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ショートレビュー「ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ・・・・・評価額1650円」
2017年08月12日 (土) | 編集 |
なぜ彼は、1個15セントのハンバーガーで帝国を築くことが出来たのか?

異色のアメリカンドリームの展開に、目が離せない。
「マクドナルド」という店名が創業者兄弟の名前なのはよく知られているが、これは兄弟が作り上げた斬新なシステムを持つハンバーガー店を、年間15億食を売り上げる世界最大のファーストフードチェーンに育て上げた、もう一人の"創業者(ファウンダー)"レイ・クロックの物語。
名作ミュージカル「メリー・ポピンズ」の誕生秘話「ウォルト・ディズニーの約束」で、原作者のトラヴァース夫人とプロデューサーのディズニーの間の葛藤を、人はなぜ物語るのか、作者にとって作品とは何なのか、という普遍的物語論に昇華したジョン・リー・ハンコック監督は、ここでもマクドナルド兄弟とレイのコントラストから、見応えのあるドラマを構築している。

マックとディックのマクドナルド兄弟が、飲食業の前にハリウッドでの成功を志し、映画館の経営をしていたという話は初めて知った。
大恐慌の煽りを食って映画館を閉めた後に、庶民の食べ物だったホットドッグ屋に転身し、やがてハンバーガー専門店へ。
テニスコートに厨房の実物大青写真を描き、徹底的に効率的な動線を研究。
メニューを絞り込み、厨房機器も特注し、クオリティの高いハンバーガーを、注文からわずか30秒で提供する驚異のシステムを創造し、大人気店となる。
一方、若い頃から様々な職を転々としながら、何かを成し遂げることを追い続けているレイは、マクドナルドの存在を知ると、この画期的なハンバーガー店を全国展開することを思いつく。
マクドナルド兄弟と契約し、フランチャイザーの権利を得るが、最初のうちは出店希望者を見つけては、ノウハウとライセンスの販売のみ。
しかし飲食業は、実は不動産業でもあるという助言を聞き入れ、全米に土地を買い、出展希望者から家賃をとって支配する手法を取り入れることで、瞬く間に莫大な資金力を持つ巨大チェーンの立役者となる。

半世紀後の現在、世界中に展開するファーストフードチェーンのコンセプトは、マクドナルド兄弟とレイ、両方のアイディアが揃ってはじめて成立したものだ。
しかし両者は、売っている物は同じでも、見ている世界が最初から違うのである。
職人肌で規模の拡大を望まない兄弟と、目的のためなら手段を選ばない脂ギッシュな野心家のレイは、やがて衝突を繰り返す様になる。
羊の柵に狼を招き入れれば、結果は明らか。
誰も気づかなかったアイディアをヒットさせた企業が大きくなり、創業者が後から参画した者に追い出される話は、アップルのジョブズとスカリーなど、他にもありがちな話だが、レイが特異なのは自らが創業者を名乗り、企業の”オリジン"を奪い取ってしまったことだろう。
マクドナルド兄弟は、自社の持つ無尽蔵なポテンシャルに気づかず、また拡大の意志も無い。
だから、巨大企業としてのマクドナルドの創業者は自分だということなのだろうが、結果的に彼は自らの野望を実現させるために、他人が大切にしてるものを無慈悲に奪い取った。

アメリカ資本主義が生んだ、ある種のダーティーヒーローを演じる、マイケル・キートンが素晴らしい。
52歳からの逆転人生を成し遂げた、レイ独特の人生哲学と、マクドナルドという名の持つヒミツに気づいたセンス。
ただ単に強欲なだけでなく、自分の店と商品のクオリティに対しては、創業者兄弟と尺度が異なるとは言え、一定の拘りを持ち、やる気のある社員やフランチャイジーに対しては責任ある態度を貫く。
観客は、結果的に"ルーザー"となってしまったマクドナルド兄弟へ同情を感じつつ、沸々と煮えたぎる欲望に突き動かされ、欲しいものは全て手に入れるレイの、自分には出来ない行動力に憧れに近い感情を抱く。
良くも悪くも弱肉強食の資本主義の世界にうごめく、人間たちの生き様を活写した快作である。

ヨーロッパやアジアの一部の国では、アルコールを置いているマクドナルドもあるそうだが、日本では無し。
ならばマクドナルドと同じく、アメリカ資本主義のもう一つの象徴、コカ・コーラを使ったカクテル「キューバ・リブレ」をチョイス。
タンブラーにライム1/2を絞り、クラッシュドアイスを入れ、ラム45mlを注ぎ入れた後でコーラで満たし、ライムを一切れ飾って完成。
名前の由来は、19世紀末のキューバで、独立派支援のために駐留していた米軍将校がレシピを考案し、独立派の愛言葉だった「ビバ・キューバ・リブレ(キューバの自由万歳)」がそのままカクテル名として定着したという。
これがまた、食欲を増進させる酒なんだよなあ。

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