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2017年08月14日 (月) | 編集 |
青春だよ、スパイディ!
昨年の「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」で先行デビューした、新生スパイダーマンの単独主演第一作。
大ヒットしたサム・ライミ版三部作と、その後を受けたマーク・ウェブの「アメイジング・スパイダーマン」とは違って、ディズニー主導のMCUとの連携を前提に作られているのが特徴で、全員が修羅場をくぐり、一癖も二癖もあるオトナの集団のアベンジャーズの面々に対して、ピュアなハートのヤングヒーローとして造形されている。
異色のスリラー「COP CAR コップ・カー」で注目された俊英ジョン・ワッツは、見事にライミともウェブとも違う、ポップでコミカルな新しいスパイディ像を作り上げた。
「スパイダーマン:ホームカミング」のタイトル通り、過去作に比べると学校生活の比重が高く、コンプレックスを抱えた学園のギークによる、ズッコケ青春ヒーロー映画の趣きだ。
※核心部分に触れています。
ベルリンでアベンジャーズの"シビル・ウォー"に参戦し、キャプテン・アメリカのシールドを奪ったスパイダーマンの素顔は、15歳の高校生ピーター・パーカー(トム・ホランド)。
ニューヨークに戻った彼は、トニー・スターク(ロバート・ダウニー・Jr)からもらった特製スーツを着て、放課後に地元クィーンズ地区でヒーロー活動に勤しみ、アベンジャーズの正式メンバーになる日を夢見ている。
そんなある日、ピーターは謎の犯罪集団によるハイテク武器の取引現場を目撃。
彼らの正体を暴いてスタークに認めてもらおうと、奪った武器の一部をギーク仲間でスパイダーマンの正体を知るネッド(ジェイコブ・バタロン)と共に分析しようとする。
ところが、敵の首領はスタークに深い恨みを持つ、ヴァルチャーことエイドリアン・トゥームス(マイケル・キートン)だった。
一人でヴァルチャーを捕らえようとして、市民を巻き込む大騒動を引き起こしてしまったピーターに、スタークはヒーロー失格を言い渡す。
失意のピーターだったが、高校生活の一大イベントであるホームカミングに、憧れのリズ(ローラ・ハリヤー)を誘ってOKをもらい、元気を回復。
ところが、ホームカミング当日、パーカーは思わぬ形でヴァルチャーの正体を知ってしまう・・・
サム・ライミ版のトビー・マグワイア、マーク・ウェッブ版のアンドリュー・ガーフィールドは、共にピーター・パーカーを20代後半で演じた。
対して、「シビル・ウォー」の撮影中にようやく20歳を迎えたトム・ホランドのピーターは、前任の二人が演じたキャラクターよりもずっと幼く、15歳のギークな高校生というキャラクターにリアリティを与えている。
ピーターだけではなく、マリサ・トメイ演じるメイおばさんも、ライミ版のローズマリー・ハリスに比べれば二十歳以上若いのだ。
本作が過去のシリーズと大きく異なるのは、スパイダーマンが孤独なヒーローではなく、数多くのヒーローが活躍するMCUの世界観に組み込まれていること。
大企業の社長であるトニー・スタークや、第二次世界大戦中から活躍しているキャプテン・アメリカことスティーヴ・ロジャースなど、ベテランのセンパイたちが存在するのである。
ヒーローが当たり前に活躍してる世界だから、ピーターがスパイダーマンになった詳細な顛末とか、ベンおじさんが殺されるお馴染みのエピソードはスルー。
とりあえず彼は、頭は抜群に良いが容姿には自信がないどこにでもいる少年で、クモに噛まれてスーパーパワーを手に入れたことから、放課後にご近所で覆面ヒーロー活動をして、ギークの頂点であり、憧れのトニー・スタークに自分を認めてもらいたがっている。
本作を端的に表すならば、アベンジャーズにちょっと呼ばれたので、思いっきり浮き足立ってしまった若きスパイディが、ヒーロー活動の責任と高校生活の楽しみの間で葛藤しながら、ローカルヒーローとしての地に足をつけたポジションを固めるまでの青春ストーリーだ。
今年はなぜかジョン・ヒューズが来ているらしく、彼の代表作の一つ「ブレイクファスト・クラブ」にリスペクトを捧げた「パワー・レンジャー」に続いて、本作もヒューズの青春映画に大いに影響を受けていることを隠さない。
監督のワッツは、役作りのアプローチの助けとして、若いキャストにヒューズの作品を何本も鑑賞させたそうだ。
実際、本作のピーターとネッドのギークコンビは、過去のシリーズよりも、むしろ「ときめきサイエンス」っぽい。
ちなみにこの映画には、若き日のロバート・ダウニー・Jrも出ていたっけ。
面白いのはワッツや「パワー・レンジャー」のディーン・イズラライトといった、リアルタイムにはヒューズの作品を知らないはずの30代の監督が、熱心なフォロワーとなっていることだが、自分が幼かった時代の青春映画は、10代になってから観ると、微妙な世代の違いがツボにはまり、憧憬を抱かせるのかもしれない。
私はもろに青春時代=ヒューズ映画のリアルタイム世代だけど、同じ頃に観た「アメリカン・グラフィティ」や「ビッグ・ウェンズデー」と言った一世代前の青春映画には、過ぎ去った時代の神話性みたいなものを感じていた気がする。
ジョン・ヒューズの映画的記憶を受け継ぐ若いフィルムメーカーによって、21世紀のMCUの世界に蘇ったヒューズ的青春映画、それが本作なのだ。
だから物語の軸足は、ピーター少年の十代ならではの葛藤を描くハイスクールコメディにあり、ヒーロー映画としてのスケールは比較的小さい。
ヴァルチャーの正体が、実はピーターが恋するリズの父親だったという衝撃の展開は、そんな本作の構造を象徴する。
敵も味方もご近所にいる小さな世界こそが、ローカルヒーローとしてのスパイダーマン本来の魅力であり、いい意味での世界観の狭さは、ヴァルチャーのキャラクター造形にも当てはまる。
マーベルのヴィランは、悪にも理由があるとばかりに、その動機を綿密に設定されているキャラクターが多いが、本作のヴァルチャーはその中でも最も分かりやすく、感情移入しやすい。
元々彼は、アベンジャーズの戦いで生じた瓦礫の撤去作業を請け負っていた、零細企業の社長。
ところが、宇宙人の残した残骸の価値に気づいたスタークと政府は、突如として彼らを締め出して瓦礫を独占してしまう。
ヴァルチャーは、巨大な権力によって理不尽に排除され、生活の糧を奪われた哀れな庶民なのだ。
だから彼はコソコソと宇宙人の遺物を盗み出しては、それを武器に仕立て上げて犯罪者に売りつけることで、生計を立てるのと同時にスタークにささやかな復讐を続けているが、決してアベンジャーズとは戦おうとはしないし、他のアメコミヴィランのように、大それた野望を持っている訳でもない。
本作は全体に軽妙なタッチだが、ヴァルチャーはピーターから見ると、資本主義の力学によって生まれた裏スターク的なキャラクターだったり、機械の翼で再起を図るこの"バードマン"にマイケル・キートンをキャスティングするセンスは結構シニカルだ。
ちなみに本作のキートンは、トニー・スタークにチャンスを奪い取られるのだけど、同時公開中の「ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ」では、逆に無慈悲に奪い取る男を演じているので、この2作は同じ俳優が資本主義の両面を演じた映画としても面白い。
対するピーターも、一人前のヒーローと言うには若過ぎて色々未熟で、ホンモノのヒーローに対する憧れとリズに対する恋心という、二大承認欲求に突き動かされ頑張ってはみるものの、結局自分で起こした問題をなんとかしようと、どんどん深みにハマってゆく。
本作のキービジュアルの一つは、黄色いジャケットを羽織ったスパイダーマンが、ビルの屋上で寝そべっているものだが、イースト川を隔てた背景のマンハッタンにはアベンジャーズのマークを付けたスターク・タワーが聳え立っている。
世界を股にかけるヒーローのチームに入りたいという大志を抱いているものの、本作の舞台はあくまでも川のこちら側。
「アベンジャーズ」シリーズの様に、宇宙人やら神様やら人知を超えた力が激突する、グローバルなカタストロフィーを描くのではなく、超人たちの足元でうごめく、ちょっとだけ特別な力を手に入れた市井の人間たちの世界なのである。
「スパイダーマン:ホームカミング」は、少年スパイディの青春の悲喜交交とヒーローとしての成長を描き、素晴らしいリブートとなった。
冒頭の60年代のテレビアニメ版「スパイダーマンのテーマ」から始まって、「デッドプール」ネタや、次回作への布石であろう意外なキャラクターの登場など、マーベルファンをニヤリとさせるディテールも豊富。
「シビル・ウォー」でシールドを奪ったことから始まる、キャプテンとの"教育的因縁"も可笑しい。
ただし、本作には欠点が一つあって、それはヒーロー映画として、カタルシスのあるアクションの見せ場が相対的に少ないということ。
主な舞台が高層ビルの回廊のないクィーンズなので、ダイナミックなスパイダースウィングがほとんど見られないのは、逆手にとってギャグに転化しているのでまあいいとして、正直ジョン・ワッツのアクション演出はあまり上手くない。
特に輸送機の上で展開する、クライマックスの空中戦では問題が顕著に出た。
夜なので暗い上に、あの機体表面のチカチカ光る迷彩(?)が余計に見難さを助長させてしまっていて、ヴァルチャーとの間で何が起こっているのかよく分からない。
ハイスクールコメディとしての魅力がアクションの欠点を補って余りあるのだけど、できれば次回作までにもう一段上を目指して研究してほしいところだ。
今回は、まだ何色にも染まっていない若々しいスパイディのイメージで「ホワイト・スパイダー」をチョイス。
スティンガーのベースをブランデーからウォッカに変えたバージョンで、冷やしたウォッカ40mlとペパーミント・ホワイト20mlをシェイクしてグラスに注ぐ。
涼しげな見た目と、ミントの香りがすっきりとした清涼感を演出する。
アルコール度数は相当に高いカクテルなので、高校生のスパイディには当然まだ早い。
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昨年の「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」で先行デビューした、新生スパイダーマンの単独主演第一作。
大ヒットしたサム・ライミ版三部作と、その後を受けたマーク・ウェブの「アメイジング・スパイダーマン」とは違って、ディズニー主導のMCUとの連携を前提に作られているのが特徴で、全員が修羅場をくぐり、一癖も二癖もあるオトナの集団のアベンジャーズの面々に対して、ピュアなハートのヤングヒーローとして造形されている。
異色のスリラー「COP CAR コップ・カー」で注目された俊英ジョン・ワッツは、見事にライミともウェブとも違う、ポップでコミカルな新しいスパイディ像を作り上げた。
「スパイダーマン:ホームカミング」のタイトル通り、過去作に比べると学校生活の比重が高く、コンプレックスを抱えた学園のギークによる、ズッコケ青春ヒーロー映画の趣きだ。
※核心部分に触れています。
ベルリンでアベンジャーズの"シビル・ウォー"に参戦し、キャプテン・アメリカのシールドを奪ったスパイダーマンの素顔は、15歳の高校生ピーター・パーカー(トム・ホランド)。
ニューヨークに戻った彼は、トニー・スターク(ロバート・ダウニー・Jr)からもらった特製スーツを着て、放課後に地元クィーンズ地区でヒーロー活動に勤しみ、アベンジャーズの正式メンバーになる日を夢見ている。
そんなある日、ピーターは謎の犯罪集団によるハイテク武器の取引現場を目撃。
彼らの正体を暴いてスタークに認めてもらおうと、奪った武器の一部をギーク仲間でスパイダーマンの正体を知るネッド(ジェイコブ・バタロン)と共に分析しようとする。
ところが、敵の首領はスタークに深い恨みを持つ、ヴァルチャーことエイドリアン・トゥームス(マイケル・キートン)だった。
一人でヴァルチャーを捕らえようとして、市民を巻き込む大騒動を引き起こしてしまったピーターに、スタークはヒーロー失格を言い渡す。
失意のピーターだったが、高校生活の一大イベントであるホームカミングに、憧れのリズ(ローラ・ハリヤー)を誘ってOKをもらい、元気を回復。
ところが、ホームカミング当日、パーカーは思わぬ形でヴァルチャーの正体を知ってしまう・・・
サム・ライミ版のトビー・マグワイア、マーク・ウェッブ版のアンドリュー・ガーフィールドは、共にピーター・パーカーを20代後半で演じた。
対して、「シビル・ウォー」の撮影中にようやく20歳を迎えたトム・ホランドのピーターは、前任の二人が演じたキャラクターよりもずっと幼く、15歳のギークな高校生というキャラクターにリアリティを与えている。
ピーターだけではなく、マリサ・トメイ演じるメイおばさんも、ライミ版のローズマリー・ハリスに比べれば二十歳以上若いのだ。
本作が過去のシリーズと大きく異なるのは、スパイダーマンが孤独なヒーローではなく、数多くのヒーローが活躍するMCUの世界観に組み込まれていること。
大企業の社長であるトニー・スタークや、第二次世界大戦中から活躍しているキャプテン・アメリカことスティーヴ・ロジャースなど、ベテランのセンパイたちが存在するのである。
ヒーローが当たり前に活躍してる世界だから、ピーターがスパイダーマンになった詳細な顛末とか、ベンおじさんが殺されるお馴染みのエピソードはスルー。
とりあえず彼は、頭は抜群に良いが容姿には自信がないどこにでもいる少年で、クモに噛まれてスーパーパワーを手に入れたことから、放課後にご近所で覆面ヒーロー活動をして、ギークの頂点であり、憧れのトニー・スタークに自分を認めてもらいたがっている。
本作を端的に表すならば、アベンジャーズにちょっと呼ばれたので、思いっきり浮き足立ってしまった若きスパイディが、ヒーロー活動の責任と高校生活の楽しみの間で葛藤しながら、ローカルヒーローとしての地に足をつけたポジションを固めるまでの青春ストーリーだ。
今年はなぜかジョン・ヒューズが来ているらしく、彼の代表作の一つ「ブレイクファスト・クラブ」にリスペクトを捧げた「パワー・レンジャー」に続いて、本作もヒューズの青春映画に大いに影響を受けていることを隠さない。
監督のワッツは、役作りのアプローチの助けとして、若いキャストにヒューズの作品を何本も鑑賞させたそうだ。
実際、本作のピーターとネッドのギークコンビは、過去のシリーズよりも、むしろ「ときめきサイエンス」っぽい。
ちなみにこの映画には、若き日のロバート・ダウニー・Jrも出ていたっけ。
面白いのはワッツや「パワー・レンジャー」のディーン・イズラライトといった、リアルタイムにはヒューズの作品を知らないはずの30代の監督が、熱心なフォロワーとなっていることだが、自分が幼かった時代の青春映画は、10代になってから観ると、微妙な世代の違いがツボにはまり、憧憬を抱かせるのかもしれない。
私はもろに青春時代=ヒューズ映画のリアルタイム世代だけど、同じ頃に観た「アメリカン・グラフィティ」や「ビッグ・ウェンズデー」と言った一世代前の青春映画には、過ぎ去った時代の神話性みたいなものを感じていた気がする。
ジョン・ヒューズの映画的記憶を受け継ぐ若いフィルムメーカーによって、21世紀のMCUの世界に蘇ったヒューズ的青春映画、それが本作なのだ。
だから物語の軸足は、ピーター少年の十代ならではの葛藤を描くハイスクールコメディにあり、ヒーロー映画としてのスケールは比較的小さい。
ヴァルチャーの正体が、実はピーターが恋するリズの父親だったという衝撃の展開は、そんな本作の構造を象徴する。
敵も味方もご近所にいる小さな世界こそが、ローカルヒーローとしてのスパイダーマン本来の魅力であり、いい意味での世界観の狭さは、ヴァルチャーのキャラクター造形にも当てはまる。
マーベルのヴィランは、悪にも理由があるとばかりに、その動機を綿密に設定されているキャラクターが多いが、本作のヴァルチャーはその中でも最も分かりやすく、感情移入しやすい。
元々彼は、アベンジャーズの戦いで生じた瓦礫の撤去作業を請け負っていた、零細企業の社長。
ところが、宇宙人の残した残骸の価値に気づいたスタークと政府は、突如として彼らを締め出して瓦礫を独占してしまう。
ヴァルチャーは、巨大な権力によって理不尽に排除され、生活の糧を奪われた哀れな庶民なのだ。
だから彼はコソコソと宇宙人の遺物を盗み出しては、それを武器に仕立て上げて犯罪者に売りつけることで、生計を立てるのと同時にスタークにささやかな復讐を続けているが、決してアベンジャーズとは戦おうとはしないし、他のアメコミヴィランのように、大それた野望を持っている訳でもない。
本作は全体に軽妙なタッチだが、ヴァルチャーはピーターから見ると、資本主義の力学によって生まれた裏スターク的なキャラクターだったり、機械の翼で再起を図るこの"バードマン"にマイケル・キートンをキャスティングするセンスは結構シニカルだ。
ちなみに本作のキートンは、トニー・スタークにチャンスを奪い取られるのだけど、同時公開中の「ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ」では、逆に無慈悲に奪い取る男を演じているので、この2作は同じ俳優が資本主義の両面を演じた映画としても面白い。
対するピーターも、一人前のヒーローと言うには若過ぎて色々未熟で、ホンモノのヒーローに対する憧れとリズに対する恋心という、二大承認欲求に突き動かされ頑張ってはみるものの、結局自分で起こした問題をなんとかしようと、どんどん深みにハマってゆく。
本作のキービジュアルの一つは、黄色いジャケットを羽織ったスパイダーマンが、ビルの屋上で寝そべっているものだが、イースト川を隔てた背景のマンハッタンにはアベンジャーズのマークを付けたスターク・タワーが聳え立っている。
世界を股にかけるヒーローのチームに入りたいという大志を抱いているものの、本作の舞台はあくまでも川のこちら側。
「アベンジャーズ」シリーズの様に、宇宙人やら神様やら人知を超えた力が激突する、グローバルなカタストロフィーを描くのではなく、超人たちの足元でうごめく、ちょっとだけ特別な力を手に入れた市井の人間たちの世界なのである。
「スパイダーマン:ホームカミング」は、少年スパイディの青春の悲喜交交とヒーローとしての成長を描き、素晴らしいリブートとなった。
冒頭の60年代のテレビアニメ版「スパイダーマンのテーマ」から始まって、「デッドプール」ネタや、次回作への布石であろう意外なキャラクターの登場など、マーベルファンをニヤリとさせるディテールも豊富。
「シビル・ウォー」でシールドを奪ったことから始まる、キャプテンとの"教育的因縁"も可笑しい。
ただし、本作には欠点が一つあって、それはヒーロー映画として、カタルシスのあるアクションの見せ場が相対的に少ないということ。
主な舞台が高層ビルの回廊のないクィーンズなので、ダイナミックなスパイダースウィングがほとんど見られないのは、逆手にとってギャグに転化しているのでまあいいとして、正直ジョン・ワッツのアクション演出はあまり上手くない。
特に輸送機の上で展開する、クライマックスの空中戦では問題が顕著に出た。
夜なので暗い上に、あの機体表面のチカチカ光る迷彩(?)が余計に見難さを助長させてしまっていて、ヴァルチャーとの間で何が起こっているのかよく分からない。
ハイスクールコメディとしての魅力がアクションの欠点を補って余りあるのだけど、できれば次回作までにもう一段上を目指して研究してほしいところだ。
今回は、まだ何色にも染まっていない若々しいスパイディのイメージで「ホワイト・スパイダー」をチョイス。
スティンガーのベースをブランデーからウォッカに変えたバージョンで、冷やしたウォッカ40mlとペパーミント・ホワイト20mlをシェイクしてグラスに注ぐ。
涼しげな見た目と、ミントの香りがすっきりとした清涼感を演出する。
アルコール度数は相当に高いカクテルなので、高校生のスパイディには当然まだ早い。

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