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酒を呑んで映画を観る時間が一番幸せ・・・と思うので、酒と映画をテーマに日記を書いていきます。 映画の評価額は幾らまでなら納得して出せるかで、レイトショー価格1200円から+-が基準で、1800円が満点です。ネット配信オンリーの作品は★5つが満点。
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ショートレビュー「セイント・フランシス・・・・・評価学1700円」
2022年08月30日 (火) | 編集 |
夏に成長するのは、子供だけじゃない。

34歳お一人様、学歴も仕事も恋愛もすべて中途半端で、人生に迷いまくっているブリジットが主人公。
彼女は出産を控えたマヤとアニーのレズビアンのカップルに雇われ、一夏の間中間反抗期真っ最中の6歳の女の子、フランシスの世話をする“ナニー”になる。
ブリジット役のケリー・オサリバンが、売れない役者として悪戦苦闘していた20代、そして30代前半に中絶し、その資金のためにナニーとして働いた経験をもとに、オリジナル脚本を執筆。
現在の彼女の私生活のパートナーでもある、アレックス・トンプソンがメガホンを取り、見事な長編デビューを飾った。
2019年のサウス・バイ・サウスウェスト映画祭(SXSW)では、観客賞と審査員特別賞の二冠に輝き、予算が50万ドル未満の作品を対象とするインディペンデント・スピリット ジョン・カサヴェテス賞にもノミネートされた。
初夏の風を思わせる、爽やかな手触りの作品だ。

オサリバンは、グレタ・ガーウィクの「レディ・バード」を観て、「自分も書いてみよう」と思ったと言う。
なんて素敵な創作の連鎖だろうか。
本作のブリジットは、30代も半ばになるのに、自分が何者なのか、何をしたいのか分からない。
大学を1年で中退しているので、稼げる職には就けず、レストランのウェイトレスとして生計を立て、同じくウエイターで8歳下のジェイスとはダラダラしたセフレ関係。
35歳以上の出産は高齢出産と言われ傷つき、Googleで「35歳に何をする」なんて検索したりしてる。
そんなある日、知人に紹介されてフランシスのナニーになったことが、人生の転機となる。
レズビアンの両親のマヤとアニーは、まもなくマヤがフランシスの弟を出産予定。
どちらも母親だが、実際に産まないアニーは産休を取ることが出来ないので、産後しばらくはナニーが必要という訳だ。

マヤの出産と時を同じくして、ブリジット自身はジェイスとの子を中絶。
半端者の彼女は、経済的にも精神的にも、まだ親になる準備が出来ていないのである。
だがフランシスとの暮らしが疑似的な母親体験となり、同時にマヤとアニーの家庭を垣間見たことが結婚、出産、子育て、夫婦関係など、今までのブリジットが逃げてきた、人生のステップへの学びとなる。
どんな家族にも色々な問題が起こり、葛藤がある。
産後うつに陥って誰にも心を開けなくなるマヤと、そんな彼女にどう対処していいのか分からないアニー。
ギスギスして怒鳴り合う両親を見て、たった6歳のフランシスが「離婚」を心配する。
同性愛家庭のここまでリアルで赤裸々な葛藤は、映画では初めて見たかも知れない。
ブリジットを含めた三人の女性が心の内をぶつけ合う花火大会の夜のシーンは、本作の白眉だ。

中絶の影響で出血しやすくなり、文字通りに血を流して苦しんでいるブリジットは、無意識のうちに「30代の女性はこうあるべき」という社会の価値観に縛られ、自己否定に陥っているが、子供ゆえに率直なフランシスとの交流を経て、自分にもちゃんと長所があり、肯定してもよいのだと気付かされる。
こうして彼女は、一夏の間にフランシスに癒しと気付きを与えられ、マヤとアニーに学びを得て、感情に重きを置くミレニアル世代のジェイスとも、ちゃんと話をしようとし、ようやく人生の新しいステップに踏み出せるまでに成長する。
キリスト教保守派の運動によって、現在のアメリカでは中絶は国を二分するイシュー
本作でもタイトルに象徴されるように、ところどころにキリスト教的な要素が顔を出すが、その全てがきちんと抑制されたものなのも好感が持てる。
私は男性だから、生理や出産など実感としては分からない部分もあると思うが、観終わってじんわりとした余韻が尾を引き、それぞれに痛みを抱えた登場人物たちへの、大いなる共感に包まれる。
観客賞に輝いたのも納得で、多くの人に観てもらいたいと思える秀作だ。
おしゃまなフランシスちゃんが、生意気可愛いくて最高。

今回は、ブリジットの夜明けを祝して「ゴールデン・ドーン」をチョイス。
ドライ・ジン30ml、カルバトス30ml、アプリコット・ブランデー30ml、オレンジ・ジュース30ml、アンゴスチュラ・ビターズ2dashを氷と共にシェイクし、冷やしたグラスに注ぐ。
グレナデン・シロップ5mlを、静かにグラスの真ん中に沈めて完成。
赤系のグレナデン・シロップが、朝焼けで黄金色の海から昇りつつある朝日というわけだ。
フルール系リキュールが豊富で、華やかな味わいの見た目オシャレな一杯。

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NOPE/ノープ・・・・・評価額1650円
2022年08月27日 (土) | 編集 |
忘れられた歴史を取り戻せ!

これは異様で恐ろしく、ユーモラスで新しい。
人種差別をモチーフとした異色のホラー、「ゲット・アウト」で脚光を浴びた、ジョーダン・ピール監督の三作目。
ロサンゼルス近郊の田舎に出現した、謎の巨大飛行物体。
牧場で映画撮影用の馬を育てている兄妹は、いつもは雲に隠れている物体の正体を動画に収めようとするのだが、事態は急速に悪化してゆく。
物語の着地点は、予告編のジャンル映画的なイメージからは、たぶん誰も予想も出来ないだろう。
「ゲット・アウト」のダニエル・カルーヤが、ピールと再タッグを組んで兄のOJを演じ、妹のエメラルドに「バズ・ライトイヤー」のキキ・パーマー、鍵を握る元子役俳優のジュープを「ミナリ」のスティーブ・ユアンが演じる。
撮影監督に、クリストファー・ノーランの作品で知られるホイテ・バン・ホイテマが起用され、迫力あるIMAX映像を構築している。
いくつもの要素が、パズルの様に組み合わされたユニークな暗喩劇で、私的にはジョーダン・ピールのベスト。
※以下、核心部分に触れています。

ヘイウッド家は、人里離れた田舎に広大な「ヘイウッド・ハリウッド・ホース牧場」を構え、映画の撮影に使われる馬の飼育をしている。
しかし当主で優れた調教師だったオーティス・ヘイウッド(キース・ディヴィッド)が、空中からの落下物に当たり事故死。
息子のOJ(ダニエル・カルーヤ)と娘のエメラルド(キキ・パーマー)が後を継ぐが、二人は撮影現場でトラブルを起こし、仕事がフイになってしまう。
やむなくOJは、近くで西部劇のテーマパークを経営している元子役俳優のジュープ(スティーブ・ユアン)に、馬を一時的に売りにゆく。
その夜、停電が起こり牧場の馬たちが怯え、上空に巨大な“何か”が現れる。
近くの空にずっと動かない不思議な雲を見つけたOJは、雲の中にそれが隠れていると考え、監視カメラを取り付けるが、なかなか上手く撮影できない。
そんなある日、ジュープのテーマパークから、彼自身と観客の40名が忽然と消える事件が起こり、OJは“何か”の正体に関して、ある確信を持つのだが・・・


映画の冒頭、旧約聖書のナホム書3章6節が映し出される。
『わたしは汚物をあなたに投げかけて、あなたを辱め、あなたを見せものとする』
前作の「アス」でも、旧約聖書のエレミヤ書11章11節『それゆえ、主はこう仰せられる。「見よ。わたしは彼らに災いを下す。彼らはそれからのがれることはできない。彼らはわたしに叫ぶだろうが、わたしは聞かない』が重要なヒントになっていたが、今回も同様。
ナホム書3章6節の内容が、全体のベースだ。

この言葉の後、映画は1998年にテレビドラマのセットで起こった悲劇のシーンに飛ぶ。
人気者だった動物俳優のチンパンジーが突然キレ、人間の共演者を襲ったのだ。
この時に奇跡的に無事だった出演者の一人が、子役時代のジュープなのである。
そして現在、ヘイウッド家の父が謎の落下物で死亡する事件が起こる。
オープニングクレジットでは、画面に絹のようなものに覆われた奇妙な四角形(これが何かについては後述)が現れ、クレジットの最後で、四角の奥に馬に乗った黒人騎手の姿が投影される。
これは写真家のエドワード・マイブリッジが1878年に撮影した連続写真で、ゾートロープなど当時発明されていたアニメーション機械と組み合わされることで、動画として再生が可能となった。
のちに、マイブリッジの連続写真に感銘を受けたエジソンによって、キネトスコープとシネマトグラフが発明され、映画が誕生する。
映画では馬を走らせていた騎手こそ、ヘイウッド家の祖先だということになっている。

これらの思わせぶりな断片は、やがて雲に隠れた巨大飛行物体という怪異を触媒にして、一つの大きな絵を描き出してゆく。
なかなか決定的な瞬間をカメラに収めることが出来ない兄妹は、ベテランのカメラマンを雇うのだが、この人が編集しているのが弱肉強食の野生を扱ったドキュメンタリー。
前述のチンパンジーと合わせて、人間には調教できない自然の脅威がモチーフとなることを示唆しているのは明らかだ。
全体像が少しずつ姿をあらわす序盤は割とスローテンポ、だが中盤にジュープのテーマパークから物語は一気に動き出す。
ジュープも飛行物体の存在に気付いていて、それを呼び出すショーを開催するのである。
かつて“調教出来ないもの”に人生を狂わされた彼は、それが本当に避けられない悲劇だったのか、確かめてみたかったのかも知れない。
会場には、かつての共演者で98年の惨劇から生き残ったものの、顔を潰されてしまったジュープの元共演者の女性も訪れている。
やがて姿を現した飛行物体は、ついにその本性を明らかにする。
異星人の乗り物などではなく、それ自体が一つの巨大な生物
縄張り意識が強く、他の生物の目線を感じ取り、下部に開いた丸い穴から吸い込んで捕食する。

ところが、この怪物の正体を知ったOJたちの反応が面白い。
普通この手のホラー映画では、死をもたらす未知の怪異から逃げるのが最優先なのだが、彼らは「こりゃーオプラ・ウィンフリーのショーに出て、金持ちになるチャンスだー!」とばかりに、逆に怪物を誘き寄せて寄せて撮影しようとするのだ。
どんだけ度胸あるんだよ(笑
怖いんだけど、どこかとぼけていて妙に陽性なのは、ピール独特の味わい。
しかもこのチャレンジは、彼らの家族にとっては象徴的な意味を持つ。
序盤、映画撮影前の馬の安全講習で、エメラルドは語る。
「映画史の始まりの時に、その場には黒人(自分の祖先)がいた。でも彼の名前は誰も覚えていない」と。
冒頭のオープニングクレジットで馬の連続写真が映し出される奇妙な四角形は、実は怪物の穴の奥にある消化器官のようなもの。
つまり、白人中心の歴史という怪物に捕食され、消し去られた一族の栄光と歴史を取り戻す戦いでもあるのだ。
決戦前夜、ナホム書の記述通りに、怪物は40人の人間と一緒に吸い込んだ消化できないものと共に、犠牲者の血を汚物の雨として兄妹の家に降らせる。

そしてついに、怪物との最終決戦が始まる。
ジョーダン・ピールは日本のアニメーションが好きらしが、なるほどさもありなん。
見せもので上等!とばかりに自在に形を変えながら迫り来る怪物は、まるで「エヴァンゲリオン」の使徒のようだし、完全に「AKIRA」オマージュのバイクショットもある。
怪物の真下では電力が不通になることを利用して、空気ポンプで膨らむチューブマンをセンサーがわりに使うのは、画面に不穏なユーモアをもたらしている。
また同じ理由で、怪物を捉えるメインカメラが、デジタルではなくカメラマンお手製の手動式のフィルムIMAXカメラ!
なんじゃそりゃ(笑
これはどこまでも逞しく、俗っぽい“活動屋の魂”を象徴する。
弱肉強食なのは、自然界も人間の世界も同じ。
ピールの映画は、常に「黒人であること」を映画的アイデンティティの軸としてきた。
本来コントロールできない未知の敵に、絶対不利の戦いを仕掛けたOJとエメラルドの兄妹は、まさに歴史を取り戻す黒人のヒーローだ。
例によってクセは強く、好き嫌いは別れそうだが、作家性の塊の様な独自性と未見性は非常に魅力的だ。
ちなみに、エンドクレジットの最後にも案内があるのだが、ジュープのテーマパークのセットは、既に本国のユニバーサル・スタジオのツアーに組み込まれていて、実際に訪れることができるらしい。

ところで本作の通常劇場版は、アスペクト比が1:2.2という変則的なサイズで作られている。
シネコンで使われているDCP(デジタル映写機)は基本的に1:1.85(ビスタ/フラット)、 1:2.35(シネスコ/スコープ)、 1:1.90(フルサイズ/フルコンテナ)の三種類のアスペクト比しかサポートされず、それ以外のアスペクト比をスクリーンピッタリで上映しようとすると、調整が必要になる。
ところが現在のシネコンでは映写技師を廃止してしまっているので、この調整ができないのだ。
本作の場合フラット指定になっているようで、ビスタのスクリーンなら問題ないが、シネスコスクリーンで上映すると、いわゆる額縁上映となってしまうのである。
ちょっと調べたところ、本国でも多くの劇場が額縁となっていて、観客から不満が出ている。
本作を含めて、作者がIMAXの1:1.43を基本として制作している作品に、なぜかこの様な変則アスペクト比の作品が多いのだが、なぜシンプルにIMAXフォーマットからビスタやシネスコで切り出さないのか理解に苦しむ。
作者が現在のシネコンの状況を知らないのか、あるいは一般劇場の客は額縁で見せとけと思ってるのなら、ちょっと違うと思うのだけど。

今回は宇宙規模の弱肉強食の話だったので、豹柄のボトルがインパクト大、その名も「ワイルド・アフリカ」をチョイス。
サトウキビを原料とした南アフリカのクリームリキュールで、クリーミーでやわらかくかなり甘めの味わい。
オン・ザ・ロックでもいいが、甘味が強いのでこの季節はアイスコーヒーとワイルド・アフリカを2:1で割ると、とても美味しい。

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キングメーカー 大統領を作った男・・・・・評価額1650円
2022年08月24日 (水) | 編集 |
勝つことは、イコール正義なのか。

1960年代、軍事独裁政権下の韓国で、清廉な理想を掲げる野党議員と腹に一物ある狡猾な選挙参謀、政治の世界の光と影を描いた、実話ベースの骨太なポリティカルサスペンス。
モデルとなってるのは、後に第15代韓国大統領となるキム・デジュン(金大中)と、彼の選挙参謀だったオム・チャンノク(厳昌録)。
ただし映画はあくまでも史実をベースとしたフィクションという位置付けなので、キム・ウンボムとソ・チャンデという名前に変えられている。
議員のウンボムを演じるのは名優ソル・ギョングだが、主役は選挙参謀のチャンデの方。
演じるは「パラサイト 半地下の家族」で、金持ちIT社長のパク氏役だったイ・ソンギュンだ。
監督・脚本を務めたのは、「名もなき野良犬の輪舞(ロンド)」を手掛けたビョン・ソンヒョン。
政治というヘビーな題材を扱いながら、スリリングなコンゲーム映画でもあり、最後まで飽きさせない。

1961年。
選挙戦に苦戦している野党候補者キム・ウンボム(ソル・ギョング)を、一人の若者が訪れる。
ソ・チャンデ(イ・ソンギュン)と名乗った若者は、「先生の政治姿勢に共感しているが、今の選挙のやり方では絶対に与党候補に勝てない。自分に手伝わせてくれ」と頼み込む。
熱意に絆されてチャンデをスタッフに迎え入れると、彼は「一票を得るのではなく、ライバルの十票を減らす」という奇想天外な選挙戦術を駆使し、見事にウンボムを当選させる。
政界の光となってゆくウンボムと、影となり支えるチャンデ。
独裁者のパク・スイ大統領(キム・ジョンス)が、鳴り物入りで与党候補を支援した選挙にも勝利したウンボムは、野党内でも注目されるようになり、大統領候補を選ぶ予備選挙に挑むことになる。
予備選はウンボム、キム・ヨンホ(ユ・ジェミョン)、イ・ハンサン(イ・ヘヨン)の共に40代の三つ巴。
最有力なのは、党のナンバーツーの要職にあるキム・ヨンホだが、チャンデは他の二人を出し抜き、ウンボムを当選させる驚きの奇策を編み出す。
しかしそれは、盟友関係にあったウンボムとチャンデが、別々の道を歩み出すきっかけとなる出来事だった・・・・・


冒頭の鶏をめぐる小噺が、チャンデが典型的なマキャヴェリストであることを示唆する。
鶏の卵を盗む隣人をどう懲らしめたら良いか相談されたチャンデは、自分の鶏に紐で目印をつけ、夜のうちに隣家の鶏小屋にこっそりと忍ばせ、朝になったら村人を引き連れて隣家を訪ね、鶏を盗まれたと大騒ぎせよと答える。
実際に隣人が盗んだかどうかは重要ではなく、自分が正しく隣人は悪だと印象付けるのが大切なのだと。

選挙も同じで、議員の語る理想の社会に賛同しつつ、勝つためには手段を選ばない。
彼の戦術は、有権者の票を獲得するのに汗水垂らすのではなく、同じ労力をライバルの与党候補にダメージを与えるために使うというもの。
例えば、自分の運動員に与党の腕章を付けさせ、有権者には安物のタバコをすすめ、自分は高価な外国製タバコをこれ見よがしに吸う。
あるいは与党名義で賄賂を配って、翌日には「間違いだった」と回収する。
当然有権者は与党候補に反感を抱き、票はウンボムに流れる。
インターネットのない時代だから、フェイクニュースのネガティブキャンペーン戦術は使えない。ならばの実際の行動で有権者を騙してしまえという、独裁政権だってやらないような汚い手だ。
だがチャンデには、組織力も資金力も与党が絶対有利な以上、そこまでやらないと野党は勝てないという信念がある。
チャンデの仕事を見たウンボムも、自らの政治的な大義とのギャップに苦悩しつつも、清濁合わせ飲む覚悟を決め、彼らは二人三脚で政界を駆け上がってゆく。
無名だったウンボムを連戦連勝させる謎の選挙参謀の存在は、次第に独裁政権側にも知られるようになり、「影」の異名で呼ばれるようになる。

序盤は独裁政権相手に、一杯も二杯も食わせるのが小気味よい。
しかしウンボムの地位が上がるにつれて、二人の間で目指すものの違いが明確になってくるのだ。
政治家であるウンボムにとっての選挙は、理想とする平和な社会を作るための通り道。
だが選挙参謀のチャンデにとっては、勝つこと自体が目的になっていて、有権者は自分の意のままにコントロール出来るという考え方は、もはや独裁政権側と変わらない。
「正義を実現するために勝利する」のと「勝利したものこそ正義」はまるで違う。
ウンボムが大統領選に打って出る頃になると、ゲリラ戦のようなチャンデの“戦術”ではなく、王道の“戦略”が求められるようになるのだが、チャンデはその必要には応えられないのである。
そしてずっと「影」に甘んじてきた彼自身も、自ら「光」になることを欲するようになり、同じ道を歩んでいたはずの二人は、いつの間にか違う未来を見ていることに気付くのだ。

選挙戦のディテールの部分はフィクションの要素が多いのかと思ったが、調べてみるとチャンデが駆使した戦術は、実際にオム・チャンノクが行ったことそのままだった。
まさに事実は小説よりも奇なり。
また映画に描かれる韓国の政治史も、ほぼ史実通りだ。
予備選挙でウンボムと戦うキム・ヨンホは民主化宣言後に旧独裁政権側と組み、第14代大統領となったキム・ヨンサム(金泳三)だし、他の登場人物にも全員モデルがいて、果たした役割もほぼ同じ。
ウンボムと袂を分かったチャンデが、今度は政権側に雇われて、大統領選挙でウンボムを陥れたという一番映画っぽい話まで、丸ごと史実だったのには心底驚いた。
ウンボムとチャンデ二人の間のやりとりなどは、本人以外知りようがないのでフィクションなのだろうが、ここまで忠実に作るのなら、わざわざキャラクターの名前変えなくても良かったように思う。
まあ訴訟対策もあるのかも知れないが。
ちなみに、映画の二人はオリンピックが開かれた1988年に再会するが、現実のオム・チャンノクは1986年に56歳で亡くなっている。

韓国の政治史を裏側から捉えた本作を観ると、大統領選のたびに浮かび上がる、激しく感情的な地域対立の根がどこにあったのか?などの答え合わせにもなっていて非常に興味深い。
あの「新羅VS百済」のフレーズなどは、実際に71年の大統領選で使われたものらしい。
映画のパク・スイ大統領は、現実のパク・チョンヒ大統領と同じく慶尚道出身、ウンボムもキム・デジュンと同じく全羅道出身の設定で、この地域はちょうど三国時代の新羅と百済に重なり、歴史では百済は新羅に滅ぼされた。
人々の分断というものは意図的に作ることが出来、一度作られた分断は、長く禍根を残すことになるのがよく分かる。
ピョン・ソンヒョン監督の作品はこれが初鑑賞だったが、ヘビーな題材を肩肘張らないエンターテイメントに仕上げており、ストーリー、テリング共に一級品。
象徴性の演出も巧みで、ウンボムとチャンデの光と影の関係を象徴させるように、二人きりのシーンは常に夜で、実際に選挙戦が行われる昼間には、チャンデはウンボムの背後に引っ込んでいる。
リズム感のある編集が素晴らしく、お固い素材を柔らかく見せるセンスは、なかなか日本映画では見られないもので、ちょっと羨ましくなる。

今回は、敵を叩きのめす選挙参謀の話なので、「ノックアウト」をチョイス。
ドライ・ジン30ml、ドライ・ベルモット20ml、ペルノ10ml、ペパーミント・ホワイト1tspをステアし、グラスに注ぐ。
最後にマラスキーノ・チェリーを一つ沈めて完成。
このカクテルは、1927年のボクシングのヘビー級防衛戦で、リベンジを狙う前王者のジャック・デンプシーの挑戦を退け、タイトルを防衛したジーン・タニーの祝勝会で登場したと言われている。
ベルモットとペルノとペパーミントという材料からも分かるように、強く独特な香りを、清涼なドライ・ジンがまとめ上げる。

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ショートレビュー「サバカン SABAKAN・・・・・評価額1700円」
2022年08月20日 (土) | 編集 |
青春の「またね〜!」

個人的に、作中に出てくるご飯が食べたくなるほど美味しそうに見える映画は、名作率が高いと思ってる。
これもその一つで、観終わってすぐに思ったのだ「サバカン寿司食いてー!」だった(笑
元お笑い芸人という異色のキャリアを持つ金沢知樹監督は、故郷長崎を舞台に描くリリカルな青春映画で、鮮やかなデビューを飾った。
ストーリーテラーは、草彅剛演じる売れない小説家の久田孝明。
妻とは別居中(?)で、娘の養育費を払うためにも、新しい小説を書かなければならないのだが、ネタが浮かばない。
そんな時、サバの缶詰を見てふと思い出したのが、30年以上前の小学生の頃、夏休みに起こったこと。

1986年の長崎。
小学五年生の夏休みのある日、孝明はクラスメイトの竹本に誘われて、イルカを見るために住んでいた街から山を越えた先にある”ブーメラン島”を目指す冒険の旅に出る。
シングルマザーに育てられている竹本は、四人の妹たちとボロ屋に暮らし、服を二着しか持っていない。
貧乏人とからかわれ、クラスでも孤立気味の少年なのだが、彼の家を見たクラスメイトの中で、孝明だけが「笑わなかった」ので誘ったのだと言う。
「スタンド・バイ・ミー」的な、青春のイニシエーションとしてのロードムービー。
自転車でコケて壊しちゃったり、恐ろしげなヤンキーに絡まれたり、海で溺れそうになったり、散々な目に遭うもなんとか完走。
ちなみに二人が目指すブーメラン島は時津に実在するが、実際には海岸からすぐのところで、映画で使われているのは沖合にある二島という無人島らしい。

小さな冒険は達成したものの、物語はやっと折り返し地点。
旅をきっかけに仲良くなった二人は「ヒサちゃん」「タケちゃん」と呼び合うようになるのだが、成長のステージである彼らの夏休みには、ここから二転三転のさらなるドラマが待っている。
まあ竹本の家にだけ不幸が起こりすぎの気もするが、周りの大人たちが皆優しく、適度な距離感で子どもたちを見守っているのがいい。
尾野真千子と竹原ピストルが演じる孝明の両親も、母ちゃんはガミガミうるさいし、父ちゃんは放任主義で時には突き放すが、二人とも必要な時にはギューッと抱き締めてくれる。
不幸に見舞われた竹本の家の親戚たちも、わずかなシーンで「ああ、この人たちなら大丈夫だ」と思わせてくれる。
優しいのは人だけでなく、物語の行き着く先も同様だ。
バッドエンドの映画の観過ぎで、悲劇が起こった時点で、もうちょっと厳しい「現在」を予想していたのだが、映画の着地点は全ての登場人物にとって考えうる最良のものだった。

それにしても、草彅剛は本当にいい役者になった。
「任侠ヘルパー」の頃から独特のムードをかもしだしていたが、「ミッドナイトスワン」の躍進を経て、本作では冒頭と最後だけの出演で、物語の要石として十分な存在感を見せる。
草彅剛と金沢知樹監督は共に1974年生まれの同い年で、主人公の孝明とも年齢が被る。
二人は自分の子供時代を思い出しながら映画を作ったのだろうが、実際本作は主役が子供でも、いわゆる大人のノスタルジーをくすぐる作品で、昭和の終わりの夏休みへのしばしの癒しのタイムトラベル。
温暖化が進んだ今ほどクソ暑くなく、この夏が永遠に続くと思っていたあの頃が懐かしい。
夏休みの思い出を詰め込んだ、小さなタイムカプセルのような素敵な映画だ。
エンドクレジットの中ほどと最後にも映像があるので、席を立たないように。
ところで海で助けてくれたあのお姉さん、高校生みたいだったが、ワイルドにサザエ食ってたし、ハングルが読めたり、一体何者で海岸でいつも何してるんだろう。

今回は、舞台となった長崎の地酒、平戸にある福田酒造の「長崎美人 純米大吟醸」をチョイス。
長崎はどちらかといえば焼酎文化圏だが、水資源の豊富な地域らしく日本酒の酒蔵も十数軒ある。
大吟醸らしくフルーティな香りがフワリと広がり、梨系の甘味を感じる上品な味わい。
熱燗でも美味しく飲める酒だが、今の季節はキンキンに冷やして飲むのがベター。

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13人の命・・・・・評価★★★★+0.7
2022年08月16日 (火) | 編集 |
絶対に、助け出す。

2018年の6月、タイ北部にあるタルアン洞窟が突然の豪雨によって水没。
地元の少年サッカーチームの選手12人とコーチ1人の計13人が、地底奥深くに閉じ込められ、出動要請を受けたタイ海軍のみならず、世界中から集まったダイバーやボランティア作業員たちによって、大規模な救出作戦が繰り広げられた。
これは世界が見守った救出劇の全貌を、現場に駆けつけた英国人ケーブダイバーを軸に描く群像劇だ。
ヴィゴ・モーテンセン、コリン・ファレル、ジョエル・エドガートンらの名優が、いぶし銀の演技でベテランケーブダイバーたちを好演。
グァダニーノ版「サスペリア」の撮影監督・サヨムプー・ムックディプロームが、どこまでも続く地底の迷宮を活写し、「グラディエーター」「レ・ミゼラブル」のウィリアム・ニコルソンの脚本を、ロン・ハワード監督がドラマチックにまとめ上げた。

リチャード・スタントン(ヴィゴ・モーテンセン)の自宅に、ケーブダイビング仲間のジョン・ヴォランセン(コリン・ファレル)から連絡が入る。
タイの洞窟に少年サッカーチームの13人が閉じ込められていて、救出に行こうと言うのだ。
現場には、すでにタイ海軍のネイビーシールズをはじめ、多くのボランティアが展開していたが、狭く曲がりくねった洞窟には雨水が流れ込み続けており、濁流に阻まれて捜索は遅々として進んでいない。
多くの洞窟事故を見てきたスタントンは、結果を悲観するが、せめて遺体だけでも回収しようと洞窟に入る。
しかし、少年たちが避難したと推測された「パタヤビーチ」には何もなく、海軍も進めていない奥へと進むと、小さな岩棚に少年たちが避難していた。
13人全員無事の一報に人々は沸き立つが、スタントンとヴォランセンは、ダイビング経験のない者を、潜水させて救い出すことの難しさを誰よりも知っていたので、表情はうかない。
しかし、洞窟内の酸素はあとわずか。
彼らは人類史上誰もやったことのない、前代未聞の計画を立てるのだが・・・・


記憶に新しいこの事件、発生からたった4年で早くも三度目の映画化だ。
それほどドラマチックで、いわゆる「映画みたいな話」だったということだろう。
本国タイで制作された「THE CAVE サッカー少年救出までの18日間」は観てないが、山岳ドキュメンタリーの傑作「MERU/メルー」「フリーソロ」のジミー・チンとエリザベス・チャイ・ヴァサルヘリィ両監督が手掛けたドキュメンタリー映画、「THE RESCUE 奇跡を起こした者たち」は見事な仕上がりだった。
事件発生後、すぐに現場に駆けつけたのは、タイ海軍のネイビーシールズ。
しかし、彼らはダイビングのプロではあるものの、その活動のフィールドは広大な海で、視界がきかず障害物だらけケーブダイビングは専門外。
そこで、世界中から集まってくるのが、ベテランのケーブダイバーたちだ。

ずっと山岳ものを作ってきたチンとヴァサルヘリィが、ダイビングものを手掛けたのは意外だったのだが、ケーブダイバーのキャラクターを見て納得。
彼らは基本団体行動が苦手で、お一人時間が大好き。
悲観的なまでに慎重だが、時に大胆な行動を取る。
そして何よりも、自然に対し畏怖の念を持ち、物静かで優しい。
彼らのメンタリティはほぼクライマーのそれで、舞台が山から水中になっただけだったのだ。
ドキュメンタリー版はケーブダイバーの活動を主に描いていて、登場人物も本作とほぼ同じ。
同一の事件の展開を、ドキュメンタリーと劇映画の二つの視点で眺めるのも面白い。
本作は情報量が膨大で、登場人物の背景や内面などは必要最低限しか描かれないので、むしろドキュメンタリー版の方が個々のキャラクターは理解しやすい。

劇映画ならではの演出で秀逸なのが、冒頭で水の無い状態の洞窟内をきっちり描写していることだ。
一旦濁った水に浸ってしまうと、実際にその場所がどんな地形なのかは分からなくなってしまうが、この冒頭部分があることによって、無数の鍾乳石が垂れ下がり、極端に狭く曲がりくねった洞窟の構造が視覚的に理解出来るので、その後のレスキューミッションの困難さが一目で分かるのである。
おそらく洞窟の手強さを最初に思い知ったのは、ネイビーシールズだろう。
世間の期待とは裏腹に、ノウハウを持ってないので結果を出せない。
そんな時にやってきたケーブダイバーのおっさんたちは、彼らからしたら最初は信頼出来ないよそ者だ。
だが行き詰まった現場で、実際にケーブダイバーが結果を出してゆくと、バラバラだった人々の心にリスペクトと共にチームとしての一体感が生まれてくる。
まあこれが完全なフィクションだと、典型的ホワイトセイバー話型と批判されそうだが、紛れもなく事実なんだから仕方がない。

洞窟の入り口から4キロ、水の流れに逆らって到達するのに6時間以上、戻るにも最短で5時間。
しかもその大半を、水中に張られたたった一本のガイドラインを頼りに、潜水して泳がねばならない。
屈強なネイビーシールズにも死者が出てしまうほどの難路を通り、ダイビング経験など無いど素人の少年たちをどうやって救出するのか。
この実際のレスキューミッションの顛末は、ドキュメンタリー版で知っていたものの、ドラマとして再構成されると、ぶっちゃけ全員助かったのは本当に奇跡だと思える。
そりゃあ、その瞬間はマスコミを遠ざけたくなるわ。
トム・ベイマンが演じるケーブダイバーの一人が、ミッション中にガイドラインを離してしまい、位置を見失うシチュエーションなどは、ドキュメンタリーだと本人が淡々と語っているだけだが、こちらでは俳優の演技によって、本当にヤバい状態だったのだと実感する。
それゆえに、彼らの成し遂げたことの凄さが余計に際立つ。
一見冴えないおっさんたちが、これほど頼もしく見える映画もないだろう。

またケーブダイバーの話だけではドラマとしては単調に陥りそうだが、本作はいわばライバルであり同志でもあるネイビーシールズ、陣頭指揮にあたった知事、祈りを捧げにやって来る高僧、子供たちを待つ家族など、当時現場にいた様々な立場の人たちを少しずつ、しかし満遍なく描いてゆく。
洞窟内の水位を下げるため、地元の人たちが山から流れ込む水の方向を変え、田んぼを犠牲にして即席ダムを作ったエピソードなどは、当時ほとんど報道された記憶がないが、これだって大変なミッションだ。
これらの細かなサブプロットでメインプロットを肉付けしていった結果、世界から五千人もの人々が参加した大作戦の全貌が見えるようになっている。
事件のために集った軍やボランティアたちのために、洞窟の前にキャンプが作られているのだが、もはや一つの町と言っていい規模なのにも驚かされた。
まさに、「チーム人類」の成し遂げた偉業。
戦争やコロナで、ギスギスしがちな今の時代、このスピリットを忘れないようにしたいものだ。

しかしロン・ハワード監督の作品、素晴らしい仕上がりだった「ヒルビリー・エレジー -郷愁の哀歌-」に続いて配信スルー。
本作などは大作感もあり、暗闇で展開する内容的にも映画館向きで、何よりも娯楽映画として非常に面白いのに、ちょっと勿体無く思う。
シネコンなら、一番大きなスクリーンで鑑賞したくなる作品だ。
ディズニー+で配信中のドキュメンタリー版「THE RESCUE 奇跡を起こした者たち」と併せて鑑賞すると、より楽しめるだろう。

今回は、象がトレードマークのタイビール「チャーン クラッシック・ラガー」をチョイス。
タイ市場では、シンハーと並ぶ人気銘柄なのだが、南国ビールの例に漏れず、めっちゃライト。
一応、度数は5°と普通だが、酔うというよりも水分補給用で、キンキンに冷やして、なんなら氷も入れちゃって、スッキリすること間違いなし。
緊張感あふれるレスキューミッション明けには、これで祝杯を上げたくなる。

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ONE PIECE FILM RED・・・・・評価学1700円
2022年08月12日 (金) | 編集 |
その悲しき歌を聴け。

「ONE PIECE FILM RED」は、原作者の尾田栄一郎が総合プロデューサーを務めるFILMシリーズの4作目にして、「ONE PIECE」連載開始25周年記念作。
劇場版としては、2019年に封切られた前作「ONE PIECE STAMPEDE」以来の通算15作目となる。
今回の舞台はワンピ世界で最も愛される歌姫、ウタの最初のライブコンサート。
しかし「新時代を作ろう」と歌う彼女の思想を世界政府は危険視し、監視する海軍は神経を尖らせ、海賊たちは身代金を目当てに誘拐する気満々。
ところが会場に現れたルフィが、正体不明のはずの彼女のことを「シャンクスの娘だ」と明かしたことから、事態が急速に動き出す。
歌唱がメインとなる役柄ゆえに、ウタは演技を名塚佳織、歌唱を覆面歌手のAdoが担当する二人一役。
脚本は「キングダム」シリーズで知られ、「ONE PIECE FILM GOLD」も担当した石黒勉。
監督の谷口悟朗は、劇場版シリーズ第一作の「ONE PIECE 倒せ!海賊ギャンザック」で監督デビューを飾っていて、今回が四半世紀ぶりのシリーズ帰還となる。

音楽の島エレジア。
ここで人気歌手のウタ(名塚佳織/Ado)の、ライブコンサートが開かれようとしていた。
素性を明かさず、配信で活動してきた彼女を一目見ようと、ライブ会場にはファンたちが押し寄せ、ルフィたち麦わらの一味もその中に。
しかし世界政府は、ウタを革命を煽る者として危険視し、海軍を送り込んでいた。
一方、世界中の注目を集めるウタなら、巨額の身代金を取れると、海賊たちも観客に紛れ込み、一触即発。
ところが、コンサートが始まる直前、ルフィ(田中真弓)がステージに立ち、ウタを赤髪のシャンクス(池田秀一)の娘だと紹介したことから、会場がわざつく。
なぜなら、ウタは人々を苦しめる海賊を嫌い、「大海賊時代を終わらせて、新時代を作ろう」と歌っていたからだ。
さっそく海賊たちが、人質としてウタを捕らえようとするが、彼女は不思議な力を使い、瞬く間に海賊たちを拘束してしまう。
実はこのコンサートの開催は、本当の新時代を作るためのウタの壮大な計画だったのだ・・・・


「超時空要塞マクロス」のリン・ミンメイから、記憶に新しい「竜とそばかすの姫」のベルまで、日本アニメーション映画史を彩ってきた歌姫ヒロインの系譜にまた一人。
弱肉強食の大海賊時代にあって、誰もが幸せに暮らせる新時代を作ろうと歌う、謎の歌手ウタ。
その正体は、赤髪海賊団大頭のシャンクスの娘でルフィの幼馴染だった。
12年前、なぜ彼女は海賊団から忽然と姿を消し、今になって世界の歌姫として現れたのか。
浮かび上がってきたのは、「ONE PIECE」史上もっと悲しくて辛い話しだったよ・・・。

全体が「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲」+「うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー」+「ミッション:8ミニッツ」みたいな二重世界の構造。
ウタは「ウタウタの実」の能力者で、その歌声を聞いた者の心は、彼女の作り出す現実そっくりの仮想世界「ウタワールド」に取り込まれてしまう。
この世界ではウタは神の如き力を持ち、食べ物を自由に出したり、無生物のはずのサニー号を可愛い謎生物に変えたり、ほとんどどんなことでも出来る。
当然無敵で、誰も彼女には敵わない。
現実世界でウタが眠ると、ウタワールドから解放されるが、彼女は食べると眠ることができなくなり、やがて死に至る毒キノコを食べていた。
ウタが死んでしまうと、ウタワールドと現実は切り離され、取り込まれた人々も永遠にこの世界から出られなくなる。
そう、ウタの言う新しい世界とは、海賊も海軍も世界政府もない、ウタワールドという虚構のパラダイスで、自分の歌を聞いてくれたリスナー全員と、ずっと幸せに暮らそうというものなのだ。
パラダイスの存在が確約されてはいるものの、要はカルト宗教のやりそうな集団自殺だ。

しかし、シャンクスの娘として赤髪海賊団にいたはずのウタは、なぜこんな大それた計画を立てたのか。
12年前に突然海賊団から消え、理由も告げないままルフィの前から去った理由と、その時ウタに起こったことは、ネタバレなので自粛するが、全ての発端が幼い彼女が背負った、余りにも重い罪の意識なのが辛い。
もちろん大人たちは、彼女が傷付かないように配慮はするのだが、それゆえに中途半端に事実と接することになってしまう。
ウタは自分の過去を知れば知るほど、追い詰められてドツボにハマり、虚構の世界でやり直したくなってしまうのである。
自分の歌で人々に幸せを齎したいという善意と、過去の罪をかき消したいという無意識の罪悪感、世界を一からやり直したいという願望が、ウタの中でぐちゃぐちゃの狂気になって暴走。
ライブコンサートの会場にいなくても、歌を聴いただけでウタワールドに取り込まれてしまうので、彼女の狂気は人口の7割を巻き込み、世界は滅亡の淵に立たされる。
思うに、過去を強く後悔したことのある人ほど、この悲しきテロリストに感情移入することを免れないだろう。

彼女の心の叫びを歌い上げる、Adoの歌唱もパワフル。
オープニングの「新時代」、エンディングの「風のゆくえ」以外にも5曲を披露していて、音楽映画としてもかなり聴き応えのあるボリューム。
劇中では歌われていないが、サウンドトラックアルバムの「ウタの歌 ONE PIECE FILM RED」には、名曲「ビンクスの酒」のAdoバージョンが収録されていると言うので、これはちょっと聴いてみたい。
心情的にはエンディングにピッタリなのだが、思い出の曲という設定の「風のゆくえ」と迷ったか?
もちろん、アニメーション映像のクオリティも高く、原作者がガッツリ参加しているだけあって、お馴染みのキャラクターも生かされている。
クライマックスの、現実世界のシャンクスとウタワールドでのルフィの揃い踏みの同時攻撃や、ウソップとヤソップの共闘とか、バトルシークエンスはアガる仕上がり。
ただし、今回はルフィもシャンクスも完全に脇役で、主役はあくまでもウタ
まあ「ONE PIECE」の劇場版は、レギュラー陣は基本狂言回しで、色々問題を抱えたヴィランの方が目立ってるのは珍しくないが、特殊能力を持った海賊や海軍とのバトルは彩の野菜みたいなもので、メインの料理はAdoのワンマンショーがという作りは、コレじゃないと思う人もいるかも知れない。
個人的には、悲しい影を纏ったヴィランの話に弱いので、劇場版シリーズ中でもトップクラスに好きな話。
映像は涼しげだし、夏休み中におかわりしよう。

今回は、タイトル繋がりで赤いカクテル「ムーラン・ルージュ」をチョイス。
スロー・ジン40ml、スイート・ベルモット20ml、オレンジ・ビターズ1dashをシェイクし、グラスに注ぐ。
ルビー色の美しいカクテルは、バズ・ラーマンの同名映画でも知られる、赤い風車がトレードマークのパリのキャバレーをモチーフにした一杯。
香りよくまろやかで甘酸っぱく、飲みやすい。

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ショートレビュー「今夜、世界からこの恋が消えても・・・・・評価額1650円」
2022年08月08日 (月) | 編集 |
幸せの日記帳。

交通事故に遭い、事故より後の記憶を1日しか保てなくなる「前向性健忘」を患った少女と、彼女の日記帳を楽しい思い出で満たそうとする少年の切なくて甘酸っぱい恋。
監督・三木孝浩と脚本・月川翔、ティーン向け恋愛映画では先ず名前が上がる両者のコラボは、最良の結果になっているのではないか。
カップルのどちらかが記憶障害という設定の映画はたくさんあるが、「思い、思われ、ふり、ふられ」の福本莉子と、これが映画初主演となる道枝駿佑が演じる、日野真織と神谷透の恋は初々しく、50過ぎのおっさんが見ても胸キュンの青春ストーリーだ。

二人の交際の始まりは、透の嘘。
彼の前の席の男の子がいじめのターゲットにされていて、心優しい透はいじめっ子のグループにやめて欲しいと頼むのだが、彼らの出した条件が、透が真織に告白すること。
どうやら、透が学校でも人気者の真織にふられる恥ずかしい姿を動画配信し、楽しもうということらしい。
ところが彼らの期待に反して、真織は透の告白にOKしてしまうのだ。
すぐに透は真相を明かすも、意外にも彼女は偽装カップルとして、このまま付き合ったフリをすることを提案する。
真織は「放課後までお互い話しかけない」「連絡のやり取りは簡潔にする」「本気で好きにならない」という三つの条件を出すのだが、これはもちろん病気のことを知られないようにするため。

その日あったことを全て、翌朝には忘れてしまう真織の病状が知られれば、悪用しようとする輩が出てこないとも限らない。
だから、彼女の病気のことは、古川琴音演じる親友の綿矢泉しから知らない。
真織は毎日起こったことを日記に書いて、明日の自分に知らせているのだが、事故から時間が過ぎれば過ぎるほど、読まなければならないページが増えてゆく。
放課後まで声を掛けないのは、予習が追いつかないからなのだ。
もっとも、彼女の秘密はデート中の出来事をきっかけに、あっさり透にバレてしまい、ここから彼は記憶を保てない彼女のために、毎朝読む日記を楽しいことで一杯にすることに全力を尽くし始める。
そしていつしか、二人は偽装ではなく、本物の恋人たちになってゆくのである。

しかし事故から3年後、障害を克服した真織の日常に透の姿はなく、手書きからパソコンになった日記帳にもなぜか彼のことは書かれていないのだ。
事故からの3年間に、二人の間に一体なにがあったのか?透は一体どこへ行ったのか?
この辺りの作劇のロジックは月川翔の代表作「君の膵臓をたべたい」を思わせるが、序盤の福本莉子があの映画の浜辺美波に見えて仕方がなかった。
ヘアスタイルが似てる他にも、たぶん声質がちょっと近いのかも。
ありがちなティーンの恋愛ものと違って、凝った作劇ロジックが特徴だが、主役の二人だけじゃなく、周りの人間関係もしっかり描きこまれているのがミソ。
特に、かなり複雑な設定の透の家族像は、物語が単調になるのを防ぎ、深みを作ることに繋がっていて面白い。
透の姉役の松本穂香も素晴らしいのだが、演者のMVPは全てを知る泉を演じた古川琴音だろう。
真織が記憶を保てないが故に、心の痛みを一身に背負ったこのキャラクターは、観客にとっての作品世界の目でもあり、彼女の感情は観客と連動する。
彼女が苦しいと我々も苦しいし、彼女が泣くときは我々も涙を抑えられない。
日記帳、スケッチブック、スマホと、記憶を綴るアイテムの使い方も上手く、一瞬を永遠に切り取り保存する、映画というフォーマットでこの物語を描いた寓話性も高い。
非常に丁寧に作られた秀作なのだが、透を巡る終盤の展開に唐突を感じさせるのは勿体無い。
一応、お母さんのエピソードが事情を示唆することにはなっているのだが、あと一ヶ所くらい伏線を入れてもよかったのでは。
水族館デートの時など、自然に描写できたのではないだろうか。
いずれにしても、予告編で感じるアイドル映画然とした印象とは違って、リリカルに感情を揺さぶってくる良作で、もうちょっとヒットしてもいい作品だと思う。

今回は、紫色の美しいカクテル「ヴァイオレット・フィズ」をチョイス。
ジン30ml、パルフェ・タムール20ml、レモン・ジュース15ml、シュガー・シロップ10mlをシェイクし、グラスに注ぎ、キンキンに冷やした炭酸水で満たして完成。
このカクテルの特徴的な色を作り出すのに使われる、パルフェ・タムールは「完璧な愛」という意味。
まさ、この映画の恋人たちにピッタリだ。

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女神の継承・・・・・評価額1700円
2022年08月04日 (木) | 編集 |
それは女神か邪神か。

タイの東北部イサーン地方の村を舞台に、地元の人々の信仰を集める“女神バヤン”に巫女として使える一人の中年女性を追ったドキュメンタリー・・・という触れ込みのめっちゃ怖いホラー。
モキュメンタリーホラーといえば台湾製の「呪詛」が記憶に新しいが、こちらもアプローチは違えど、その特質を最大限に生かした作品だ。
10年代の最も不条理で怖しいオカルト映画の傑作、「哭声/コクソン」のナ・ホンジンが原案とプロデュースを務め、監督・脚本はセンス・オブ・ワンダー溢れるホラーコメディの佳作、「愛しのゴースト」のバンジョン・ピサンタナクーン。
韓国とタイのホラーマイスターがタッグを組んだ、禍々しく凄みのある傑作だ。

映画は、小さな村で裁縫店を開きながら、巫女の務めを果たしているニムの日常から始まる。
コブラ酒を飲んで、半身が麻痺したという男に祈祷を施す。
「癌患者を連れてきても治せないよ、私が治せるのは目に見えないものが原因の病だけ」と語るニムは、どこにでもいそうなおばちゃんだ。
限りなく普通の人だが、巫女の能力は彼女の一族の女性にだけ現れるとされ、何世代も継承されて来た。
本当は姉のノイが巫女になるはずだったのだが、拒んでキリスト教に改修したので、自分が選ばれたのだと言う。
そのノイの夫が病気で亡くなり、葬式に出席した若く美しい姪のミンの体に突然の異変が起こる。
生理が終わらなくなり、人格が変わり攻撃的になる。
ついには体調の悪化で、日常生活を送れないほどに。
ノイにとってその変化は身に覚えがあるもので、子供のいないニムの次の代の巫女に、ミンが選ばれたのだと確信する。
取材クルーは、すわこれで巫女の継承の儀式を全部記録できるぞ!とニムとミンの二人に密着しはじめるのだが、どうも様子がおかしい。
ミンに憑いているのは、本当に女神なのか?というところからじわじわと怪異が広がってゆく。

この種の映画としては長尺の131分。
序盤の1時間くらいはホラーと言うよりも、 ナショナルジオグラフィック的な真面目な民俗学ドキュメンタリーみたいな作り。
土着信仰と村の生活を徹底的に作り込んでいるので、だんだんと劇中に描かれることが本当に思えてきて、怖いと言うよりも興味深い。
しかし、途中で完全に正気を失ったミンが行方不明になる辺りから、加速度的に恐怖指数が高まってゆく。
初めのうちは、ニムは亡くなったミンの兄、マックが原因だと考えている。
ミンとマックは近親相姦関係にあり、マックの霊がミンを連れて行こうとしていると見立てるのだが、それはミンに憑いた何かによる幻惑。
戻って来たミンがまるで動物の様な行動を取るようになると、ニムは仲間の祈祷師にも援軍を頼み、いよいよ除霊の儀式の準備を始める。
そして最後は、怒涛のスペクタクルホラーへと変貌するのである。

当初、ナ・ホンジンは「哭声/コクソン」に登場した怪しげな祈祷師、イルグァンの物語を作りたかったのだという。
イルグァンは、表向きは祈祷師だが、その実村人に呪いを広めている悪魔崇拝者で、祈祷の儀式と偽って対象者に悪魔を憑依させる。
彼を阻止しようとするムミョン(名無し)と言う女も登場するのだが、劇中に言明はないものの、彼女は村を守る土地神的存在で、まさに女神だ。
韓国を舞台にした祈祷師の企画から、紆余曲折があって最終的に本作が出来上がるのだが、ムミョン=バヤン、聖なるものに見せかけた邪悪な存在に取り憑かれたミン=イルグァンと考えれば、本作が一見して「哭声/コクソン」と類似した対立関係を持っていることが分かる。
しかし優れたクリエイターは、同じことは二度やらない。
最初の構図は同じ様に見えても、ここから本作はモキュメンタリーの特質を生かした、思いもよらない捻りを加えてくるのだ。

韓国にムーダンと呼ばれる仏教でもキリスト教でもない土着宗教の祈祷師がいるように、仏教国として知られるタイにも、その土地に根付いてた独自の信仰がある。
日本の八百万の神々と同様に、彼らの価値観ではあらゆるものに神や精霊が宿り、その中でも力の強いものには信仰が集まる。
「呪詛」に出てきた大黒仏母もそうだが、田舎に伝わるこの手の出自がよく分からない神様はたいていヤバい
そもそも土着信仰は公な記録が残らないので、それが本当に聖なるものなのか、それとも祟られるのを恐れて悪霊を信仰しているのか、長い歴史の間に曖昧になってしまう。
本作でも、女神とされるバヤンが具体的にどんな神様なのかはほとんど語られないし、ミンに取り憑いた悪霊の正体も分からない。
ラストカットに出てきたあるモノを見ると、タイでも祈祷と呪詛は表裏一体だろう。
劇中で明かされるノイの夫の家系の歴史を見ると、少なくともノイの家族は最初からバヤンに呪われたとしてもおかしくないはずだ。
精霊や神様は、眠っていればどこかで見守ってくれている無害な存在だが、怒らせると祟り神となって直接的な災いとなる。

女神バヤンの得体の知れなさと、信仰の持つ二面性こそが本作の本当の恐ろしさ。
ニムの身に起こったことを考えると、彼女らは助けを求めたバヤンに呪われていたのではないか。
神が何を救い何を呪うのかなど、はなから人間が知る由もない。
阿鼻叫喚のクライマックスの最中、現場に現れたミンは、恐怖に震える取材クルーのカメラを手に取り「私が撮ってあげる」と呟く。
ここで「呪詛」とはまた違った形で主客が転倒し、カメラの向こうにあると思っていたものが、いつの間にかこちらに来ているのだ。
この時点で、我々もまたバヤンの呪いに取り憑かれているのである。
終盤の描写などはやり過ぎギリギリではあるが、心底怖しい映画で、納涼パワーはピカイチだ。
しかし、これだけアジアンホラーに素晴らしい作品が現れているのを見ると、かつて世界に影響を与えたJホラーにも奮起してもらいたいところ。
三宅唱監督によるNetflixのドラマ版「呪怨:呪いの家」は素晴らしかったが、映画でも新しい恐怖がそろそろ欲しい。

今回は、タイの焼酎「モンシャム」をチョイス。
香り米のジャスミンライスから作られ、竹炭濾過されてスッキリとした澄んだ味わい。
オン・ザ・ロックで飲みたいが、クセがないのでどんな飲み方にも対応できる。
タイの焼酎は交易によって様々な国に運ばれ、一説によると沖縄で泡盛のルーツとなり、そこから薩摩を経由して九州に焼酎文化として定着したとか。
ちなみに名前は「モン(輝く)シャム(タイ)」の意味。

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