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チャンシルさんには福が多いね・・・・・評価額1650円
2021年01月14日 (木) | 編集 |
チャンシルさん、幸せを探す。

これとても好き♡
アラフォーの映画プロデューサー、チャンシルさんが、長年支えてきた監督の死によって失業者に。
振り返ってみれば、結婚も出産もせず、青春時代から全てを映画に捧げてきた人生。
突然世間に放り出されたチャンシルさんは、改めて自分にとって本当の幸せとは何かを考えはじめる。
やがて、映画という絶対の「福(幸せ)」を失ったチャンシルさんにも、恋の季節がやってくる。
本作で長編監督デビューを飾ったキム・チョヒ監督は、自らもホン・サンスのプロデューサーとして活動してきた経歴を持ち、たぶんに実体験を反映したであろう物語は、ウィットに富んでいて実に面白い。
今までバイトしながら舞台と短編映画を中心に活動してきたという、遅咲きの新星カン・マルグムが、タイトルロールのチャンシルさんを好演する。
第24回釜山国際映画祭では、インディペンデント・フィルム・アワードほか三冠、第45回ソウル・インディペンデント映画祭でも観客賞に輝くなど、高い評価を受けた作品だ。

イ・チャンシル(カン・マルグム)は、インディーズ映画のプロデューサー。
ところが、ずっと組んでいたチ監督(ソ・ソンウォン)が宴会の席で突然死。
プロジェクトは霧散し、彼女も仕事を失ってしまう。
今まで仕事一筋だった40歳独身、金なし、家なし、男なし。
とりあえず不便な丘にある上の安い部屋に引っ越し、馴染みの女優ソフィー(ユン・スンア)の家政婦として働くことにしたチャンシルは、改めて人生を見つめ直す。
ソフィーのフランス語家庭教師で、短編映画を撮っているというキム・ヨン(ユ・ペラム)に心を騒つかせ、なぜか下着姿で現れる自称レスリー・チャンの幽霊(キム・ヨンミン)と交流し、文盲の大家のおばあちゃん(ユン・ヨジュン)に字を教えたり、それなりに充実した日々を送りながら、自分が本当に欲しいもの、なりたいものを考える。
やがて、彼女の心の中に見えてくるのは・・・・・


キム・チョヒは、2007年の「アバンチュールはパリで」で初めてプロデューサーとしてホン・サンス監督作品に参加。
以来、長年に渡ってプロデューサーとして彼の作品を支えてきた。
写真を見るとなんとなく主人公のチャンシルさんに似ているし、実際この作品を作り始めたのは40歳の時だったというから、半自伝的な要素も入っているのだろう。
キム監督は数本の短編映画を撮った経験もあり、監督への転身は計画していたのかも知れないが、映画ではいきなり冒頭でホン・サンスっぽいチ監督を殺し、主人公を葛藤モードに強制的に入らせる。

韓国のインディーズシーンの内情には詳しくないが、描写から想像するに、チ監督の映画はドラマチックなことは起こらない日常系で、あまりヒットはしていない。
日本で言えば、例えばケイズシネマズ あたりで上映される、地味な良品邦画のイメージ。
プロデューサーのチャンシルさんは、事実上チ監督の専属状態で、パトロンのパク代表の出資でなんとか映画を作り続けていたのだろう。
なので、チ監督の死でパトロンが映画作りに興味を失うと、彼とのコンビ作以外の実績も人脈もないチャンシルさんは、どこへも行き場が無くなってしまうのだ。
実際には業界内の交流もあるはずだから、全てが断ち切られるケースは稀だと思うが、基本この映画はチャンシルさんを中心に半径10メートル以内の、カリカチュアされた世界で展開する非常に小さな物語だ。

主人公が監督でも俳優でもなく、プロデューサーなのがポイント。
映画作りの中核にいるのに、いろいろな肩書きの中で一番役割を説明しにくいのがプロデューサーだろう。
彼女自身も、自分の仕事をうまく言い表せないのがいかにもだ。
プロデューサー率いる制作部は、企画を売り込み、資金を集め、スタッフ・キャストを雇い、スケジュールと予算を管理し、一本の映画が完成し、観客に届くまでプロセス全てに関わる。
私も制作部の仕事をしていたから分かるのだが、あまりにもやることが多岐に渡っているので、「こういう仕事」と簡単に言い表せない。
よく言えば「一本の映画の経営」なんだが、側からだと雑用にしか見えなかったりする。
だから映画作りの実情を知らず、監督一人がいれば映画は出来ると考えていたパトロンには捨てられてしまうのだ。

それでも全編に渡ってスクリーンから滲み出るのは、チャンシルさんのディープな映画愛
映画の仕事を辞めても、彼女はやっぱり映画から離れられないのである。
雑用なんでも来い!の経歴を生かし、あんまり家事できる系ではない、仲の良い女優ソフィーの家で家政婦をしながら、齢40にして自分の人生を見つめ直そうとする。
物語のターニングポイントになるのが、「愛の不時着」の耳野郎役で知られるキム・ヨンミン演じる、自称レスリー・チャンの幽霊の登場だ。
「欲望の翼」の主人公を思わせる下着姿の彼が本当は何者で、なぜチャンシルさんの前に現れたのかという説明は無いが、私は彼女を救うために降臨した映画の神様と勝手に解釈した。
ここから、チャンシルさんの幸せ探しの冒険が加速する。
まずはレスリーに励まされ、歳下の家庭教師キム・ヨンにぶつかってみるものの玉砕。
まあ彼が現れるきっかけとなる最初のデートで、小津安二郎こそが至高と言い張るチャンシルさんに対し、ヨンには小津はあんまり面白くないからノーランが好きと言わせて、合いそうに無いことは示唆してたけど。
実際映画オタク同士が恋愛関係になると、結構好みは重要だったりするぞ(笑

結局、チャンシルさんの人生のバックボーンは映画作りなのだ。
失業、失恋と人生経験を積み増し、彼女がはじめるのが脚本の執筆なのだから、やはり作者自身の人生が見え隠れする。
映画ではチャンシルさんが実際に映画作りに戻るまでは描かれないが、彼女の人生の向かう先は示唆される。
以前の仲間たちが彼女の家に募った夜、空には大きな月が出ている。
そして、皆で暗い山道を麓へと降りながら、チャンシルさんは自分は後ろに下がり、皆の足元を懐中電灯で照らす役を買って出るのだ。
五里霧中の映画作りの中で、スタッフ・キャスト全員を見守り、行き先を示してくれる。
地味な存在だが、いてくれないと誰もゴールに辿り着けない闇夜の満月、それこそがプロデューサー。

チャンシルさんには福が多い。
彼女自身は仕事だけが福だと思って生きてきて、全てを失ってしまったと嘆いていたが、彼女の周りにはたくさんの人がいる。
大変な時に雇い主になって生活を支えてくれるソフィーも、懇意になって世話を焼いてくれる大家のおばあちゃんも、死してなお映画の守護神としてチャンシルさんを見守るレスリー・チャン(?)も、そして彼女を慕っている若いスタッフたちも、みなチャンシルさんの大切な福。
これは、一人の女性が自分の周りのたくさんの福に気付くまでの物語。
ほぼ映画の内容そのものである、エンディングテーマ曲が妙に耳に残る。
ちょっと遅めの自分探しの青春映画としても、ある種のお仕事ムービーとしても秀逸な作品だ。

今回はチャンシルさんと飲みたい、日本でもお馴染みの韓国焼酎「眞露 チャミスル」をチョイス。
色々な飲み方ができるクセのない焼酎だが、私のお気に入りの飲み方は「眞露カッパー」だ。
キンキンに冷やしたチャミスルをソーダで割り、スティック状に細く縦切りにしたキュウリ一本を浸す。
公式レシピだとミネラルウォーターで割るのだけど、ここは断然ソーダ割りを推しておく。
キュウリをつまみにポリポリしながら飲むのだけど、心なしかキュウリが甘く感じられて美味しい。
昔キュウリに蜂蜜かけるとメロン味になると言われたけど、近いものがある?

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