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ショートレビュー「クリード 炎の宿敵・・・・・評価額1700円」
2019年01月16日 (水) | 編集 |
虎の目を取り戻せ!

前作に勝るとも劣らない、素晴らしい仕上がりだ。
とは言っても、作品のベクトルとテイストはかなり異なるのだが、これは前作で監督・脚本を担当したライアン・クーグラーがエグゼクティブ・プロデューサーに退き、作り手の顔ぶれがガラリと変わったのが大きい。
監督は本作が長編2作目となるスティーヴン・ケープル・Jr.にバトンタッチし、チェオ・ホダリ・コーカーと共同で脚本を担当しているのはスタローン自身なのである。
ぶっちゃけ、遂にチャンプになって父と並んだアドニス(ドニー)とロッキーが、因縁のドラゴ親子の挑戦を受ける物語は、セオリー通りの展開で新鮮味はなく、人間ドラマの面白さは前作に及ばない。
しかし、クーグラー色の強かった前作より、ずっと「ロッキー」している本作は、外連味たっぷりのボクシング映画の魅力としてはむしろ上回っているのだ。
何より、ロッキーに負けたことで人生そのものが狂ってしまった、ドラゴ親子のエキセントリックさがいい。
復讐のために息子に重荷を背負わせるとか、「ドラゴンボール超 ブロリー」のベジータへの怨みに囚われたブロリー親父にデジャヴ。

だが、実はこのコンセプトは、オリジナルシリーズの一作目と、二作目以降の関係と同じ。
一作目の「ロッキー」でアポロ・クリードに敗れるも、その善戦によって時の人となったロッキーが「ロッキー2」でチャンピオンとなると、シリーズは良くも悪くも見世物としての色彩を強め、第3作「ロッキー3」では当時人気絶頂のプロレスラー、ハルク・ホーガンと異種格闘技戦を行い、冷戦末期に作られた本作の前日譚でもある「ロッキー4/ 炎の友情」では、アメリカの威信をかけてソ連代表のドラゴと戦った。
要するに今回は、冒頭で「ロッキー2」をやって、「3」のプロットを踏襲しつつ、「4」に繋げたようなもの。
実際のヘビー級ボクサーだという、フローリアン・ムンテアヌ演じるドラゴの息子ヴィクターが、ドニーよりもずっと大きくて、もう見た目で全然勝てそうもないのも嘗てのvsドラゴ戦と同じ(スタローンとドルフ・ラングレンの身長差は実に20㎝以上!)。
肉体改造のための地面をひたすらぶっ叩く効果のよく分からない練習法とか、砂漠の真ん中にあるマッドマックスな“虎の穴”とか、ヒロインのテッサ・トンプソンの歌手設定を生かしたクライマックスのド派手な入場とか、サービス精神マックスの展開に観ていて嬉しくなってしまった。

中盤とクライマックスに配されたボクシングシークエンスは、意外と結構短いのだけど、展開はスリリングで結末が分かっていてもなんだか凄い試合を観た気にさせる。
やっぱオリジナル世代としては、実にいいところでロッキーのテーマがかかるだけで無条件にアガってしまうのだ。
そして過去40年にわたるシリーズの積み重ねが、画面に映らない部分からドラマに深みを与えている。
30年前のアポロとの戦いの顛末があるからこそ、クライマックスの最後にドラゴ父がとるある行動には、色々な感情が動かされてグッとくるものがあった。
劇中何度も繰り返されるのが「なぜ戦うのか?」という問い。
キャリアを重ねるに従って、ドニーの中でもその意味は変化している。
前作が「何者でもない若者が何者かになる」までの話だとしたら、これは「何者かであり続ける」ことの意味を描いた作品。
セオリー通りでも作劇と人物描写は非常に丁寧で、説得力は十分。
終幕である決断をするロッキー、未来を向くドニー家族、再起をかけるドラゴ親子のその後にも余韻が広がる。

しかし、ドルフ・ラングレンはともかく、色んな意味でスタローンにも因縁深い、“あの人”まで出て来るとは思わなかった。
ドラゴ親子の台詞の、“あの人”への恨み節は、変な意味で実感こもってたな(苦

今回の決戦の舞台はモスクワ。
というわけで「モスクワのラバ」こと「モスコ・ミュール」をチョイス。
氷を入れたグラスに冷やしたライム・ジュース15ml、ウォッカ45ml、適量のジンジャーエールを注ぎ、ステアする。
本来のレシピはジンジャービアなので、それでもよい。
最後にスライスしたライムを入れて完成。
名前の由来は「ラバに蹴飛ばされるほど強い」という意味で、まさにヴィクター・ドラゴのパンチのような酒だ。

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