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ショートレビュー「家族を想うとき・・・・・評価額1700円」
2019年12月19日 (木) | 編集 |
私たちの物語。

これはハードにつき刺さる映画だ。
社会保障のシステムから、理不尽に締め出された弱者を描いた「わたしは、ダニエル・ブレイク」に続いて、83歳の巨匠ケン・ローチが英国の市井の人々の厳しい人生を描く。

舞台はイングランド北東部のニューカッスル。

マンチェスター出身で、10年前の金融危機で建設の仕事を失い、増え続ける借金と闘いながら職を転々としている中年オヤジ、リッキーが主人公。
妻のアビーは訪問介護師で、自分は個人事業主として宅配便のフィランチャイズの仕事をはじめたばかり。
一度は諦めた夢のマイホームを買うために必死に働きながら、長男のセブと長女のライザ、二人の子供を育てる日々。

しかし少しでも稼ぐために時間に追われ、いつしか子供たちと共に過ごす時間が減っていき、家族はバラバラになりかけている。

個人事業主とは名ばかりで、自分の宅配ルートを維持するために四六時中働きっぱなし。
休みは取れず、ケガや病気の保証も無く、荷物を管理・追跡するために、会社からレンタルしている高価なスキャナー端末に生活のすべてを支配される。

日本でも最近Uber eatsの労働問題が話題となったが、実質的には単なるブラック企業の労働者なのに、形式的に個人事業主扱いになってしまうこの手のシステムは、ちょっとした副業くらいならともかくオールインは怖すぎる。

妻のアビーも同じ様な雇用形態で、もともと優しく献身的な人ゆえに、担当している老人たちが困難に陥ると無給でサービス出勤することも。


貧困とは金が無い、イコール時間が無いことである。
映画を観ていると、もっとまともに働ける職場に移ればいいのにと思わないでもないが、現実には常に疲れ果てていて何も考えられず、次から次へと出てくる目の前の問題に対処するので精一杯。
明日をどう乗り切るか?以上の事を考える心の余裕がそもそも無いのだ。

働いても働いても楽にならない、そんな親を見て育つ子供達も、どこか諦めてしまっていて、コミュニケーションが取れていないので家族の関係もギクシャク。
爪に火を灯す様にして稼いだ金が、反抗期のドラ息子の不祥事で吹っ飛んでしまう事態には、リッキー目線で見ていると怒りが湧き上がってくるが、息子は息子で絶望を募らせているんだよなあ。


映画の中で起こっていることは、全てが普通で恐ろしくリアル。
どのエピソードも宅配や介護の仕事あるあるだし、親子関係の諸々の話も誰もがどこかで経験してきている様なものばかりだ。

遠い英国を舞台とした物語ではあるのだが、このプロットをそのまま日本に置き換えても全く自然に成立してしまうのだ。

いや、ゼロ年代に新自由主義的政策の洗礼を受けた国なら、世界中どこでも当てはまる話だろう。

この物語が圧倒的な普遍性を持つということは、私たちの社会は無責任資本主義とでも言うべき、おかしな方向へ向かっている様に思えてならない。

原題の「sorry we missed you(お会いできずに残念です)」は、リッキーの勤める宅配便の不在票に書かれた言葉。
彼は、いつの間にか宅配の客だけでなく、愛する家族をも「miss」しそうになっている。

常に穏やかで決して怒りの感情を見せないアビーが、あることでリッキーの上司、もとい契約相手にブチ切れる瞬間と、あまりにもビターなその後の展開。
リッキーの一家に起こったことは、明日は我が身に起こっても決して不思議ではない。

これは世知辛い時代を生きる、「私たちの物語」だ。

こんな世の中、パブでビールでも飲まないとやってられねえ!
ということで、今回は舞台となる町の名前繋がりから、「ニューキャッスル ブラウンエール」をチョイス。
香りは豊かだが比較的軽く、苦味が少なくて非常に飲みやすい。
そのため英国では、犬の散歩の途中でパブに立ち寄る飼い主に好まれるので、「ドッグ・ビール」とも呼ばれているそう。

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