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スノーデン・・・・・評価額1700円
2017年02月03日 (金) | 編集 |
ビッグブラザーの時代。

元CIA職員のエドワード・スノーデンが、国家権力による大量監視の実態を暴露した、所謂スノーデン事件の顛末を、一貫して反権力の立場で創作活動してきたオリバー・ストーン監督が映画化。
3.11以降、テロとの戦いを名目に、この世界がいかに変貌してしまったのか。
今や現実社会を動かす“エンジン”である目に見えないもう一つの世界、サイバーワールドで何が起こっているのかを描く、骨太の実録スパイサスペンス映画。
ここしばらくはパワーダウンが目立っていた、近年のオリバー・ストーン作品では断トツのベストだ。
トランプの時代を迎えた今、真っ先に観るべき作品である。
※核心部分に触れています。

2005年、怪我で軍人の道を立たれた一人の男が、CIAの門を叩く。
男の名はエドワード・スノーデン(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)。
サイバーセキュリティ技術のスペシャリストであった彼は、瞬く間に重要なポジションに付くが、そこで政府が非合法に全世界の人々の個人情報を収集・監視している実態を知ってしまう。
スノーデンは自らの信条に反する仕事に悩みながらも、諜報の世界で生きてゆくのだが、ある出来事から自分の属している組織に不審を抱き、遂に袂を分かつことを決意する。
ドキュメンタリー作家のローラ・ポイトラス(メリッサ・レオ)と接触したスノーデンは、香港で独占インタビューに応じる。
彼はカメラの前でCIAやNSAといった諜報機関が、非合法に全世界を監視してきた実態を始めて告発。
その衝撃は全世界的な反響を巻き起こし、アメリカ政府から反逆者として手配されたスノーデンはCIAの手が回る前に、香港からの脱出を図るのだが・・・


まさに事実は小説よりも奇なり。

本作は、昨年日本公開されたドキュメンタリー映画「シチズンフォー スノーデンの暴露」の監督であるローラ・ポイトラスと、盟友でジャーナリストのグレン・グリーンウォルドが、香港のショッピングモールでスノーデンと接触するところから始まる。
そして、愛国者の青年がCIAへ入り、徐々に仕事の内容と彼自身の信条との乖離に葛藤を募らせながら諜報のプロとして生きてゆく歳月と、香港のホテルで秘密裏に行われたインタビューの撮影が並行に描かれてゆく。
この時のインタビューでスノーデンが暴露した内容が全世界に報道され、後にポイトラスによって映画として纏められ「シチズンフォー」となるのだが、本作はドキュメンタリー映画と表裏の構造を持つ作品で、両方を鑑賞すると相互補完になっていてより面白い。

歯止めなき政府の監視活動に疑問を持ったスノーデンが、反逆者となることを覚悟の上で、カメラの前で語るのはドキュメンタリーと同じ。
だが、劇映画である本作が描くのは、暴露した内容そのものより、なぜ国に尽くしたいと思っていた彼が、人生を棒に振ってまで危険な告発に至ったのかという変化のプロセスだ。
愛国者であることと、国家のやることを全て黙認することは違う。
特にスノーデンは、基本的に国家が個人に鑑賞することを嫌う、リバタリアン思想の持ち主である。
人民を守るために国家に奉仕することを目標としてきた青年は、仕事についてすぐに諜報機関の実態が彼の理想とするものでないことに気付いてしまう。
サイバーワールドの情報の海の中から、一人の人物を監視対象とすると、自動的にその人物が接触した相手も監視対象となり、その数は鼠算式に増えてゆく。
テロとの戦いを名目に、無害な数百万もの人々が、何も知らないうちに情報を丸ごと国家によって抜き取られることになってしまうのだ。。
「自分のしている仕事は、本当に人々を守ることに繋がっているのだろうか?」
そんな疑問を抱き、彼よりさらにリベラルな恋人リンゼイの影響も受けつつも、彼は何年ものあいだCIAやNSAといった諜報機関の中枢を渡り歩く。
だが、自分が本来バックアップ用に作ったシステムが、いつの間にか監視用に使われているなど、葛藤は深まるばかり。
そして遂に、自分だけでなくリンゼイまでもがCIAに監視されていることを知り、彼は国家権力の志向するものの正体に気付くのである。

告発に至るスノーデンの心境は、「キャプテン・アメリカ/ウインター・ソルジャー」のキャプテンとほぼ同じだろう。
特殊なアルゴリズムを用いたプログラムを使い、テロ思想の持ち主などを事前に察知し、彼らが行動を起こす前に排除する計画を進めているS.H.I.E.L.Dに対し、キャプテンは「それは正義でなく恐怖による支配だ」と反発し、反旗を翻す。
キャプテンは、合衆国憲法修正第二条の「A well regulated Militia, being necessary to the security of a free State, the right of the people to keep and bear Arms, shall not be infringed. (規律ある民兵は、自由な国家の安全にとって必要であるから、人民が武器を保有し、また携帯する権利は、これを侵してはならない。)」の本来の理念に従って、人民に害をなす権力と対決する決意を固めるのである。
スノーデンもキャプテンと同じように、諜報機関が人民を守るのではなく、敵視していると考えた非武装の民兵だ。

奉仕すべきは人民であって、権力の装置としての国家ではない。
自らの良心の声に従ったスノーデンは、本来奉仕するはずだった人民に対する背信から抜け出したのである。
オリバー・ストーンは、ズブズブと諜報の世界の泥沼にはまりながら、心の奥底で抗おうとするスノーデンの変化を丁寧に描き出す。

勤務していたハワイの基地から、機密情報を盗み出したスノーデンが脱出するシーンは、ストーンが初のオスカー(脚色賞)を得た「ミッドナイト・エクスプレス」へのセルフオマージュの様。

70年代の政情不安で抑圧的なトルコと、現在のアメリカは重なるということか。
スノーデンの暴露によって、私たちはそれまで半分都市伝説のように囁かれていたエシュロンやらプリズムやらの監視システムが、すべて事実であることを知ってしまった。
この世界は目に見えないサイバーワールドを通して、いつの間にかビッグブラザーの支配する世界、SF映画も真っ青のディストピアになりつつある。
日本での活動のくだりなど、全く人ごとでは無い話で、アメリカという国の底知れぬ周到さはまことに恐ろしい。

映画のラストでは、もはやアメリカには帰れないスノーデン本人が登場し、フィクションとリアルが入れ替わる。

作中でスノーデンが「このままだと起こり得る未来」について語った言葉が、そのままトランプ政権誕生への予言となっているのが怖い。
矢継ぎ早にムチャクチャな大統領令を連発するトランプ政権は、今後外国人入国者にインターネットの閲覧履歴や携帯の連絡先を開示させることも検討しているという。
スノーデン事件は終わっていない。
むしろ、彼がすべての人々に投げかけた問は、これからもっと深い意味を持ってくるだろう。

今回はスノーデンが亡命生活を送る「モスクワのラバ」という意味を持つ、「モスコー・ミュール」をチョイス。
ラバに蹴飛ばされるほど効く酒ということ。
ウォッカ45ml、ライム・ジュース15ml、ジンジャー・エール適量を氷を入れたグラスに注ぎ、軽くステアする。
シチュエーションを選ばない飲みやすいカクテルだが、度数は高い。
ラバ並みかどうかはともかく、効いてくることは確かだ。

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