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ショートレビュー「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?・・・・・評価額1600円」
2017年08月20日 (日) | 編集 |
青春は、何度でもループする。

なるほど、こう来たか。
オリジナルは、1993年にフジテレビのオムニバス形式のTVドラマ「if もしも」の一編として放送された作品だが、好評すぎて2年後の95年には劇場公開され、”映画監督”岩井俊二の出世作となった伝説的な名作だ。
「if もしも」は、人生の分岐点でもしも別の選択をしたら?という所から、枝分かれした2つの物語がそれぞれ描かれるのが番組のルール。
「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」の分岐点は、小学生の典道が親友の祐介に水泳の競走で負けた瞬間だ。
二人が共に想いを寄せる同級生のなずなは、家庭の事情で引っ越すことが決まっているが、親に反発して二人のうちの勝った方と”駆け落ち”しようと考えていたのだ。
ところがいきなり憧れの美少女から告白された祐介は、ビビってなずなとの約束を破り、彼女の計画は失敗し、家に連れ戻されてしまう。
そこから、典道が勝ったifの物語がスタートするのである。
ちなみに、ドラマ原作の作品が長編アニメーション映画化されるのは、日本映画史上初なのだとか。
※以下、核心部分に触れています。

今回のアニメーション版では、元々45分だった尺は倍の90分に、小学生だった主人公たちの設定年齢は中学生に変更されているが、前半はなずなの家庭描写と情景描写が増えている程度で、オリジナルにリスペクトを捧げ、極めて忠実に進行してゆく。
多くのシーンで、台詞や画のレイアウトまで踏襲しているほどだ。
ところが中盤、オリジナルとは異なる典道のある決断を切っ掛けに、映画はそれまでの岩井俊二の世界から、急速に脚本の大根仁、あるいは総監督の新房昭之的世界へと舵を切り、世界観は劇的に変貌する
オリジナルでは、もしもの分岐は一回だけ。
ifの世界で、なずなの”駆け落ち”の共犯者となった典道が、真夏の夜の一瞬の奇蹟を噛みしめる物語だった。
ところが、今回は岩井俊二がアイディアを出したという「もしも玉」というアイテムが登場し、この玉を投げることによって時間は何度でも巻き戻り、なずなへの恋心は典道の暴走するエンジンとなり、彼は奇蹟の夜が終わることを全力で拒否するのだ。

オリジナルでは、ドラマのルールという意外に、なぜ2つの世界が別れたのかの説明はなく、ホンモノとニセモノという区別もしていない。
どちらも思春期のある瞬間を切り取った、情緒溢れる物語だった。
しかし本作の場合は、もしも玉の存在によって最初の世界以外は、典道が明らかな意思を持って選択した世界になっている(いや、もしかしたら最初の世界も既に)。
さらに、ドラマ版では水泳競争に参加しないなずなも、本作では泳者であり、最初にもしも玉を見つけるのも彼女。
基本、典道のifであったオリジナルと違って、本作のifは典道となずな二人の世界なのである。
オリジナルでは、典道との奇蹟の夜の終わりに、なずなは「今度会えるの二学期だね。楽しみだね」と言って去って行くが、この台詞は来ないことが分かっている典道の未来に視点が置かれているようで、ニュアンスはとてもノスタルジック。
対してリメイクでのなずなの最後の言葉は、「今度会えるのどんな世界かな。楽しみだね」に変わっている。
どの世界であっても、ifの奇蹟は掴み取るものであるという視点は、青春の”今”を強く意識させるもので、まるで別物という所への着地は、オリジナルのファンの賛否を呼びそうだ。

正直、私も本作はオリジナルを超えていないと思う。
岩井俊二と大根仁、新房昭之のコラボレーションは、美しいハーモニーと言うよりは、強い個性のぶつかり合いで、どこか歪さを感じさせる。
新房昭之作品としても、やはり「魔法少女まどか☆マギカ」のインパクトに及ばない。
ずいぶんセクシーになったなずなは、広瀬すずのアンニュイで小悪魔チックなボイスアクトと、キャラクターデザインの山村洋貴によるアニメーションならではの表情表現と相まって、なかなかに魅力的だが、ぶっちゃけオリジナルの奥菜恵の超絶美少女っぷりには、どんな二次元キャラクターも絶対に敵わない
それでも私は、典道となずなの揺れ動く感情にシンクロする様に、不器用に物語の予定調和をはみ出して、世界の歪みを深めて行く、この外連味たっぷりのファンタジーワールドが、とても好きだ。
まるでこの映画そのものが、どこから見るかによって変幻自在の、この映画の花火の様ではないか。

川村元気プロデュースの本作は、題材にしても公開時期にしても、明らかに「君の名は。」の路線を狙ったものだろう。
だが、あの作品が彗星の”火”がもたらした、途轍もないエモーションに満ちた、生と死の物語だとしたら、こちらは冒頭のビジュアルが示唆する様に、循環する”水”の中で、現実とifの虚構が溶け合う青春の幻想譚と、どこまでも対照的。
エモーションはあくまでも静的で、分かりやすく噴出したりはしないから、「君の名は。」の様に熱狂をもって受け入れられることはないだろう。
しかし、そもそも去年の今の時点で、新海誠と新房昭之の認知度は似た様なものだった訳で、強い作家性を持つアニメーション作家の個性を生かしつつ、ある程度の一般性を持たせて目標興収15億という企画コンセプトはブレてないのだろう、たぶん。

今回は、千葉県の地ビール、「九十九里オーシャンビール IPA」をチョイス。
IPAと言っても、ガンガンにポップが効いているというよりは、適度なホップ感でバランスの良い味わいなので飲みやすい。
キレもよく、日本の夏向きのビールだ。
オリジナルのロケ地は千葉県の飯岡町だったが、本作では自治体合併で現在は存在しない飯岡町の町名が踏襲され、花火大会は架空の茂下(もしも)神社のお祭りと言うことになっている。

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