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インクレディブル・ファミリー・・・・・評価額1700円
2018年08月07日 (火) | 編集 |
主夫ヒーローは辛いよ。

ピクサー映画史上初めて、人間が主人公となった作品としても知られる、ブラッド・バード監督の大ヒット作、「Mr.インクレディブル」の14年ぶりとなる続編。
政府によるスーパーヒーロー禁止法を撤回させるため、母ヘレンがイラスティガールとして活動を開始。
変わって一家の主夫となったMr.インクレディブルことボブが、無限の能力を秘めたジャック=ジャックの世話に、恋する長女ヴァイオレットの扱いに、悪戦苦闘の毎日を送る羽目に。
そこに目的不明の謎のヴィラン、スクリーンスレイヴァーが現れ、街を混乱に陥れる。
2007年の「レミーのおいしいレストラン」以来、11年ぶりにブラッド・バード監督がアニメーションの世界に帰還。
主人公夫妻を演じるグレイ・T・ネルソン、ホリー・ハンター、氷を操るヒーローのフロゾン役のサミュエル・L・ジャクソンなど、主要キャストも続投。
夏休みらしい、パワフルでゴージャスな“ファミリー映画”だ。

シンドロームとの戦いから3ヶ月後。
Mr.インクレディブルことボブ(グレイ・T・ネルソン)とイラスティガールことヘレン(ホリー・ハンター)のパー夫妻は、特殊能力を持つ長女ヴァイオレット(サラ・ヴォーウェル)、長男ダッシュ(ハック・ミルナー)と力を合わせ、街を襲ったアンダーマイナーを阻止。
しかし、例によって街を破壊したため政府の保護を失う。
彼らの活躍を見た実業家のウィンストン・ディヴァー(ボブ・オデンカーク)は、ヒーロー活動を政府に再び認めさせるため、パー夫妻を支援すことを申し出る。
だが、Mr.インクレディブルでは破壊の規模が大きすぎるため、当面の活動はイラスティガールが担うことになり、ボブはヘレンのかわりに一家の主夫に。
ボブが家事に育児に苦闘する間、ヘレンは着実に実績を重ねて、いよいよ政府がヒーロー活動禁止法を撤回することになる。
ところが、テレビ画面やモニターをジャックして、人々をマインドコントロールする謎のヴィラン、スクリーンスレイヴァーが出現し、ヘレンはピンチに陥るのだが・・・


14年ぶりの続編は、前作のラストから直接繋がっていて、まるで前後篇二部作の様な作り。
単体でも分かる様にはなっているが、やはり前作を観てることが前提の作品だ。
2004年に公開された「Mr.インクレディブル」は、ヒーローが戦うことによる被害の増大で、政府がヒーロー活動を禁止し、行き場を失った彼らに新たな身分を与える「スーパーヒーロー保護プログラム」を発動した世界の話。
日本でも「ウルトラマンが怪獣と戦うことで、かえって被害が拡大するんじゃ?」という話は古くからあったが、この疑問をフィーチャーして実際に作品にしたのが、アラン・ムーアとディヴ・ギボンズが1986年に発表したグラフィックノベル「ウォッチメン」だ。
嘗て実在したスーパーヒーローたちが、活動を禁止されたもう一つの1985年を舞台に、元ヒーローの殺人事件から始まる物語。
ザック・スナイダー監督で映画化もされたこの作品が、本作の世界観に強い影響を与えていることは間違いなかろう。

もっとも、ブラッド・バードが作り出した世界は、冷戦時代を背景に歴史から哲学までをも網羅する「ウォッチマン」ほど複雑ではない。
強制引退から15年後、ヘレンと結婚して3人の子宝にも恵まれたボブは、ヒーローとして世界から脚光を浴びていた時代が忘れられず、夜な夜な親友のフロゾンと共に警察無線を盗聴してはこっそり人助けをしている。
そんな懐古願望をヴィランのシンドロームに利用され、彼の暴走を止めるために家族で立ち上がるというのが前作の流れ。
シンドロームは止めたものの、ヒーロー活動の禁止はそのままなので、今回は再び活動できるようヒーローの良いところをアピールする。

街への被害を抑えるため、ゴム人間のヘレンが前面に立ち、その間ボブが家事・子育てを担当することに。
プロットはイラスティガールとして活躍するヘレンと、主夫として苦闘するボブのツートラック。
ヒーローは本当に不要なのか?という前作から引き継いだ葛藤に加え、夫婦の役割を逆転させることで、時代の変化を反映した内容になってるのはさすが。
アメリカ版「未来のミライ」よろしく、子育て篇にかなりの重きが置かれてるのが特徴で、誰よりもヒーロー活動への渇望が強いボブのイライラと、家事から解放されて精一杯羽を伸ばして活躍するヘレンのコントラストが効果的。
ティーンエイジャーから赤ちゃんまで、世代の違う子どもたちに振り回されるおじさんヒーローは、生活感があってかなり可笑しい。
だが、「未来のミライ」と決定的に違うのは、ボブにとって主夫業は結局最後まで「イヤイヤやらされること」で、家事や育児の面白さや深さに目覚めたり、彼自身を成長させることはないということ。
これはおそらく、遅い結婚をして今まさに子育て真っ最中の50歳の細田守と、子育てはとっくに終えている60歳のブラッド・バードの、世代的な経験と環境の差が影響しているのかなという気がしている。
細田守にとっては、今まさに様々な気づきを経験して成長している時なのだろうが、バードにとっては全てはもう思い出なのだろう。
ちなみにバード家の三男マイケルは、ヴァイオレットが恋心を寄せるトニー役で出演している(30歳だけど)。

もちろん主にイラスティガール担当のアクション活劇も、素晴らしい仕上がりだ。
この11年の間に「ミッション:インポッシブル/ゴーストプロトコル」など、実写作品を経験したバードの演出は前作以上にキレキレ。
バイクで暴走列車を追跡するプロセスは、前作ではMr.インクレディブルの見せ場だった列車アクションを再現し、今度はイラスティガールならではの描写で盛り上げるセルフオマージュ。
スクリーンスレイヴァーを追跡するシークエンスは、どこか「ミッション:インポッシブル」テイストだ。
そして二つのメインプロットが終盤見事に融合し、海と空を駆け巡るスペクタクルなクライマックスに展開する。
今回は、前作でその能力が垣間見られたジャック=ジャックも大活躍。
パー家とフロゾン以外の、その他ヒーローたちの特殊能力も上手く生かされていた。

ヴィランに関して、背景が前作のシンドロームと被る部分があり、一見いい人だが実は裏があるという、最近のディズニーヴィランのパターン通りで意外性が無いのがちょっと残念だが、安直に殺して終わりにしなかったのは良かったと思う。
前作のシンドロームがジェット機のエンジンに巻き込まれて死ぬのは、マントを付けていたための自滅だったとはいえ、その後のディズニー/ピクサーヴィランの生々し過ぎる最期の先駆けでもあった。
キャラクターの背景がきちんと描かれ、単純悪ではなかったゆえに、彼の最後は当時結構引っかかったのを覚えている。
あの頃のアメリカ映画は、とりあえず悪者は殺すという不文律でもあったかのように、ヴィランが死にまくっていた時代。
ピクサーの「カールじいさんの空飛ぶ家」「トイ・ストーリー3」でも、ヴィランが悲惨な最期をとげるのは、ディズニーブランドとの差別化の意味もあって、「人生そんな優しいオチばかりにはならない」ということを強調する意図があったと聞くが、その後ディズニーの「塔の上のラプンツェル」でも同じパターンが繰り返された。
それが変わったのは、やはり「アナと雪の女王」で、御伽噺の魔女を主役のポジションにしたあたりからだろう。
その後「ヴィランにも色々事情はある」という考え方は、ディズニーブランドの「ベイマックス」「ズートピア」「モアナと伝説の海」でも作劇に大きな影響を及ぼしており、今回その流れがピクサーにも波及した。
スーパーヒーローを描くアニメーションの世界でも、二元論が通用しない時代になったということか。

ブラッド・バードの次回作は、以前から取り組んでいる1906年のサンフランシスコ大地震を描く「1906」になる可能性が高そうだが、もし「インクレディブル3」があるとしたら、今度は子供世代を主役にしても面白そうだ。
ヴァイオレットが恋とヒーロー活動の両立に悩んだり、ダッシュがMr.インクレディブルをライバル視するようになったり、ジャック=ジャックがダークサイドに落ちそうになったり、少し子供たちの年齢を上げるだけで色々なドラマが作れそう。

同時上映の「BAO」は、なんと生きている“肉まん”と人間のお母さんの絆を描く。
息子が成長して家を出て、寂しさを募らせるお母さんが作った肉まんに、不思議な命が宿る。
彼女は、肉まんを息子だと思って育てるのだけど、やがて肉まん息子も人間の息子同様に、成長して親離れしてゆく。
文字どおりに、食べちゃいたいくらいに息子を溺愛するお母さんの葛藤が切ない。
トロントの中国人コミュニティーで一人っ子として育ったドミー・シー監督の、母への想いが詰まったユニークな短編だ。

今回はMr.インクレディブルと飲みたい、スカッとするビールを。
以前ピクサーの近くにPyramid Brewery & Alehouseという地ビールの店があって、ピクサーのスタッフもよく来ていたのだが、残念ながら3年前に閉店してしまった。
今回は対岸のサンフランシスコを代表する地ビール、「アンカー・スチーム」をチョイス。
ラガー酵母をエールの様に常温醗酵させる事で、適度なコクと苦味が華やかな香りと同居する、ラガーとエールの良いとこどり。

ベイエリアの老舗クラフトビールで、ゴールドラッシュ時代の開拓民に愛されたスチームビールの復刻版だ。

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