2021年03月25日 (木) | 編集 |
普通って、なんだろう。
清原果耶演じる高校生の香住が、成田凌が怪演する笑い方が気持ち悪い予備校教師・大野先生に恋愛指南してるうちに、ミイラ取りがミイラになる。
テンポのいい台詞の掛け合いが続くラブコメ会話劇で、とても面白い。
前田弘二監督、高田亮脚本のコンビ作では、「婚前特急」を超える快作だ。
意識高い系の香住は、小泉孝太郎のおもちゃ会社社長・宮本に憧れている。
この人、社長なんだけど講演ばっかりやっていて、「人類が労働から解放された未来をどう生きるか」みたいなことを話している。
ぶっちゃけ、宮本の言ってることは、全く具体性がないポエムみたいなものなのだが、「それでも何となく正しいという気がする」のは、ブラザー進次郎のシニカルなパロディか(笑
すっかり宮本に感化された香住は、なんとかお近づきになりたいのだが、彼には常に寄り添っている婚約者の美奈子がいる。
そこで香住は、結婚とかして幸せになりたいので、「普通」を教えて欲しいと願う数学バカの大野先生を、恋愛指南を装って美奈子に接近させ、宮本との仲を壊そうとするのだ。
まあ他愛無い子供の戯れなのだが、これは映画なのでそれなりに上手くいってしまう。
それにしても、キャスティングがいい。
清原果耶と成田凌は、一見真面目だけど実はどこかズレてる役が絶妙にハマる。
いかにもスーツを着なれていない成田凌が、迷子の子犬みたいな表情で突っ立ってるだけで、笑いが込み上げて来る。
オンラインサロンによくいる詐欺師、みたいな小泉孝太郎の胡散臭さとかも、実に的役。
美奈子を演じる泉里香を含め、この映画の成功は半分くらいキャスティングの勝利だ。
香住の良からぬ作戦によって個性的な四人が急速に接近し、四角関係の恋愛シミュレーションで、世の中の「普通」の普通じゃなさが浮かび上がって来る仕組み。
全てを論理的に考え、恋愛感情すら「定量化して表現してほしい」という大野先生を、香住は「普通じゃない」というが、そもそも普通とは何かを問われると答えられない。
まあこの映画自体が「普通とは?」という問いに対して納得できる解答を出している訳ではないのだが、それは本作が追求するところではないので仕方がない。
たぶん、誰も答えられない難問だと思うし。
そして、四角関係が混み入ってくる過程で、恋愛経験も無いのに「普通」というパワーワードで、大人相手にマウント取ろうとする香住も、恋の神様からビターなお仕置きをされる。
そもそも彼女は、恋と憧れの区別もついてないくらい幼いんだな。
逆に恋愛下手のはずの大野先生の方が、いざ美奈子と実際に会ってみると、意外とスムーズにコミュニケーションとれたり、キャラクターの攻守の入れ替わりが物語のメリハリにつながっている。
同世代同士じゃないからこそ、見えてくるものもある。
恋愛シミュレーションの結果、二人はそれぞれに「普通」の難しさを知り、今の自分を少しだけ成長させる。
作り手と演者のコメディセンスが、見事に合致した快作だ。
しかし、一応先生の端くれとして身もふたもない話をすると、今どき未成年の教え子と一対一でご飯に行ったら、その時点で懲戒ものだよ。
もちろん肩掴むとか、身体接触も絶対NG。
見たところ勤め先は大手予備校みたいだったが、大野先生気をつけないとクビになっちゃうよ!
今回は「プラトニック・ラブ」をチョイス。
ピーチ・リキュール 30ml、クランベリー・ジュース30ml、パイナップル・ジュース 30mlをシェイクし、氷を入れたグラスに注ぐ。
すっきり甘酸っぱく、桜色のカクテルは恋の味。
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清原果耶演じる高校生の香住が、成田凌が怪演する笑い方が気持ち悪い予備校教師・大野先生に恋愛指南してるうちに、ミイラ取りがミイラになる。
テンポのいい台詞の掛け合いが続くラブコメ会話劇で、とても面白い。
前田弘二監督、高田亮脚本のコンビ作では、「婚前特急」を超える快作だ。
意識高い系の香住は、小泉孝太郎のおもちゃ会社社長・宮本に憧れている。
この人、社長なんだけど講演ばっかりやっていて、「人類が労働から解放された未来をどう生きるか」みたいなことを話している。
ぶっちゃけ、宮本の言ってることは、全く具体性がないポエムみたいなものなのだが、「それでも何となく正しいという気がする」のは、ブラザー進次郎のシニカルなパロディか(笑
すっかり宮本に感化された香住は、なんとかお近づきになりたいのだが、彼には常に寄り添っている婚約者の美奈子がいる。
そこで香住は、結婚とかして幸せになりたいので、「普通」を教えて欲しいと願う数学バカの大野先生を、恋愛指南を装って美奈子に接近させ、宮本との仲を壊そうとするのだ。
まあ他愛無い子供の戯れなのだが、これは映画なのでそれなりに上手くいってしまう。
それにしても、キャスティングがいい。
清原果耶と成田凌は、一見真面目だけど実はどこかズレてる役が絶妙にハマる。
いかにもスーツを着なれていない成田凌が、迷子の子犬みたいな表情で突っ立ってるだけで、笑いが込み上げて来る。
オンラインサロンによくいる詐欺師、みたいな小泉孝太郎の胡散臭さとかも、実に的役。
美奈子を演じる泉里香を含め、この映画の成功は半分くらいキャスティングの勝利だ。
香住の良からぬ作戦によって個性的な四人が急速に接近し、四角関係の恋愛シミュレーションで、世の中の「普通」の普通じゃなさが浮かび上がって来る仕組み。
全てを論理的に考え、恋愛感情すら「定量化して表現してほしい」という大野先生を、香住は「普通じゃない」というが、そもそも普通とは何かを問われると答えられない。
まあこの映画自体が「普通とは?」という問いに対して納得できる解答を出している訳ではないのだが、それは本作が追求するところではないので仕方がない。
たぶん、誰も答えられない難問だと思うし。
そして、四角関係が混み入ってくる過程で、恋愛経験も無いのに「普通」というパワーワードで、大人相手にマウント取ろうとする香住も、恋の神様からビターなお仕置きをされる。
そもそも彼女は、恋と憧れの区別もついてないくらい幼いんだな。
逆に恋愛下手のはずの大野先生の方が、いざ美奈子と実際に会ってみると、意外とスムーズにコミュニケーションとれたり、キャラクターの攻守の入れ替わりが物語のメリハリにつながっている。
同世代同士じゃないからこそ、見えてくるものもある。
恋愛シミュレーションの結果、二人はそれぞれに「普通」の難しさを知り、今の自分を少しだけ成長させる。
作り手と演者のコメディセンスが、見事に合致した快作だ。
しかし、一応先生の端くれとして身もふたもない話をすると、今どき未成年の教え子と一対一でご飯に行ったら、その時点で懲戒ものだよ。
もちろん肩掴むとか、身体接触も絶対NG。
見たところ勤め先は大手予備校みたいだったが、大野先生気をつけないとクビになっちゃうよ!
今回は「プラトニック・ラブ」をチョイス。
ピーチ・リキュール 30ml、クランベリー・ジュース30ml、パイナップル・ジュース 30mlをシェイクし、氷を入れたグラスに注ぐ。
すっきり甘酸っぱく、桜色のカクテルは恋の味。

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