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2022年12月27日 (火) | 編集 |
願いの鍵が開けるのは?
「ハケンアニメ!」の辻村深月による本屋大賞受賞のミリオンセラー小説を、原恵一監督がアニメーション映画化した作品。
オオカミ様と名乗る謎めいた少女によって、鏡の向こうにある異世界の孤城に召喚された七人の中学生の物語だ。
彼らが一年のうちに、城のどこかに隠された願いの鍵を見つけ出せば、オオカミ様が願いを一つだけ叶えてくれる。
ただし城へ滞在できるのは朝の9時から17時までで、誰かがルールを破ると、同じ日に城にいた全員が連帯責任で本物のオオカミに食われるという。
シチェーションだけ見るとデスゲームものっぽいが、こちらは生きるための異世界。
原恵一監督は前作の「バースデー・ワンダーランド」がキャリアワーストの出来だったので、異世界ファンタジーとは相性が悪いのではと思ったが、本作はあくまでも現実世界がベース。
現実の問題を解消するための装置としての異世界なので、彼のフィルモグラフィの中では「カラフル」に連なる系譜と言っていいだろう。
中三のアキとスバル、中二のマサムネとフウカ、中一のこころとリオンにウレシノ、七人に共通するのは全員が同じ中学に在籍し、それぞれの理由で居場所を失い、学校にも行ってないこと。
このうち、リオンだけが中学の学区は同じだが、ハワイにサッカー留学中で、特に大きな問題を持っていないように見えることがポイント。
文庫版で上下二巻になる文量を、2時間の映画にまとめているので、さすがに七人の事情全てを描き切れてはいない。
物語の軸となるのは、當真あみがVCを務める一年生のこころだ。
彼女はクラスの女王様的な同級生に嫌われたことで孤立し、学校に通えなくなる。
フリースクールに行ってみたものの、前向きにはなれず引きこもる日々を送っていたある日、部屋の姿見が光り輝くゲートとなって、城へとやって来る。
他のメンバーの事情は、なんとなく示唆されるものの、物語の中盤までは不登校の理由が明示されるのはこころだけだ。
内面に見えない葛藤を抱えた中学生たちは、気まぐれに城に集い、ある時は真面目に鍵を探し、ある時はお茶会を楽しみ、ある時は遅れている勉強に取り組む。
彼らにとっての城は、いわば大人のいないフリースクール。
ここに来ることが、それぞれの問題を解決するためのセラピーのようなものなのだ。
とは言っても説教臭くはなく、異世界での出会いを通して、少年少女たちの葛藤が自然に顕在化してくる仕組み。
実際、アニメーションというフォーマットで、ここまでリアルに不登校の問題に向き合った作品をはじめて観た。
出会った当初は、こころを含めて皆心の内を隠している。
しかしやがて、なんとなく察するようになり、徐々に心を開いてゆくのだ。
不登校なんて、何がきっかけになるか分からない。
教師や親に相談できない時、同じ境遇の誰かと話すことができて「私だけじゃなかったんだ」と思えれば、どんなに気が楽だろう。
たぶん、実際に問題を抱えている同世代の子供たちは、この映画を観て七人の仲間となったような安堵感を覚えるのではないか。
こころたちにとって、城は成長し共感力を培ってゆくステージだが、映画の観客にとっても同じ意味を持つのである。
これこそが、物語の持つ力。
そして、一年のタイムリミットが終わる時、全ての秘密が明かされるクライマックスは圧巻。
実は召喚された七人には、ある秘密がある。
これは小説であればサプライズになるところだが、映像テリングでは隠し通すことが難しく、割とすぐに分かってしまう。
まあこれは、表現の特質状致し方ないだろう。
それぞれの今が抱え込んでいる負の感情を、一気に未来を生きるエネルギーに変換する手際はさすがである。
そもそもオオカミ様がなぜこんなことを出来るのかとか、なぜこの七人でなければならないのかとか、世界観の仕組みの部分には疑問が残るが、ぶっちゃけその辺は割とどうでもいい。
原恵一らしい、しっかり地に足が着いたファンタジー。
これは同じ境遇にある子供たちはもちろん、大人が観ても元気をもらえる。
そして、キーパーソンとなるオオカミ様を演じた芦田愛菜は、やっぱり上手いなあ。
今回は城つながりで「オールド・キャッスル」をチョイス。
スコッチ・ウイスキー20ml、ジンジャーワイン20ml、メロン・リキュール10ml、ライム・ジュース10mlをシェイクし、グラスに注ぐ。
最後にライムを一片飾って完成。
ジンジャーワインの独特の風味が、ほどよく甘く複雑な味わいを作り上げている。 1987年に、秋田治郎氏がコンテストのために考案した、日本生まれのカクテルだ。
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「ハケンアニメ!」の辻村深月による本屋大賞受賞のミリオンセラー小説を、原恵一監督がアニメーション映画化した作品。
オオカミ様と名乗る謎めいた少女によって、鏡の向こうにある異世界の孤城に召喚された七人の中学生の物語だ。
彼らが一年のうちに、城のどこかに隠された願いの鍵を見つけ出せば、オオカミ様が願いを一つだけ叶えてくれる。
ただし城へ滞在できるのは朝の9時から17時までで、誰かがルールを破ると、同じ日に城にいた全員が連帯責任で本物のオオカミに食われるという。
シチェーションだけ見るとデスゲームものっぽいが、こちらは生きるための異世界。
原恵一監督は前作の「バースデー・ワンダーランド」がキャリアワーストの出来だったので、異世界ファンタジーとは相性が悪いのではと思ったが、本作はあくまでも現実世界がベース。
現実の問題を解消するための装置としての異世界なので、彼のフィルモグラフィの中では「カラフル」に連なる系譜と言っていいだろう。
中三のアキとスバル、中二のマサムネとフウカ、中一のこころとリオンにウレシノ、七人に共通するのは全員が同じ中学に在籍し、それぞれの理由で居場所を失い、学校にも行ってないこと。
このうち、リオンだけが中学の学区は同じだが、ハワイにサッカー留学中で、特に大きな問題を持っていないように見えることがポイント。
文庫版で上下二巻になる文量を、2時間の映画にまとめているので、さすがに七人の事情全てを描き切れてはいない。
物語の軸となるのは、當真あみがVCを務める一年生のこころだ。
彼女はクラスの女王様的な同級生に嫌われたことで孤立し、学校に通えなくなる。
フリースクールに行ってみたものの、前向きにはなれず引きこもる日々を送っていたある日、部屋の姿見が光り輝くゲートとなって、城へとやって来る。
他のメンバーの事情は、なんとなく示唆されるものの、物語の中盤までは不登校の理由が明示されるのはこころだけだ。
内面に見えない葛藤を抱えた中学生たちは、気まぐれに城に集い、ある時は真面目に鍵を探し、ある時はお茶会を楽しみ、ある時は遅れている勉強に取り組む。
彼らにとっての城は、いわば大人のいないフリースクール。
ここに来ることが、それぞれの問題を解決するためのセラピーのようなものなのだ。
とは言っても説教臭くはなく、異世界での出会いを通して、少年少女たちの葛藤が自然に顕在化してくる仕組み。
実際、アニメーションというフォーマットで、ここまでリアルに不登校の問題に向き合った作品をはじめて観た。
出会った当初は、こころを含めて皆心の内を隠している。
しかしやがて、なんとなく察するようになり、徐々に心を開いてゆくのだ。
不登校なんて、何がきっかけになるか分からない。
教師や親に相談できない時、同じ境遇の誰かと話すことができて「私だけじゃなかったんだ」と思えれば、どんなに気が楽だろう。
たぶん、実際に問題を抱えている同世代の子供たちは、この映画を観て七人の仲間となったような安堵感を覚えるのではないか。
こころたちにとって、城は成長し共感力を培ってゆくステージだが、映画の観客にとっても同じ意味を持つのである。
これこそが、物語の持つ力。
そして、一年のタイムリミットが終わる時、全ての秘密が明かされるクライマックスは圧巻。
実は召喚された七人には、ある秘密がある。
これは小説であればサプライズになるところだが、映像テリングでは隠し通すことが難しく、割とすぐに分かってしまう。
まあこれは、表現の特質状致し方ないだろう。
それぞれの今が抱え込んでいる負の感情を、一気に未来を生きるエネルギーに変換する手際はさすがである。
そもそもオオカミ様がなぜこんなことを出来るのかとか、なぜこの七人でなければならないのかとか、世界観の仕組みの部分には疑問が残るが、ぶっちゃけその辺は割とどうでもいい。
原恵一らしい、しっかり地に足が着いたファンタジー。
これは同じ境遇にある子供たちはもちろん、大人が観ても元気をもらえる。
そして、キーパーソンとなるオオカミ様を演じた芦田愛菜は、やっぱり上手いなあ。
今回は城つながりで「オールド・キャッスル」をチョイス。
スコッチ・ウイスキー20ml、ジンジャーワイン20ml、メロン・リキュール10ml、ライム・ジュース10mlをシェイクし、グラスに注ぐ。
最後にライムを一片飾って完成。
ジンジャーワインの独特の風味が、ほどよく甘く複雑な味わいを作り上げている。 1987年に、秋田治郎氏がコンテストのために考案した、日本生まれのカクテルだ。

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