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グレイテスト・ショーマン・・・・・評価額1650円
2018年02月28日 (水) | 編集 |
ショーが魂の呪縛を解く。

19世紀に一世を風靡した伝説的なアメリカの興行師、P・T・バーナムの半生をモデルとしたミュージカル。
極貧の中で育ち、幼なじみの名家の令嬢チャリティと結婚したバーナムは、家族を幸せにするために、様々な個性を持った人々を集め、誰も見たことのないショーを作り上げる。
タイトルロールを演じるのは、「レ・ミゼラブル」の美声が記憶に新しいヒュー・ジャックマン。
妻のチャリティをミッシェル・ウィリアムズ、ビジネスパートナーとなるフィリップ・カーライルをザック・エフロンが演じる。
素晴らしい歌曲を手がけたのは、「ラ・ラ・ランド」でアカデミー賞に輝いたベンジ・パセックとジャスティン・ポール。
監督は、「ナルト」のハリウッド版を手掛けることもアナウンスされた、VFX畑出身のマイケル・グレイシーが務める。
ゴージャスなミュージカルで、見事な長編デビューを飾った。

19世紀半ばのアメリカ。
貧しい家に生れたバーナム(ヒュー・ジャックマン)は、幼なじみのチャリティ(ミッシェル・ウィリアムズ)を幸せにすることを誓って結婚。
だが、仕事はどれも長続きせず、妻と二人の娘に約束した生活をさせられないことを悩んでいる。
そんな時、バーナムは普通と違うゆえに日陰の人生を送っている人々を集めたショーを発案し、これが大ヒットして成功を掴む。
しかし、バーナムのサーカスには喝采を送るファンがいる反面、新聞の批評は最悪、保守的な市民からは「恥さらし」という反発を受け、反対運動を繰り広げる者もいる。
なんとか自分たちを上流社会に認めさせようと、バーナムはパートナーとなったフィリップ(ザック・エフロン)の人脈を使い、サーカスの団員と共に英国のビクトリア女王に謁見。
続いてヨーロッパで絶大な人気を博していた、スウェーデンの歌手ジェニー・リンド(レベッカ・ファーガソン)をアメリカに招聘し、大成功を収め、一流の興行師として名を知られるようになる。
一方で、ジェニーの興行に夢中になり、サーカスの人気は徐々に低下、団員たちとの間にも亀裂が生まれる。
そしてある夜、それまで築き上げてきたものが一気に崩れ落ちる事件が起こってしまう・・・


素晴らしいじゃないか。
反骨精神溢れる主人公が、社会の底辺のそのまた裏側に生きる異形の者たちを集めた見世物ショーを立ち上げ、新しいもの好きの大衆に大人気に。
小人症の親指トム、濃い髭を持つ女性歌手のレティ、黒人の空中ブランコ乗りのアン、多毛症の犬男、刺青男・・・性別も肌の色も年齢も違う彼らに共通するのは、社会のマジョリティとは異なる”何か”を持っていること。
彼らはそれ故に忌み嫌われているのだが、バーナムは逆にそれを唯一無二の個性として肯定し、ショーに引き入れるのである。
ただし、この映画はそんなバーナムを聖人君子とは描かない。
本作の共同脚本家は、実写版「美女と野獣」の監督として知られるビル・コンドン。
自らも性的マイノリティであることをカミングアウトしている彼は、人の心はそう単純でないことをよく知っている。
興行師であるバーナムにとって、ショーの出演者は金儲けの手段に他ならない。
バーナムが、世間からはフリークと呼ばれる彼らを受け入れるのは、別に多様性の社会を目指しているのではなく、その個性が金のガチョウに見えているからなのである。

社会の底辺の境遇に生まれ、金でとことん苦労したバーナムは、いわば承認欲求に突き動かされた、コンプレックスの塊だ。
ショーで金銭的に成功しても飽き足らず、かつて自分を蔑んだ上流社会、特に妻の両親を見返したいという想いに取り憑かれている。
それ故、ロンドン帰りのフィリップを演出家に迎え入れると、コネを使って米国の元宗主国であり、欧州エスタブリッシュメントの頂点たるイギリスのビクトリア女王に謁見。
その時に出会ったジェニー・リンドを米国に招き、必死に自らを一流に見せようとする。
結果的に、バーナムは望み通りに妻の両親をやり込めるまでになるのだが、それは同時に彼の人間的な器の小ささと卑しさを露見させる。
自分が”上流社会の一員”であることを印象付けたいバーナムは、ジェニーのコンサートにやって来たショーの団員たちを、パーティーの会場から締め出してしまうのだ。
本来、被差別階層にいた主人公を描いているうちに、いつの間にか主人公自身の無意識の差別感情が顕在化するのは「ズートピア」を思わせる。
フィリップが一目惚れしたアンとの、当時は御法度であった異人種間の恋が、その構造を強化する。

本作が描くのは、第一義的には自らの出自へのコンプレックスからの解放
一度は成功を収めたものの、ある事件によって全てを失ったバーナムは、そこで一旦振り返って、自分が本当は何を成し遂げてきたのかを改めて知るのである。
それは金でも社会的地位でもない。
バーナムの最大の功績は、社会の常識に縛られず、打ちひしがれている者に光を与え、誰もが自由に生きることを肯定したことにある。
社会(周囲)を変えるには、先ずは自分が変わらねばならない。
これは多くの人々をそれぞれのコンプレックスから自由にした主人公自身が、実は一番囚われたままだったという寓話だ。

面白いのは、バーナムのショーが一般大衆には大受けしながら、批評家には目の敵にされる物語の展開が、本作が現実に辿った軌跡と完全に一致すること。
昨年末の本国公開時に、映画評論まとめサイトのRotten Tomatoesでは55パーセントの批評家が否定的な評価を出し「腐った」を意味するRottenマークが付いてしまった。
そのせいかオープニング興行はわずか880万ドルの4位スタートと、決して満足出来るものにはならなかった。
しかし実際に観た観客からは熱烈に支持され、口コミの影響もあり4週に渡って4位をキープした後に3位にジャンプアップ、現在に至るまで実に10週連続ベスト10という粘り腰の興行を展開し、全世界での興行収入は3億6千万ドルを超える大ヒットに。

実際のところ、本作は非常に欠点の分かりやすい作品であることは確かだ。
物語の構造的にはまさに”ザ・定番”であって、新鮮味は皆無。
本年度アカデミー賞にノミネートされた「ディス・イズ・ミー」を始めとする歌曲、冒頭から全編に散りばめられたミュージカルシークエンスは圧巻の仕上がりだが、間に挟まれるドラマ部分は良くも悪くも掘り下げられておらず概ね凡庸。
もしもドラマ部分だけをつなぎ合われたら、誰の記憶にも残らないだろう。
否定的評価を下した米国の評論家の気持ちは分かるが、私は本作はこれで良いと思う。
劇中のショーと同じく、この映画は観客の見たいものをそのまま見せてくれる。
主人公は基本的に善意のキャラクターで等身大の弱さを持ち、一度は調子に乗って天狗になるが、最後にはきちんと改心して成長するし、彼を含めて全てのキャラクターが大きな挫折を乗り越え、何らかの成長を遂げて幸せになる。
本作の”言いたいこと”の核心部分は、ほぼ全てミュージカルシークエンスのリリックとして表現されているので、ドラマの弱さはある程度確信犯なのだろう。
ジェットコースターの様な落差は、よく言えば見世物としてのメリハリに繋がっている。

そしてこれもまた、時代に呼ばれ、時代を反映した作品だ。
反対派の暴徒たちと多様性を象徴するショーの団員たちとの争いに、昨年から相次いでいる白人至上主義団体とリベラル派の衝突を思い出した人は多いと思う。
本国の米国なら尚更だ。
この映画が大ヒットするのは、やはりトランプの時代に対するある種の揺り戻しなのかも知れない。

今回は多様性をイメージして、「エンジェルズ・デイライト」をチョイス。
グラスにグレナデン・シロップ、パルフェ・タムール、ホワイト・キュラソー、生クリームの順番で、15mlづつ静かに重ねてゆく。
液体の比重の違いで、四色の層が混じり合わないのだが、スプーンの背をグラスに沿わせて、そこから注ぐようにすれば崩れにくい。
虹を思わせる美しいカクテルを目で楽しみ、飲んでは多様な味が溶け合う感覚を楽しむユニークなカクテルだ。

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