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ショートレビュー「シチズンフォー スノーデンの暴露・・・・・評価額1700円」
2016年06月18日 (土) | 編集 |
誰もが監視されている。

アメリカの情報機関による全世界的な情報収集活動を暴露した、エドワード・スノーデン事件の顛末のビハインド・ザ・シーン。
第87回アカデミー長編ドキュメンタリー賞に輝いた作品だ。
実際の暴露が行われる前からスノーデンに接触していたドキュメンタリー作家のローラ・ポイトラスが、香港での8日間に渡るインタビューを中心にその後も含め構成している。
作中でもCNNのキャスターが例えていたが、本作で描かれてる内容はまるでル・カレのスパイ小説の様だ。
元々NSA・CIAに勤務していたスノーデン氏が、なぜ国家を裏切り自らの身を危険に晒してまで暴露に至ったのか。
彼は何を訴えたいのか。
主にジャーナリストのグレン・グリーンウォルドが聞き役となってスノーデン氏の言葉を引き出し、その様子をポトラスのカメラが冷静に記録する。

話を聞いてると、基本的に彼がリバタリアンなのが分かってくる。
そもそも個人の自由の侵害を認めないリバタリアンを、真逆の役割を果たす情報機関が雇っている時点でやっちゃってるのだが、結果的に彼は奉仕しようとしていた国家権力の裏の姿を知ってしまった。
スノーデン氏がNSAに入った2003年は、9.11の余波で愛国者法が成立し、表の権力のチェックを受けることなく、裏の権力が拡大していった時代。
私は権力は本質的にビッグブラザーを志向する部分があると思うが、9.11は彼らに「対テロ」という魔法のワードを与えてしまったのかも知れない。
無茶な手法に対するどんな批判も、「テロを防ぎ国民の安全を確保する」という名目の前では力を失い、誰も知らないうちに国民を監視する新たな”目”がなしくずし的に増えてゆく。
フリーな無法地帯だったはずのデジタルワールドが、実は一番窮屈な場所になっていて、情報のプライバシーを守りたいなら昔ながらの紙とペンに戻らなければならないという皮肉。

こういう作品を見ると、したり顔で「国が情報を集めるのは当たり前」とか「見られてまずい情報などやりとりしなければ良いから問題ない」という人が必ず出てくるが、本質を理解していない能天気な考えである。
歯止めのある情報収集と何のチェックも制約のない情報収集は全く異なるし、一番の懸念は情報の恣意的な運用が可能ということだ。
誰が国家にとっての”パブリック・エネミー”なのかを決めるのは、我々ではない。
スノーデン氏の暴露では本来何の権限もない情報機関の誰かが、メタデータからこいつは何となく危険と判断した瞬間に、その人物は”パブリック・エネミー”の候補にされてしまう。
その危険性は、現実にアメリカでも日本でも過去に反戦運動や公民権運動で活動した多くの心ある人々が、国家による情報収集とその操作によって弾圧のターゲットになってきた歴史が雄弁に証明している。
プライバシーは即ち自由であって、これは我々一人ひとりが、或る日突然自由を奪われる可能性があるという恐ろしい話なのである。

ちなみに、作中に海中ケーブルからのデータ傍受量を示した地図が出てくるのだが、日本周辺の傍受量が半端なかった。
まあ中国や朝鮮半島関連のも含まれているのだろうが、我々のプライバシーも丸裸という事か。
スノーデン事件は間も無くジョセフ・ゴードン=レヴィット主演の劇映画版も公開されるが、どんな切り口でくるのか楽しみだ。

現在スノーデン氏はロシアに事実上の亡命中だが、今回はアメリカ生まれのウォッカベースのカクテル、「モスコ・ミュール」をチョイス。
ウォッカ45ml、ライムジュース15ml、ジンジャーエール適量を氷を入れたグラスに注ぎ、軽くステアする。
最後にスライスしたライムを置いて完成。
ジンジャーエールの甘味をライムの酸味が引き立て、スッキリした味わいんのカクテルだ。

ちなみに、世界中の通信を傍受・蓄積するって「エクス・マキナ」でマッドサイエンティストがやってる事と同じなんだが、案外NSAのデータ使ってAI作ったら凄いのが出来るかも。
直ちにスカイネット化して人類滅ぼされそうな気もするが。

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ショートレビュー「10 クローバーフィールド・レーン・・・・・評価額1600円」
2016年06月18日 (土) | 編集 |
本当に世界は滅びたのか?

あの異色の怪獣映画との関連を期待すると、色んな意味で裏切られることになると思うけど、これはこれで面白く、お金はかかってなさそうだが、作品の完成度ではむしろ勝っている。
J・J・エイブラムスは両作は「血の繋がった映画」と説明している様だが、思わせぶりなタイトルは忘れた方が素直に楽しめるだろう。
作品スタイルとしても、特徴的だったPOV手法は放棄され、地下のシェルターで展開する心理サスペンス色が強い。
監督はこれがデビュー作となるダン・トラクテンバーグ。
前作を監督したマット・リーヴスはエグゼクティブ・プロデューサーとして名をとどめる。
※以下、核心部分に触れています。

今回の主人公は、パートナーとの別れを決意したミッシェルという若い服飾デザイナー。
彼女は家を離れて車を運転中に突然の事故に遭い、気付くと地下深いシェルターに監禁されていて、ハワードと名乗る初老の太った男に、人類は何者かの突然の攻撃を受け世界は滅んだと告げられる。
地上の空気は汚染され、触れると死んでしまうので、このシェルターから決して出てはいけないと。
彼は元海軍の軍人で、終末を予見してずっと準備をしてきたらしい。
入り口の小さな窓からは、ハワードが攻撃の証だという動物の死体以外何も見えない。
シェルターにはもう一人、腕を怪我したエメットという若い男がいて、彼は街が何かに攻撃された話は本当だと言うが、ミッシェルはどうしても信じきれず、シェルターからの脱出を画策してゆく。

103分の上映時間のうち、およそ8割がこのシェルターという箱舟の中で展開する密室心理劇なので、最初のティザー予告が一番忠実に作品のムードを伝えていた。
と言うか、映画自体が謎が謎を呼ぶティザー要素で成り立ってるようなものか。
主人公にも観客にも、世界観の情報を小出しにして、その興味で全体のストーリーを引っ張る。
前作もそうだったし、「ロスト」などのテレビドラマも含め、J・J・エイブラムスが関わる作品にはこの系統が多い。
いかにもサイコな雰囲気を漂わせ、怪しさ全開でハワードを演じるジョン・グッドマンがいい。
時によって誠実にも不誠実にも見え、温和な表情から突然凶暴な顔を覗かせる。
しかも物語の中盤から、ハワードに対する新たな疑念が生まれ、彼の真意がどこにあるのか、本当は何を知っていて何を隠しているのか、観客もミッシェルと共に戸惑い、恐怖する。
わずか3人の登場人物、逃げ場のないシェルターという舞台設定を上手く活かした、なかなかに秀逸なサスペンスだ。

本作の場合、物語の核心はほとんどこのシェルター内のドラマなので、外に出てからの展開はぶっちゃけ「クローバーフィールド」のタイトルに整合性をつけるためのおまけのようなもの。
実際、前作よりもむしろストラウス兄弟の「スカイライン ー征服ー」あたりを思わせる終盤は、よく出来てはいるものの、予想通りすぎて全く意外性が無い。
このバトルシークエンスは、素人にしてはミッシェルの戦闘能力高すぎなのだが、演じるメアリー・エリザベス・ウィンステッドはジョン・マクレーンの娘役の人か。なるほど(笑
まあこの作りだと、クローバーフィールドと付ければなんでもありなので、また忘れた頃に別のネタの「クローバーフィールド○○」が出てくるのかもしれない。

劇中ではハワードが不味い自家製ウォッカを飲んでいたが、アメリカには幾つもの良質なウォッカのメーカーがある。
今回はその中の一つで日本でも手に入りやすいスカイ・スピリッツ社の「スカイ・ウォッカ」をチョイス。
米国産素材を使い、蒸留4回濾過3回を経て完成するウォッカは、スッキリとしてとても飲みやすい。
そのまま飲んでも良いし、カクテルベースにしても使いやすく、CPが良いのも嬉しい。

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