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スパイダーマン:スパイダーバース・・・・・評価額1800円
2019年03月02日 (土) | 編集 |
自分を信じて飛べ!

「スタイダーマン」シリーズの最高傑作が爆誕。
しかもそれは、ピーター・パーカーを主人公とした実写シリーズからではなく、彼の死後図らずも二代目となった未熟な新米スパイディ、マイルスを主人公にしたスピンオフ的なアニメーション作品なのである。
アニメーションでしか表現し得ない、誰も見たことない驚きの世界がスクリーン結実し、煮えたぎる創作の熱がほとばしる。
物語の展開は、スピーディーでエモーショナル。
目くるめく映像は膨大な情報量を持ち、一瞬たりとも脇見を許さない。
「LEGO ムービー」のフィル・ロードとクリス・ミラーがプロデュースし、ロードとロドニー・ロスマンが脚本を担当。
共同監督を務めるのはロスマン、ピーター・ラムジー、ボブ・ペルシケッティ。
長年にわたるディズニー・ピクサーの牙城を崩し、本年度アカデミー長編アニメーション映画賞を受賞した話題作だ。

ニューヨークに暮らすマイルス・モラレス(シャメイク・ムーア)は、叔父のアーロン(マハーシャラ・アリ)と地下のトンネルで趣味のグラフィティアートを描いている時、突然変異したクモに噛まれ、スパイダーマンの能力を得る。
自分の変化に戸惑うマイルスだったが、ある夜キングピン(リーヴ・シュレイバー)たちが加速器を使って、多次元宇宙への扉を開く実験をしているところに出くわしてしまう。
そこへピーター・パーカーが現れ、なんとか実験を途中で阻止するが、大怪我を負ったピーターは、加速器を破壊するためのメモリースティックをマイルスに渡して絶命する。
キングピンが加速器を直し、実験を再開すれば今度こそ次元の衝突が起こって街は滅びる。
スパイダーマンの死のニュースに、ニューヨーク中が悲しみにくれる中、マイルスは二代目となるための訓練を始めるが、なかなか上手くいかずにメモリースティックを壊してしまう。
落ち込むマイルスの前に、ピーター・パーカーそっくりだが、どこかが違う男が現れる。
彼の名はピーター・B・パーカー(ジェイク・ジョンソン)。
キングピンの実験の影響を受けて、他の宇宙から飛ばされてきた、もう一人のスパイダーマンだった・・・


過去のシリーズと違って、今回は「スパイダーバース」というくらいなのでチーム戦。
ピーター・パーカー亡き後、一人でキングピンの実験を阻止する羽目になったマイルスの元へ、平行宇宙から個性豊かな五人のスパイダーマンが現れる。
この世界のピーター・パーカーに似ているが、くたびれたメタボ中年となったピーター・B・パーカーに、スパイダー・グウェンことグウェン・ステイシー。
さらには過去世界からはスパイダーマン・ノワール、未来のニューヨークからはスパイダー・ロボットのSP//drを操る日系少女のペニー・パーカー、そしてなぜかコミカルなブタの姿をしたスパイダー・ハムことピーター・ポーカー。
マイルスを含めた六人ものスパイディと戦うのだから、敵もボスキャラのキングピンを筆頭に、お馴染みヴィランズが大集合。
プロウラーにグリーン・ゴブリン、ドクター・オクトパスにスコーピオンにトゥームストーンが、それぞれの能力を生かしてスパイディ・チームとバトルを繰り広げるのだから、ある意味「アベンジャーズ」より豪華だぞコレは。

圧倒的な未見性を生み出しているのは、まるでコミックがそのまま動き出した様な、奇抜なビジュアルだ。
コミック的表現にトライした作品は、過去にもあった。
しかしその自由さ、クオリティとバリエーション、そして何と言っても映像センスにおいて本作は次元が違う。
コマ割りやドット、漫符や音喩といった、あらゆるコミック的手法が、リミテッド調のキャラクターアニメーションとカッティング、様々なビジュアル・エフェクトという映像ならではの要素と融合し、まるで自分が目の前ので展開するカラフルなコミック世界に入り込んだような感覚。
フィル・ロードは、「LEGO ムービー」でも新しい表現手法を見事にドラマに落とし込み、生かしきっていたが、今回もその特質は存分に発揮されている。
これを隅々まで味わい尽くすためには、可能な限り大きなスクリーンでの3D上映で前の方の席、できればIMAX3Dがオススメだ。

スパイダーマンたちが元いた世界によって、絵柄が異なっているのも面白い。
中心になるマイルス、ピーター・B、グウェンの三人は基本的に同じ世界観、同じタッチで描かれているのだが、過去から来たスパイダーマン・ノワールは白黒で、本人も色を認識できない(笑
日系少女のペニー・パーカーと相方のロボットは、日本のアニメ絵。
原作コミックではこの様なデザインではないので、これは完全に萌えキャラを意識したものだろう。
一人だけ二頭身で動物の姿をしているスパイダー・ハムは、日本人にはスパイダー・スーツを着たヒョウタンツギに見えて仕方がないのだが、嘗てのアメリカン・カートゥーンの世界をイメージしたキャラクターだ。
古典からアニメの萌え少女まで、全く違ったタッチのキャラクターが混じり合うカオスな世界。
しかもその混沌っぷりがムッチャカッコいいのだから、これこそ作り手のセンス・オブ・ワンダーの賜物だ。
ここには、文字通り漫画・コミック文化の宇宙がある。

もちろん、映像の力だけで魅せる映画ではない。
平行宇宙の設定を活かした、コミカルでダイナミックなアクションは楽しいが、物語のコアの部分には今までのシリーズと同様の「大いなる力には、大いなる責任が伴う」のテーマが継承され、マイルスの成長と共に描かれている。
超常の力を得た後も、マイルス自身はむしろその力を呪いのように感じ、スパイダーマンにはなりたくないと思っているのだが、状況がそれを許さない。
もしもキングピンが再実験をすれば、彼の愛する人たちが皆消えてしまうのだ。
親子の確執を抱えたマイルスの父親は警察官、母親はナースと共に人を助ける仕事をしているのも、彼の行動原理の源を感じさせる。
また父親はアフリカ系、母親はプエルトリコ出身という人種設定も、オリジナルのピーター・パーカーのシリーズとは対照的で、世界観の広がりに繋がっている。
物語の終盤に、マイルスがある大切な人物を喪失する試練も、「大いなる責任」を背負う覚悟の必要を強く認識させる。
いつも靴紐のほどけたマイルスのスニーカーが「エア・ジョーダン」だったり、細かな遊び心もいい。
全てをゼロから作り上げるアニメーションの世界では、画面に映る全てのことに意味があるのだ。
キングピンが異次元の扉を開けようとする訳も切ないのだが、彼の動機付けはちょっと「ベイマックス」のキャラハン博士を思い出した。
喪失にどう向き合うかは、本作の重要なサブテーマとなっている。

「スパイダーマン:スパイダーバース」は、これまたセンス良く“説明”をしてくれるので、実写シリーズを観たことがなくても十分に楽しめる。
今年のアカデミー賞の長編アニメーション映画賞の候補作はどれも素晴らしかったが、やはりアートとテクノロジーが融合した新しさは本作がダントツだった。
本作の大ヒットを受けて、早くも続編のプリプロダクションが始動した様だが、ちょっと頼りない二代目マイルスがどう成長してゆくのか、今から凄く楽しみだ。
そのうち、トム・ホランド主演の実写シリーズや、「ヴェノム」とも絡んできても面白いかも。
平行宇宙設定なら、ある意味なんでもアリな訳だし。

ちなみにメイおばさんのキャラクターが元のシリーズとはだいぶ違って、バットマンのアルフレッドみたいになっていて、ピーター・パーカーの秘密基地がブルース・ウェインかトニー・スタークかの様な凄いことになっているのだが、あの財力は一体どこから来たのか(笑

今回はスパイダー・グウェンのイメージで「ホワイト・スパイダー」をチョイス。
冷やしたウォッカ40ml、ホワイト・ペパーミント20mlをシェイクしてグラスに注ぐ。
ペパーミントの香りが爽やかで、氷を思わせる見た目もクールで美しい。
気分をスッキリさせてくれる、美味しいカクテルだ。

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