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ショートレビュー「暗数殺人・・・・・評価額1600円」
2020年04月14日 (火) | 編集 |
殺されたのは誰?

タイトルの「暗数」とは、警察が把握している事件の件数と、実際に起きているが警察が把握していない事件件数の差のこと。
要するに、誰にも知られることなく、闇に葬られた完全犯罪の数である。
本作では、チュ・ジフンが怪演する殺人犯のカン・テオが、キム・ユンソク演じるキム刑事に、突然「あと七人殺した」と自白する。
二転三転する供述に振り回されながらの大捜索の結果、身元不明の白骨死体が発見される。
ところが、カン・テオは「自分は運んだだけで殺してない」と、一転して自白を覆すのだ。
物証が少なく、自白に頼った捜査が冤罪を生みやすいのは万国共通。
カン・テオの目的は、情報を出し惜しみした供述で警察と検察を手玉に取り、裁判で無罪を勝ち取って公権力に対する世間の信用を失わせ、最後には自分が逮捕された殺人事件の再審を請求すること。
※以下、核心部分に触れています。

物語は実際に起こった事件に基づいていて、監督・脚本を務めるキム・テギュンは、キャラクターに過度に感情移入させることなく、適度な距離をとり淡々と物語を紡ぐ。
ちなみに一部メディアで混同されている様だが、「火山高」や「クロッシング」で知られるベテラン、キム・テギュン監督とは同姓同名の別人である。
ユニークなのが、おそらくは創作だと思われる主人公のキム刑事のキャラクターで、万年ヒラの現場刑事にして、数年前に妻をひき逃げ事件で失っている男やもめ。
その実、父親が裕福な事業家で、本人も株を持っていて、高級車を乗り回し休日はゴルフというリッチな生活。
色々達観してしまって、いわば趣味で捜査をしている様な人物ゆえに、カン・テオの戯言にも冷静沈着にじっくり付き合えるのである。
憎ったらしい切れ者の殺人鬼を演じる、チュ・ジフンのクズっぷりが本作の白眉だ。
金持ちだけど、実直で人情肌のキム刑事とのコントラストが際立つ。
カン・テオは自慢げに過去の犯罪を口にするが、彼の言っていることは半分本当で半分は嘘。
そのまま受け取れば翻弄されるだけなので、キム刑事はコンゲームを仕掛ける殺人鬼との対話を通して、半分の嘘に隠された真実を見極め、彼を追い詰めなければならない。

映画は基本的に、キム刑事とカン・テオの本心を探り合う対話、曖昧な供述を立証すべく駆けずり回るキム刑事の捜査、そしてどこまでが本当か分からない殺人の回想の各シークエンスの組み合わせで構成されている。
キム刑事は困難な捜査の末に、コツコツと証拠を集めて、遂にある刺殺事件を起訴に持ち込むのだが、ここからの展開も一筋縄ではいかない。
確たる物証がなく、状況証拠で事実関係を積み上げてゆくだけなので、時にはカン・テオの思惑通りになってしまうのだ。
ぶっちゃけ素人目にはちゃんと立証できてるように思うのだけど、裁判になると認められない供述が多かったのだろう。
これも実話ベースゆえか、基本は会話劇で地味な話ではあるのだが、丁寧に造形されたキャラクター同士の、火花散る演技合戦は充分にスリリング。
死者の気持ちに寄り添う、キム刑事の矜恃にはグッとくる。
中盤である容疑者を長年に渡って追い続け、結果警察を辞めることになった元刑事のエピソードが出てくるが、これは21世紀の韓国サスペンス映画の源流と言えるポン・ジュノの傑作「殺人の追憶」へのオマージュだろう。
底なし沼の様に、見えぬ全貌に呆然とさせられるラストも含めて、あの映画の影響は強く感じられる。
韓国の映画賞で脚本賞を総ナメにするほど高い評価を受けた構成の上手さもあり、最後まで先を読ませない。
実録サスペンス映画の、いぶし銀の佳作である。

今回は映画の舞台となった釜山の焼酎「C1」をチョイス。
「C1」ってなんぞや?と思ったら「Clean No.1」の略だとか。
韓国では地域ごとに人気のご当地焼酎があって、釜山では同市のデソン酒造の作る「C1」が大人気。
アルコール度数も比較的低く、マイルドで飲みやすい。
そのまま飲んでも良いが、個人的には冷やしてスパークリングウォーターで割るのが好み。

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