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ヴァイオレット・エヴァーガーデン・・・・・評価額1800円
2020年09月21日 (月) | 編集 |
愛は、届いたのか。

2018年に放送された、京都アニメーションによる人気TVシリーズ「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」の、2本目の劇場用映画にして完結篇。
4年の長きにわたり、多くの人々の運命を狂わせた大陸戦争が終結した異世界。
孤児として育ち、感情を持たない“武器”として戦争を生き抜いた少女ヴァイオレットの物語だ。
自らの名付け親にして、一番大切な人だったギルベルト少佐が、戦場での別れの際に口にした「愛してる」の意味が分からなかった彼女は、戦後「自動手記人形(ドール)」と呼ばれる手紙の代筆屋となり、手紙に込められた物語から、様々な愛の形を知ってゆく。
監督と脚本は、TVシリーズから続投の石立太一と吉田玲子。
本来は、今年の1月に公開予定だった作品。
昨年夏に起こったあの痛ましい事件と、コロナ禍による二度の公開延期を乗り越え、京都アニメーションの復活の狼煙となる、心ふるえる魂の傑作となった。
※以下、ラストおよび核心部分に触れています。

デイジー・マグノリア(諸星すみれ)は、亡くなった祖母アンの家で、大切に保管されていた沢山の手紙を見つける。
それは若くして亡くなった曽祖母から、まだ幼かったアンに当てられた50年分の愛の手紙。
手紙に惹かれたデイジーは、執筆したのが「自動手記人形」というかつて存在した手紙の代筆業の女性だったことを知り、手紙を郵送したC.H郵便社があったライデンに向かう。
郵便社の社屋は、もうすでに博物館となっていたが、デイジーは遠い昔に曽祖母の願いを受けて手紙を代筆した自動手記人形、ヴァイオレット・エヴァーガーデン(石川由衣)の足跡を辿りはじめる。
やがて彼女の旅は、時代に翻弄された一人の女性の、悲しくも美しい物語に辿りつくのだが・・・・


文句なしの傑作である。
だがこの作品の評価軸は、普通の映画とは少し違う。
「聲の形」など一部を除いて、京都アニメーション作品全体に言えることだが、あくまでもTVシリーズからの蓄積があって、はじめて単体として成立している作品なのだ。
だから全てのセットアップはすでに終わっていて、余計な説明描写は一切ない。
物語の仕掛けに唸らされ、開始5分で涙腺が決壊すると、あとは最後までほぼ泣かされっぱなし。
「泣ける映画=いい映画」というわけでは必ずしもないが、本作ではどこまでも純粋で美しい感情が、澄んだ涙をとめどなく流させてくれる。
140分の長尺が終わる頃には、マスクがびちょびちょになってしまうので、ハンカチと替のマスクを用意しておいた方がいい。

このシリーズを端的に表せば、感情を持たず「愛してる」の意味が分からなかった少女が、少しずついろいろな愛の形を知ってゆく成長物語だ。
自動手記人形となったヴァイオレットは、最初は人間の心の機微を理解出来ずに失敗を繰り返すが、やがて人々が手紙に込めた想いから、人が人を思いやる“愛”という感情の本質に触れてゆく。
もちろんそのベースには、戦いの中で育ったヴァイオレット自身が、言語化出来ていなかった少佐への想いがあったのだが、乾いた砂に雨が染み込むように、人間性というものを学んでいった彼女は、自動手記人形として才能を開花させる。
TVシリーズの最終回で、ヴァイオレットは生死不明の少佐に当てた最初の手紙に、「愛してるが少しわかるのです」と書くのである。
ちなみに本作の登場人物は全て花の名前を持っていて、ヴァイオレットの花言葉は「愛」で、(ギルベルト・)ブーゲンビリアは「情熱」と作品の目指すところが分かりやすい。

本作は、ヴァイオレットが既に「愛してる」の意味を知った段階からはじまる、シリーズ全体のクライマックスだが、特筆すべきは徹底的な作り込みがもたらす、独特の歴史観だ。
本来このシリーズは、「テルシス大陸」と呼ばれる第一次世界大戦直後の欧州を模した異世界で展開する。
ところが、映画がはじまると面食らう。
以前の作品とは明らかに世界が変わって、まるで現実世界の80年代くらいの時代感になっているのである。
実はこの映画の冒頭は、TVシリーズ屈指の感動作である、第10話「愛する人は ずっと見守っている」を受け、ヴァイオレットが代筆した50年分の手紙が、全て配達され終わった数十年後の未来からはじまるのだ。

現実世界と同様に電話が発明され、自動手記人形という職業が過去のものとなった世界。
ではヴァイオレットは、C.H郵便社の人たちはどうなったのか?行方が分からないままだったギルベルト少佐は?
ここから、曽祖母の手紙とその代筆者に興味を持ったデイジーの旅が始まる。
未来から過去を俯瞰することにより、より私たちに近い世界に生きるデイジーが語り部となり、ヴァイオレットの人生を、改めて歴史上の物語として目撃するという凝った構造。
美術から衣装デザイン、劇中のイベントに至るまで、細部に至るまで作り込まれた世界観が、異世界なのに、本物の歴史の転換点を見ているようなリアリティと、過ぎ去った過去に対するノスタルジックな感慨をもたらす。
例えば、この世界のアルファベットが、なんとなく読めそうに思えてしまったり、現実との距離が絶妙なのだ。
この世界観の中で、京都アニメーション特有の淡い主線を持つキャラクターたちは、もはや全てにおいて血が通って感じられる。
丁寧な手描きアニメーションで表現された彼らには、生身の人間を超える実在感があり、どっぷりと感情移入してしまう。

本作ではデイジーがヴァイオレットを探す未来のエピソードを「」(カッコ)として、過去では絡み合う形で二つのエピソードが描かれる。
一つ目は、余命幾ばくもない難病の少年ユリスから、自分が死んだ後に残された人たちを元気付ける手紙を残したいというヴァイオレットへの依頼。
もう一つは、死んだと思われていギルベルト少佐を巡る、ヴァイオレット自身の物語だ。
この二つのプロットラインが互いに影響し合うことで、愛という感情の持つ時として相反するベクトル、「愛しているから会いたい」「愛しているから会えない」の葛藤がディープに描き出される仕組み。
二つのエピソードには相対する関係のキャラクターがいて、同じようなシチュエーションを重ねることによって、葛藤を多面的に描写しているのである。
脚本の吉田玲子は、元々ロジカルな作劇を得意とする人だが、シリーズ全体を内包しつつ大団円を描き切った構成力は見事としか言いようがない。
感極まりすぎて、観た直後は「。゚(゚´Д`゚)゚。 ヴァイオレットちゃん良かったねえ。あんた苦労ばっかりしてきたから、これから思いっきり幸せにおなり」という感想しか出てこない。
TVシリーズから追い続けたファンに、予定調和を感じさせず1ミリもブレないで観たかったものを見せてくれる完璧な完結編だ。
運命に翻弄されたドラマチックな初恋物語としても、至高の一本と言える。
まあ冷静になって、戦場で別れた時のヴァイオレットの年齢を考えると、少佐のロリコン疑惑はちょっと引っかかるが(笑
あと、エンドクレジットは必ず最後まで見届けること!

今回は主人公から紫色のパルフェタムールのカクテル「ヴァイオレット・フィズ」をチョイス。
ジン30ml、パルフェ・タムール20ml、レモン・ジュース15ml、シュガー・シロップ10mlをシェイクし、グラスに注ぎ、キンキンに冷やした炭酸水で満たして完成。
ヴァイオレットの花言葉が「愛」なのは前記したが、実はパルフェ・タムールの意味は「完璧な愛」だったりする。
ぜひ少佐と飲んでいただきたい、ほのかな甘い愛に溢れたカクテルだ。

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ショートレビュー「TENET テネット・・・・・評価額1550円」
2020年09月21日 (月) | 編集 |
未来を、取り戻せ!

あらゆる作品で時間軸をいじらねばいられない、時間フェチ監督のクリストファー・ノーランが、遂に時間そのものをモチーフにしたSFサスペンス。
時間を逆行させ、世界に破滅をもたらす謎の機械”アルゴリズム”を奪還するため、ジョン・デヴィッド・ワシントン演じる凄腕エージェントと、その相方となるロバート・パティソンが活躍する。
アイディアはとても面白いし、オートリバースのカセットデッキを巨大化させた様なタイムマシンや、前進する時間と後退する時間が入り混じるビジュアルも未見性がある。
フルスケールのジャンボ機を激突炎上させたりして、相変わらずやりたい放題。
たかだか倉庫を無人にするためにこれって、単にデカいものを破壊したかっただけだろ(笑

しかし、面白いことは面白いが、今回はノーランの欠点もはっきり出てしまっている。
それは“説明下手”!
いや物理知識とかのことではない。
そりゃエントロピーや反粒子や親殺しのパラドックス(映画では祖父殺し)などの用語の意味は知ってる方が理解しやすいが、それ以前にストーリー上、画面上で起こっていることの説明が下手すぎる。
これは以前の作品でもそうだったけど、設定がこれほど入り組んではいなかったので、それほど問題になることは無かった。
しかし本作は観ながら脳味噌をフル回転させても、説明下手と描写不足で何が起こってるのか分からず、後から考えて辻褄合せしなきゃならない所が多々ある。
特にクライマックスは全員が同じ迷彩服に顔を覆うガスマスク姿なので、誰がだれやら何処がどこやらさっぱり分からない。

元々ノーランは、映像によるテリングは上手くない。
どちらかというと、小説をそのまま映像に置き換えたようなナラティブなスタイルで、映像そのもので語るタイプじゃないんだな。
本作のジャンボジェットのような、派手な要素は毎回作ってくるんだが、IMAXこだわりでも分かるように、規模でごまかして迫力あるように見せている。
あのシーンだって、お世辞にも映像演出的に上手いとは言えない。
本作を観ると、複雑すぎて言葉で説明が難しい内容だと、効果的に映像で見せることが出来ずに、テリングが破綻してしまうのがよく分かる。
最初から何度も観るのが前提の人はこれでも良いのかもしれないが、娯楽映画ってそういうものじゃないだろう。

あと本作では、時間と共にノーラン作品の両輪である“愛”の要素が薄かったことも、説明不足を際立たせる。
”愛“という感情はやはりドラマチックに強くて、ちょっとした矛盾や説明不足はチャラにしてくれる力がある。
そもそも本作では、善玉悪玉ともに登場人物の人物造形や動機が弱く、「インセプション」「インターステラー」と違って、登場人物の感情で強引に押し流すことが出来なかった。

怒涛の展開で150分はあっという間に過ぎてゆくし、それなりに楽しんだのは確か。
だが、もうちょっと語り口と見せ方がうまければ、余計なところに引っかかることも無く、もっと作品に没入して観ることが出来たのではないか。
その点が残念で、ノーラン作品の中では低評価せざるをえない。
もっとも、世界の映画市場が最悪の逆風に苦しみ、続々と公開延期や配信に流れる中で、これほどの大作の劇場公開に打って出てくれたことは、とても価値あることで素直に称賛に値する。
だから評価額は少しおまけ。

今回は主人公のキャラクターから「ダーブ」をチョイス。
これは兵士や高才、強者を意味する言葉。
ドライ・ジン30ml、ドライ・ベルモット15ml、アプリコット・ブランデー15ml、レモン・ジュース1tspをシェイクし、グラスに注ぐ。
オレンジのカラーが美しく、フルーティーな香り豊か。
レモンの酸味が、全体をさっぱりとまとめ上げている。

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