■ お知らせ
※基本的にネタバレありです。ご注意ください。
※当ブログはリンクフリーです。内容の無断転載はお断りいたします。
※ブログ環境の相性によっては、TB・コメントのお返事が出来ない事があります。ご了承ください
※エロ・グロ・出会い系のTB及びコメントは、削除の上直ちにブログ管理会社に通報させていただきます。 また記事と無関係な物や当方が不適切と判断したTB・コメントも削除いたします。
■TITLE INDEX
※タイトルインディックスを作りました。こちらからご利用ください。
■ ツイッターアカウント※基本的にネタバレありです。ご注意ください。
※当ブログはリンクフリーです。内容の無断転載はお断りいたします。
※ブログ環境の相性によっては、TB・コメントのお返事が出来ない事があります。ご了承ください
※エロ・グロ・出会い系のTB及びコメントは、削除の上直ちにブログ管理会社に通報させていただきます。 また記事と無関係な物や当方が不適切と判断したTB・コメントも削除いたします。
■TITLE INDEX
※タイトルインディックスを作りました。こちらからご利用ください。
※noraneko285でつぶやいてます。ブログで書いてない映画の話なども。
※noraneko285ツイッターでつぶやいた全作品をアーカイブしています。


2021年12月02日 (木) | 編集 |
魔法って、本当に必要?
ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオの、記念すべき60本目の長編作品。
舞台は南米コロンビアの山奥、奇跡によって守られた秘密郷、スペイン語で「魅力」を意味するエンカントと名付けられた村。
映画の年代は明示されていないが、村を作ったのはコロンビアで“暴力の時代”と言われる1940年代から50年代頃に、難民としてやってきた人々の様だから90年代くらいか。
この村の近くで、暴力から逃れてきたマドリガル家の祖父が追手に殺された時、奇跡によって魔法の蝋燭が灯され、外界から隠された秘密郷が生まれた。
マドリガル家は生きている魔法の家に住み、代々家からの”ギフト“として、一人一つの魔法を受け取り、その力によって村を守護している。
そんな村のヒーロー一家で、唯一魔法がもらえなかった15歳の少女ミラベルが、“魔法を使えない意味”を見出すまでの物語だ。
近年のディズニー作品では、最もミュージカルの比重が高い。
そして最もこぢんまりとした、小さな映画だ。
物語が展開するのは、ほとんどがミラベルの家の中。
もっとも魔法の家だから、見た目とは違って部屋の中にジャングルや岩山があったり、結構ロケーションのバラエティには富んでいるけど。
ミラベルは、モアナやラーヤと違って世界を救わないし、本作の共同監督のバイロン・ハワードの前作「ズートピア」ほどの、風刺と社会性も無い。
基本的には魔法を持ったがゆえに、歪んでしまった大家族の再生劇で、物語はマドリガル家が守護している秘密郷の村の外へは広がらない。
大いなる力には、大いなる責任が伴う。
村で唯一魔法を持つマドリガル家のメンバーは、人知れずプレッシャーに晒されていて、それぞれの本音を隠している。
怪力の魔法を授けられたミラベルの姉ルイーザは、実はすごく小心者で心配性。
でも村人には頼りにされているので、そんなそぶりは見せられない。
美しい花を咲かせる魔法を持つもう一人の姉イザベラは、美人で内面も完璧だと思われていて、モテモテ。
しかし内心ではトゲのあるサボテンを咲かせたい、ロックなキャラクターを隠している。
家族は、最初に奇跡を授かったミラベルの祖母によって、ノブレス・オブリージュの理想に雁字搦めにされているのだ。
心に秘めたものを素直に出しましょうというのは、「アナと雪の女王」以来、ディズニーアニメーションのスタンダードだが、このスタンスで家族丸ごとを描いた作品。
家族で唯一魔法を得られず、孤独に苛まれているミラベルこそが、一家を呪縛から解き放つ役割という訳。
音楽を担当するのは「モアナと伝説の海」でディズニー初見参し、「tick, tick... BOOM!: チック、チック…ブーン!」では監督業に進出したリン=マニュエル・ミランダ。
今回もミラベルはじめ、家族それぞれの葛藤がミュージカルナンバーとして表現されて、ラテンのビートが効きまくった、素晴らしい楽曲を聴かせてくれる。
物語のスケールは小さいが、ミュージカル映画としての充実度は極めて高い。
しかし、「ついに白馬のプリンスだけじゃなく、魔法も必要ない!というところに着地するのか、ディズニー攻めてる!」と思ったら、やっぱその辺は要るかもね、という中途半端な結論になったのは、ちょっと腰砕け感があった。
アレだと、ちょっとは本音出せる様になったけど、ノブレス・オブリージュに縛られたままだし、全体の関係性は変わってなくね?
同時上映の「Far from the Tree」は、好き勝手に動き回る子供を心配するアライグマの親心を描き、“親の心子知らず”という諺をまんま表現した様な話。
手描きアニメーション技術を保存するための作品という色彩が強いが、親の過剰な期待と心配が、実は子供を縛ることになってしまっているという構造は、「ミラベルと魔法だらけの家」と共通。
長編と短編で、テーマを合わせているのは面白い。
今回はコロンビアを代表する蒸留所の一つから、「ディクタドール ラム 12年」をチョイス。
コロンビアは蒸留酒大国で、ラムやジンのほか、これまたサトウキビで作られるアグアルディエンという酒が全国的に作られている。
ディクタドール の12年は、元々のカラメルのような甘みに、オーク樽熟成によって独特の苦味が加わって、コクのある複雑な後味が楽しめる。
記事が気に入ったらクリックしてね
ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオの、記念すべき60本目の長編作品。
舞台は南米コロンビアの山奥、奇跡によって守られた秘密郷、スペイン語で「魅力」を意味するエンカントと名付けられた村。
映画の年代は明示されていないが、村を作ったのはコロンビアで“暴力の時代”と言われる1940年代から50年代頃に、難民としてやってきた人々の様だから90年代くらいか。
この村の近くで、暴力から逃れてきたマドリガル家の祖父が追手に殺された時、奇跡によって魔法の蝋燭が灯され、外界から隠された秘密郷が生まれた。
マドリガル家は生きている魔法の家に住み、代々家からの”ギフト“として、一人一つの魔法を受け取り、その力によって村を守護している。
そんな村のヒーロー一家で、唯一魔法がもらえなかった15歳の少女ミラベルが、“魔法を使えない意味”を見出すまでの物語だ。
近年のディズニー作品では、最もミュージカルの比重が高い。
そして最もこぢんまりとした、小さな映画だ。
物語が展開するのは、ほとんどがミラベルの家の中。
もっとも魔法の家だから、見た目とは違って部屋の中にジャングルや岩山があったり、結構ロケーションのバラエティには富んでいるけど。
ミラベルは、モアナやラーヤと違って世界を救わないし、本作の共同監督のバイロン・ハワードの前作「ズートピア」ほどの、風刺と社会性も無い。
基本的には魔法を持ったがゆえに、歪んでしまった大家族の再生劇で、物語はマドリガル家が守護している秘密郷の村の外へは広がらない。
大いなる力には、大いなる責任が伴う。
村で唯一魔法を持つマドリガル家のメンバーは、人知れずプレッシャーに晒されていて、それぞれの本音を隠している。
怪力の魔法を授けられたミラベルの姉ルイーザは、実はすごく小心者で心配性。
でも村人には頼りにされているので、そんなそぶりは見せられない。
美しい花を咲かせる魔法を持つもう一人の姉イザベラは、美人で内面も完璧だと思われていて、モテモテ。
しかし内心ではトゲのあるサボテンを咲かせたい、ロックなキャラクターを隠している。
家族は、最初に奇跡を授かったミラベルの祖母によって、ノブレス・オブリージュの理想に雁字搦めにされているのだ。
心に秘めたものを素直に出しましょうというのは、「アナと雪の女王」以来、ディズニーアニメーションのスタンダードだが、このスタンスで家族丸ごとを描いた作品。
家族で唯一魔法を得られず、孤独に苛まれているミラベルこそが、一家を呪縛から解き放つ役割という訳。
音楽を担当するのは「モアナと伝説の海」でディズニー初見参し、「tick, tick... BOOM!: チック、チック…ブーン!」では監督業に進出したリン=マニュエル・ミランダ。
今回もミラベルはじめ、家族それぞれの葛藤がミュージカルナンバーとして表現されて、ラテンのビートが効きまくった、素晴らしい楽曲を聴かせてくれる。
物語のスケールは小さいが、ミュージカル映画としての充実度は極めて高い。
しかし、「ついに白馬のプリンスだけじゃなく、魔法も必要ない!というところに着地するのか、ディズニー攻めてる!」と思ったら、やっぱその辺は要るかもね、という中途半端な結論になったのは、ちょっと腰砕け感があった。
アレだと、ちょっとは本音出せる様になったけど、ノブレス・オブリージュに縛られたままだし、全体の関係性は変わってなくね?
同時上映の「Far from the Tree」は、好き勝手に動き回る子供を心配するアライグマの親心を描き、“親の心子知らず”という諺をまんま表現した様な話。
手描きアニメーション技術を保存するための作品という色彩が強いが、親の過剰な期待と心配が、実は子供を縛ることになってしまっているという構造は、「ミラベルと魔法だらけの家」と共通。
長編と短編で、テーマを合わせているのは面白い。
今回はコロンビアを代表する蒸留所の一つから、「ディクタドール ラム 12年」をチョイス。
コロンビアは蒸留酒大国で、ラムやジンのほか、これまたサトウキビで作られるアグアルディエンという酒が全国的に作られている。
ディクタドール の12年は、元々のカラメルのような甘みに、オーク樽熟成によって独特の苦味が加わって、コクのある複雑な後味が楽しめる。

記事が気に入ったらクリックしてね
スポンサーサイト
| ホーム |