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ショートレビュー「ニュートン・ナイト 自由の旗をかかげた男・・・・・評価額1600円」
2017年02月15日 (水) | 編集 |
自由の民として、生きる。

南北戦争下のミシシッピ州、ジョーンズ郡。

戦死した甥の遺体を母親に届けるために南軍を脱走し、やがて沼地の奥に脱走兵と逃亡奴隷のサンクチュアリを作った男の物語。
更に彼は貧しい農民たちと手を組んで、収穫物を徴用しようとするアメリカ連合国(南部連合)の命令を拒否。

当然南軍は討伐のために騎兵隊を送り込んでくるのだが、地の利を生かして返り討ちにするばかりか、“ジョーンズ自由州”という半独立国を作り上げてしまう。

なんだか「地獄の黙示録」のカーツ大佐みたいな設定だけど、主人公のニュートン・ナイトは実在の人物だ。
もっとも、この人に関しての記録は虚実が入り乱れて半分神話化しており、どこまでが真実なのかは謎の部分が多く、史実をモチーフにした寓話と見るべきだろう。


異端の白人が迫害された黒人たちを率いるという物語は、一見すると白人の救世主が苦境にある有色人種を解放する、典型的な“White Savior話型”の様にも見える。
しかし、脚本も手掛けるゲイリー・ロス監督は、この人物をもう少し複雑に造形する。
ナイトは逃亡奴隷の庇護者というわけではなく、自らも脱走兵であり、貧しい農民であり、南部連合という国家権力によって搾取される存在。
本来奴隷制度を必要としているのは、広大な農園を持つ金持ちだけであって、僅かな土地を耕す大多数の農民たちにとっては、関係のない戦争に駆り出され命を落とすという理不尽さに対する憤りが原点にある。
誰かに支配される人生ではなく、自由に尊厳を持って生きたいという共通の目標に向かって、逃亡奴隷や農民たちと共闘するうちに、ナイトは白人とか黒人とかの人種を超えた「金持ちに虐げられた土着の農民」という一つの“民族集団”を作り上げるのだ。


だからこの物語の核心は、南北戦争の終わりと同時に彼らが共通の目標を失って、民族集団として瓦解してゆく終盤にある。

終戦は終わりでなく、別種の苦難の始まりにすぎない。

奴隷解放によって生まれた新たな葛藤は、戦争中の様に激しく表に出ない分、弱き者により過酷にのしかかる。

戦争によって一時的に追放されていた既得権層の復活と抵抗、差別感情が地下に潜ったことによるKKKの勃興、巧妙に制度化される人種差別。

映画は1862年から1877年までのニュートン・ナイトの半生と、85年後に彼の子孫の身に起こったある出来事を平行に描く。

歴史の中の二つの点は、映画の物語によって一つの時間軸で結ばれ、一世紀に及ぶ合衆国の長い、長い闘争の歴史を紐解くのである。

しかし貧しい白人たちが反乱を起こし、一旦は勝利したかに見えるが、政治家の二枚舌によってハシゴを外されるってどこかで聞いた話だ。

対立の構図は大きく異なるものの、ニュートン・ナイトの葛藤はいまだ現在進行形。

かなり変則的な筋立てのバランスは良いとは言えないが、アメリカ史を考える上でユニークな視点をくれる力作である。

今回はナイトが生きた時代、1874年にミシシッピ川河口のニューオーリンズのバーテンダー、マーティン・W・ヘロンによって考案されたリキュール「サザンカンフォート」をチョイス。
中性スピリッツに、ピーチをはじめとした数種のフルーツ、ハーブのエキスを加えて作られる。
スカーレット・オハラやシシリアン・キッスなどのカクテルのベースとしても有名だが、ここはシンプルにライムトニック割りで。
トニックウォーターのほろ苦さとライムの酸味が、サザンカンフォートの優しい味わいを引き立ててくれる。

ちなみにナイトの物語は、1948年にも「砂塵」で知られるジョージ・マーシャル監督によって「Tap Roots」として映画化されている。
日本未公開だが、相当に脚色されていて、70年後の本作と観比べると面白い。

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