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ショートレビュー「家族はつらいよ・・・・・評価額1650円」
2016年03月21日 (月) | 編集 |
東京家族の裏側で。

2013年に発表された「東京家族」は、小津安二郎の歴史的な名作「東京物語」を極めて忠実にリメイクした作品だが、そのテーマは対照的なものだった。
オリジナルに対して、リメイクは人間たちが優しい。
小津は、高度成長期前夜の1953年を背景に、家族という日本社会の基盤をなすミニマムなコミュニティの喪失を描き、その先にある伝統的な共同体意識の解体を予見して見せた。
対して山田洋次は、殆ど同じ物語を使いながらも、3.11を経験した日本の未来に、若い世代による共同体再生のささやかな希望を描いたのである。
「家族」の中に「物語」を内包する事で、太平洋戦争から東日本大震災へと繋がるループを形作り、喪失を克服する希望が、よりくっきりと浮かび上がるというわけだ。

では今回はというと、山田洋次から小津安二郎への再びのアンサームービーなのは同じだが、なるほどこれは「東京家族」の姉妹編というか、セルフパロディの構造を持つ作品。
予告を観た時からデジャヴを感じまくりだったのだが、2本の映画は物語の中心となる家族を演じる俳優が全く同じである。
親世代の熟年夫婦が橋爪功と吉行和子、長男夫婦が西村雅彦と夏川結衣、長女夫婦が中島朋子と林家正蔵、そして次男とその恋人が妻夫木聡と蒼井優。
たんに配役を合わせてあるだけでなく、例えば橋爪功の役は前作が平山周吉で今回が平田周造、吉行和子は平山とみこに平田富子と役名まで似せている。
作者が本作と「東京家族」の間に、強い関連性を持たせようとしてるのは明らかだ。

例えば前回が「これからの日本の社会は、こうあってほしい」という願いで作られたものだとしたら、今回は「とは言っても、なかなか上手くいかないこともあるよね。人間だもん」という感じだろうか。
この国の共同体のあるべき姿のイメージから、より具体的かつ小さくて普遍的なコミュニティの葛藤に落とし込まれている。

物語の軸となるのは、昭和な大家族に降って湧いた熟年離婚の危機だが、長年の小さな葛藤が積もり積もって爆発しちゃった親夫婦を見つめるのは、自分たちもマンネリ化しつつある長男、長女夫婦の世代、そして今まさに夫婦になろうとしてる次男カップルと、それぞれが家族の歴史の段階を体現し、問題の捉え方も世代差があるのが上手い。

いつの間にか出来てしまった大きな溝を埋めるのは、言葉を伝えること、気持ちを伝えること
全編ほぼ喋りっぱなしの会話劇。
家族それぞれの言葉が傷を浮き立たせて癒し、本音をぶつけ合うことで新たな絆も生まれてゆく。

「東京家族」の父と長男が教師と医師だったのに対して、こちらはサラリーマン親子なのも観客との距離を縮める工夫かもしれない。

少子高齢化による住宅地の過疎化など、現実の厳しさをさりげなく織り込みながら、物語の着地点はあくまでも松竹らしい喜劇。

「男はつらいよ」の最終作「寅次郎紅の花」から早21年も経ったが、山田洋次の笑いのセンスは全然衰えてない。

懐かしの大船調のテイストは、フィルム上映版で観られて良かった。

今回は、東京の地酒「屋守 純米 荒走り」をチョイス。
「金婚」で知られる東村山市久米川町の豊島屋酒造の四代目が、「東京の旨い酒を全国に発信したい」と15年ほど前に立ち上げた銘柄で、今や酒好きの間で知らない者はいないだろう。
「荒走り」は、日本酒の最初の搾り部分を瓶詰めしたもの。
いわゆる端麗辛口系とは異なり、際立つのはむしろ米の香りと仄かな甘味。
豊潤な旨味、喉ごしのスッキリとした清涼感も楽しめる。

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