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ショートレビュー「チワワちゃん・・・・・評価額1600円」
2019年01月28日 (月) | 編集 |
誰もチワワちゃんのことを知らない。

ある日、東京湾で見つかったバラバラ死体。
被害者は二十歳の看護学校生・千脇良子、通称“チワワちゃん”
モデル活動もしていた彼女は、東京の片隅で青春を謳歌する、ある若者グループのマスコット的存在だった。
門脇麦演じるミキが、本作のストーリーテラー。
マスコミが虚実のはっきりしない情報を垂れ流す中、ミキは本名も知らない“友だち”だったチワワちゃんが、本当はどういう女の子だったのか、彼女の実像をどうしても知りたくなる。

昨年の「リバーズ・エッジ」に続く、岡崎京子の漫画の映画化。
同作とほぼ同時期の1994年に発表された原作は、30ページほどの短編作品だ。
時代設定を含めて、原作に非常に忠実に作られていた「リバーズ・エッジ」とは対照的に、本作の舞台は現在。
映画の前半は、大人たちの“ヤバイ金”600万円を奪った若者グループが、その金を三日で使い果たす、ミキいわく“青春の自爆テロ”のエピソードが続く。
ハーモニー・コリンの「スプリング・ブレイカーズ」を思わせる、狂乱の一夏を描くパーティームービーのパートは、原作には存在しないオリジナル要素だ。
後半は、その後殺されるまでの約2年の間に、チワワちゃんに何が起こったのか、不思議な焦燥にかられたミキが、交流のあった仲間たちに聞いて回る。
この部分は基本原作に忠実なのだが、浅野忠信演じるカメラマンのサカタなど、原作では名前が出てくるだけのキャラクターの比重が大きくなっていて、チワワちゃんを巡る人物相関はより複雑化している。

赤や緑の原色たっぷりの、浮世離れした映像。
アンダーグラウンドな若者たちのカルチャーと、シームレスにつながる怪しげな芸能界。
27歳の新鋭・二宮健監督は、岡崎京子的モチーフをテンポ良く、スタイリッシュに描写する。
原作の発表から25年がたった現在が舞台ゆえ、当時は存在しなかったSNSが重要な要素になっているが、元の話が極めて普遍的だから、新しい要素は自然に作品世界に吸収されていて、違和感は全くない。
ここでの門脇麦は、「リバーズ・エッジ」の二階堂ふみ同様、十人十色のチワワちゃん像を入れる空っぽの器の役回り。
彼女自身は、さほど大きな葛藤もないし、強い個性もない。
だからこそ、“殺人”という究極の非日常によって、突然人生を断ち切られたチワワちゃんが気になって仕方がないのだ。
人生の最もビビッドな1ページの共犯者として、ミキはチワワちゃんと言う曖昧な偶像を、現実を一生懸命に生きて死んだ、一人の女性として捉えようとする。

気のおけない遊び仲間だったり、料理上手な恋人だったり、破天荒なセックスフレンドだったり、クスリに手を出して借金しまくってるヤバいやつだったり、語る人物によってチワワちゃん像は全く異なる。
結局チワワちゃんが何者だったのかは、最後までハッキリしない。
本人はもういないし、彼女の実像が分かったところで何かが変わる訳でもない。
でも104分の映画を観終わると、ミキだけでなく私たち観客もチワワちゃんがとても愛おしくなり、彼女にもう一度会いたくてたまらなくなる。
それは「羅生門」の様に、多面的に浮かび上がるチワワちゃんの断片が、誰の心にもある過ぎ去った青春の狂騒と閉塞のアイコンだからだ。
タイトルロールを演じる吉田志織が、役柄同様の鮮烈な印象を残す。
漫画の映画化という点では、ビジュアル的なキャラクターの再現性も素晴らしい。
作り手のセンス・オブ・ワンダーを感じさせる、愛すべき佳作である。

今回は燃えたぎる青春の熱情「サンブーカ・コン・モスカ」をチョイス。
度数の高いイタリアのリキュール、サンブーカを使った、文字通りに燃えるカクテル。
グラスに透明なサンブーカ30mlを注ぎ、焙煎済みのコーヒー豆を3、4粒浮かせる。
サンブーカに火をつけ、20秒ほど経ったらグラスの口を不燃性の蓋で覆って消火。
コーヒーの香りを楽しみつつ、少しグラスを冷ましてからいただく。
浮かべたコーヒー豆はポリポリかじってもいい。

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