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ショートレビュー「いとみち・・・・・評価額1650円」
2021年07月05日 (月) | 編集 |
メイド喫茶×津軽三味線⁉︎

これは気持ちの良い映画。
横浜聡子監督の久しぶりの新作映画は、駒井蓮が好演する津軽の女子高校生“いと”の成長物語。
津軽訛りが強く、内気で友だちもいない彼女は、東京出身で民俗学者のお父ちゃんと、三味線の名手だった亡き母方のばあちゃんと、弘前市郊外の板柳に三人暮らし。
いとの唯一の特技は、一族に受け継がれてきた津軽三味線だが、演奏している時の表情や格好がコンプレックスで、最近はあまり弾いていない。
そんな彼女が、かわいい制服に憧れて、青森市内の小さなメイド喫茶でバイトを始めたことから、物語が動き出す。

原作は越谷オサムの同名小説。
ちなみにタイトルであり、主人公の名前の由来となっている「いとみち」とは、三味線の奏者の爪にできる溝、糸の通り道のことなんだとか。
なんだか雅だ。
メイド喫茶と津軽三味線という、本来ならまず結びつかない別次元の物を組み合わせた結果、未見性のあるユニークな青春映画が生まれた。

メイド喫茶の同僚は、自称永遠の22歳のシングルマザーに、東京進出を計画中の漫画家の卵。
それにIターン組で、コーヒーをこよなく愛する店長。
メイド喫茶は、いとにとって家の外に初めて見つけた、自分の居場所
同時に、それぞれに生き辛さを抱えた同僚たちにとっても、ありのままの自分を受け入れてくれる大切な場所だ。
だがある事件によって、そこが奪われそうになった時、彼女は自分のアイデンティティとも言える津軽三味線に活路を見出す。
洋楽器のような明確な楽譜がなく、基本耳コピで伝承されてきたものだから、奏者によって奏でる音にも色がある。
ばあちゃんにはばあちゃんの、亡きお母ちゃんにはお母ちゃんの、いとにはいとにしか出せない音の色。

冒頭の高校の授業で、青森が何度も飢餓に苦しめられてきた歴史が紹介され、中盤では戦時中に市街の9割を焼き尽くし、多くの犠牲者を出した青森空襲の記憶も語られる。
もともと寒冷で、世界有数の豪雪地帯。
決してイージーな土地ではない、津軽で生まれて弾き継がれてきた三味線は、言わばこの土地に暮らす人々の魂の音色だ。
クライマックスのメイド喫茶でのライブで、ついに自分を解放したいとのパフォーマンスは、実にカッコいいのである。

理解ある親を演じてるくせに、メイド喫茶に偏見を持つ豊川悦司のお父ちゃんとの確執や、クラスで初めてできた“親友”とのサブストーリーも、いい感じに絡んでくる。
映画の始まりの時点でごく小さかった彼女の世界は、多くの人と関わり、新しい経験を積んだことで大きく広がった。
物語を通して、16歳のいとは確実に成長するが、まだ何者にもならない
メイド喫茶だって、この先どうなるかは分からない。
ただ、可能性だけが広がっているのだ。

いとは標準語が苦手で津軽弁しか喋れない設定なので、台詞の1/3くらいは何言ってるのかさっぱり分からないけど、ニュアンスは伝わるので無問題。
しかし、これ演技でやるって駒井蓮スゲーなと思ったら、実は彼女は津軽出身のネイティブスピーカーらしい。
いや三味線のパフォーマンスも含めて、十分に素晴らしいんだけど。
横浜聡子監督と、メイド喫茶の怪しげなオーナーを演じる小坂大魔王も青森の生まれ。
作り手の郷土愛はいっぱい詰まっているが、ありがちなご当地映画と違うのは、方言も三味線もごく普通の日常の中にある物というスタンス。
一本芯の通った、パワフルな青春ストーリーだ。

今回は青森市の西田酒造店の「田酒 純米酒 古城錦70」をチョイス。
その名の通り、田んぼの米だけを使う純米酒にこだわりを持つ蔵。
古城錦70は、一時は廃れた青森産酒米の古城錦を復活させて作られ、とても美味。
フルーティーなお米の甘味と、スーッと広がる旨み。
軽快で雑味のない、爽やかな純米酒。
これからの季節は、冷でいただきたい。

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