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ザ・コール・・・・・評価★★★★+0.5
2021年01月19日 (火) | 編集 |
過去が、殺しにやってくる。

実にウェルメイドな、韓国製時間SFホラー映画。
2019年と1999年、二つの時代の同じ住所に住む、28歳の女性同士がなぜか時間を超えた電話で繋がる。
お互いの境遇に共通点があったことから、電話越しに仲良くなってゆくのだが、過去を変えてしまったことで二人の運命が絡み合い、やがて過去vs未来の生き残りを賭けた怒涛の大バトルがはじまる。
イギリス映画「恐怖ノ黒電話」のリメイク作だが、ロケーションやキャラクター設定は大幅に変更され、完成度は本作の方がはるかに高い。
未来を生きるソヨンをパク・シネが、過去から電話をかけるヨンスクをイ・チャンドン監督の「バーニング」が記憶に新しいチョン・ジョンソが演じる。
監督と共同脚本は、2015年に発表した短編「Bargain」で注目され、これが長編デビュー作となる新鋭イ・チュンヒュン。
関係ないけど、カメラの裏方にいるのが勿体ない、韓流スターもびっくりのイケメン監督だ。
※核心部分に触れています。

幼い頃に火事で父を亡くし、入院中の母親とも確執を抱えたソヨン(パク・シネ)は、久しぶりに無人となっていた田舎の実家に帰ってくる。
すると、奇妙な電話がかかってきて切羽詰まった女性の声が聞こえたが、すぐに切れてしまう。
ところが、また同じ女性から電話があり、「母に殺されそう。すぐに来て!」とある住所を言うのだが、ソヨンは間違い電話だと思って電話を切る。
だが女性が告げた住所は、ソヨンが今いる実家の住所。
その夜、家の壁の中に空洞があることを知ったソヨンは、そこで古い日記帳を見つける。
そこには「霊を撃退するために、母が私に火を付ける」と書かれていた。
実は、電話の主はソヨンの家族が引っ越してくる以前の、1999年にこの家に住んでいたヨンスクという女性(チョン・ジョンソ)だった。
20年の時を超えた電話で繋がった二人は、同じ28歳で共に母親との関係に問題を抱えていることもあり、すぐに打ち解ける。
しかしある時、実家の住所の過去を検索したソヨンは、間も無くヨンスクの身に降りかかる恐ろしい運命を知ってしまう。
ヨンスクからの電話にでたソヨンは言う「今日の夜、あなたは死ぬみたい」と・・・・


この映画のタイムパラドックスは、「オーロラの彼方へ」方式。
つまり過去と未来は一直線で、世界線はなし。
過去を変えれば、未来も変わってゆく。
まず20年のタイムラグの恩恵を受けるのは、2019年のソヨンだ。
彼女は1999年11月に起こった火事によって最愛の父を失い、その原因を作った母親を今も許すことができないでいる。
だが、ヨンスクがいるのは火事が起こった日よりも前。
彼女が火事の発生を止めたことによって、ソヨンは夢にまで見た家族の団欒を取り戻すのだ。

そして、今度はソヨンがヨンスクの運命を変える。
ヨンスクは、彼女に悪霊が取り憑いていると信じる祈祷師の母親によって折檻を受け、命を落とすことになっていたが、ソヨンが警告したことによって生き延びる。
だがこの時点で、ソヨンはヨンスクの正体を知らない、いやヨンスク自身もまだ自分が何者なのか知らないのである。
祈祷師だった母親は、娘が多くの人を殺す未来を予見していた。
だから彼女自身の手で、ヨンスクが罪を犯すのを止めねばならなかったのだが、それは阻止されてしまう。
ソヨンは友人を救ったつもりで、図らずも死ぬはずだったシリアルキラーを爆誕させてしまい、ここから20年の時間を挟んでソヨンvsヨンスクの対決がはじまる。
未来のソヨンは、過去に起こることを知っている。
一方、過去のヨンスクは、未来を変えることが出来る。
お互いに影響しあえるから、一本の電話を通して有利・不利の戦術を駆使するスリリングな攻防は、最後まで先を読ませない。

本作は、2011年に作られたイギリス映画「恐怖ノ黒電話」のリメイクなのだが、単純なローカライズ以上の大幅な脚色がなされている。
田舎の大きな洋館のロケーションは、オリジナルでは都会のアパート。
主人公はDV夫と離婚調停中の女性で、過去から電話をかけて来た女性とは男関係で悩んでいるのが共通項。
電話の会話がきっかけで、死の運命を逃れた過去の女性がシリアルキラーと化し、未来の主人公を脅かしていくと言う基本設定は同じだが、実はオリジナルの脚本には大きな穴がいくつもある。
例えば、最初のうちは主人公が過去からの電話に付き合う理由がないし、逆に過去の女が未来に執着する動機もないのだ。
また韓国版のような田舎ならともかく、都会でありふれた名前しか知らないのに、主人公の身元を簡単に特定するのも無理がある。

そこでリメイク版では、あらかじめソヨンの一家が家を買うためにヨンスクの家を内見に来ていて、彼女に顔も住所も知られている設定に。
ヨンスクが母親殺しを皮切りに次々と罪を重ねてゆくと、警察の捜査から逃れるために、過去のソヨンを人質にとって未来のソヨンを共犯関係に巻き込むという構造になっている。
もちろんソヨンもやられっぱなしではないのだが、過去未来が一直線だとどうしても未来の不利は否めない。
いかにしてヨンスクを出し抜いて、彼女の魔の手から脱出するのかがドラマの見どころとなる。
たくましくも可憐なパク・シネと、序盤の普通っぷりが嘘のように、どんどん狂気のドライブがかかってゆくチョン・ジョンソの演技対決もし烈。
基本的に現在の主人公と過去の女性だけしか出来事に絡まないオリジナルに対し、ここではソヨンがヨンスク以外の人物ともコンタクトするのが鍵となり、過去の出来事によって未来の様子が急激に描き換えられる展開は非常に未見性があって面白い。

この映画を観ていて思い出したのが、韓国映画の「ブラインド」を、日本でリメイクした「見えない目撃者」のこと。
事故で視力を失った元女性警察官が、事件の”目撃者”として謎のシリアルキラーに挑むと言うアイディアは面白いのだが、オリジナルにはいろいろ物足りない部分があった。
日本版は、オリジナルの構造的な面白さを最大化しつつ、欠点を丁寧に潰してディテールを強化した作品になっていて、リメイクの考え方として本作と非常に近い。
本作も「見えない目撃者」も、単純といえば単純なワンアイディアに頼った作品であることは確かだが、プロットの作り込みとテリングの未見性でここまで面白くなると言う、まさにリメイクのお手本だ。
本作の場合は、物語の結末までオリジナルとは大きく異なる。
オリジナルはオリジナルで、結構皮肉っぽくていいのだけど、最後の最後で梯子を外しちゃうこっちも、全く容赦無しなのがいかにも韓国映画らしい。
コロナ禍でNetflix直行になってしまった作品だが、この禍々しさは出来れば映画館の暗闇で味わいたかったな!

悪魔のような女に時空を超えてストーカーされる本作には、「デビルズ」をチョイス。
ポートワイン30ml、ドライ・ベルモット30ml、レモン・ジュース2dashをステアして、グラスに注ぐ。
まろやかな味わいのカクテルは、一見優しい悪魔の誘い。
ポートワインの甘さと、レモンの爽やかさがバランスし、とても美味しい。

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