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ショートレビュー「さよならの朝に約束の花をかざろう・・・・・評価額1600円」
2018年03月10日 (土) | 編集 |
あなたに会えて、良かった。

作者のポテンシャルを、十二分に感じさせる力作である。
「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」「心が叫びたがってるんだ。」などの脚本家として知られる岡田麿里が、初めて監督を務めた長編アニメーション映画。
実写作品も手がけてる人だから、実写でデビューする選択肢もあっただろうが、あえて独自のノウハウを必要とするアニメーション、しかもオリジナルの異世界ファンタジーという難しい素材。
相当に攻めた作品と言える。
物語の軸となるのは、十代で肉体の成長が止まり、その後数百年の間時無き時を生きる種族イオルフの少女マキアと、彼女が救った人間の赤ん坊エリアル。
数奇な運命に導かれる“母子”の、数十年間にわたる壮大なクロニクルだ。

舞台となる異世界では、レナトと呼ばれる古の巨大なドラゴンを兵器として戦力化したメザーテ王国が覇権を握っているが、レナトは赤目病という致死性の病により数が急減している。
物語は、メザーテ軍が人里離れたイオルフの村を急襲する序盤から大きく動きだす。
レナトを失うことによる権威失墜を恐れたメザーテの王族は、イオルフの長寿の血に目をつけ、超自然的な権威を維持するためにイオルフの女に子を産ませようと、平和な村を襲ったのだ。
マキアはなんとか逃げ延びるが、村で一番の美女レイリアは拉致される。
この事件によって故郷に帰れなくなったマキアが、旅の途中で出会うのがエリアル。
縁により擬似的な母子となったものの、自分より先に子供が死ぬことは分かっている。
人間よりもはるかに長い時間を生きるイオルフは、同じ時を共にした人間と必ず死別することから、"別れの一族"とも呼ばれているのだ。

最初、若い母親と赤ん坊だった二人は、時が過ぎると姉と弟と見られる様になり、やがて子は母の年齢を追い越してゆく。
映画は、様々な人々と一期一会を繰り返しながら、奇妙な家族として暮らすマキアとエリアルの人生を縦軸とし、メザーテの王宮の籠の鳥となった、レイリアの奪還を目指すイオルフのレジスタンスとの物語が横軸となる。
レイリアは娘メドメルを産んだものの、彼女には期待されたイオルフの長寿の兆候は出ず、二人もまた異なる時を生きる母娘となるのである。

冒頭、マキアは一族の長老としてイオフルの民を束ねるラシーヌに、「イオルフの外に出たら、人を愛してはいけない」と説かれる。
イオルフと人との出会いは必ず別れる運命で、そこには悲しみしかないと。
別れることが分かってるなら、最初から出会わない方が幸せなのか?別れは全て不幸なのか?
イオルフのこの葛藤は、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の「メッセージ」で、エイミー・アダムズ演じる言語学者のルイーズが陥るジレンマにも通じる。
宇宙人の言語を解読したことで、時間を超越する新たな思考回路を獲得したルイーズは、まだ生まれていない娘の誕生から悲劇的な死まで、人生の全てを見てしまうのだ。
しかし、彼女はいつか来る別れの悲しみよりも出会いの喜びを選び、別れすらも愛によって包み込むのである。
ここでは同じ結論が、母性の本質を追求する、長いながい旅路の物語として表現されているという訳だ。

本作の筋立てはかなり複雑で、描ききれていない部分もある。
自分が親の立場になった時のエリアルの心情の変化は、もう少し深く描写して欲しかったし、登場人物が多い分、脇のキャラクターのエピソードはダイジェストを感じさせる。
レナトと赤目病の意味付けも中途半端だ。
2時間以内の尺に収めるために、サブプロットを削り過ぎている感は否めない。
一方で、完全な異世界を、野暮な説明性を極力排して序盤で過不足無く描写しているのはさすがだ。
そして、綿密に作り込まれた世界観、丁寧なキャラクターアニメーションもあって、見応えのある力作に仕上がっている。
細かなモブにも動きつけてあるが、低予算の深夜アニメ並みに動かない作品も多い中、本来の劇場用アニメーションのクオリティに達した作品は貴重だ。
岡田麿里監督の次回作を、楽しみに待ちたい。

今回は、白でまとめられたイオルフの民のビジュアルイメージから、「ホワイトレディ」をチョイス。
ドライ・ジン30ml、ホワイト・キュラソー15ml、レモン・ジュース15mlをシェイクしてグラスに注ぐ。
雪を思わせる半透明のホワイトが美しい。
フルーティな華やかさを、ジンの辛口な味わいが自然にまとめ上げ、バランスのとれたエレガントなカクテルだ。

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