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ショートレビュー「ザ・スクエア 思いやりの聖域・・・・・評価額1650円」
2018年05月11日 (金) | 編集 |
思いやりの本質。

スキーリゾートを訪れたスウェーデン人家族の崩壊劇、「フレンチアルプスで起きたこと」で脚光を浴びた若き鬼才、リューベン・オストルンドの最新作は、第70回カンヌ国際映画祭で最高賞のパルム・ドールを受賞した異色の風刺劇だ。
クレス・バング演じる主人公のクリスティアンは、ストックホルムの現代美術館の主任キュレーター。
バツイチだが二人の娘がおり、社会性のある仕事をし、環境に優しい電気自動車に乗り、地位も名誉もあるダンディなミドルエイジ。
ある朝彼はスリに財布と携帯を取られるのだが、携帯の位置追跡機能を使って場所を特定。
ところが、そこは移民や低所得層の多い高層住宅で、どの部屋にあるのかまでは分からない。
そこでクリスティアンはお調子者の部下のアドバイスに従って、各戸に“脅迫状”を送ることにするのだ。
その甲斐があって、盗まれたものは戻ってくるのだが、脅迫状のせいで大迷惑を被った人物がいることを彼は知らない。

実は、クリスティアンの勤務する美術館は、次の展覧会で「ザ・スクエア」という作品を展示する計画を発表したばかり。
地面に描かれた正方形の中では「すべての人が平等の権利を持ち、公平に扱われる」という参加型の現在アートで、社会に蔓延る利己主義や富の格差に対して、問題意識を持って考えてもらおうと作品だ。
地味な現代アートの展覧会をPRするために、広告会社はあるアイディアを提示。
それは、あえて展示作品のテーマと正反対の内容の動画を流し、人々の関心を得ようとするある種の炎上商法。
クリスティアンは、さほど考えることなくOKしてしまうのだが、実際に流されたあまりに過激な動画は、炎上どころか文字通りの大爆発となってしまい、世論の沸騰はクリスティアンを追い込んでゆく。
マーフィーの法則通り、悪いことは続くもの。
脅迫状の“被害者”からの執拗な抗議を受け、展覧会のために開催したレセプションでは、サルのパフォーマンスをする“エイプマン”の男が暴走し、メチャクチャになってしまう。

仕事からプライベートまで、クリスティアンには様々な災難が降りかかるが、それらの間に直接的な関連はない。
しかし物語を通して、彼は自分自身が何者なのかを知ってゆく。
「すべての人が平等の権利を持ち、公平に扱われる」というザ・スクエアのテーマは、ある意味社会の一般常識で、ほとんど人が「そんなのは当たり前」だと感じ、自らもその常識を実践していると思うだろう。
だがしかし、本当にそうだろうか?
社会的弱者との連携をうたいながら、クリスティアンは移民や低所得に無意識の嫌悪と差別感情を抱いている。
だからこそ、全員を泥棒扱いして脅迫状を送るという、冷静に考えればありえない行動を実行に移してしまうのである。
自他共に認める常識人であり、良心的な人物。
それで、その内に隠された本性は?というのはオストルンド監督の前作、「フレンチアルプスで起きたこと」と基本的には同じだ。
けれど、スキー場の雪崩という非日常から始まるあの作品より、日常的なシチュエーションからのアプローチになっている分、エクスキューズできる余地が少ない。

“どこにでもいる良い人”が、認めたくない自分に気付いてゆくプロセスは、クリスティアンと同じように、無意識に本音と建前を使い分けながら現代社会を生きている私たちにとって、少なからず身に覚えのある話だろう。
彼の身に降りかかる青天の霹靂ともいうべき困難は、人はどこまで寛容になれるのか?いや、どこまで寛容であるべきなのか?という観客への問いかけであり、私たちもまた試されているのである。

それゆえに、私たちはいつの間にかクリスティアンに対しどっぷりと感情移入し、まるで自分自身に起こったことのように、身につまされた気分になる。

相変わらず、どこまでが真面目でどこからがジョークだかよく分からない、北欧流ブラックユーモアが良いスパイスだ。
 
今回は、いろんな意味でもの凄くサムイ話なので、スウェーデンが生んだ代表的なウォッカの銘柄、「アブソルート」をチョイス。
シャープでクリア、それでいてマイルドな味わいは、ラルス・オルソン・スミスが19世紀末に創業して以来、改良を繰り返して作り上げられた。
シャーベット状になるまで冷凍庫でキンキンに冷やし、ショットグラスでクイッと一気に。
冷たいのだけど、しばらくすると今度は腹の底から火照ってくる。

関係ないけど、カンヌでパルム・ドール取った時の監督の絶叫っぷりが、エイプマンっぽくて噴いた。

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