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2017 Unforgettable Movies
2017年12月30日 (土) | 編集 |
世界が騒がしかった2017年も、もうすぐ終わり。
2016年は、歴史的な傑作が続出した“日本映画奇跡の年”だったが、やはり二年連続で奇跡は起こらない。
もちろん良い日本映画は多かったが、昨年の様に突出した作品が月替わりで出るようなサプライズは無かった。
変わって傑作を連発したのは韓国映画。
386黄金世代のパク・チャヌクらも気を吐いたが、ナ・ホンジンやヨン・サンホと言ったその次の世代の活躍が目立った。
もっとも日本公開は今年だが、本国ではほとんどが去年公開済みなので、2016年は日本映画と韓国映画が共に奇跡の年だった訳だ。
それでは、今年の「忘れられない映画たち」を、ブログでの紹介順に。
評価額の高さや作品の完成度は関係なく、あくまでも12月末の時点での“忘れられない度”が基準。

「メッセージ」エイリアンとの意思疎通を託された、言語学者の物語。未知なる訪問者とのコミュニケーションに刺し挟まれる、主人公と娘との思い出の映像のフラッシュバック。一見関係ない二つは実は密接にリンクしていて、その本当の意味を知った時、観客は深い思念の海に沈んでゆくだろう。 哲学SFの新たな金字塔だ。

「MERU/メルー」ヒマラヤ奥地にそびえる未踏峰、切り立ったナイフの刃の様なメルーの頂きに挑む、三人のクライマーを描くドキュメンタリー。ベテランのメンターから若者へ技術と精神を伝えてゆく、まるでジェダイの騎士の様な彼らの文化が興味深い。数ある山岳ドキュメンタリーの中でも、最高峰の一本。

「ゾウを撫でる」一本の映画がクランクインするまでの、映画に関わる様々な人を描く群像劇。単に映画愛を語るのではない。不条理劇と多面性の構造を持つ本作では、3.11の記憶を背景に、フィルム映画の終焉からデジタル時代の映画再生のプロセスを比喩、更にそこから今という時代を俯瞰し、映画のあり方をも描こうとしてる。


「沈黙 -サイレンス-」遠藤周作の傑作小説に、巨匠スコセッシががっぷり四つに組んだ。日本という“信仰の沼”で、神を求め続けたカトリックの司祭たちの心に、いったい何が起こったのか?信仰の本質と人間のあり方を問う、ヘビー級の力作である。アンドリュー・ガーフィールドは、「ハクソー・リッジ」で再び日本の地で信仰を問われた。

「お嬢さん」日本統治下の朝鮮を舞台とした大怪作。“お嬢さん”の莫大な財産を巡り、コンゲームの幕が上がる。複雑怪奇な四つ巴の騙し合いは、倒錯したエロスの館で、先の読めない官能のサスペンスとなって観客を幻惑。外連味たっぷりの性と暴力の愛憎劇は、パク・チャヌクの現時点での集大成と言える。

「ラ・ラ・ランド」そこは、青春の記憶の中の幻想のハリウッド。この街で懸命に生きる二人の夢追い人の出会いから恋の熱情と葛藤、そして青春の終わりまでを描くパワフルな音楽映画だ。クライマックス、描き割りの背景で演じられる7分間の”if”の人生劇場は、観るもの誰もを魅了するだろう。

「哭声/コクソン」いかにも韓国的な土着性を表に出しながら、実はキリスト教が重要なモチーフとなる、21世紀に作られた最も恐ろしいオカルトホラーだ。謎の日本人は何者か?呪っているのは誰か?何かがおかしい、と気づいた時には、我々は既に"惑わす者"ナ・ホンジンの術中に、どっぷりと嵌っているのである。

「キングコング:髑髏島の巨神」これぞ怪獣映画!南海の未知の孤島で展開する、人間vs怪獣vs怪獣の大活劇。ヘリコプターとの空中戦から巨大怪獣同士の死闘まで、迫力満点の見せ場のつるべ打ちにお腹いっぱい。レジェンダリーのモンスターバース、2019年の「Godzilla: King of the Monsters」への期待が一気に高まった。

「美女と野獣」伝説的な傑作アニメーションの、アメイジングな実写映画化。オリジナルのイメージを崩さずに、四半世紀の時の流れの分、ディテールをモダンにブラッシュアップ。「モアナと伝説の海」などのアニメーション作品が、従来のプリンセスカテゴリを脱してゆくのに対し、本作を含めた実写化作品の方がオリジナルの香りを残しているのが面白い。エマ・ワトソンは完璧なベルだった。

「マンチェスター・バイ・ザ・シー」風光明媚な港町を舞台にした、珠玉の人間ドラマ。兄の死によって、生まれ故郷に戻ってきた主人公と残された甥っ子との関係を軸に、隠されていた大きな悲劇が明らかになる。人生には、一度失えば決して取り戻せないものもある。そのことを否定しない、この映画の厳しさと優しさが心に染みる。

「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス」マーベルコミックのスペオペチームの最新作は、前作に輪をかけた面白さ。怒涛のビジュアルとユーモアだけで無く、父性を巡る葛藤をベースとした物語もドラマチックに盛り上がる。来年遂に、アベンジャーズとのコラボが実現するのが今から楽しみだ。

「夜空はいつでも最高密度の青色だ」最果タヒの詩集を原作に、東京の街で邂逅を繰り返す男女を描くリリカルな人間ドラマ。原作の詩を引用しつつ、あらゆる表現を駆使し、映像言語に置き換えている。これは世界の縮図としての大都会・東京の物語であり、この街に暮らすあらゆる人に向けた、ビターでパワフルな讃歌なのである。


「夜明け告げるルーのうた」鬼才・湯浅政明の13年ぶりの劇場用長編アニメーションは、心を閉ざした少年と人魚の少女との、一夏の出会いと別れを描くファンタジー。話はオーソドックスだが、テリングは例によって唯一無二のスタイルで、音楽と融合した独創のビジュアルは圧巻。連続公開となった「夜は短し歩けよ乙女」もユニークな力作だ。

「LOGAN ローガン」ヒュー・ジャックマンが、17年間演じ続けた孤高の"X"が有終の美を飾った。ウルヴァリン三部作の完結編にして最高傑作。ジェームズ・マンゴールドは得意の西部劇の構造を換骨奪胎し、燻し銀の傑作を作り上げた。今年はアメコミ映画大豊作の年で、同じマーベルからは「スパイダーマン: ホームカミング」「マイティ・ソー バトルロイヤル」苦戦のDCからも「ワンダーウーマン」という快作が生まれた。

「カーズ/クロスロード」原点回帰しながら、新たなステージへ。意思を持ったクルマたちを描くシリーズ第三弾は、“老いと継承”をテーマとするオトナのドラマ。どんなに頑張っても、工夫しても、若者に勝てなくなった時、老いたる者はどうしたら良いのか。邦題通り、人生(クルマ生)の分岐点を描く味わい深い秀作である。

「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」ある意味今年一番の問題作。教科書的な捉え方をするなら、むしろ失敗作と言えるかも知れない。しかし、“忘れられない映画”としては、これほどのインパクトある作品もない。まるでつかみ所のない本作そのものが、どこから見るかによって変幻自在の、この映画の花火の様ではないか。

「ベイビー・ドライバー」エドガー・ライトによる、センス・オブ・ワンダーに溢れる最高傑作。超絶ドラテクをもつ“逃がし屋”が、奪われた人生を取り戻す物語。この作品では映し出される全てのアクションが音楽とシンクロし、ミュージカルじゃないのにミュージカルを観ている様な、驚くべき未見性に満ちている。

「新感染 ファイナル・エクスプレス」私的ムービー・オブ・ザ・イヤー。異才・ヨン・サンホは、300キロで突っ走る高速列車を舞台に、ジャンル映画の枠を超えた驚くべき密度の人間ドラマを作り出した。これはいわば陸上版の「タイタニック」だ。制作と公開順が逆になった前日譚、「ソウル・ステーション/パンデミック」とのコントラストも面白い。

「ダンケルク」英国人、クリストファー・ノーランによる、“現代英国の神話”としてのダンケルク大撤退の再解釈。一週間、一日、一時間、三つの時系列がパズルの様に組み合わせられる構成は独創的で面白い。ブレクジットの影響なのか、この頃英国のアイデンティティを問い直す様な作品が目立つ。

「ドリーム」今よりも遥かに差別が激しかった時代、NASAの宇宙計画に参加し、新たな道を切り開いたアフリカ系女性たちの物語。肌の色と性別、二重のガラスの天井に閉じ込められた彼女らはしかし、米ソ宇宙開発競争のなりふり構わぬ状況において、地道な努力により、少しずつ自らの実力を男性社会に認めさせて行く。

「猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)」時の輪を旧シリーズへと繋げる、シーザー三部作の堂々たる完結編。なぜ人類は滅び、地球は猿の惑星となったのか。過去半世紀の遺産を受け継いだマット・リーヴス監督は、一つの種の滅びと別の一つの種の勃興を、英雄シーザーの物語として見事に昇華し、神話的風格を持つ骨太の傑作に仕上がった。

「我は神なり」ダムに沈む村を舞台に、住人の心を弄ぶ悪徳教会と、一人真実に気づいた嫌われ者の粗野な男の闘い。人間がいかに簡単に惑わされて、レッテルを信じ込んでしまうのか、信仰をモチーフにした物語は、予定調和を全て拒絶して、この世界の現実を突きつける。ヨン・サンホの旧作だが、「新感染」に合わせてようやくの日本公開。

「あゝ、荒野 前編/後編」近未来の新宿を舞台に描かれる、対照的な二人のボクサーの刹那的青春。半世紀前に書かれた寺山修司唯一の長編小説の年代設定を、2020年の東京オリンピック後に移し替えるという奇策が大当たり。これにより現在日本社会を俯瞰した、昭和的未来という秀逸な世界観が生まれた。菅田将暉とヤン・イクチュンが素晴らしい。

「ブレードランナー2049」20世紀の伝説のSF映画の続編も、新たな伝説となった。35年間のテクノロジーの進歩を盛り込みつつ、テーマや世界観など映画として確実に深化させた。自らが殉じるもの、偽りの記憶でない人生の大義を見出し、雪の中に横たわる主人公の姿に、前作のロイ・バッティの最期が重なり、無いはずの魂に涙が止まらない。

「花筐/HANAGATAMI」大林宣彦の遺言的戦争三部作の最終作。太平洋戦争直前の唐津を舞台とした青春群像劇は、前二作よりもぐっとパーソナルになり、戦争という巨大な流れに抗う若者たちの生と性を浮き上がらせる。老いてますますパワフルに、アバンギャルドになる、元祖映像の魔術師に脱帽だ。

「スター・ウォーズ / 最後のジェダイ」シリーズ史上、最も衝撃的な「スター・ウォーズ」。あくまでもアンソロジーの枠をはみ出さなかった前作と異なり、ライアン・ジョンソンの手による本作は、タイトル通りにルーカスの作り上げた宇宙を"神話"として葬り去る。そして姿を現わすのは、創造主の手を離れた新たな世界だ。

「バーフバリ 伝説誕生/王の凱旋」映画大国インドが生み出した、実写なのに漫画もアニメも超える、作り手の想像力が大爆発する超大作。アクション、ロマンス、サスペンス、そしてもちろんミュージカル!前後篇305分はあっという間に過ぎてゆく。古代インドを舞台とした貴種流離譚は、驚くべき未見性と熱狂的なエネルギーに満ちている。

「勝手にふるえてろ」脳内妄想こじらせ系のイタタな青春。恋の理想と現実に葛藤する主人公を描く物語かと思いきや、映画は驚くべき方向に舵を切る。映像で語られていることが、ある瞬間グルリと反転する見事なロジックに唸った。私を含むオタク脳の観客にはかなり辛い、しかしリアルな映画だ。

「希望のかなた」カウリスマキの描く“難民”。戦乱のシリアからフィンランドへたどり着いた青年と、老いらくの人生をやり直そうとする男。共に人生の岐路にある二人を描く作者の視線は、優しく切なくユーモラス。しかし、その裏側には自国社会の不寛容に対する、フツフツとした怒りが湧き立っている。

番外 「オクジャ」今年は、邦洋共にネット配信作品が大きくクローズアップされた年で、デジタル時代の映画のあり方が問われた。私は映画という芸術の核心は、同一空間での共有体験だと思っているし、本ブログも映画祭などを含めて原則劇場にかかった作品を取り上げている。しかし、日本では劇場公開のなかった本作は、クオリティという点では文句無しだ。新しい映画のカタチをどう捉えるべきなのか、観る側作る側双方にとって大きな課題である。

以上、独断と偏見の29+1本。
上記した以外では、一人の男の人生の三つの時代を描いた「ムーンライト」、異才ホドロフスキーの遺言的作品「エンドレス・ポエトリー」、古の日本を舞台としたストップモーション・アニメーションの大労作「KUBO/クボ 二本の弦の秘密」、邦画では荻上直子監督の新境地「彼らが本気で編むときは」、是枝裕和監督の挑戦的な人間サスペンス「三度目の殺人」なども迷った。
さて、来年はどんな映画に出会えてるのだろう。

それでは皆さん、良いお年を。

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