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ショートレビュー「君が世界のはじまり・・・・・評価額1650円」
2020年08月06日 (木) | 編集 |
はじまりの朝は、美しい。

なるほど、最後まで観てタイトルの合点がいった。
大阪のとある高校に通う、平凡な高校生たちの青春群像劇。
小説家としても活躍するふくだももこ監督が、自身の作品「えん」と「ブルーハーツを聴いた夜、君とキスしてさようなら」を再構成してセルフ映画化した。
脚色を担当したのは、山下敦弘とのコンビ作で知られる向井康介。
松本穂香演じる「えん(縁)」を軸に、それぞれに葛藤を抱えた若者たちの日常が描かれる。

えんの惚れっぽい幼馴染の琴子に、学園屈指のモテ男でえんと仲のいい岡田。
父親が心を病み、 苦悩を一人で抱え込んでいる業平。
母親が家出したのは父親のせいだと思っている純と、東京から引っ越して来て地元に馴染めずにいる伊尾。
何人かの物語は密接に絡み合い、何人かは無関係に進んでゆく。
共通するのは、竹を割ったように分かりやすい性格の琴子をのぞいて、皆人に言えない葛藤を内心に抱えていること。
まだ十代の彼らの世界は狭い。
学校と家、閉鎖が決まっている地元のショッピングモール、登下校に使う道がほとんど全てだ。
「小さな街=世界」であることの閉塞が物語を生み、大雨の夜の無人のショッピングモールという舞台で、ブルーハーツの歌と共にダイナミックに収束するという構造。
シネマスコープのアスペクト比を生かした、渡邊雅紀による鮮烈なショットの数々が、映画的な豊かさを感じさせ素晴らしい。
これは言わば令和版の「台風クラブ」で、もう一つの「リバーズ・エッジ」だ。
大雨が全てを洗い流し、清々しい朝に皆が新しい世界にスタートを切る。

だが、中にはそこに辿りつけない者もいる。
映画の冒頭でショッキングな事件が起こる。
果たして、取り返しのつかない事件を起こしたのは誰なのか?という興味が全体を引っ張り、若者たちが問題に向き合う鍵となる。
面白いのは、暖かな家庭に育ち、登場人物の中で一番普通に見える松本穂香のキャラクターだ。
一見すると、特に問題を抱えていない彼女の役割は、「リバーズ・エッジ」の空っぽの二階堂ふみに近いのだが、高い演技力が要求される難役。
実は彼女の本名は「ゆかり」というのだが、小学校の頃に琴子から、「あんた、ゆかり言うより、えんっぽいわ」と言われ、琴子からだけ「えん」と呼ばれている。
その名の通り、不思議な吸引力を持つえんの周りには、訳ありの登場人物たちが集まってくるのだが、最後には彼女自身が心に秘めてきた感情も明らかとなる。
それはクライマックスのショッピングモールに、琴子だけがいない理由でもあるのだけど、ちょっと不思議なタイトルを含めて、物語がストンと落ちた。

印象的だったのが、80年代の「台風クラブ」やバブル崩壊後の90年代を舞台とした「リバーズ・エッジ」と比べると、やはり登場人物が総じて柔らかで丸いことだ。
ふくだももこの作家性もあるのだろうが、登場人物のキャラクターの違いは平成生まれのふくだももこと、相米慎二、行定勲との世代差でもあると思う。
十代の若者たちが抱く葛藤そのものは、昭和も平成も変わらないし、だからこそ青春の普遍としてのブルーハーツなんだろう。
しかし、私も日頃から十代の若者と接する仕事をしているが、平成生まれはその状況に置かれた時の反応や考え方が少し違うと感じる。
最低限満ち足りてはいるものの、社会全体が閉塞する時代に育った現在のティーンたちは、自分に対しても他人に対しても、ありのままを受け入れる傾向が強いように思う。
もちろん個人によっても違いはあるが、本作はそんな世代の特質が端的に現れた作品になっているのではなかろうか。 

今回は、朝の光が強烈だったので目覚めの一杯「モーニング・カクテル」をチョイス。
ブランデー30ml、ドライ・ベルモット30ml、ペルノ2dash、ホワイト・キュラソー2dash、マラスキーノ2dash、オレンジ・ビターズ2dashをミキシンググラスでステアし、グラスに注ぐ。
マラスキーノ・チェリーを沈め、レモン・ピールをサッと絞って完成。
名前の通り、ぼんやりした頭も一発で目覚める一杯だ。
強いし、またすぐ眠くなるけど。
ちなみに同名のノンアルカクテルもある。

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