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ショートレビュー「奇跡の教室〜受け継ぐ者たちへ〜・・・・・評価額1650円」
2016年08月14日 (日) | 編集 |
誰に出会うかで、人生は変わる。

実話ベースの、素晴らしいヒューマンドラマ
舞台となるのは、貧困層の若者たちが通うパリ郊外のレオン・ブルム高校。
生徒たちは移民の子が中心で、人種も宗教も様々。
落ちこぼれだらけの荒れたクラスを受け持つのは、ベテラン歴史教師のアンヌ・ゲゲン先生だ。
クラスにはムスリムが多く、ユダヤ人は少ない。
信仰へのスタンスも千差万別。
中世の教会の絵画に、地獄に堕ちたムハンマドの肖像が描かれていることを教えられて、侮辱だと怒り出す生徒もいる。
だが、ゲゲン先生は、なぜムハンマドがその絵に描かれているのか、その背景をしっかり説明する。
ある現象にはそこに至る理由があり、背景を知る事ができれば、多面的な見方ができるようになることを生徒たちは徐々に理解してゆく。
そして、「ホロコーストの歴史研究コンクール」へ参加しようという提案が、バラバラだった生徒たちの運命を変える。

アウシュビッツの絶滅収容所で真っ先に殺されたのは、老人、女性、子供たち。
それはなぜか?歴史の彼方に消えた数百万もの犠牲者は、一体何者だったのか?
生徒たちにとって、ホロコーストの歴史を学び、考えることは、他人を理解する寛容を育むことでもある。
絶滅収容所の生存者であるレオン・ズィゲル氏(本人)の言葉に、生徒役の俳優たちが流す涙は演技ではないだろう。
生徒たちとほぼ同じくらいの年齢でこの世の地獄を見たズィゲル氏は、解放されて以来自らの体験を語り続け、本作の公開直後の2015年1月に逝去されたという。
この映画に出演した人々、鑑賞した人々は原題通り、「受け継ぐ者たち」となったわけだ。
映画は半分ドキュメンタリーのように客観性を保ち、観客は生徒の一人になった感覚で物語を体験する。
ただ、ずっと引いた視点ではなく、何人かの生徒たちの日常にすっとカメラが入る。
フランス社会でも、偏見を持たれがちな移民社会の少年少女たちの、どこにでもあるリアルな青春の日々に、観客は無理なく彼らの”クラスメイト”になれるのである。

その一人で、劇中で映画作家志望の少年マリックを演じるアハメット・ドゥラメは、本作の脚本家。
彼は実際にこの教室にいて、自身の体験を綴ったという。
なんと素晴らしい啓蒙の連鎖だろうか。
この映画を観た観客の中からも、きっと第二、第三のアハメットが出てくるに違いない。
一方で、ゲゲン先生の授業に誰もがついて行けるわけではないこともしっかり描かれている。
コンクールの課題からドロップアウトしてしまう生徒もいるし、クラスは違う様だが暴力的に女性を蔑視し、「将来ISみたいな過激思想に染まりそうだなあ、あるいはもう染まっているのか」と思わせる生徒も出てくる。
色々な意味で、ここにあるのは”今”のフランスなのだ。

映画の冒頭、本筋と直接関係ないあるエピソードが描かれる。
それは高校の卒業生がヒジャブを着用していることを理由に、学校での証明書発行の手続きを拒否されるというもの。
フランスは政教分離の観点から、公立学校など公の場で宗教的シンボルの着用を禁じている。
このエピソードは、元生徒と先生たちが揉めたところで終わり、作中でその後どうなったのかは描かれない。
これは観客に対する、作り手からの宿題なのかもしれない。
ヒジャブの禁止は多様性を守るために必要なことなのか?それともこの規則そのものが多様性の否定なのか?
本作を観た人に、それぞれの解は見つかるのだろうか。

今回は多様性への希望を込めて、「エンジェルズ・デイライト」をチョイス。
グラスにグレナデン・シロップ、パルフェ・タムール、ホワイト・キュラソー、生クリームの順番で、15mlづつ静かに重ねてゆく。
スプーンの背をグラスに沿わせて、そこから注ぐようにすれば崩れにくい。
虹を思わせる四色の層が比重の違いで生まれる。
先ず目で味わい、口の中で多様な味が一つに溶け合う不思議な感覚を楽しむ事ができるユニークなカクテルだ。

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