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ショートレビュー「わたしは、ダニエル・ブレイク・・・・・評価額1700円」
2017年03月25日 (土) | 編集 |
最後まで、尊厳を捨てない。

ケン・ローチらしい、社会福祉のあり方をテーマとした硬派の社会派ドラマ。
007俳優みたいな名前の主人公は、心臓の病気で大工の仕事を医師から止められた、男やもめの爺さんだ。
彼はある日、社会福祉事務所で幼い2人の子供を抱えたシングルマザーのケイティと知り合い、交流を深めてゆく。
病気を抱えた老人と、新しい土地にやって来た母子家庭。
どちらも助けを必要としている人々なのは間違いないのに、彼らは社会保障のシステムから理不尽に疎外される。
80歳の巨匠が引退を撤回してまで作った作品だけあって、ローチの現状に対する沸々とした怒りがスクリーンのキャラクターを通して伝わってくる。

日本でも役所から手当を切られたとか、生活保護を拒否されたとかはよく聞くが、この話の状況が普通であれば、イギリスの状況はもっと酷い様だ。
病気で仕事が出来ない、あるいは幼い子どもを抱えているので手当てを受けたい、というごく当たり前で単純な話のはずなのに、ダニエルもケイティも届けを出すことすらなかなか出来ない。
受給資格があるかを判定する係は、米国系企業から派遣されていて、本人の病気とは全く関係ないマニュアル質問を繰り返す。
申請が却下されたら不服申し立てをするのだけど、なんとそれはネット経由でしかできないという。
高齢者や貧困層向けの行政サービスがネットのみ、それはつまり最初から助ける気が無いということだ。
極め付けは、ダニエルは医者から就労を禁じられているのに、求職中という”証拠”を作るために、なぜか無駄な就活をさせられるのだ。
しかも役所の指示に従わないと、どんどん累積の罰則がつけられて、受給資格が遠ざかるのだから酷い。
観ているうちに、ダニエルとケイティの感情に寄り添い、いつの間にか自分の中でも怒りのボルテージと諦めの気持ちが同時に高まってくるのを感じる。

2000年代に吹き荒れた、新自由主義のもたらしたものとは一体何か。
「本当に必要な人には福祉の手は届かない」とは、具体的にはどういうことなのか、この映画を観ればよく分かる。
支援が必要な人々の人間としての尊厳を貶めることで、受給資格を遠ざける社会福祉のあり方はやはり大きく間違っている。
極貧の中でフードバンクを訪れたケイティが、空腹に耐えかねて貰ったばかりのトマトのカンをその場で開けて食べてしまうシーンは、あまりの辛さに思わず涙が滲んだ。

本作に描かれるイギリスの役所の官僚主義、マニュアル主義があまりに酷いので、普段接している日本の役所の人たちがすごく良い人たちに見えてくるほど。
いや日本も実際には問題が少なくないのだろうけど、私の知る限りこれほど杓子定規で融通が利かないことは少ないのではないか。
逆に言えば無関心で手をこまねいていると、日本もすぐこういう状況になってしまうということだろうけど。
ダニエルは終始役所に対して怒っているのだが、実際には役所の人たちも色々辛くて、結局はシステムを作る政治の責任で、同時に政治家を選ぶ自分たちの責任ということなのだと思う。
ごく一部の不正受給などを見て、社会福祉のハードルを上げることに賛成を唱える人たちは、是非この映画を観てほしい。
しかし、どんな場合でも一番辛い立場に置かれるのは、所謂情報弱者であることは分かった。
社会の変化のスピードを考えると、自分の老後を想像して全く人ごととは思えない。
「わたしは、ダニエル・ブレイク」の名前の部分は、最後まで尊厳を保って生きたいと願う、全ての人々に置き換えられる。
巨匠入魂のヘビー級の力作であった。

今回はイギリス庶民の酒、日本でも同名パブチェーンがある「ホブゴブリン」をチョイス。
オックスフォード州ウィットニーの森の中にあるウィッチウッド・ブリュワリーは、銘柄が全てファンタジー繋がりで、ホブゴブリンの他にもブラックウィッチやゴライアスなどがある。
フルボディのダークエールは、チョコレートモルトの甘い香りが特徴で、強いクセがなく飲みやすい。

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