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2017年04月04日 (火) | 編集 |
娘の人生を、終わらせない。
パキスタンの奥深く、カラコルム山脈の麓。
とある部族に生きる母アッララキの生き甲斐は、まだ幼い娘のザイナブとの時間。
ところがある日、アッララキは部族間抗争を手打ちにするため、ザイナブが敵対する一族のロリコンジジイと結婚させられることを知ってしまう。
女性に人権がほぼ無く、命の価値も紙ほどの野蛮な部族社会。
自らも15歳でずっと年上の夫と結婚し、女にとって「結婚は人生の終わり」ということを身をもって知るからこそ、母は娘のために命がけの逃亡を決意する。
既に決まった結婚が破綻となれば、双方の部族の面目は丸つぶれ。
もし捕まれば、いわゆる名誉殺人によって確実に殺される。
題材から、重苦しい地味な人間ドラマと思っていたが、驚いた。
男が支配する部族社会で、望まない結婚からの女たちの逃亡劇という点では、トルコの田舎を舞台とした「裸足の季節」を思わせる。
しかし、ここは政府の力も及ばず、部族間の力関係が支配する無法地帯。
これはまさに、パキスタン版「マッドマックス 怒りのデス・ロード」なのだ。
もちろん、こっちは製作費150億円の超大作じゃないので、あんな「ヒャッハー!」なアクションは作れないが、実際映画の構造はよく似ている。
アッララキとザイナブは、逃亡の途中で強烈なデザインのパキスタン版のデコトラに助けを求める。
ドライバーのソハイルは、最初は嫌がっていたものの、成り行きで二人を助けることになるのだが、実はこの男は嘗てアフガニスタンで戦い、愛した女を亡くした元ムジャヒディンの戦士という、完全にパキスタンのマックス。
製作費以外で両作品の最大の違いは、こちらは必ずしも完全なフィクションではないということだ。
製作・監督・脚本を兼務するアフィア・ナサニエルは、パキスタンに生まれ、国際機関で働いた後に米国で映画作りを学び、30代に入ってから短編作品を発表し始めたという異色の経歴の持ち主。
本作は、ある部族の母親が、児童婚をさせられそうになった娘と共に逃げたという現実のエピソードが基になっているという。
部族の村では女たちは皆シェイラやヒジャブで髪を隠しているが、母娘が向かう大都市のラホールでは何もつけてない女性も珍しくない。
同じ国でも土地によって気風が全く違うこと、男たちの意識も画一的ではないこと、色々な要素がバランスをとって描かれている。
シンプルな物語はスリリングに展開し、母娘の逃避行は最後まで緊張感を保ち、ラストをオープニングの解となるミラーイメージにする物語の畳み方もなかなか巧み。
残念ながら、この世界にはいまだに21世紀と中世が混在している。
ナサニエル監督によると、この映画も後押しとなり、パキスタン社会は少しずつ前に進んでいるというのが希望。
児童婚や名誉殺人が、世界のどこでも完全に不名誉と認識されるのは、いつのことなのだろう。
小粒だがピリリと辛い、志の高い佳作である。
今回は、少女ザイナブのイメージで「リトル・プリンセス」をチョイス。
ホワイト・ラム30mlとスイート・ベルモット30mlをステアして、あらかじめ冷やしておいたグラスに注ぐ。
琥珀色の気品あるショートカクテル。
シンプルなレシピだが、甘い名前とは裏腹にアルコール度数が高く、いつの間にか酔っ払ってしまう小悪魔の様な一杯だ。
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パキスタンの奥深く、カラコルム山脈の麓。
とある部族に生きる母アッララキの生き甲斐は、まだ幼い娘のザイナブとの時間。
ところがある日、アッララキは部族間抗争を手打ちにするため、ザイナブが敵対する一族のロリコンジジイと結婚させられることを知ってしまう。
女性に人権がほぼ無く、命の価値も紙ほどの野蛮な部族社会。
自らも15歳でずっと年上の夫と結婚し、女にとって「結婚は人生の終わり」ということを身をもって知るからこそ、母は娘のために命がけの逃亡を決意する。
既に決まった結婚が破綻となれば、双方の部族の面目は丸つぶれ。
もし捕まれば、いわゆる名誉殺人によって確実に殺される。
題材から、重苦しい地味な人間ドラマと思っていたが、驚いた。
男が支配する部族社会で、望まない結婚からの女たちの逃亡劇という点では、トルコの田舎を舞台とした「裸足の季節」を思わせる。
しかし、ここは政府の力も及ばず、部族間の力関係が支配する無法地帯。
これはまさに、パキスタン版「マッドマックス 怒りのデス・ロード」なのだ。
もちろん、こっちは製作費150億円の超大作じゃないので、あんな「ヒャッハー!」なアクションは作れないが、実際映画の構造はよく似ている。
アッララキとザイナブは、逃亡の途中で強烈なデザインのパキスタン版のデコトラに助けを求める。
ドライバーのソハイルは、最初は嫌がっていたものの、成り行きで二人を助けることになるのだが、実はこの男は嘗てアフガニスタンで戦い、愛した女を亡くした元ムジャヒディンの戦士という、完全にパキスタンのマックス。
製作費以外で両作品の最大の違いは、こちらは必ずしも完全なフィクションではないということだ。
製作・監督・脚本を兼務するアフィア・ナサニエルは、パキスタンに生まれ、国際機関で働いた後に米国で映画作りを学び、30代に入ってから短編作品を発表し始めたという異色の経歴の持ち主。
本作は、ある部族の母親が、児童婚をさせられそうになった娘と共に逃げたという現実のエピソードが基になっているという。
部族の村では女たちは皆シェイラやヒジャブで髪を隠しているが、母娘が向かう大都市のラホールでは何もつけてない女性も珍しくない。
同じ国でも土地によって気風が全く違うこと、男たちの意識も画一的ではないこと、色々な要素がバランスをとって描かれている。
シンプルな物語はスリリングに展開し、母娘の逃避行は最後まで緊張感を保ち、ラストをオープニングの解となるミラーイメージにする物語の畳み方もなかなか巧み。
残念ながら、この世界にはいまだに21世紀と中世が混在している。
ナサニエル監督によると、この映画も後押しとなり、パキスタン社会は少しずつ前に進んでいるというのが希望。
児童婚や名誉殺人が、世界のどこでも完全に不名誉と認識されるのは、いつのことなのだろう。
小粒だがピリリと辛い、志の高い佳作である。
今回は、少女ザイナブのイメージで「リトル・プリンセス」をチョイス。
ホワイト・ラム30mlとスイート・ベルモット30mlをステアして、あらかじめ冷やしておいたグラスに注ぐ。
琥珀色の気品あるショートカクテル。
シンプルなレシピだが、甘い名前とは裏腹にアルコール度数が高く、いつの間にか酔っ払ってしまう小悪魔の様な一杯だ。

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