fc2ブログ
酒を呑んで映画を観る時間が一番幸せ・・・と思うので、酒と映画をテーマに日記を書いていきます。 映画の評価額は幾らまでなら納得して出せるかで、レイトショー価格1200円から+-が基準で、1800円が満点です。ネット配信オンリーの作品は★5つが満点。
■ お知らせ
※基本的にネタバレありです。ご注意ください。
※当ブログはリンクフリーです。内容の無断転載はお断りいたします。
※ブログ環境の相性によっては、TB・コメントのお返事が出来ない事があります。ご了承ください
エロ・グロ・出会い系のTB及びコメントは、削除の上直ちにブログ管理会社に通報させていただきます。 また記事と無関係な物や当方が不適切と判断したTB・コメントも削除いたします。
■TITLE INDEX
タイトルインディックスを作りました。こちらからご利用ください。
■ ツイッターアカウント
noraneko285でつぶやいてます。ブログで書いてない映画の話なども。
■ FILMARKSアカウント
noraneko285ツイッターでつぶやいた全作品をアーカイブしています。
ゴジラvsコング・・・・・評価額1700円
2021年07月07日 (水) | 編集 |
怪獣無双。

2014年の「GODZILLA ゴジラ」から始まった、レジェンダリー・ピクチャーズが仕掛ける、怪獣クロスオーバー企画“モンスターバース”のクライマックス。
人類には危害を加えないはずの怪獣王ゴジラが、突如としてフロリダを襲撃。
ゴジラに対抗するために、人類は地球の中心にある空洞から、未知のエネルギーを取り出そうとする。
そのために、元々祖先が空洞から現れたとされるキングコングを、水先案内として利用しようとするのだ。
「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」「キングコング:髑髏島の巨神」、それぞれからの直接の続編であり、ゴジラ映画としては日米通算36作目、キングコングはこれが9作目。
日米を代表する両雄にとっては、1962年の「キングコング対ゴジラ」以来59年ぶりの共演となった。
監督は「サプライズ」やNetflix版「Death Note デスノート」のアダム・ヴィンガード。
出演はアレクサンダー・スカルスガルド、レベッカ・ホール、「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」から続投のミリー・ボビー・ブラウン、カイル・チャンドラーのほか、亡くなった芹沢博士の息子として小栗旬も登場。
なかなかに重厚なキャストが揃っているのだが、今回人間たちは完全に引き立て役だ。
※核心部分に触れています。

太平洋の髑髏島。
ここでは1976年以来、モナークによってコングの保護と観察が続けられていた。
アイリーン・アンドリュース博士(レベッカ・ホール)は、養女のジア(ケイリー・ホトル)と共に島に暮らし、コングとコミュニケーションを取る研究を続けている。
そんな時、再び現れたゴジラが、フロリダにあるエイペックス・サイバネティクス社の工場を襲う。
人間には敵対しないはずのゴジラの豹変に驚いたマディソン・ラッセル(ミリー・ボビー・ブラウン)は、エイペックス社に“潜入”して働いていると言う触れ込みの、ネット放送の配信者バーニー・ヘイズ(ブライアン・タイリー・ヘンリー)を探し当て、破壊された工場に忍び込む。
キングギドラの首のニューロンネットワークを利用し、密かに対ゴジラ決戦兵器の開発を進めているエイペックス社は、未知の巨大なエネルギーを伝説の地底空洞から取り出そうとしていた。
エイペックスの依頼を受けた地球空洞説の研究者、ネイサン・リンド博士(アレクサンダー・スカルスガルド)は、安全に空洞に到達するまで、空洞をルーツとするコングに水先案内人になってもらうおうと、アイリーンを説得。
南極にある入り口の洞窟まで、海路でコングを運ぶことになる。
しかし、ゴジラの活動領域を避けたはずが、突如として巨大な背鰭が船団に襲い掛かり、史上最大の怪獣同士の戦いがはじまってしまう・・・・・


いやー、まるで少年漫画のような圧倒的な熱量を持つ日米ライバル対決。
作られる前はゴジラとコングの大きすぎる体格差をどうするのかと思っていたら、「キングコング:髑髏島の巨神」の段階で31メートルだった若きコングは、半世紀の間に大きく成長して身長103メートルと120メートルのゴジラに肉薄。
放射能火炎という飛び道具を持つゴジラに対して、終盤ゴジラの背鰭でできた戦斧(バトルアックス)を持たせることで、だいぶ不利は解消している。

物語的には、太古の“神々”である怪獣を利用しようとする人間は、必ず報いを受けるという辺りは前作と同じ。
いやむしろ、人間ドラマはますます薄まっていて、ぶっちゃけ人間キャラクターは誰一人として印象に残らない。
エイペックスの陰謀とか、ゴジラを倒すために未知のエネルギーを探すとか、いろいろ設定はされているのだけど、全てはゴジラとコングを決戦のリングへと誘導するための装置に過ぎない。
それさえ果たせれば、あとはどうでもいいと言うスタンスは、本作の悪役にあたるエイペックス社の社長、社長の娘、あと対ゴジラ決戦兵器として登場する、メカゴジラの開発者にしてパイロットである芹沢蓮の最期が、揃ってテキトーなのにも見て取れる。
ちなみに日本ではメカゴジラの存在がひた隠しにされていたが、割と早々に出てくるし、物語上も特にサプライズな見せ方ではない。
要は、全てがクライマックスの両雄プラス1の対決に向かって収束してゆくのだが、これはこれでいいと思う。

最近、西武園ゆうえんちに新設されたアトラクション「ゴジラ・ザ・ライド」に乗ってきたのだが、実は本作の印象は限りなくこのライドに近い。
「ゴジラ・ザ・ライド」では、ゴジラとキングギドラの戦いに巻き込まれた人々が、パラシュートを使って飛行も可能な特殊装甲車で脱出するという設定。
これはおそらく「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」のクライマックス、四大怪獣が激突する中を人間たちが逃げ回るシチュエーションを、そのままライドにするというアイディアを具現化したものだろう。
そう考えると、本作に登場するエイペックスの地底探検船ヒーブは、まんま「ゴジラ・ザ・ライド」の特殊装甲車。
ゴジラとコング、そしてメカゴジラの戦いに、視点をなるべく近づけるための手段なのがよく分かる。

本作の持つベクトルは、まるでライドの様な臨場感あふれる、新たな感覚の怪獣映画を作りたいという点で一貫している。
第一作のギャレス・エドワーズのような生真面目さは無く、「キングコング:髑髏島の巨神」のジョーダン・ヴォート=ロバーツのような暗喩劇としても面白さも無く、「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」のマイケル・ドハティのような、東宝怪獣に対する暑苦しいくらいのリスペクトと愛も無い。
一応、コングがゴジラの口に木の棒(バトルアックス)を突っ込んで放射能火炎を止める、コングをヘリ(オリジナルは気球)で空輸するなど、「キングコング対ゴジラ」へのオマージュ描写はあるものの、割とあっさり。
「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」では、効果的に使われていた日本版音楽が全くかからないことからも、アダム・ヴィンガードはそれほどの怪獣オタクじゃ無いのだろう。

ジュール・ヴェルヌ的な地底空洞への冒険もライドとしての魅力を高めることに繋がっているが、空洞にゴジラのエネルギー源があるという設定によって、前作まではまだ微かに残っていた、核の惨禍によって生まれた怪獣という、ゴジラ本来のアイデンティティはますます希薄化した。
アイデンティティが揺らいでいるのは、ゴジラだけではない。
髑髏島の守護神であったコングは、実は地底空洞にルーツを持ち、手話で人間の言葉を話すほどの知的生物であることが明らかとなる。
また地底には古のコング族(?)のものと思われる巨大な遺跡が存在し、彼らの祖先が自分よりも強いゴジラと戦うために、ゴジラの背鰭で作ったと思しきバトルアックスまで残っていたので、これはもう怪獣というよりも、文字通りの”タイタン”先史文明の巨人であろう。
まあ怪獣同士で話すという描写は東宝ゴジラでもあるのだが、少なくとも彼らは人間と言語でコミュニケーションはしなかった。

世界観という点では、いろいろぶれている作品ではあるのだが、一方で本作をライドの延長線上だと割り切れば、これほど楽しい映画もない。
海上と香港の二回戦は、両雄の怪獣王としての誇りを賭けた魂の戦い。
そしてコング善戦もやはりゴジラには勝てないのか!と思わせておいて悪の真打メカゴジラ登場。
オリジナルよりもメカメカしい外観は、ゴジラとコング両方を相手にしても余裕の、いい感じの禍々しさ。
そして敵対からの共闘という、少年漫画でお馴染みの胸アツの展開。
パイロットがさっさと死んじゃって、暴走するエヴァンゲリオンのような破壊のための機械の神との、赤と青の熱線の空中戦に、どつき合いの肉弾戦。
二大怪獣に加えて、魂を持たない第三の怪獣も現れた三つ巴のクライマックスは、質量共に怒涛の勢いだ。
コングのバトルアックスであんなことができちゃうのは反則の気もするが、ゴジラが放射能火炎吐く時は背鰭が光るから、まあなんとなくジェネレーター的な機能があるんだろうなと理屈は通る。

一年以上続くコロナ禍によって、配信シフトが進んだ中で、本作が久々の大ヒットとなり、欧米の映画館の救世主となり得たのも、ライドはTVで観ても意味がないから。
映画本来の見せ物としての魅力を最大化し、少なくとも大スクリーン、できればIMAX、4DXと言った劇場ならではの鑑賞スタイルを追求したことが支持を受けたのだろう。
実際私は初日にIMAX3Dで鑑賞し、後に4DX3Dでおかわりしたのだが、むちゃくちゃ楽しかった。
たとえ家で楽に観られたとしても、相応しい作品があれば人々は劇場に来るのだということを、配信と劇場で迷うスタジオに示したことでも本作の持つ意味は大きい。
一時はこれで打ち切りの噂もあった、モンスターバースの継続が決定したのもまことに喜ばしい。
東宝とレジェンダリーとの契約は今回で一旦切れるので、次は噂どおり地底空洞を舞台にした、「Son of Kong」だろうか?

怪獣の頂上決戦を描く本作には、「KING OF BEER」のコピーでお馴染み、アンハイザー・ブッシュの看板銘柄の「バドワイザー」をチョイス。
1876年以来、140年の歴史を誇るアメリカン・ビールの代表格。
スポーツ観戦のお供の定番だが、その要因が水の様に薄くなかなか酔えないので、長時間の観戦にピッタリなこと。
熱血の怪獣プロレスの熱を覚ますのにもちょうどいい。

ランキングバナー 
記事が気に入ったらクリックしてね






スポンサーサイト