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2016年02月25日 (木) | 編集 |
方舟に乗れるのは、たった一人。
2008年に起こり、アメリカのみならず世界経済を揺るがせた、リーマンショックの起爆剤となったのが、アメリカのサブプライム住宅ローン問題。
これはメディアが報じる“言葉”ではなく、その“現場”で実際に何が起こっているのかを描いた意欲作だ。
アンドリュー・ガーフィールド演じる主人公ナッシュは、ローンが焦付き家を立ち退かされるも、ひょんなことから自分を追い出した不動産転売屋にスカウトされる。
そこで彼が見るのは、愛する我が家を巡る庶民の希望と絶望のドラマの裏側で展開する、熾烈なマネーゲームだ。
リーマンショクによって浮かび上がった住宅ローン問題を通して、弱肉強食、1%が99%を喰うアメリカン資本主義の正体が浮かび上るというワケである。
監督・脚本のラミン・バーラニは、周到なリサーチによって、無情な現実をリアリテイたっぷりに描き出す。
バーラニがイラン系米国人だからか、日本でもお馴染みのアミール・ナデリが共同脚本として参加している。
フロリダの住宅地で、日雇いの大工として働くデニス・ナッシュ(アンドリュー・ガーフィールド)は、幼い息子のコナー(ノア・ロマックス)と母親のリン(ローラ・ダーン)との3人家族。
ところが不況で仕事は少なく、住宅ローンの支払いが滞った事で、家を立ち退かされてしまう。
家財道具は道端に積み上げられ、必要最低限のものを持ち出すのに精一杯。
たどり着いた安モーテルは、ナッシュと同じ様な経緯で家を失った人たちで溢れていた。
翌日、立ち退きの際に作業員に工具を盗まれた事に気付いたナッシュは、執行したカーバー不動産に抗議に行くが、機転が利くのを社長のリック・カーバー(マイケル・シャノン)に見込まれ、彼の助手をする事になる。
見た事もないような大金が、思いもよらなかった方法で簡単に手に入る。
だがそれは、自分と同じ様に家を追い出された人たちを、食い物にする汚れ仕事。
母や息子に本当の事が言えないまま、ナッシュは次第に不動産ビジネスの闇にはまり込んでゆく・・・
不況で仕事がなく、住宅ローンが返せなくなる。
裁判所に猶予を訴えるも、たった1分の審理で却下。
するとある日突然、保安官が家のドアを叩く。
裁判所命令で、立ち退きの強制執行をすると言うのだ。
まだ裁判中だから、手続きの間違いだからと言っても聞き入れられず、抵抗すれば逮捕される。
現金や思い出の品など、貴重品を持ち出すのに与えられた時間はわずか2分。
残りの家財道具は外に運び出され、24時間以内に引き取らないと廃棄されてしまう。
積み重ねてきた人生が、一瞬で破壊されるショッキングな描写だ。
そもそもサブプライム住宅ローンとは、信用の高い人向けの普通のローン(プライムローン)の審査に通らないような、低所得者や取引実績のない人向けのローン。
利息は当初は低く設定されていて、数年後から急激に高くなるものが多い。
2000年代初頭、右肩上がりで高騰する不動産価格を背景に、銀行はかなりあまい審査で既に借金漬けの人や、雇用が不安定な人にまで貸し付けた。
借り手の多くは利息が上がる前に家を売り抜けるか、ローンを借り換えようと目論み、貸し手も担保の家を売れば最悪金は戻ると考えていたわけだが、全ては不動産価格が上がり続ける事を前提としていたので、住宅市場のバブル崩壊によって双方の思惑は外れてしまう。
ローンを返せず家は取られ、家を売っても貸した金よりも安くしか売れない。
証券化されていたサブプライムローンは、巨額の不良債権となって銀行や証券会社にのしかかる。
この負の連鎖によって、経営破綻したのが投資銀行のリーマン・ブラザーズであり、同時期に多くの金融機関が危機に陥った。
そこで影響を食い止めるために、公的資金が投入されるのだが、この急ごしらえのシステムの抜け穴を狙い、あの手この手で金を集めるのが本作に描かれる不動産転売屋だ。
誰かの危機は、他の誰かにとってはチャンス。
ローンが破綻すると、担保物権は銀行に差し押さえられ、住民は立ち退かされるが、家の管理や転売は民間の不動産業者が担う。
そこで例えば、そのままでは売れないように差し押さえた家の設備をわざと壊し、付加価値を上げるための修繕費を引き出す。
一軒あたりの利益はわずかでも、まとまった数になれば儲けは大きい。
だから、立ち退かせる家は多ければ多いほどいい。
10軒は100軒となり、やがて1000軒となる。
こうしてナッシュは、嘗ての自分と同じ様な境遇の人々を次々と追い出し、良心の呵責に耐えながらも大金を稼いでゆくが、まさか自分たちを追い出した連中の片棒を担いでいるとは、誰にも打ち明けられない。
金を稼ぐ目的も、最初は奪われた家を買い戻すというささやかな願いだったのが、次第に目的は欲望によって塗りつぶされてゆく。
しかし全てを知った家族がナッシュの元を去り、自分の行為によって大きな悲劇が起こるのを目の当たりにした時、彼はようやく生きるべき道を取り戻すのである。
しかし、これは観客によって異なってくるだろうが、私は本作を観ながら感情移入の対象が非情に成りきれないナッシュから、次第に彼に錬金術を教え込む悪徳不動産転売屋のボス、カーバーに移ってゆくのを感じた。
法律ギリギリ、債務者も債権者も骨の髄までしゃぶり尽くす転売屋の世界。
マイケル・シャノンが好演するカーバーは、まあ悪役と言えば悪役なのだけど、成功至上主義が徹底し小気味よいほど。
家族を愛しながらも、悪びれず若い愛人の家に出入りし、追い出した人たちに恨まれるのは当たり前だからと、常に拳銃を携帯している。
彼はこの世界の仕組みを理解し、自分がやっている事をしっかり認識した上で、何者になりたいのか全く迷いが無い。
カーバーにとってのアメリカは、勝者の、勝者による、勝者のために出来ている国であり、政治も司法も、“負け犬”を守ってはくれないと頑なに信じているのだ。
このキャラクターは、行き過ぎた資本主義のシステムが生み出した歪んだ怪物であるのと同時に、見方によっては世知辛い世の中を確固たる信念のもと成り上がってゆくダークヒーローとも言える。
最後に微妙な一線を越えてしまったために、カーバーのアメリカンドリームは思わぬ形で破滅を迎えるのだけど、個人的には彼にどっぷり感情移入していたので、勧善懲悪的な終盤の展開はやや甘く感じた。
実際には映画よりもっとえげつない事も多く起こっているらしいのだが、本作の作り手はあるべき社会への提言を優先したという事か。
ぶっちゃけ涙目のナッシュを見て、カーバー目線で「コイツ使えねえな!」とか思ってしまったので、私も彼同様の人でなしなのかもしれない(苦笑
今回は喉が乾くハードでサスペンスフルなドラマなので、清涼なビールの代表格「コロナ エキストラ」をチョイス。
アメリカの不動産バブルから遡ること20年、日本のバブル景気の時代に大流行りしたバブリーな銘柄でもある。
爽やかで軽い味わいは、本作の舞台となるフロリダの様な亜熱帯の気候で飲むと、より美味しさが際立つ。
という事は日本の夏にもピッタリだ。
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2008年に起こり、アメリカのみならず世界経済を揺るがせた、リーマンショックの起爆剤となったのが、アメリカのサブプライム住宅ローン問題。
これはメディアが報じる“言葉”ではなく、その“現場”で実際に何が起こっているのかを描いた意欲作だ。
アンドリュー・ガーフィールド演じる主人公ナッシュは、ローンが焦付き家を立ち退かされるも、ひょんなことから自分を追い出した不動産転売屋にスカウトされる。
そこで彼が見るのは、愛する我が家を巡る庶民の希望と絶望のドラマの裏側で展開する、熾烈なマネーゲームだ。
リーマンショクによって浮かび上がった住宅ローン問題を通して、弱肉強食、1%が99%を喰うアメリカン資本主義の正体が浮かび上るというワケである。
監督・脚本のラミン・バーラニは、周到なリサーチによって、無情な現実をリアリテイたっぷりに描き出す。
バーラニがイラン系米国人だからか、日本でもお馴染みのアミール・ナデリが共同脚本として参加している。
フロリダの住宅地で、日雇いの大工として働くデニス・ナッシュ(アンドリュー・ガーフィールド)は、幼い息子のコナー(ノア・ロマックス)と母親のリン(ローラ・ダーン)との3人家族。
ところが不況で仕事は少なく、住宅ローンの支払いが滞った事で、家を立ち退かされてしまう。
家財道具は道端に積み上げられ、必要最低限のものを持ち出すのに精一杯。
たどり着いた安モーテルは、ナッシュと同じ様な経緯で家を失った人たちで溢れていた。
翌日、立ち退きの際に作業員に工具を盗まれた事に気付いたナッシュは、執行したカーバー不動産に抗議に行くが、機転が利くのを社長のリック・カーバー(マイケル・シャノン)に見込まれ、彼の助手をする事になる。
見た事もないような大金が、思いもよらなかった方法で簡単に手に入る。
だがそれは、自分と同じ様に家を追い出された人たちを、食い物にする汚れ仕事。
母や息子に本当の事が言えないまま、ナッシュは次第に不動産ビジネスの闇にはまり込んでゆく・・・
不況で仕事がなく、住宅ローンが返せなくなる。
裁判所に猶予を訴えるも、たった1分の審理で却下。
するとある日突然、保安官が家のドアを叩く。
裁判所命令で、立ち退きの強制執行をすると言うのだ。
まだ裁判中だから、手続きの間違いだからと言っても聞き入れられず、抵抗すれば逮捕される。
現金や思い出の品など、貴重品を持ち出すのに与えられた時間はわずか2分。
残りの家財道具は外に運び出され、24時間以内に引き取らないと廃棄されてしまう。
積み重ねてきた人生が、一瞬で破壊されるショッキングな描写だ。
そもそもサブプライム住宅ローンとは、信用の高い人向けの普通のローン(プライムローン)の審査に通らないような、低所得者や取引実績のない人向けのローン。
利息は当初は低く設定されていて、数年後から急激に高くなるものが多い。
2000年代初頭、右肩上がりで高騰する不動産価格を背景に、銀行はかなりあまい審査で既に借金漬けの人や、雇用が不安定な人にまで貸し付けた。
借り手の多くは利息が上がる前に家を売り抜けるか、ローンを借り換えようと目論み、貸し手も担保の家を売れば最悪金は戻ると考えていたわけだが、全ては不動産価格が上がり続ける事を前提としていたので、住宅市場のバブル崩壊によって双方の思惑は外れてしまう。
ローンを返せず家は取られ、家を売っても貸した金よりも安くしか売れない。
証券化されていたサブプライムローンは、巨額の不良債権となって銀行や証券会社にのしかかる。
この負の連鎖によって、経営破綻したのが投資銀行のリーマン・ブラザーズであり、同時期に多くの金融機関が危機に陥った。
そこで影響を食い止めるために、公的資金が投入されるのだが、この急ごしらえのシステムの抜け穴を狙い、あの手この手で金を集めるのが本作に描かれる不動産転売屋だ。
誰かの危機は、他の誰かにとってはチャンス。
ローンが破綻すると、担保物権は銀行に差し押さえられ、住民は立ち退かされるが、家の管理や転売は民間の不動産業者が担う。
そこで例えば、そのままでは売れないように差し押さえた家の設備をわざと壊し、付加価値を上げるための修繕費を引き出す。
一軒あたりの利益はわずかでも、まとまった数になれば儲けは大きい。
だから、立ち退かせる家は多ければ多いほどいい。
10軒は100軒となり、やがて1000軒となる。
こうしてナッシュは、嘗ての自分と同じ様な境遇の人々を次々と追い出し、良心の呵責に耐えながらも大金を稼いでゆくが、まさか自分たちを追い出した連中の片棒を担いでいるとは、誰にも打ち明けられない。
金を稼ぐ目的も、最初は奪われた家を買い戻すというささやかな願いだったのが、次第に目的は欲望によって塗りつぶされてゆく。
しかし全てを知った家族がナッシュの元を去り、自分の行為によって大きな悲劇が起こるのを目の当たりにした時、彼はようやく生きるべき道を取り戻すのである。
しかし、これは観客によって異なってくるだろうが、私は本作を観ながら感情移入の対象が非情に成りきれないナッシュから、次第に彼に錬金術を教え込む悪徳不動産転売屋のボス、カーバーに移ってゆくのを感じた。
法律ギリギリ、債務者も債権者も骨の髄までしゃぶり尽くす転売屋の世界。
マイケル・シャノンが好演するカーバーは、まあ悪役と言えば悪役なのだけど、成功至上主義が徹底し小気味よいほど。
家族を愛しながらも、悪びれず若い愛人の家に出入りし、追い出した人たちに恨まれるのは当たり前だからと、常に拳銃を携帯している。
彼はこの世界の仕組みを理解し、自分がやっている事をしっかり認識した上で、何者になりたいのか全く迷いが無い。
カーバーにとってのアメリカは、勝者の、勝者による、勝者のために出来ている国であり、政治も司法も、“負け犬”を守ってはくれないと頑なに信じているのだ。
このキャラクターは、行き過ぎた資本主義のシステムが生み出した歪んだ怪物であるのと同時に、見方によっては世知辛い世の中を確固たる信念のもと成り上がってゆくダークヒーローとも言える。
最後に微妙な一線を越えてしまったために、カーバーのアメリカンドリームは思わぬ形で破滅を迎えるのだけど、個人的には彼にどっぷり感情移入していたので、勧善懲悪的な終盤の展開はやや甘く感じた。
実際には映画よりもっとえげつない事も多く起こっているらしいのだが、本作の作り手はあるべき社会への提言を優先したという事か。
ぶっちゃけ涙目のナッシュを見て、カーバー目線で「コイツ使えねえな!」とか思ってしまったので、私も彼同様の人でなしなのかもしれない(苦笑
今回は喉が乾くハードでサスペンスフルなドラマなので、清涼なビールの代表格「コロナ エキストラ」をチョイス。
アメリカの不動産バブルから遡ること20年、日本のバブル景気の時代に大流行りしたバブリーな銘柄でもある。
爽やかで軽い味わいは、本作の舞台となるフロリダの様な亜熱帯の気候で飲むと、より美味しさが際立つ。
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