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オデッセイ・・・・・評価額1750円
2016年02月10日 (水) | 編集 |
火星のオデッセウス。

たった一人で火星に取り残された男のサバイバルを描く、アンディ・ウィアーのベストセラー小説「火星の人」の映画化。
宇宙を舞台にしたサバイバル劇というと、アルフォンソ・キュアロンの「ゼロ・グラビティ」が記憶に新しいが、あの映画がほぼリアルタイムで進行する100メートルのスプリントだとすれば、こちらは数年に及ぶ長丁場のマラソン型サバイバルだ。
卓越した知識を武器に、究極の逆境に立ち向かう主人公を、マット・デイモンが好演。
絶体絶命の手に汗握るシチュエーションでも、決してユーモアを忘れないポジティブさと独特のトボけたノリは、この種の映画の主人公としては新しい。
多くのSFを手掛けてきたリドリー・スコット監督にとっても、コミカルで飄々としたテリングは新境地と言えるだろう。
SFが苦手な人にでも自信を持っておススメできる、やたらと間口の広いエンターテイメント大作だ。

第三次火星探査ミッション・アレス3に参加した植物学者、マーク・ワトニー(マット・デイモン)は、強烈な砂嵐から逃れる際に事故に遭い、気が付くと半分砂に埋もれた状態で取り残されていた。
メリッサ・ルイス船長(ジェシカ・チャスティン)と仲間たちはワトニーを見つける事が出来ず、宇宙船ヘルメスはすでに地球への帰路についていたのだ。
次に救助の可能性があるのは、4年後のアレス4ミッション。
ワトニーは自らの科学知識を駆使して、基地に残された資材だけで4年間生き延びるための計画を練り、実行する。
一方その頃、火星軌道上の衛星によって、無人のはずの基地に動きがある事を察知したNASAは、ワトニーと連絡をとり、何とか助ける方法がないか模索し始める。
だがそれは、惑星間レスキューという、人類がいまだ経験したことのない困難極まりないプロジェクトだった・・・・


想像してみよう。
故郷から遥か2億2千万キロ以上離れた火星に、たった一人置き去りにされ、地球に自分が生きている事を知らせる術もない。
宇宙服が無ければ呼吸することも出来ない、不毛の大地に作られた観測基地は、そもそも一か月以上の滞在を想定しておらず、水も空気もほとんど無く、残された食料はわずか。
次に探査船が来るのは4年後で、しかもその着陸地点は3200キロの彼方。
これほど絶望的な状況に立たされた時、人間は何が出来るのか。
まあ私なら絶望して素直にガイコツなるところだけど、本作の主人公のマーク・ワトニーは科学者だ。
しかもNASAの惑星探査ミッションに参加するような、バリバリの超一流である。
彼は自らの頭脳をフル回転させ、困難な状況をひっくり返す。
残された宇宙船の燃料から化学反応を利用して水を作り出し、隊員たちが残した排泄物を肥料として、ジャガイモを栽培して食糧問題を解決。
遂には火星に快適なプチコロニーを作り上げてしまうのである。
この宇宙版「ロビンソン・クルーソー」的な展開は、まるで「ナショナル・ジオグラフィック」あたりの高度なシミュレーション番組を観ている感覚に近く、リアリテイたっぷりでワクワクする。

生活に目処がつけば、次は通信。
火星には過去にも複数の探査機が送り込まれているので、マークは1997年に通信途絶したマーズ・パスファインダーを探し出し、そのカメラを使って16進数のサインで地球との交信に成功する。
もちろん、受け手がいなければその通信が届く訳もないのだが、マークの生存は地球でも既に確認済みで、お互いに事態の打開に動き出していて、通信によって遠く離れたマークとNASAが再びチームとなるのだ。
この映画が、スリリングでありながらストレスレスなのは、基本的に誰一人として無能な人が出てこないから。
登場人物はほぼ全員が世界最高の頭脳集団、NASAのメンバー。
右往左往して足を引っ張ったり、保身に走ったりする「悪役」はおらず、問題が起これば皆それぞれが最良のアイディアを提供し、解決に向けまい進する。
プロフェッショナル達が困難にぶつかりながらも、善意のエネルギーによってゴールを目指すのは、ちょっと「プロジェクトX」的な味わいもあって、素直に気持ちいいのである。
本作の登場人物は主人公のマークを始め、皆悲惨な状況でもポジティブシンキングを忘れないが、現実でも科学者は明るい人が多いという。
それは多分、自らの知識と経験則に基づいて、状況と問題を把握し、ロジカルにソリューションを導き出す能力に自信を持っているからだろう。

とは言え、現実は必ずしも希望通りには進まない。
何か問題が起こるたびに、マークがマンガみたいに吹っ飛ばされるのが可笑しい。
砂嵐でアンテナに直撃されてドーン、水素から水を作ろうとして爆発ボーン、エアロックの機密が破れてドカーン、極め付けは“コンバーチブル”でのロケット打ち上げから“アイアンマン”飛行である。
とりあえずえらく頑丈な男であるマークが、吹っ飛んでも吹っ飛んでも、決して諦めないのを見てるとこっちも何だか元気になってくる。
この役は、誰が観ても「インターステラー」でデイモンが演じた、マン博士と丸かぶりなのだけど、映画のノリもキャラクターの陰陽も真逆なのが面白い。
リドリー・スコット自身は、デイモンに言われるまで「インターステラー」を観ていなかったらしいが、そもそもたった一人取り残されたマット・デイモンを、危険を顧みず皆で助けるという時点で「プライベート・ライアン」のパロディ的なノリは明らかで、本作のキャスティングの遊び心は相当なものだ。
ジェシカ・チャスティンも「インターステラー」組で、あの映画では“待ち続ける役”だったのが、今回は“迎えに行く役”と反転になっているし、NASAの“エルロンド会議”にボロミア様が参加してるのもニヤニヤ。
コメディエンヌのクリスティン・ウィグが、NASAの広報担当っていうセンスもいい。

そんな陽性のサバイバル劇のBGMが、ルイス船長が火星に残していった70年代ディスコサウンド集というのは、ちょっと「ガーディアン・オブ・ギャラクシー」っぽくもあるが、ミスマッチのベストマッチ。
「私を置いていかないで〜」と歌うセルマ・ヒューストンの「ドント・リーヴ・ミイ・ディス・ウェイ」から始まって、先日亡くなったデヴィッド・ボウイの「スターマン」やアバの「恋のウォータールー」、グロリア・ゲイナーの「恋のサバイバル」と言った当時の大ヒットナンバーが、それぞれの歌詞に合わせた絶妙のタイミングでかかって大爆笑。
やっぱり音楽は人の心を高揚させて、テンションをアゲアゲに、背中を押してくれるのである。
しかしこの音楽趣味は一応原作由来らしいけど、シチュエーションごとの選曲はいったい誰のテイストだろうか。
脚色を担当したドリュー・ゴダード?
とりあえずサントラ買って、もう一回観に行こう! 
そして明日を乗り切る元気をもらおう!(笑

今回はギリシャ神話繋がりで、沖縄のヘリオス酒造のクラフトビール「青い空と海のビール」をチョイス。
苦味を抑えたフルーティさが特徴で、喉越しすっきりのライトテイスト。
原料に小麦を使用した上面発酵のドイツ式、ヴァイツェン・タイプ。
劇中のワトニーはジャガイモばっかり食べてたけど、もちろんポテト料理にもピッタリだ(笑
火星で飲んでも、きっと美味しい。

ちなみに本作も最近のハリウッド映画らしく、中国マーケットを大いに意識した展開があるのだけど、これ単に持ち上げるだけではなく、結構プレッシャーというか、責任ある大国としての振る舞いをするように注文をつけた形になってるのが面白い。
もし本当にこういう事故が起こったとき、実際にかの国はどう動くのだろうね。

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