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2018年10月22日 (月) | 編集 |
ポップカルチャーの迷宮に溺れる。
人の姿をしているが、正体不明の“それ”が延々と追いかけてくるホラー映画、「イット・フォローズ」で注目を集めた俊英、デヴィッド・ロバート・ミッチェルによる、何とも形容しがたい大怪作。
ロサンゼルス、シルバーレイクに住むプータローのサムが、忽然と失踪した隣人の美女を探し、虚構の魔都を彷徨う。
手掛かりになるのは、映画や音楽をはじめとした、様々なポップカルチャーに仕込まれた暗号。
シンクロニシティにサブリミナル、陰謀論に都市伝説のモンスター、更にはヒッチコックからデヴィッド・リンチ、P・T・アンダーソンに至るまでの映画的記憶。
これはまるで、作者の好きなものを節操なく全部ぶち込んだ、闇鍋みたいな映画だ。
「アンダー・ザ・シルバーレイク」には一体何が隠されているのか?
サムの小さな冒険はどこに行きつくのか?
最後まで観ると、ようやくこの意味深なタイトルの意味が分かる。
※核心部分に触れています。
‟犬殺し”の不穏な噂が広まるロサンゼルス、シルバーレイク地区。
ハリウッドでの成功を夢見て、ロサンゼルスへ出て来たものの、結局なにもかも上手くいかず、家賃滞納で部屋も追い出されそうなサム(アンドリュー・ガーフィールド)は、ある日同じコンドミニアムに住む美女サラ(ライリー・キーオー)に部屋へと誘われる。
しかし、懇ろになろうとした時、彼女のルームメイトが帰ってきて、「また明日ね」と追い出されてしまう。
ところが、翌日サムが尋ねると、そこは既に空き部屋。
壁に残されていた暗号と、サラのものを取りに来た謎の女に事件の匂いを感じ取ったサムは、彼女の行方を探し始める。
そんな時、疾走していたハリウッドのセレブ、ジェファソン・セヴンスの焼けた車の中から、セヴンスと三人の女性の遺体も見つかったというニュースが流れる。
その中の一人がサラだと確信したサムは、同人誌「シルバーレイクの下で」の作者に会いに行く。
陰謀論や都市伝説の膨大な知識を持つ彼は、サラの部屋にあった暗号は大恐慌時代に各地を放浪していた集団“ホーボー”の暗号だと解き明かすのだが、それはさらなる謎の始まりに過ぎなかった・・・・
アンドリュー・ガーフィールドの、“ロスト・イン・ロサンゼルス”。
テイスト的には「マルホランド・ドライブ」に「インヒアレント・ヴァイス」を混ぜて、ヒッチコック映画のスパイスを全体に振りかけた様だが、ある意味本作のカオスっぷりはもっとディープ。
舞台となるシルバーレイクは、ハリウッド大通りの東側に位置する、大きな貯水池を中心とした住宅地だ。
近年は家賃が高騰して事情が変わってきているが、伝統的に住人にはビバリーヒルズなどには住めないクラスの芸能関係者が多い。
本作の主人公のサムも、そんな夢追い人の一人だが、ハリウッドの片隅に生きているということ以外、役者などの表方なのか裏方なのかを含め、何をやっている人なのか全く描かれない。
とりあえず30代になっても成功をつかむことはできず、家賃も払えないプータロー状態で、つまりは“何者でもない”存在だ。
ホームレス目前の生活状態でも、車は派手なマスタングGTというのが、いかにも虚栄に生きるこの街の住人らしい。
サムが住んでいるのは、広い中庭をもつコンドミニアムの一室で、彼は「裏窓」のジェームズ・スチュアートよろしく、部屋のバルコニーから双眼鏡で近所の女性を覗き見ている。
彼の目に留まるのは、いつも上半身トップレスで過ごしているオウム飼いの年増の女性と、愛犬と散歩する美女サラ。
サラは自分が覗かれているのを知っていて、あえてサムに声をかけて自室に招き入れるのだ。
ところが、もう少しでベッドインというところで追い出されたサラの部屋は、翌日にはもぬけの殻になっており、諦めきれないサムは彼女の行方を捜し始める。
いったいサラは何者だったのか?どこへ消えたのか?
ここから、にわか探偵となってシルバーレイクを彷徨い始めるサムは、同じジェームズ・スチュアートでも死んだはずのキム・ノヴァクの影を追って、次第に正気を失ってゆく「めまい」のキャラクターへのオマージュだ。
運命の女、サラを演じるのはライリー・キーオー。
この人、実はあのエルビス・プレスリーの孫娘で、彼女のキャスティング自体が最初からポップカルチャーのアイコンのメタファー。
デヴィッド・ロバート・ミッチェルは、この映画のカオスのロサンゼルスに、生と死の混乱をイメージさせる多くのモチーフを散りばめる。
冒頭の店の窓に落書きされた、「犬殺しに気をつけろ」の文字を消している店員が着ているのは、ドアーズのヴォーカリストで謎多き死を遂げたジム・モリソンのTシャツ。
サラを探すサムは、ヒッチコックの墓が鎮座するハリウッド・フォーエヴァー霊園で行なわれている野外上映会に迷い込むが、上映されているいるのはミッチェルの長編デビュー作「アメリカン・スリープオーバー」。
ただしオリジナルではなく、一場面を本作のキャストで再現したもので、もはや現実と虚構、生と死は境界を失い溶け合ってゆく。
ちなみにミッチェル自身の青春時代を反映したこの映画には、「モスラ」のパチモンの「モスキータ」なる怪獣映画が劇中劇として登場していたり、とぼけたポップカルチャー好きの嗜好は既に現れていて、本作や「イット・フォローズ」の原点的な部分もある。
失踪したサラは、ハリウッドのセレブ、ジェファソン・セヴンスの死に巻き込まれたらしいが、セヴンスの娘はサムの持っている雑誌のヌード写真と同じ姿となって、シルバーレイクで何者かに殺される。
チャールズ・マンソン一味っぽい、ロックバンドの「イエスとドラキュラの花嫁」の歌詞に隠された暗号に気づいたサムは、全ての世代のヒット曲を作ったと豪語する“ソングライター”に会いに行くが、彼の住む豪邸は、まるで「市民ケーン」の“ザナドウ”のようだ。
このように、一見すると全く関係のないモチーフがごちゃまぜにプロットにぶち込まれ、いつまでたっても全く映画の輪郭が見えてこない。
アンドリュー・ガーフィールドの手に、ガムで「アメイジング・スパイダーマン」のコミックがくっ付いて離れない描写など、どこまでがシリアスで、どこからがジョークなのかもよく分からなくなってくる。
それでも、なぜだか観ていて面白いのは、作者がこのドラッグでラリったようなイカれた世界を大いに愛しているからだろう。
暇にまかせて探偵を気取り、フラフラとサラを探し求めるダメ人間のサムは、成功できなかったバージョンのミッチェルであり、これは自らの心の迷宮に迷う作者自身によるRPG的冒険譚なのだ。
そして闇鍋の底に残ったもの、サムがたどり着く全ての謎の真相、シルバーレイクの下にあるものは何か。
このクソみたいな世界から脱出するために、人類の上位存在となるという名目で死を願うセレブ達もまた、チャールズ・マンソン一味のマイルド版と見ることができる。
ここで対比されるのが、サムの母親がこよなく愛するジャネット・ゲイナーの主演作、フランク・ボーゼイジ監督の「第七天国」だ。
第一回アカデミー賞三冠、昭和二年のキネ旬ベストワンの名作では、チャールズ・ファレル演じる無神論者の下水掃除人・チコが、虐げられた少女と出逢い、自らの手が届く最も空に近い場所、アパートの七階屋根裏部屋に、彼女と共に“第七天国”を作り上げる。
全てを持ちながら、地下=死を願うハリウッドのセレブたちに対して、この映画の主人公は地下の下水道にいながらも天=生を求めている。
「第七天国」の発したメッセージは、やがて海を越えて永六輔にインスパイアを与え大ヒット曲「上を向いて歩こう」となり、この歌は再び太平洋を渡り「スキヤキ」として、多くのアーティストにカバーされることで、アメリカのポップカルチャーの一部となったのも面白い偶然。
真相にたどり着いたサムは、自らの生を確認するように、覗き見していたもう一人の年増の女性と寝るが、退去させられた彼の部屋にはいつのまにかホーボーの暗号が残されている。
現実と虚構が入り混じる魔都では、すべてが生きながら死んでいるのである。
もの凄く雑多なジャンルからの引用を、紐解いてゆくだけでも嬉しくなっちゃうのだが、ぶっちゃけこれは作者の超マニアックなオタク脳を垣間見る様な悪夢的な作品で、個人的には大好きで満足度も高かったものの、間違っても万人向けの映画ではない。
アングラなミニシアターで、ほくそ笑みながら一人で作品世界に浸るのが相応しい作品だ。
しかし長編三本目でこんなヘンテコな映画撮っちゃって、キャリア的に大丈夫なのだろうか。
今回は悪夢的冒険譚なので「ナイトメア」をチョイス。
ドライ・ジン30ml、デュボネ30ml、チェリー・ブランデー15ml、オレンジジュース15mlを氷と共にシェイクし、グラスに注ぐ。
最後にマラスキーノチェリーを飾って完成。
名前は怖そうだは、デュボネとチェリー・ブランデーの甘みとオレンジの酸味がバランスよく、飲みやすい。
しかしアルコール度数は相当に高いので、油断するとすぐに悪夢に落ちてしまう危険なカクテルだ。
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人の姿をしているが、正体不明の“それ”が延々と追いかけてくるホラー映画、「イット・フォローズ」で注目を集めた俊英、デヴィッド・ロバート・ミッチェルによる、何とも形容しがたい大怪作。
ロサンゼルス、シルバーレイクに住むプータローのサムが、忽然と失踪した隣人の美女を探し、虚構の魔都を彷徨う。
手掛かりになるのは、映画や音楽をはじめとした、様々なポップカルチャーに仕込まれた暗号。
シンクロニシティにサブリミナル、陰謀論に都市伝説のモンスター、更にはヒッチコックからデヴィッド・リンチ、P・T・アンダーソンに至るまでの映画的記憶。
これはまるで、作者の好きなものを節操なく全部ぶち込んだ、闇鍋みたいな映画だ。
「アンダー・ザ・シルバーレイク」には一体何が隠されているのか?
サムの小さな冒険はどこに行きつくのか?
最後まで観ると、ようやくこの意味深なタイトルの意味が分かる。
※核心部分に触れています。
‟犬殺し”の不穏な噂が広まるロサンゼルス、シルバーレイク地区。
ハリウッドでの成功を夢見て、ロサンゼルスへ出て来たものの、結局なにもかも上手くいかず、家賃滞納で部屋も追い出されそうなサム(アンドリュー・ガーフィールド)は、ある日同じコンドミニアムに住む美女サラ(ライリー・キーオー)に部屋へと誘われる。
しかし、懇ろになろうとした時、彼女のルームメイトが帰ってきて、「また明日ね」と追い出されてしまう。
ところが、翌日サムが尋ねると、そこは既に空き部屋。
壁に残されていた暗号と、サラのものを取りに来た謎の女に事件の匂いを感じ取ったサムは、彼女の行方を探し始める。
そんな時、疾走していたハリウッドのセレブ、ジェファソン・セヴンスの焼けた車の中から、セヴンスと三人の女性の遺体も見つかったというニュースが流れる。
その中の一人がサラだと確信したサムは、同人誌「シルバーレイクの下で」の作者に会いに行く。
陰謀論や都市伝説の膨大な知識を持つ彼は、サラの部屋にあった暗号は大恐慌時代に各地を放浪していた集団“ホーボー”の暗号だと解き明かすのだが、それはさらなる謎の始まりに過ぎなかった・・・・
アンドリュー・ガーフィールドの、“ロスト・イン・ロサンゼルス”。
テイスト的には「マルホランド・ドライブ」に「インヒアレント・ヴァイス」を混ぜて、ヒッチコック映画のスパイスを全体に振りかけた様だが、ある意味本作のカオスっぷりはもっとディープ。
舞台となるシルバーレイクは、ハリウッド大通りの東側に位置する、大きな貯水池を中心とした住宅地だ。
近年は家賃が高騰して事情が変わってきているが、伝統的に住人にはビバリーヒルズなどには住めないクラスの芸能関係者が多い。
本作の主人公のサムも、そんな夢追い人の一人だが、ハリウッドの片隅に生きているということ以外、役者などの表方なのか裏方なのかを含め、何をやっている人なのか全く描かれない。
とりあえず30代になっても成功をつかむことはできず、家賃も払えないプータロー状態で、つまりは“何者でもない”存在だ。
ホームレス目前の生活状態でも、車は派手なマスタングGTというのが、いかにも虚栄に生きるこの街の住人らしい。
サムが住んでいるのは、広い中庭をもつコンドミニアムの一室で、彼は「裏窓」のジェームズ・スチュアートよろしく、部屋のバルコニーから双眼鏡で近所の女性を覗き見ている。
彼の目に留まるのは、いつも上半身トップレスで過ごしているオウム飼いの年増の女性と、愛犬と散歩する美女サラ。
サラは自分が覗かれているのを知っていて、あえてサムに声をかけて自室に招き入れるのだ。
ところが、もう少しでベッドインというところで追い出されたサラの部屋は、翌日にはもぬけの殻になっており、諦めきれないサムは彼女の行方を捜し始める。
いったいサラは何者だったのか?どこへ消えたのか?
ここから、にわか探偵となってシルバーレイクを彷徨い始めるサムは、同じジェームズ・スチュアートでも死んだはずのキム・ノヴァクの影を追って、次第に正気を失ってゆく「めまい」のキャラクターへのオマージュだ。
運命の女、サラを演じるのはライリー・キーオー。
この人、実はあのエルビス・プレスリーの孫娘で、彼女のキャスティング自体が最初からポップカルチャーのアイコンのメタファー。
デヴィッド・ロバート・ミッチェルは、この映画のカオスのロサンゼルスに、生と死の混乱をイメージさせる多くのモチーフを散りばめる。
冒頭の店の窓に落書きされた、「犬殺しに気をつけろ」の文字を消している店員が着ているのは、ドアーズのヴォーカリストで謎多き死を遂げたジム・モリソンのTシャツ。
サラを探すサムは、ヒッチコックの墓が鎮座するハリウッド・フォーエヴァー霊園で行なわれている野外上映会に迷い込むが、上映されているいるのはミッチェルの長編デビュー作「アメリカン・スリープオーバー」。
ただしオリジナルではなく、一場面を本作のキャストで再現したもので、もはや現実と虚構、生と死は境界を失い溶け合ってゆく。
ちなみにミッチェル自身の青春時代を反映したこの映画には、「モスラ」のパチモンの「モスキータ」なる怪獣映画が劇中劇として登場していたり、とぼけたポップカルチャー好きの嗜好は既に現れていて、本作や「イット・フォローズ」の原点的な部分もある。
失踪したサラは、ハリウッドのセレブ、ジェファソン・セヴンスの死に巻き込まれたらしいが、セヴンスの娘はサムの持っている雑誌のヌード写真と同じ姿となって、シルバーレイクで何者かに殺される。
チャールズ・マンソン一味っぽい、ロックバンドの「イエスとドラキュラの花嫁」の歌詞に隠された暗号に気づいたサムは、全ての世代のヒット曲を作ったと豪語する“ソングライター”に会いに行くが、彼の住む豪邸は、まるで「市民ケーン」の“ザナドウ”のようだ。
このように、一見すると全く関係のないモチーフがごちゃまぜにプロットにぶち込まれ、いつまでたっても全く映画の輪郭が見えてこない。
アンドリュー・ガーフィールドの手に、ガムで「アメイジング・スパイダーマン」のコミックがくっ付いて離れない描写など、どこまでがシリアスで、どこからがジョークなのかもよく分からなくなってくる。
それでも、なぜだか観ていて面白いのは、作者がこのドラッグでラリったようなイカれた世界を大いに愛しているからだろう。
暇にまかせて探偵を気取り、フラフラとサラを探し求めるダメ人間のサムは、成功できなかったバージョンのミッチェルであり、これは自らの心の迷宮に迷う作者自身によるRPG的冒険譚なのだ。
そして闇鍋の底に残ったもの、サムがたどり着く全ての謎の真相、シルバーレイクの下にあるものは何か。
このクソみたいな世界から脱出するために、人類の上位存在となるという名目で死を願うセレブ達もまた、チャールズ・マンソン一味のマイルド版と見ることができる。
ここで対比されるのが、サムの母親がこよなく愛するジャネット・ゲイナーの主演作、フランク・ボーゼイジ監督の「第七天国」だ。
第一回アカデミー賞三冠、昭和二年のキネ旬ベストワンの名作では、チャールズ・ファレル演じる無神論者の下水掃除人・チコが、虐げられた少女と出逢い、自らの手が届く最も空に近い場所、アパートの七階屋根裏部屋に、彼女と共に“第七天国”を作り上げる。
全てを持ちながら、地下=死を願うハリウッドのセレブたちに対して、この映画の主人公は地下の下水道にいながらも天=生を求めている。
「第七天国」の発したメッセージは、やがて海を越えて永六輔にインスパイアを与え大ヒット曲「上を向いて歩こう」となり、この歌は再び太平洋を渡り「スキヤキ」として、多くのアーティストにカバーされることで、アメリカのポップカルチャーの一部となったのも面白い偶然。
真相にたどり着いたサムは、自らの生を確認するように、覗き見していたもう一人の年増の女性と寝るが、退去させられた彼の部屋にはいつのまにかホーボーの暗号が残されている。
現実と虚構が入り混じる魔都では、すべてが生きながら死んでいるのである。
もの凄く雑多なジャンルからの引用を、紐解いてゆくだけでも嬉しくなっちゃうのだが、ぶっちゃけこれは作者の超マニアックなオタク脳を垣間見る様な悪夢的な作品で、個人的には大好きで満足度も高かったものの、間違っても万人向けの映画ではない。
アングラなミニシアターで、ほくそ笑みながら一人で作品世界に浸るのが相応しい作品だ。
しかし長編三本目でこんなヘンテコな映画撮っちゃって、キャリア的に大丈夫なのだろうか。
今回は悪夢的冒険譚なので「ナイトメア」をチョイス。
ドライ・ジン30ml、デュボネ30ml、チェリー・ブランデー15ml、オレンジジュース15mlを氷と共にシェイクし、グラスに注ぐ。
最後にマラスキーノチェリーを飾って完成。
名前は怖そうだは、デュボネとチェリー・ブランデーの甘みとオレンジの酸味がバランスよく、飲みやすい。
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