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ショートレビュー「恋は雨上がりのように・・・・・評価額1650円」
2018年06月01日 (金) | 編集 |
一人の雨降り、二人で雨上がりへ。

ここしばらくの漫画原作恋愛系映画の中で、ダントツに面白い。
小松菜奈演じる女子高校生が、バイト先の45歳のファミレス店長に恋をする。
この話のポイントは、基本的に恋をするのは女性側だけということ。
正直、映画がスタートしてしばらくは、あまり感心しなかった。
キャラクターの背景に関して説明的な描写が目立ち、特に大泉洋が好演するファミレス店長が、いかに冴えないおっさんなのかのネガティブイメージを、説明要員と化したベテランウェイトレス役の濱田マリに、全部台詞で喋らせてしまったのはあまりに安直。
尺の関係もあるだろうが、開始から10分くらいは、「こりゃあ期待できないかな」と思っていた。
しかし、この説明パートが終わると、映画は急速に魅力を帯びて立ち直ってくるのである。

当て書きされたかのように、絶妙に演者にフィットする登場人物の造形がいい。
女子高校生・橘あきらは、将来を嘱望された陸上選手だが、アキレス腱断裂の大怪我を負ってしまい、心が折れてしまった。
部活にも顔を出さなくなった彼女は、ファミレスでアルバイトを始めるのだが、そこの店長が大泉洋演じる近藤正己。
何かに依存的に夢中になっている人は、それが断たれると別の何かに依存するというが、あきらにとっては、近藤への恋だったと言うワケだ。
厳密に言えば、二人の間に流れている感情、というかあきらがほとんど一方的に募らせている思慕の念は、本当の恋じゃないかも知れない。
もちろん恋にも色々あるだろうが、彼女の場合は突然居場所を失った時に、暖かく受け入れてくれた包容力のある優しい大人に、癒しを求めたという面もあるだろう。
ともあれ、あきらは自分の気持ちを近藤へと思い切ってぶつける。

この物語が素晴らしいのは、子供のストレートな気持ちにおっさんが真摯に向き合って、大人としての対応をすること。
最近、山口メンバーやら日大アメフト部やら、現実の大人があまりにも大人げなく、子供の信頼を平然と裏切ることに幻滅していたので、フィクションの中でも近藤が本来あるべき大人としての行動をすることに救われた気分。
近藤はあきらの気持ちを受け止めて真摯に葛藤し、彼女にとっての最良の道へと導いてゆく。
まあ、この映画で一番のファンタジーは、実はこの近藤のキャラクター造形かなと思う。
現実に小松菜奈から突然告白されたら、あそこまで相手の気持ちを思いやりながら、自分の心をコントロールできる大人は少ないだろう。
私なら、少なくとも一瞬はドキマギして舞い上がる(笑
本作は、原作者も脚本家も女性。
このキャラクターは、ある意味女性目線で造形された理想のおっさんであり、世の男たちが目指すべき大人の姿なのかも知れない。

巧みなのは、単に子供を導くだけでなく、近藤もまたあきらの若いエネルギーに背中を押され、小さな一歩を歩みだす展開になっていること。
彼はもともと本の虫で小説家志望だが、ずっと芽が出ずに半ば諦めてしまっている。
そんな時にあきらとの交流が刺激となり、眠っていた情熱を再び動かされるのだ。
近藤の旧友で、成功した小説家役に、大泉洋の大学時代からの盟友にして、現在もTEAM NACSで活動を共にする戸次重幸をキャスティングするという、遊び心溢れるセンスがいい。
二人の再会のシークエンスは、小説を他のものに置き換えれば、かつて何かに情熱を捧げていて、今はもう忘れようとしている全ての大人たちにとって、暖かいエールとなるだろう。
物語の最後に、あきらが近藤に語りかける台詞が印象的。
これは映画の序盤のあきらと近藤とのやり取りの対となる台詞で、ちょっぴり切ない経験を通して、彼女もまた少しだけ大人に近づき、相手を思いやり歩み寄れるようになっていることを示す秀逸な描写。
人と人との縁がポジティブに作用し、皆が少しだけ幸せになる、とても気持ちのいい作品だ。

今回は、人生を変える「友だち」の話なので、「ゴールデン・フレンド」をチョイス。
アマレット20ml、ダーク・ラム20ml、レモン・ジュース20mlをシェイクし、氷を入れたタンブラーに注ぎ、適量のコークを追加して軽くステアする。
最後にスライス・レモンをのせて完成。
作者の中河宏昭氏によると、「 特別な友に、生涯の友に、唯一の友に贈るカクテル」という意味で命名したという。
ダーク・ラムとアマレットの組み合わせが、甘口の濃厚な味わいと香りを演出するが、タンブラーの大きさとコークの量でだいぶ印象が変わる。

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