FC2ブログ
酒を呑んで映画を観る時間が一番幸せ・・・と思うので、酒と映画をテーマに日記を書いていきます。 映画の評価額は幾らまでなら納得して出せるかで、レイトショー価格1200円から+-が基準で、1800円が満点です。
■ お知らせ
※基本的にネタバレありです。ご注意ください。
※当ブログはリンクフリーです。内容の無断転載はお断りいたします。
※ブログ環境の相性によっては、TB・コメントのお返事が出来ない事があります。ご了承ください
エロ・グロ・出会い系のTB及びコメントは、削除の上直ちにブログ管理会社に通報させていただきます。 また記事と無関係な物や当方が不適切と判断したTB・コメントも削除いたします。
■TITLE INDEX
タイトルインディックスを作りました。こちらからご利用ください。
■ ツイッターアカウント
noraneko285でつぶやいてます。ブログで書いてない映画の話なども。
■ FILMARKSアカウント
noraneko285ツイッターでつぶやいた全作品をアーカイブしています。
ショートレビュー「ヘイトフル・エイト・・・・・評価額1600円」
2016年03月03日 (木) | 編集 |
「ヘイトフル・エイト」とは誰の事か?

猛烈な吹雪で一軒の店に閉じ込められた、8人の怪しい男たちと1人の賞金首の女を巡る密室ミステリ。
なるほど、コレはタランティーノにとっての原点回帰。

要するに西部劇版の「レザボア・ドッグス」なんだな。
登場人物全員ワケあり。
はたして誰が事件を仕掛ける黒幕で、誰が生き残るのか?という訳だ。
しかし100分しかなかった長編デビュー作に対して、こちらは168分、日本では観られない70mmパナビジョン版にいたっては187分もある!

全体が六幕という変則的な構成になっていて、最初の二幕の駅馬車でのドラマにけっこうな尺をとり、三幕目でようやく店にたどり着き、役者が揃う。

駅馬車の乗客は、元北軍将校の賞金稼ぎ(サミュエル・L・ジャクソン)、“首吊り人”と呼ばれる賞金稼ぎ(カート・ラッセル)、彼に捕まった死刑囚の女(ジェニファー・ジェイソン・リー)、自称新任保安官で元南軍側の男(ウォルトン・ゴギンズ)の4人。
彼らの到着前から店にいるのは、店をあずかるメキシコ人(デミアン・ビチル)、黒人嫌いの元南軍の将軍(ブルース・ダーン)、死刑執行人(ティム・ロス)、カウボーイの男(マイケル・マドセン)の4人。

登場人物の設定でも分るとおり、物語の背景にあるのは南北戦争後の深刻な社会分断だ。
お互いに戦場で殺しあった南北の元軍人たちはもちろん、人種間の緊張も物語のスパイスとなる。
サミュエル・L・ジャクソンのキャラクターは、ある意味「ジャンゴ」のその後の姿とも言えかもしれない。
それぞれの過去ゆえにひどく嫌いあう男たちは、女にかけられた1万ドルの賞金を巡って次第に疑心暗鬼に陥ってゆき、遂に事件が起こる。
そして一つの事件は四幕目にさらに別の事件を呼び、孤立した店はやがて血まみれの修羅場となり、五幕目がネタばらし、六幕目がオチという構造になっている。

正確に言えば、上記の8人の他に駅馬車の御者がいるので、店に集うのは合計9人。
「あれ?8人じゃないじゃん。女を抜いて8人なのか?」と戸惑うも、実は冒頭の「the 8th film by Quentin Tarantino」から強調されまくっている、“8”という数字自体がある意味ひっかけなのである。
怒涛の会話劇は、観客の先読みを混乱させるが、ミステリとしての仕掛けは、ぶっちゃけかなり強引というか、殆ど反則だ。
この種の密室ミステリでは、例えばクリスティの「そして誰もいなくなった」の様に、閉ざされた空間の中に、真犯人も含めて全ての要素がもともと揃っているのが基本。
ところが、この映画では、第四幕でそれまで何の伏線も張られていないある人物が突然乱入し、ミステリものとしての作品世界をぶっ壊してしまうのだ。


この唐突なお約束破りも含めて、おそらく全て狙ってるのだろうけど、今回の作品はタランティーノ作品の中ではストーリーテリングがなめらかでない、というかややぎこちなく感じる。
タランティーノは脚本の人という印象があるが、彼のスタイルは元となるワンアイディアがあって、後は強烈にクセのあるキャラクターたちの対抗によって勢いで物語を進めてゆくもの。
あまり緻密に計算されているとは言い難く、ディテールはいつも突っ込みどころ満載なのである。
今回の場合は密室劇という静的な物語だったので、キャラクターの激しい行動によって物語を押し流すことができず、観客に冷静に頭を使わせてしまった。
終盤の唐突な展開も、「ジャンゴ」や「イングロリアス・バスターズ」であれば、動的な展開の流れに組み込むことで納得させられたはず。
まあそれでも、この長尺を十分に面白く見せ切るのだから大したものだが、いずれにしてもオープニング・クレジットのある俳優の名前は、この展開をやるのなら絶対に隠しておくべきだったと思う。

今回は、コーヒーとシチューがキーアイテムとなる映画だったので、濃厚なシチューにあう濃い赤ワイン、カリフォルニアはシャトー・セント・ジーンの「カベルネ・ソーヴィニヨン ソノマ・カウンティー」の12年をチョイス。
カベルネ・ソーヴィニヨンらしく、ベリー系に仄かにスパイスが混じる香りが豊か。
しっかりとしたコクがあり、パワフルなボディは濃厚なシチューの味わいを引き立てる。
カリフォルニアではいたるところで目にする銘柄で、CPも高い。


ところでこれ「アカデミー賞最有力!」って宣伝していて、「いやいや、そんな高尚な映画じゃないだろう」と思っていたのだが、結果音楽賞を受賞したから一応本当になってしまった。
確かにモリコーネのスコアはとても良かったのだが、87歳にしてこれが初受賞とはちょっと驚き。

ランキングバナー 
記事が気に入ったらクリックしてね



スポンサーサイト