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ショートレビュー「夜は短し歩けよ乙女・・・・・評価額1650円」
2017年04月11日 (火) | 編集 |
京都幻想怪異恋愛冒険譚。

劇場用長編アニメーションとしては、「MIND GAMEマインド・ゲーム」以来13年ぶりとなる湯浅政明監督作品は、期待に違わぬ独創の快作だ。
原作は、森見登美彦の同名小説。
主人公たちが在籍している京都大学周辺を舞台に、"黒髪の乙女"と彼女に片思いする"先輩"の恋の顛末が描かれる。
全体的には、2010年にフジテレビのノイタミア枠で放送された、同じ原作・監督コンビによる「四畳半神話体系」の延長線上といった印象。
非常に文学的な作品で、インプットされた魅力を改めて文書で表すのがとても難しい。

スクリーン上で起こる現象だけ言えば、最初に浴びるほど酒を飲んで、古本市をぶらつき、学園祭でゲリラ演劇をやって、風邪を引いた人たちをお見舞いする映画(笑 
どれも人生を豊かにしてくれることだが、ひとつひとつは何の脈略も無く、これだけではどう展開するのか全く想像も出来まい。
しかし、これらの出来事が起こる夜の京の街は、現実と幻想と先輩の妄想が入り混じり、人間だか妖怪だか分からない奇怪なキャラクターたちが大騒動を巻き起こす、超シュールな半異世界なのである。

原作の第1章の"一夜"に残りの全ての章を取り込んで、トータルで一晩の話にしてしまった脚色がまずユニーク。
京都を代表する花街、先斗町では“詭弁論部”の面々が奇妙なダンスを繰り広げ、酒豪の乙女は三階建てのお屋敷列車で現れる謎の老人・李白さんと飲み比べ。
古本市では、先輩が乙女の思い出の絵本「ラ・タ・タ・タム」を探して大奮闘。
夜の京大では、一目ぼれした女性へのメッセージとして、パンツ総番長がゲリラ演劇を上演し、成り行きで主役を演じることになった乙女と総番長とのラブシーンを阻止するために、先輩がミュージカルに乱入する。
好奇心旺盛で真っ直ぐに歩き続ける乙女と、外堀を埋めるだけでなかなか本丸に攻め込めない先輩の屈折した想いがすれ違いを繰り返し、奇怪な人々と奇妙なシチュエーションのラブコメ冒険物語は、春から始まって恋心が盛り上がる夏、やがて肌寒い秋、そして寒風吹き荒ぶ冬の夜へ。
四季を一晩に閉じ込めたことで、世界そのものが先輩の心象となっているのが面白い。

この摩訶不思議な作品を成立させる、実に軽快で自由なアニメーション表現は、まさに湯浅ワールドと言うべき独特なもので、他に似たスタイルの作家が思い浮かばない。
手描きあり、フラッシュあり、変幻自在のキャラクター表現と、京都でありながら現実を逸脱した世界観の美術デザインも魅力的。
アングラ色溢れる李白さんのテントは、なんだか唐組紅テントみたいだった。
作画枚数を抑えるのに必死で、殆ど動かない紙芝居的アニメに慣れた目には、むしろ忙しなく感じるほどに、色も形も変化し続ける本作は、アニメーション表現の原点を思い起こさせてくれる。

怒涛の台詞量も本作の特徴で、ユニークな映像と相まって作品密度をグッと押し上げる。
役に命を吹き込むボイスキャストも、乙女役の花澤香菜の抜群の安定感も素晴らしいが、「逃げ恥」ですっかり童貞キャラが板についてしまった星野源が絶妙。
まあ彼は「箱入り息子の恋」の頃から、この手のキャラがピッタリ嵌っていたけど。

とりあえず酒飲みが観ると、先斗町に行きたくてたまらなくなる。
森見登美彦の小説といえば、赤玉と偽電気ブランだが、戦後の闇市の時代には本当に偽電気ブランがあったそうだ。
もっとも、味の方は小説と違って相当酷かったらしいが。
という訳で、今回は浅草神谷バー発祥の日本最古のカクテル「電気ブラン」をチョイス。
レシピは今も非公開だが、ブランデーベースで味もやはりブランデーっぽい。
当初は45°もある非常に強い酒だったが、現在売られているのは40°と30°の二種類。
飲み方はビールをチェイサー代わりにして、交互に飲むのが神谷バー流オリジナル。
当たり前だが非常に酔いが早く、乙女みたいな豪快な飲みっぷりは無理だからね、念のため。

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