mlをシェイクしてグラスに注ぐ。
フルーツの甘い香りと柔らかな味わいが特徴的なスタンダードなカクテルだが、強めの蒸留酒ばかりをミックスした一杯で、当然ながら度数は非常に高い。
天使の様な顔をしていながら、その裏には悪魔が潜んでいるのだ。

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