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2018年01月21日 (日) | 編集 |
渡る世間はなかなか厳しい。
ペルーの山奥からイギリスへとやって来たジェントルな子グマ、パディントンを描くシリーズ第二弾。
前作は、パディントンがロンドンに念願の家と家族を見つける物語だったが、今回はすっかり定住している彼が泥棒の濡れ衣を着せられる。
新参者には、社会はそんなに優しくないのだ。
果たしてパディントンは、事件の真相を解き明かして、人々の信頼を取り戻せるのか?
パディントン役のベン・ウィショーとブラウン一家の面々はもちろん続投。
ポール・キング監督は、異文化の出会いという前作の内容を踏まえつつ、登場人物たちの新たな葛藤により作品を深化させる。
素晴らしかった前作を、軽々と超える快作コメディだ。
※核心部分及びラストに触れています
ロンドンのブラウン一家の家に暮らすクマのパディントン(ベン・ウィショー)は、故郷のペルーで自分を育ててくれたルーシーおばさん(イメルダ・スタウントン)の100歳の誕生日プレゼントを物色中。
アンティークショップで、ロンドンの名所を描いたステキな飛び出す絵本を見つけたパディントンは、ロンドンに憧れていたおばさんへのプレゼントにぴったりだと思うのだが、それは世界に一冊しかない特別な絵本でとても高価。
そこで絵本を買うために、アルバイトに精を出す。
ところがある夜、アンティークショップに泥棒が入り、絵本を盗むのを目撃したパディントンは、追跡したものの逃げられてしまい、あろうことか自分が泥棒と間違えられて逮捕されてしまう。
刑務所に送られ、すっかり落ち込んだパディントンだが、ひょんなことから凶悪犯のナックルズ(ブレンダン・グリーンソン)と友達になり、それなりに楽しい生活を送りはじめる。
一方、パディントンの無実を信じるブラウン一家は、彼が見たという真犯人のポスターを作り、町中に貼り付けるも手がかりがつかめない。
実は真犯人は、ご近所に住む落ち目の俳優のブキャナン(ヒュー・グラント)なのだが、彼はこの絵本が秘密の宝の地図であることを知っていた・・・・
現代性、社会性、そしてもちろん娯楽性もたっぷりの、文句の付けようのない完璧なファミリー映画だ。
原作者のマイケル・ボンドは、第二次世界大戦中にドイツ軍の猛爆撃を受けるロンドンから田舎に疎開するために、トランクを持って名札を下げ列車に並ぶ子供たちのニュース映画を見たことから、この物語を着想したという。
2014年に公開された第1作は、アフリカ・中東からの難民がヨーロッパに押し寄せるのと時を同じくして作られ、パディントンが様々な事情で故郷を無くした難民のメタファーであることを明確化する。
未知の存在であるパディントンを、ホストたるロンドンっ子たちがいかにして迎え入れるのか?
同時に、ゲストたるパディントンは、他人の領域でどのように振る舞うべきなのか?
外部から来た存在が、硬直した家族の現状を変えるという「メアリー・ポピンズ」の話型を応用しつつ、異文化の出会いと衝突による葛藤と、相互理解を描いた優れた作品だった。
今回、すっかりロンドンに定住したパディントンは、ご近所の人気者になっているものの、彼を”危険な異分子”とみなして敵視する人も相変わらずいるのがポイント。
そこで、定住の次のプロセスとして“仕事”につくのだが、例によって新しい体験は失敗ばかりで、遂には泥棒の濡れ衣を着せられて不当逮捕されてしまうのだが、それみたことかと嘲笑する者も、信じていたパディントンに裏切られと考えショックを受ける者もいる。
そしてもちろんブラウン一家のように、彼の無実を信じて疑わず、身を粉にして救出に尽力する人々も。
パディントンが、一人の市民としてロンドンに定住していたからこそ分かる、新参者への不安定な信頼という現実がここにある。
囚われの身となったパディントンの方も、自分が本当にブラウン一家にとって“家族”と言える存在なのかと疑心暗鬼に陥り、ナックルズの口車に乗って脱獄の片棒を担ぐことになってしまう。
この辺り、実際の移民の若者が、社会からの疎外感を募らせて裏社会や過激派に堕ちてゆく過程を思わせてちょっと社会派。
まあパディントンは根が生真面目だから、決して悪には染まらないのだけど。
ブラウン一家の抱えていた問題は、前作で基本的に解消しているので、パディントンの心配はもちろん杞憂。
彼らは囚われた大切な家族を救うために、一致団結したチームとなって活躍する。
前半は刑務所に送られたパディントンが、なぜかナックルズと仲良くなって、刑務所をスイーツパラダイス化しちゃう楽しげなシークエンスと、塀の外でブラウン一家が真犯人を探す話、ブキャナンが絵本に隠されたお宝の謎を解くプロセスが並行して描かれる。
そして後半になると、三つのプロットがお宝のありかを目指し、一気に収束してゆくのである。
新キャラクターでは、ブレンダン・グリーンソン演じるナックルズも良いが、パディントンを陥れる悪役ブキャナンが出色の出来だ。
落ち目で借金まみれなのに、自意識過剰なナルシストというこの役は、ヒュー・グラントに当て書きされたという。
まあ本人は仕事がドッグフードのCMだけ、みたいに落ちぶれてるわけじゃないけれど、「ブリジット・ジョーンズの日記」をはじめ、数々のラブコメでダメ男を演じてきたグラントにとっては、かなり自虐的なキャラクター。
しかし、前作のニコール・キッドマン同様に、おバカな悪役を心底楽しそうに演じていて本作の白眉と言える。
主役のパディントンまでも食い気味に、本当に最後の最後まで美味しいところをさらってゆくのだ。
各種オマージュ感じさせる見せ場もたっぷり。
刑務所の時計台は「モダン・タイムズ」だし、気球での脱出はギリアムの「バロン」か、もしかして「空かける強盗団」あたりも入っているだろうか。
刀を持ったブキャナンに対するバード夫人のセリフ「銃を持った相手にナイフだって?」は、「アンタッチャブル」で、ナイフを持った殺し屋にショーン・コネリーが言うセリフと同じで、その直後にあっさり逆転されちゃうのも一緒だ。
そして飛び出す絵本を見たパディントンが、絵本の中に入り込むような描写は、嘗て日本でも放送されていた人形アニメーション版「パディントン・ベア」そのもの。
あの作品ではパディントンは立体の人形なのだが、彼以外のキャラクターや町は飛び出す絵本の様な切り紙で作られているユニークな表現が印象的だった。
遊び心のあるディテールで小ネタをつなぎながら、ヘンリーが凝ってるヨガからジョナサンの趣味の鉄道模型まで、前半で細かく配したブラウン一家の伏線をパーフェクトに回収してゆくコミカルかつ小気味良い展開は、まさにストーリーテリングのカタルシス。
本当に無駄なカットが全く存在しないのだ。
思いっきり笑って、最後にはパディントンと人々の慈愛の心に泣き、奇しくも本作のクランクアップの日にその死が公表された原作者への、エンドクレジットの追悼文で二度泣き。
もうちょっとだけ、パディントンを取り巻く社会のネガの部分が強くても良い気がするが、その辺の塩梅は作家のさじ加減。
観終わると、無意識に周りの人々に優しくなれる、ファミリー映画の教科書にしたい傑作である。
今回はパディントンの故郷、ペルーを代表する蒸留酒「タベルネロ ピスコ」をチョイス。
元々ペルーは葡萄の栽培に適していて、スペインの入植とともにワイン造りが盛んになったのだけど、ペルー産ワインが本国のワイン業者を圧迫しているとして締め出され、ワインの代わりに作られるようになったのが、同じ葡萄を原料とするブランデーのピスコ。
現在ではいくつもの銘柄が作られていて、蒸溜所や葡萄の種類で味わいに違いがある。
40°を超える非常に強い酒だが、香り豊かで口当たりはまろやでクセがなく、そのものの味を楽しめるロックがオススメ。
カクテルベースとしても便利な一本。
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ペルーの山奥からイギリスへとやって来たジェントルな子グマ、パディントンを描くシリーズ第二弾。
前作は、パディントンがロンドンに念願の家と家族を見つける物語だったが、今回はすっかり定住している彼が泥棒の濡れ衣を着せられる。
新参者には、社会はそんなに優しくないのだ。
果たしてパディントンは、事件の真相を解き明かして、人々の信頼を取り戻せるのか?
パディントン役のベン・ウィショーとブラウン一家の面々はもちろん続投。
ポール・キング監督は、異文化の出会いという前作の内容を踏まえつつ、登場人物たちの新たな葛藤により作品を深化させる。
素晴らしかった前作を、軽々と超える快作コメディだ。
※核心部分及びラストに触れています
ロンドンのブラウン一家の家に暮らすクマのパディントン(ベン・ウィショー)は、故郷のペルーで自分を育ててくれたルーシーおばさん(イメルダ・スタウントン)の100歳の誕生日プレゼントを物色中。
アンティークショップで、ロンドンの名所を描いたステキな飛び出す絵本を見つけたパディントンは、ロンドンに憧れていたおばさんへのプレゼントにぴったりだと思うのだが、それは世界に一冊しかない特別な絵本でとても高価。
そこで絵本を買うために、アルバイトに精を出す。
ところがある夜、アンティークショップに泥棒が入り、絵本を盗むのを目撃したパディントンは、追跡したものの逃げられてしまい、あろうことか自分が泥棒と間違えられて逮捕されてしまう。
刑務所に送られ、すっかり落ち込んだパディントンだが、ひょんなことから凶悪犯のナックルズ(ブレンダン・グリーンソン)と友達になり、それなりに楽しい生活を送りはじめる。
一方、パディントンの無実を信じるブラウン一家は、彼が見たという真犯人のポスターを作り、町中に貼り付けるも手がかりがつかめない。
実は真犯人は、ご近所に住む落ち目の俳優のブキャナン(ヒュー・グラント)なのだが、彼はこの絵本が秘密の宝の地図であることを知っていた・・・・
現代性、社会性、そしてもちろん娯楽性もたっぷりの、文句の付けようのない完璧なファミリー映画だ。
原作者のマイケル・ボンドは、第二次世界大戦中にドイツ軍の猛爆撃を受けるロンドンから田舎に疎開するために、トランクを持って名札を下げ列車に並ぶ子供たちのニュース映画を見たことから、この物語を着想したという。
2014年に公開された第1作は、アフリカ・中東からの難民がヨーロッパに押し寄せるのと時を同じくして作られ、パディントンが様々な事情で故郷を無くした難民のメタファーであることを明確化する。
未知の存在であるパディントンを、ホストたるロンドンっ子たちがいかにして迎え入れるのか?
同時に、ゲストたるパディントンは、他人の領域でどのように振る舞うべきなのか?
外部から来た存在が、硬直した家族の現状を変えるという「メアリー・ポピンズ」の話型を応用しつつ、異文化の出会いと衝突による葛藤と、相互理解を描いた優れた作品だった。
今回、すっかりロンドンに定住したパディントンは、ご近所の人気者になっているものの、彼を”危険な異分子”とみなして敵視する人も相変わらずいるのがポイント。
そこで、定住の次のプロセスとして“仕事”につくのだが、例によって新しい体験は失敗ばかりで、遂には泥棒の濡れ衣を着せられて不当逮捕されてしまうのだが、それみたことかと嘲笑する者も、信じていたパディントンに裏切られと考えショックを受ける者もいる。
そしてもちろんブラウン一家のように、彼の無実を信じて疑わず、身を粉にして救出に尽力する人々も。
パディントンが、一人の市民としてロンドンに定住していたからこそ分かる、新参者への不安定な信頼という現実がここにある。
囚われの身となったパディントンの方も、自分が本当にブラウン一家にとって“家族”と言える存在なのかと疑心暗鬼に陥り、ナックルズの口車に乗って脱獄の片棒を担ぐことになってしまう。
この辺り、実際の移民の若者が、社会からの疎外感を募らせて裏社会や過激派に堕ちてゆく過程を思わせてちょっと社会派。
まあパディントンは根が生真面目だから、決して悪には染まらないのだけど。
ブラウン一家の抱えていた問題は、前作で基本的に解消しているので、パディントンの心配はもちろん杞憂。
彼らは囚われた大切な家族を救うために、一致団結したチームとなって活躍する。
前半は刑務所に送られたパディントンが、なぜかナックルズと仲良くなって、刑務所をスイーツパラダイス化しちゃう楽しげなシークエンスと、塀の外でブラウン一家が真犯人を探す話、ブキャナンが絵本に隠されたお宝の謎を解くプロセスが並行して描かれる。
そして後半になると、三つのプロットがお宝のありかを目指し、一気に収束してゆくのである。
新キャラクターでは、ブレンダン・グリーンソン演じるナックルズも良いが、パディントンを陥れる悪役ブキャナンが出色の出来だ。
落ち目で借金まみれなのに、自意識過剰なナルシストというこの役は、ヒュー・グラントに当て書きされたという。
まあ本人は仕事がドッグフードのCMだけ、みたいに落ちぶれてるわけじゃないけれど、「ブリジット・ジョーンズの日記」をはじめ、数々のラブコメでダメ男を演じてきたグラントにとっては、かなり自虐的なキャラクター。
しかし、前作のニコール・キッドマン同様に、おバカな悪役を心底楽しそうに演じていて本作の白眉と言える。
主役のパディントンまでも食い気味に、本当に最後の最後まで美味しいところをさらってゆくのだ。
各種オマージュ感じさせる見せ場もたっぷり。
刑務所の時計台は「モダン・タイムズ」だし、気球での脱出はギリアムの「バロン」か、もしかして「空かける強盗団」あたりも入っているだろうか。
刀を持ったブキャナンに対するバード夫人のセリフ「銃を持った相手にナイフだって?」は、「アンタッチャブル」で、ナイフを持った殺し屋にショーン・コネリーが言うセリフと同じで、その直後にあっさり逆転されちゃうのも一緒だ。
そして飛び出す絵本を見たパディントンが、絵本の中に入り込むような描写は、嘗て日本でも放送されていた人形アニメーション版「パディントン・ベア」そのもの。
あの作品ではパディントンは立体の人形なのだが、彼以外のキャラクターや町は飛び出す絵本の様な切り紙で作られているユニークな表現が印象的だった。
遊び心のあるディテールで小ネタをつなぎながら、ヘンリーが凝ってるヨガからジョナサンの趣味の鉄道模型まで、前半で細かく配したブラウン一家の伏線をパーフェクトに回収してゆくコミカルかつ小気味良い展開は、まさにストーリーテリングのカタルシス。
本当に無駄なカットが全く存在しないのだ。
思いっきり笑って、最後にはパディントンと人々の慈愛の心に泣き、奇しくも本作のクランクアップの日にその死が公表された原作者への、エンドクレジットの追悼文で二度泣き。
もうちょっとだけ、パディントンを取り巻く社会のネガの部分が強くても良い気がするが、その辺の塩梅は作家のさじ加減。
観終わると、無意識に周りの人々に優しくなれる、ファミリー映画の教科書にしたい傑作である。
今回はパディントンの故郷、ペルーを代表する蒸留酒「タベルネロ ピスコ」をチョイス。
元々ペルーは葡萄の栽培に適していて、スペインの入植とともにワイン造りが盛んになったのだけど、ペルー産ワインが本国のワイン業者を圧迫しているとして締め出され、ワインの代わりに作られるようになったのが、同じ葡萄を原料とするブランデーのピスコ。
現在ではいくつもの銘柄が作られていて、蒸溜所や葡萄の種類で味わいに違いがある。
40°を超える非常に強い酒だが、香り豊かで口当たりはまろやでクセがなく、そのものの味を楽しめるロックがオススメ。
カクテルベースとしても便利な一本。

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