FC2ブログ
酒を呑んで映画を観る時間が一番幸せ・・・と思うので、酒と映画をテーマに日記を書いていきます。 映画の評価額は幾らまでなら納得して出せるかで、レイトショー価格1200円から+-が基準で、1800円が満点です。ネット配信オンリーの作品は★5つが満点。
■ お知らせ
※基本的にネタバレありです。ご注意ください。
※当ブログはリンクフリーです。内容の無断転載はお断りいたします。
※ブログ環境の相性によっては、TB・コメントのお返事が出来ない事があります。ご了承ください
エロ・グロ・出会い系のTB及びコメントは、削除の上直ちにブログ管理会社に通報させていただきます。 また記事と無関係な物や当方が不適切と判断したTB・コメントも削除いたします。
■TITLE INDEX
タイトルインディックスを作りました。こちらからご利用ください。
■ ツイッターアカウント
noraneko285でつぶやいてます。ブログで書いてない映画の話なども。
■ FILMARKSアカウント
noraneko285ツイッターでつぶやいた全作品をアーカイブしています。
ショートレビュー「ソング・トゥ・ソング・・・・・評価額1600円」
2021年01月11日 (月) | 編集 |
愛するとは。

異才テレンス・マリックが、「ボヤージュ・オブ・タイム」「名もなき生涯」の間の、2017年に発表した作品。
四人の男女の四角関係を通して、変化する愛のカタチが描かれる。
高い評価を得た1978年の「天国の日々」以来、20年間も映画を撮らず、幻の監督とまで呼ばれたマリックは、98年に「シン・レッド・ライン」で復帰すると、2005年の「ニュー・ワールド」、11年の「ツリー・オブ・ライフ」を経て、10年代に入ると毎年のように作品を発表するようになる。
だがその作風は、「ニュー・ワールド」を境に、どんどんとストーリー性が希薄となっていった。
元々詩的ではあったものの、彼の映画は物語としての文脈を失い、抽象的な映像詩と化して行ったのである。
その究極が、生命の歴史を描く“ドキュメンタリー映画”の「ボヤージュ・オブ・タイム」だ。

よく「マリックの映画は寝ちゃう」という人がいるけど、彼の映画の場合寝ちゃっても良いんじゃないかと思う。
物語の展開を追う必要がほぼ無いし、映像と音楽は全力で心地よい空気を作り出すことに注力してるんだから、むしろ寝落ちを誘ってるフシさえある。
面白いかどうかすら、正直よく分からないが、観ていて夢見心地なってくることは確か。
ここ数作は描いていること理解しようとするよりも、ムードに浸ることがマリック作品の鑑賞スタイルになっていたのだ。

ところが、第二次世界大戦中に、ナチス・ドイツに対し良心的兵役拒否をつらぬき、処刑された実在の人物、フランツ・イェーガーシュテッターを描いた「名もなき生涯」では、一転してきっちりしたストーリー構成を取り戻していた。
流石にこの内容をやるのであれば、観る者によって無数の解釈がされてしまうような曖昧さがあってはマズいわけだが、それでも作品を作る毎に既存の物語を解体していった人物の映画だと思うと驚きがあった。
しかし、この突然の変化は本作を見て納得。
「ボヤージュ・オブ・タイム」と「名もなき生涯」の間に作られたこの映画は、なるほどスタイルも両作の中間なのだ。

全編に渡って、詩的なモノローグを中心に進行してゆくのは変わらない。
だが、必要最小限ではあるが、キャラクター設定やそれぞれの問題は分かりやすく提示される。
基本的にはルーニー・マーラー、マイケル・ファスベンダー、ライアン・ゴズリング、ナタリー・ポートマンが演じる四人の男女のラブストーリー。
群像劇の軸となるのは、何者かになりたいと願うルーニー・マーラー演じるフェイだ。
彼女はオースチンの音楽業界の大物であるファスベンダーと付き合っているが、売れないミュージシャンのゴズリングからも想いを寄せられる。
一方で享楽的な恋愛観を持つファスベンダーは、ダイナーのウェイトレスをしているナタリー・ポートマンを誘惑し、あれよあれよという間に結婚してしまう。
要するに、四人がお互いに「愛する」を色々試した結果、破滅する愛もあれば成就する真実の愛もあるよ、という話だ。

ベースにある倫理観そのものは、非常にキリスト教的なのは相変わらずだし、ぶっちゃけ言葉にしてしまうと身もふたもない映画なのだが、この人間の意識の海にたゆたうような独特の感覚がこの作家の最大の魅力。
物語映画でありながら、登場人物たちの生活をのぞき見ているようなテリングのタッチ、またイギー・ポップやパティ・スミスらミュージシャンがが本人役で出てくるなど、ドキュメンタリー的な要素もあるのが本作の最大の特徴と言えるだろう。
過渡期の作品と考えると非常に分かりやすいが、全編に渡って鳴りっぱなしの音楽に、象徴的に描写される水のモチーフなど、独特のマリック節は健在。
彼はコンテキスト要素を削ぎ落としていって、一度は抽象表現に行き着き、ここにきて再び物語映画に回帰するという、いわば創作の円環を形作ったわけだが、ここからまたどこへ向かうのだろうか。
例によってお客は選ぶだろうが、色々な意味で目の離せない作家ではある。

白昼夢のような本作には、「ドリーム」をチョイス。
ブランデー40ml、オレンジ・キュラソー20ml、ぺルノ1dashを、氷と共にシェイクしてグラスに注ぐ。
ブランデーのコクのある甘味とオレンジの風味を、ぺルノの強い個性が繋ぎ合わせる。
まったりとした甘口のカクテルだが、夢に誘う力は非常に強い。

ランキングバナー 
記事が気に入ったらクリックしてね






スポンサーサイト