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カーズ/クロスロード・・・・・評価額1700円
2017年07月22日 (土) | 編集 |
そこは、人生のクロスロード。

意思を持つクルマたちの世界を描く、「カーズ」シリーズ第三弾。
ディズニー・ピクサー両アニメーションスタジオのボスであり、シリーズの生みの親でもあるジョン・ラセターは今回エグゼクティブ・プロデューサーに退き、前二作でストーリーボードを手がけたブライアン・フィーが監督デビューを飾った。
2006年に公開された第一作では、あまりにも生き急いでいるレーシングカーのライトニング・マックィーンが、ひょんなことから田舎町のラジエータースプリングスに迷い込み、時間の止まったような世界で生き方を見つめ直す。
続く第二作は、ガラリと作風を変え、マックィーンの相方のトーイングカーのメーターをフィーチャーした、スピンオフ的なスパイ活劇になっていた。
第一作から11年が経過した本作は、再びマックィーンの生き方をめぐる物語に回帰する。
華やかなレースの世界で活躍を続けているものの、アスリートである以上、永遠に勝利し続けることは出来ない。
どんなに頑張っても、工夫しても、勝てなくなった時、一体どうしたらいいのか。
「クロスロード」という邦題のサブタイトルが秀逸。
これはクルマたちに比喩された、誰もに訪れる人生の分岐点の物語なのである。
※核心部分に触れています。

ピストンカップで7度の優勝歴を誇るスーパースター、ライトニング・マックィーン(オーウェン・ウィルソン)は、ベテランと言われる歳になっても、まだまだモチベーションは高い。
しかしあるレースで、最新テクノロジーを駆使した新世代レーサー、ジャクソン・ストーム(アーミー・ハマー)が現れ、あっさりと優勝を飾ると、連戦連勝。
ストームに続いてレース界には次々と新世代レーサーが現れ、マックィーンと同世代の旧型レーサーたちは次第に解雇や引退に追い込まれていった。
迎えた2016年の最終戦、レース終盤ストームについていけず、焦ったマックィーンは大クラッシュを起こしてしまう。
4ヶ月後、2017年シーズン開幕が2週間後に迫る中、修理が終わったマックィーンはまだ出場するか決めかねていた。
今までのやり方ではストームに歯が立たないが、どうすれば勝てるのか分らない。
そんな時、スポンサーのラスティとダスティーが、会社を大富豪のスターリング(ネイサン・フィリオン)に売却し、新たなレーサー育成施設「ラスティーズ・レーシング・センター」が完成。
マックィーンもスターリングに招かれ、施設のトレーナー、クルーズ・ラミレス(クリステラ・アロンゾ)の元で再生を目指すことになる。
しかし成績はなかなか上がらず、引退を勧めるスターリングに対し、マックィーンは開幕戦のフロリダ500で優勝できなければ引退すると宣言し、了解を取り付けるのだが・・・・


素晴らしい仕上がりである。
原点回帰しながらも、新たなステージへ。
アスリートの引き際というモチーフが、世界観を共有する「プレーンズ2/ファイアー&レスキュー」と同じじゃない?と思っていたが、結果的に全く違った所に着地した。
「プレーンズ2」で、エアレーサーのダスティを襲うのは、レアパーツの故障というもので、パーツさえ手に入ればレースに復帰できた。
だが、本作でマックィーンが直面するのは、誰もが決して逃れることのできない、肉体の老化である。
テーマ的には、誰もが楽しめるファミリー映画を指向した「カーズ2」と比べて、ぐっと大人向け。
ディズニー・ピクサーの映画で、「老いを認めろ」なんて台詞が出てくるとは思ってなかった。
もちろん小さい子が観ても楽しめるとは思うが、描いていることをちゃんと理解できるのは小学校高学年くらいからじゃないだろうか。
そのぶん、大人にはいちいちグッとくる瞬間が何度もある。

本作を端的に表すならば、師弟の出会いと継承の物語・第2章だ。
第一作でドック・ハドソンに出会い、彼の助けで真のトップに駆け上がったマックィーンが、今度はレーサーに憧れながら、挑戦をあきらめトレーナーになったクルーズと出会い、人生の決断を下す。
まだまだ自分は走れる、だけど今はもっと大切なことがある。
自らの才能を信じ、運をも味方につけ自力でトップにたどり着く者もいれば、溢れんばかりの才能を持ちながら、誰かに見つけてもらえなければ、スタートラインにつく勇気を持てない者もいる。
マックィーンは前者で、クルーズは後者だ。
だが、誰であろうと大きな挫折を味わうことはあるし、そんな時に出会う運命のメンターは、若者の人生を左右する。
マックィーンにとって、それは第一作のハドソンだし、クルーズにとっては出場できなかった最初のレースの挫折を引きずり、本作でマックィーンに出会ことでようやく乗り越える。
そして、葛藤する若者たちとの絆によって、ロートルもまた、今まで知らなかった新たな喜びを見出してゆく。
人生悲喜交交が、個性豊かなクルマたちに見事に比喩され、思わず涙。

このシリーズは、キャラクターアニメーションであるのと同時に、本格的なモータースポーツ映画でもあり、毎回クルマ愛溢れる凝ったディテールが見もの。
今回は映画のテーマとリンクして、物語が1世紀にわたって継承されてきた、アメリカンストックカーレースの原点への旅にもなっているのが面白い。
一見すると普通のセダンの形をしたNASCARに代表されるストックカーレースは、禁酒法の時代に酒を満載しパトカーを振り切るために、特別に改造された市販車がルーツと言われる。
劇中で忘れられたモータースポーツの聖地、トーマスビルを訪れたマックィーンとクルーズが、障害物を避けながら夜の森を駆け抜けるトレーニングをするのは、この故事に因んだことなのだ。
やがて、警察に追われなくなると、レースの舞台はダートトラックと呼ばれる安価に設置できる未舗装のオーバルサーキットに移り、全米のあちこちにダートトラックが作られた。
路面のμ(摩擦係数)が低いダートトラックは、マシンコントロールの習得に適していることから、四輪二輪を問わず、多くのレーサーたちがダートトラックから巣立っていったのである。
私もアメリカでダートトラックのコースを走ったことがあるが、意外とちゃんとグリップするので、アンダーパワーなクルマだと映画みたいにドリフトを決めるのは難しい。
この映画は、禁酒法時代からのモータースポーツの歴史をたどり、やがてストックカーレース発祥の地であるフロリダへと到達する構造となっている。

マックィーンとクルーズが勘違いから出場する、クラッシュ大前提の8の字レースも実在する。
映画では田舎のダートトラックだったが、ちゃんと8の字にレイアウトされたサーキットも存在し、スクールバスが一番人気なのも、8の字レースと言えば古いスクールバスを使って豪快にぶっ壊すのが定番だから。
ほとんどの学校にスクールバスのあるアメリカでは、毎年大量のバスが引退するので、安定供給されるという訳だ。
また、第一作からリチャード”キング”・ペティを始め、数々の人気レーサーがキャラクターとして再現され、時には自ら声優として登場していたが、今回もNASCARファンに向けた数々の小ネタが隠されている。
リチャードの息子のカイルが、マックィーンの友人で、新世代レーサーの台頭で引退するキャルを演じていたり、新世代レーサーたちのボイスキャストは、実際にNASCARの若手レーサーだったりする。
しかし一番クルマ愛、というかモータースポーツ愛を感じるのは、やはりトーマスビルの住人として、ルイーズ・スミスをはじめとした伝説的な黎明期のNASCARレーサーたちを蘇らせたことだろう。
この辺りはアメリカンモータースポーツのファンとしては、感涙ものだった。

非常に巧みなのが、マックィーンのパートナーとして、バーチャルな世界しか知らないクルーズが初めてリアルなレーシングトレーニングを始めてから、実はすべてがクルーズのための実践トレーニングになっていること。
海岸の速度計測ではまともに走ることすらできなかったクルーズだが、サンダーホロウでの8の字レース、トーマスビルでのいくつものトレーニングでは、よく見ると全てのシチュエーションで、彼女はマックィーンより前でフィニッシュしているだ。
もちろんマックィーンは自分が勝つためにトレーニングしているのだが、旅の間にレーサーとしての彼女の真の資質を見る瞬間を積み重ねていたからこそ、最後のあの決断が十分な説得力を持つのである。
そしてクライマックスとなるフロリダ500のレースシークエンスでは、それまでの伏線を手際よく全て回収すると、手に汗握る怒涛のバトルとして昇華し、圧巻の迫力。
前二作もそうだったが、私はモータースポーツを描いた映画で、このシリーズ以上の臨場感を持つ作品を「ラッシュ/プライドと友情」くらいしか知らない。
物語を通し、マックィーンは自らの人生を選択できる権利を勝ち取り、クルーズはついに夢の入り口に立った。
ライトニング・マックィーン三部作として、これ以上ない見事な完結編だと思うが、果たして第4弾はあるのだろうか。

今回は、渋くて深い物語なので、じっくり味わって飲みたいアメリカン・クラフトビール、サンフランシスコのアンカーブリューイングの「アンカー リバティーエール」をチョイス。
マスカットのような非常にフルーティで芳醇な香り、適度な苦味とかすかな甘みが絡み合う、複雑な味わい。
コクがありながら、スッキリとした喉越しで飲みやすい。
ああ、ビール飲みながらNASCAR観戦したい。
90年代に日本でも開催されたけど、客入りが悪過ぎてすぐに終わってしまった。
あのショーアップされたノリは、日本人にはなかなか理解されないんだろうなあ。

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