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アド・アストラ・・・・・評価額1700円
2019年09月21日 (土) | 編集 |
その旅の終わりに、答えはあるのか?

「アド・アストラ」とは、ラテン語で「星々へ」の意味。
ブラッド・ピットが自身初の本格SFで近未来の宇宙飛行士を演じ、29年前にある計画のため宇宙探査に出て行方不明となった父を探して、43億キロの遠大な旅に出る。
死んだと思われていた父は、なぜ今行動を起こしたのか?
失われた父性に向かう旅路の果てに、主人公は何を見つけるのか?
「リトル・オデッサ」「エヴァの告白」などで知られる、ジェームズ・グレイ監督とイーサン・グロスによるオリジナル脚本。
今なおロイの心を支配する父クリフォードをトミー・リー・ジョーンズが演じ、ロイの別れた妻をリブ・タイラー、クリフォードの元同僚にドナルド・サザーランドといういぶし銀の布陣。
SF大作ではあるが、フィーチャーされるのは一人の男の内面であり、主人公の心の機微を繊細に演じるブラッド・ピットの演技が最大の見ものだ。
※核心部分に触れています。

近い未来。
宇宙軍のロイ・マクブライド少佐(ブラッド・ピット)は、地球外生命の存在の証拠を求め、深宇宙への冒険の旅の途中で消息を絶った父の後を追って、自らも宇宙飛行士の道を選んだ。
ある日、ロイは成層圏に聳えるアンテナの作業中、サージ電圧による事故に遭遇し地上へ落下するも、冷静な対応で一命を取り留める。
軍に呼び出されたロイは、衝撃の事実を知らされる。
世界規模で大混乱を引き起こしたサージは、海王星で起こった現象が波及したもので、その原因を作り出しているのが、死んだと思っていた父のクリフォード(トミー・リー・ジョーンズ)だと言うのだ。
ロイが10代だった29年前に地球を出発し、13年前に通信が途絶した父の宇宙船は今も海王星軌道上にいて、目的不明の反物質反応を引き起こして、太陽系全体を危機に陥れている。
宇宙船の正確な位置を特定するために、ロイはサージの影響を免れた火星基地へ向かい、父に向けた音声メッセージを送ることに同意する。
しかし、メッセージを送った後に動揺をきたしたロイに、地球への帰還命令が下る。
彼は父のいる海王星へと向かう核爆弾を積んだ宇宙船に、なんとか乗り込もうとするのだが・・・・


物語の自由度の高いSFには、様々なアプローチの作品が存在する。
例えばスタンリー・キューブリックの「2001年宇宙の旅」は、徹底的に現象のみを描くことで、宇宙における人間の存在の意味を哲学的に思考しようとした。
対照的なのが、宇宙の無限の虚空の中で、人間のエモーションに深く踏み込んだ作品で、ロバート・ゼメキスが天文学者のカール・セーガンの小説を映画化した「コンタクト」や、その強い影響を受けたクリストファー・ノーランの「インターステラー」が記憶に新しい。
これらは宇宙を人間の心を浮かび上がらせる舞台装置として捉えた作品で、本作もこの系譜に連なる一本と言っていいだろう。
違いは、「コンタクト」と「インターステラー」が共に父と娘の関係を軸にしていたのに対し、こちらは父と息子だということ。
同性同士ゆえに、より互いを鏡像として見る意味が強くなっている。

“近い未来”となっている、世界観設定が絶妙。
おそらく今後100年以内くらいのイメージなんだろうけど、宇宙は現在ほど遠くはなく、火星まではアクティブな人類の活動圏となっていて、ちょうど「2001年宇宙の旅」で描かれたのと同じくらいの技術レベル。
月面の居住区内だと、なぜか1/6の重力の差が全く反映されない辺りまで、あの映画をベンチマークしないで良かったと思うが、何か特別な技術が開発されているということにしておこう。
いずれにしても現実との地続き感は強く、充分にリアリティを感じられるレベル。
国境のない月面が資源争奪で無法状態だったり、動物実験が宇宙でも行われている描写も、本作のテーマを導き出す伏線としてうまく機能している。
「インターステラー」をはじめとするノーラン作品で知られる撮影監督、ホイテ・ヴァン・ホイテマがそのノウハウを注ぎ込んだ、ザラッとした硬質な手触りのフィルム撮りの映像も、画面に映っているものの実在感を高めて秀逸だ。

ブラッド・ピットが好演する宇宙飛行士ロイ・マクブライドは、どんな時でも心拍数が80を超えず、常に冷静沈着。
冒頭のサージ事故の際も、成層圏からの落下中に姿勢を整え、リスクを最小限に抑えてパラシュートを開き、帰還に成功する。
宇宙飛行士として優秀な反面、他者との関係はうまく築けず、妻のイヴとは離婚し子供もいないお一人さま。
本人は危険な仕事だから他人の人生を巻き込みたくないと嘯くが、多感な十代の時に父が失踪した影響は明らかで、コミュニケーションの姿勢に問題を抱えている。
そんな主人公が、アイデンティティの原点とも言える、父を探す旅を通して自らとも向き合ってゆくのが本作の骨子。
物語の構造は、いわば宇宙を舞台とした「闇の奥」であり、ロイを映画版「地獄の黙示録」の主人公ウィラード、クリフォードをカーツ大佐に当てはめればピタリとハマる。
これは自らの殻を破る為のメンターを求める、ちょっと遅めの“ビジョンクエスト”であり、中年男性版の“自分探しの旅”でもあるのだ。

宇宙軍の組織を守るため、オフィシャルには単に行方不明となり、任務に殉じた英雄ということになっているクリフォード。
息子のロイもそれを信じ、偉大な父の背中を追ってきたが、隠蔽されていた真実は、旅の途中で地球外生命探しを諦め、地球への帰還を求める者と、続行を主張する者の対立が生じ、クリフォードが帰還派を“粛清”したというもの。
利己的に争う人類の愚かしさとは無縁と思ってきた父の実像に、冷静沈着を信条とするロイも動揺せざるを得ない。
クリフォードの男性原理的な傲慢さの罪と直接向き合うために、強引な手段で宇宙船に乗り込んだことで、ロイ自身も大きな過ちを犯す。
二人のマクブライドの行動と罪が重なってくることで、ロイは否が応でも自分の中に父と同じ面があることを突きつけられるのである。
主人公は魅力的に造形されているが、ジェームズ・グレイの演出は、キャラクターへの過度の感情移入を求めず、適度な距離を置くことでより客観的にテーマ的な追及を深めているように思える。

私たち人類は、この宇宙で本当に孤独な存在なのだろうか?
この答えを見つけ出すためのクリフォードの旅と、29年後に彼の後を追ったロイの二世代に渡る遠大な旅の果てに、父と息子は現象としては同じ答えにたどり着くが、そこに全く逆の意味を見出す。
クリフォードは、「知的生命体は見つからなかったから、旅は失敗だった」と言うが、ロイは「失敗していない。(他の生命が見つからなかったこそ)私たちはお互いの関係が全てだ」と答えるのである。
人類が宇宙でも唯一無二の存在だとしても、それは孤独であることを意味しない。
私たち自身がお互いに寛容に共感し合い、心を開いて愛し合うことで、世界はより良き場所へとなってゆく。
この時点で彼は、名誉と実利的な結果をファーストプライオリティとする、男性原理的な父の罪から解放されているが、一方のクリフォード自身はそうではない。
地球から43億キロの物理的な旅と、内なる父と対話するロイの心の旅が絡み合い、人生に一つの答えを出す。
あまりに強引な宇宙船への帰還の方法とか、突っ込みたくなるディテールはあるものの、宇宙という虚空に浮かんだ人間性の根源を浮かび上がらせた、ウェルメイドなヒューマンドラマだ。

今回は宇宙飛行士を意味する「アストロノート」をチョイス。
ラム20ml、ウォッカ20ml、レモン・ジュース20ml、パッション・フルーツ・ジュース1dashをシェイクしてグラスに注ぐ。
半透明のイエローが月光を思わせ、美しい。
アルコール度数は高いが、レモンの酸味がスッキリとした味わいを演出する、華やかなカクテルだ。

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