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2018年09月14日 (金) | 編集 |
長寿と繁栄を🖖
これはオタク心を擽られてキュンとくる。
主人公は「スター・トレック」の大ファンで、その知識ではどんなマニアにも負けないウェンディ。
彼女は自閉症スペクトラムを抱え、唯一の肉親である姉一家とも離れて、サンフランシスコのケアハウスで暮らしている。
ある時、「スター・トレック」の50周年記念脚本コンテストが開かれることを知ったウェンディは、エンタープライズを失い、たった二人で未知の惑星に取り残されたカークとスポックの冒険を描く、427ページに及ぶ大長編を書き上げる。
だが、もう郵送では間に合わないことがわかり、彼女は愛犬ピートとともにロサンゼルスのパラマウント・ピクチャーズへ直接届けることを決意するのだ。
自閉症スペクトラムには、日々のルーティンを変えることを嫌うという症状がある。
毎日のスケジュールから着るものまで、厳格にルールを決めて生活しているウェンディにとって、ルーティンを全て無視して400マイル先のロサンゼルスを目指す旅は、まさに人生を変える大冒険。
そしてその旅路は、「スター・トレック」の劇中で宇宙艦隊本部があるサンフランシスコから、実際に作品が作られている場所への、虚構から現実への旅でもある。
普段の生活では決して超えることのない大通りを渡り、なんとか長距離バスに乗ったものの、犬を連れていることがバレてど田舎の街道に放り出されてしまう。
さらに心無い人にお金を盗まれ、わずかに残ったコインもぼられそうになったり、図らずもウェンディは自分の描いた脚本と同じように絶体絶命の危機に陥ってしまうのだ。
“感情”という得体のしれないものに手こずるスポックは、自閉症スペクトラムで他者とのコミュニケーションが極めて苦手なウェンディにとって、物語の中のもう一人の自分。
現実と脚本の二重構造によって、ロサンゼルスへの困難な旅が未知の惑星での冒険の、親友カークへの友情が離れて暮らす姉への想いのメタファーとなる。
一方、ウェンディの失踪に気づいたケアハウス側でも大騒ぎになるのだが、トニ・コレット演じるこの施設の責任者が”スコッティ”で、しかも「スタートレック」のことを全く知らないのが面白い。
彼女は彼女で思春期の息子との間に問題を抱えていて、ウェンディの事件がきっかけとなり「スター・トレック」が親子の仲を取り持つサブストーリーもいい感じ。
創作への情熱が困難な現実を変えて行くという点で、本作は幼少期に誘拐され25年間外の世界を知らずに育った青年を描いた「ブリグズビー・ベア」に通じるものがある。
あの映画は、心のよりどころだった子供向け番組「ブリグズビー・ベア」という虚構を自ら作ることによって、主人公が過去と未来の現実に向き合い消化する、いわば内的な旅だった。
こちらでは、誰かに本当の自分のことを知ってもらいたい、伝えたいという外向きの気持ちがウェンディのロードムービーを通してストレートに描かれている。
現実のビターさも、そっと創作者としての彼女の背中を押す優しさがあって、寓話としてちょうどいい塩梅。
まあ米国スタイルの脚本はレターサイズ1ページを1分で数えるので、427ページ分だと7時間越えの超大作になっちゃうから、どんなに出来が良くても実際に作るのは難しいわな。
彼女を保護しようとするお巡りさんとのグリンゴン語のやりとりとか、とても微笑ましいんだけどこれもアメリカ文化の中の「スター・トレック」の重みあっての描写。
もし日本で作ったら、この話は成立するのだろうか?するとしたら何の作品で?とちょっと考えてしまった。
天才子役から、すっかり演技派のポジションに定着したダコタ・ファニングの繊細な演技が素晴らしく、ピート役の犬ちゃんがとんでもなく可愛くて、いいアクセントになっている。
しかし、これは作品のコンセプト上致し方ないことだと思うのだけど、「ブリグズビー・ベア」の「スター・ウォーズ」オマージュが上手い具合に架空の子供向け番組に吸収されて普遍性を獲得していたのに対し、こちらはモロに「スタート・レック」縛り。
これが劇中の“スコッティ”みたいに、元ネタを知らない人にとっては作品への入りづらさに繋がってる部分はあると思う。
今回は、本家「スター・トレック」でも合わせた、サンフランシスコを代表する地ビール「アンカースチーム」をチョイス。
華やかな香りとコク、適度な苦味をもつ高温醗酵のスチームビール。
ラベルに描かれたアンカー(碇)マークは、港町サンフランシスコの歴史を象徴する。
23世紀にはエンタープライズのクルーも、このビールで一杯やっているかもしれない。
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これはオタク心を擽られてキュンとくる。
主人公は「スター・トレック」の大ファンで、その知識ではどんなマニアにも負けないウェンディ。
彼女は自閉症スペクトラムを抱え、唯一の肉親である姉一家とも離れて、サンフランシスコのケアハウスで暮らしている。
ある時、「スター・トレック」の50周年記念脚本コンテストが開かれることを知ったウェンディは、エンタープライズを失い、たった二人で未知の惑星に取り残されたカークとスポックの冒険を描く、427ページに及ぶ大長編を書き上げる。
だが、もう郵送では間に合わないことがわかり、彼女は愛犬ピートとともにロサンゼルスのパラマウント・ピクチャーズへ直接届けることを決意するのだ。
自閉症スペクトラムには、日々のルーティンを変えることを嫌うという症状がある。
毎日のスケジュールから着るものまで、厳格にルールを決めて生活しているウェンディにとって、ルーティンを全て無視して400マイル先のロサンゼルスを目指す旅は、まさに人生を変える大冒険。
そしてその旅路は、「スター・トレック」の劇中で宇宙艦隊本部があるサンフランシスコから、実際に作品が作られている場所への、虚構から現実への旅でもある。
普段の生活では決して超えることのない大通りを渡り、なんとか長距離バスに乗ったものの、犬を連れていることがバレてど田舎の街道に放り出されてしまう。
さらに心無い人にお金を盗まれ、わずかに残ったコインもぼられそうになったり、図らずもウェンディは自分の描いた脚本と同じように絶体絶命の危機に陥ってしまうのだ。
“感情”という得体のしれないものに手こずるスポックは、自閉症スペクトラムで他者とのコミュニケーションが極めて苦手なウェンディにとって、物語の中のもう一人の自分。
現実と脚本の二重構造によって、ロサンゼルスへの困難な旅が未知の惑星での冒険の、親友カークへの友情が離れて暮らす姉への想いのメタファーとなる。
一方、ウェンディの失踪に気づいたケアハウス側でも大騒ぎになるのだが、トニ・コレット演じるこの施設の責任者が”スコッティ”で、しかも「スタートレック」のことを全く知らないのが面白い。
彼女は彼女で思春期の息子との間に問題を抱えていて、ウェンディの事件がきっかけとなり「スター・トレック」が親子の仲を取り持つサブストーリーもいい感じ。
創作への情熱が困難な現実を変えて行くという点で、本作は幼少期に誘拐され25年間外の世界を知らずに育った青年を描いた「ブリグズビー・ベア」に通じるものがある。
あの映画は、心のよりどころだった子供向け番組「ブリグズビー・ベア」という虚構を自ら作ることによって、主人公が過去と未来の現実に向き合い消化する、いわば内的な旅だった。
こちらでは、誰かに本当の自分のことを知ってもらいたい、伝えたいという外向きの気持ちがウェンディのロードムービーを通してストレートに描かれている。
現実のビターさも、そっと創作者としての彼女の背中を押す優しさがあって、寓話としてちょうどいい塩梅。
まあ米国スタイルの脚本はレターサイズ1ページを1分で数えるので、427ページ分だと7時間越えの超大作になっちゃうから、どんなに出来が良くても実際に作るのは難しいわな。
彼女を保護しようとするお巡りさんとのグリンゴン語のやりとりとか、とても微笑ましいんだけどこれもアメリカ文化の中の「スター・トレック」の重みあっての描写。
もし日本で作ったら、この話は成立するのだろうか?するとしたら何の作品で?とちょっと考えてしまった。
天才子役から、すっかり演技派のポジションに定着したダコタ・ファニングの繊細な演技が素晴らしく、ピート役の犬ちゃんがとんでもなく可愛くて、いいアクセントになっている。
しかし、これは作品のコンセプト上致し方ないことだと思うのだけど、「ブリグズビー・ベア」の「スター・ウォーズ」オマージュが上手い具合に架空の子供向け番組に吸収されて普遍性を獲得していたのに対し、こちらはモロに「スタート・レック」縛り。
これが劇中の“スコッティ”みたいに、元ネタを知らない人にとっては作品への入りづらさに繋がってる部分はあると思う。
今回は、本家「スター・トレック」でも合わせた、サンフランシスコを代表する地ビール「アンカースチーム」をチョイス。
華やかな香りとコク、適度な苦味をもつ高温醗酵のスチームビール。
ラベルに描かれたアンカー(碇)マークは、港町サンフランシスコの歴史を象徴する。
23世紀にはエンタープライズのクルーも、このビールで一杯やっているかもしれない。

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