FC2ブログ
酒を呑んで映画を観る時間が一番幸せ・・・と思うので、酒と映画をテーマに日記を書いていきます。 映画の評価額は幾らまでなら納得して出せるかで、レイトショー価格1200円から+-が基準で、1800円が満点です。
■ お知らせ
※基本的にネタバレありです。ご注意ください。
※当ブログはリンクフリーです。内容の無断転載はお断りいたします。
※ブログ環境の相性によっては、TB・コメントのお返事が出来ない事があります。ご了承ください
エロ・グロ・出会い系のTB及びコメントは、削除の上直ちにブログ管理会社に通報させていただきます。 また記事と無関係な物や当方が不適切と判断したTB・コメントも削除いたします。
■TITLE INDEX
タイトルインディックスを作りました。こちらからご利用ください。
■ ツイッターアカウント
noraneko285でつぶやいてます。ブログで書いてない映画の話なども。
■ FILMARKSアカウント
noraneko285ツイッターでつぶやいた全作品をアーカイブしています。
ショートレビュー「蜜のあわれ・・・・・評価額1650円」
2016年04月04日 (月) | 編集 |
まあるいお尻の愛しさよ。

作家と金魚と幽霊の、シュールな恋物語。
室生犀星の作品は学生の頃に詩集を何冊かかじった程度で、たぶん小説は読んでない。
だからこんなエキセントリックな話を書いていたとは、全く知らなかった。
おそらくは原作者自身と思われる老作家は、古い日本家屋でなぜか人の姿をした金魚の少女・赤井赤子と暮らしている。
自分を「あたい」作家を「おじさま」と呼ぶ赤子は、作家が執筆している「蜜のあわれ」という小説の登場人物でもあるのだが、創造主の恋心を翻弄するコケテッシュな小悪魔だ。
作家が自ら生み出したキャラクターに振り回されるのは、小説の主人公が実体化する「ルビー・スパークス」を思わせるメタ構造だが、違うのは赤子はゼロからの想像の産物ではなく、もともと作家が飼っている本物の金魚ということ。
要するにネコ飼いが、いつかうちのネコが美少女に変身してくれないかと、おバカな妄想するのと基本的には同じである。


では、なぜ作家はこの少女に執着するのか、物語が進むにつれて、その理由は徐々に明らかになってくる。
前世紀に生まれ、震災と大戦を生き延びた作家の命はもはや尽きようとしており、彼の世界は現代と過去、虚構と現実、生と死がそれぞれの境目を失いつつあるのだ。
遠い昔に死んだ嘗ての愛人・ゆり子の幽霊を図らずも現世に呼び寄せ、常世に暮らす旧友の芥川龍之介と言葉を交わす。
満開の桜の下を流れる幻想的な夜の川は、現世と常世を隔てる三途の川のメタファーだろうか。

作家の死の意識と共に現れた赤子(あかこ)は、=(イコール)赤子(あかご)。
もはや境界の存在となった作家にとって、作品を書いて言葉に命を与えることは、自らの生と性の証明であり、たとえそれが元祖二次元妄想でもなんでも、誰かを好きになる時間はとても愉しいのである。
現世で魂を燃やし尽くし、遂には自らの創造の迷宮に彷徨ったとしても、その帰着する先が変なダンスを赤子と二人で踊るというのは、それはそれでとても満足な気がしてくる(笑


エロかわいい金魚を演じる、二階堂ふみが素晴らしい。
17歳の頃に原作を知り、ずっと赤子を演じたいと思っていたという早熟ぶりにも驚くが、虚構性と生っぽさの絶妙なバランスは、この人だけの貴重な資質。
ギリギリのチラリズムも、この作品に関してはちょうどいい塩梅だと思う。
赤で統一されたいくつもの美しい衣装も見どころで、金魚の尾びれを思わせるフワフワの布地が印象的。


ところで人間化する金魚と言えば、宮崎駿の「崖の上のポニョ」もこの小説の影響を受けてるのだろうか。

あっちは一応アンデルセンの「人魚姫」ベースという事になってるけれど、海に住んでるわりには金魚っぽいキャラ以外にも映画観ると結構似通った部分がある。

死生観の表現なんかも含めて。

この映画はやはり日本酒。
日本酒の世界には金魚酒という言葉があって、戦時中の米不足の時に作られた、金魚が泳げるほど薄い酒のこと。
当時の米事情から悪名高いアル添三倍酒も生まれたのだが、良い映画には良い酒を。
室生犀星の故郷、石川県の車多酒造の「天狗舞 山廃 純米大吟醸」をチョイス。
ふわりと広がる吟醸香に、酸味が強めでさらりと飲みやすいが、しっかりとしたこしのあるテイスト。
酒の肴には金魚、ではなく日本海の海の幸が欲しくなる。

ランキングバナー 
記事が気に入ったらクリックしてね



天狗舞 山廃純米大吟醸720ML(灰色函入)

天狗舞 山廃純米大吟醸720ML(灰色函入)
価格:3,240円(税込、送料別)


スポンサーサイト